(令和2年10月6日(火曜日)15時34分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)日米外相昼食会

【茂木外務大臣】私(大臣)の方から、3点ご報告いたします。
 まず、今日約70分間にわたりまして、ポンペオ米国国務長官と日米外相会談を行ったところであります。
 冒頭、私(大臣)から、ポンペオ長官の3年連続の訪日を心から歓迎する旨伝えた上で、新型コロナに感染されたトランプ大統領夫妻に対するお見舞い、そして早期の全快を願っている旨申し述べたところであります。
 ポンペオ長官との間では、菅政権の下でも、地域や国際社会の平和と安定の礎である日米同盟を一層強化していくことで一致をいたしました。また、東シナ海、南シナ海、北朝鮮等について意見交換を行いました。北朝鮮に関しては、拉致、核、ミサイル、諸懸案の解決に向けて、今後も日米間で一層連携していくことで一致しましたし、米国は拉致問題の早期解決に向けて、これからも全面的に協力するとのことでありました。
 更に、新型コロナのワクチン開発と公平なアクセスに関して、同志国と連携しながら協力を強化していくことでも一致をいたしました。
 また、これから行われます日米豪印外相会合での議論も念頭に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、引き続き日米を始めとする、同志国で連携し、またその輪を広げていくことが重要であるということを確認いたしました。日米外相会談について以上であります。

(2)大臣のモンゴル訪問

【茂木外務大臣】次は出張日程でありますが、10月9日、今週の金曜から10日にかけてモンゴルを訪問し、エンフタイワン外相との間で会談を行うほか、要人の表敬を予定いたしております。
 今回のモンゴル訪問を通じまして、7月に発足したモンゴル新政権との「戦略的パートナーシップ」の更なる強化、そして北朝鮮情勢を含みます地域情勢についてのすり合わせ、更に「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力等について、意見交換を行う予定であります。

(3)国際的な人の往来再開(韓国)

【茂木外務大臣】最後、もう一点、国際的な人の往来の再開についてでありますが、国際的な人の往来再開に向けて、各国・地域とこれまで協議を行ってきておりまして、シンガポールとは、「ビジネストラック」を開始いたしております。
 また、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾の9か国・地域との間では、「レジデンストラック」を既に開始、または開始することで合意をいたしております。
 今般、韓国との間で協議の進展がありまして、「ビジネストラック」及び「レジデンストラック」の双方を10月8日から開始することで合意をいたしました。
 詳細につきましては、事務方にご確認ください。私(大臣)からは以上です。

国際的な人の往来再開(韓国)

【NHK 渡辺記者】日韓の人の往来再開についてお伺いしたいと思います。昨今、日韓関係、いろいろ問題がありますけれども、そうした中において、コロナ禍の中でまた新たに行き来を再開すると、これに込めた、両国間の関係改善に込めた、何かそういうきっかけにしたいといった、そういったお考えはあるんでしょうか。

【茂木外務大臣】まず、日韓両国はお互いにとって極めて重要な隣国でありまして、このコロナが発生する前は、多くの人の往来というのもあったわけであります。現在、日韓関係は非常に厳しい状況にありますが、そのような中だからこそ、ビジネス関係者をはじめとする、両国の国民が交流することは重要だと考えております。
 今次枠組みを通じて、まずは経済交流、これが回復軌道に乗ることは、重要だと考えております。その上で、日韓の間の旧朝鮮半島出身労働者問題等々につきましては、日本として日本の立場と、これをしっかり韓国側に申し上げているところでありますが、今後も外相間、また外交ルートで、意思疎通をしっかり続けていきたいと、こんなふうに思っています。

日独外相テレビ会談(ベルリン市の慰安婦像)

【YTN 李記者】ドイツ・ベルリンに設置されている、慰安婦像に関しましてお伺いします。先日行われたドイツ外相とのテレビ会議で、慰安婦像の撤去に向けての協力の要請の事実はあったのでしょうか。もしあったとしたら、民間団体の活動に日本政府が圧力をかけるようなことになるんですけれども、この点に関しまして、どんなご意見をお持ちでしょうか。

【茂木外務大臣】本件について、やり取りはありました。ベルリンという街、東西分裂から、一つのベルリンというのが生まれると、様々な人、それが行き交う、そして共存する街、それが私(大臣)はベルリンであると、そんなふうに考えております。そのベルリンの街に、そういった像が置かれることは適切ではないと、そのように考えております。

米国大統領選挙

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 木原記者】トランプ大統領のコロナに感染されていることに関して、ご質問なんですけれども、万一、重篤な状態に陥る可能性というのもあるかもしれないと考えられるんですけれども、そのときにトランプ政権に、大統領選挙において、バイデン政権の両方の可能性がもちろんありますけれども、その両方に対応する準備を進められていらっしゃると思うんですけれども、特に米中関係というのは、トランプ氏は中国とのデカップリングというのを訴えていらっしゃいますし、バイデン氏の方はオバマ前大統領の中国とのそのG2外交に戻るという可能性も考えられます。
 その両方の可能性にどういうふうに対応されるかということについて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【茂木外務大臣】トランプ大統領につきましては、冒頭、ポンペオ長官との外相会談でも、新型コロナに感染されたことについてお見舞いを申し上げ、一日も早い全快をお祈りしたいと申し上げたことは、冒頭発言したとおりであります。
 トランプ大統領の医師団によりますと、トランプ大統領の体調は良好でありまして、順調に回復しており、既に退院されたと承知をいたしております。トランプ大統領が早期に全快をすること願っているところであります。
 数学の質問ですと、いろいろな仮定を置いて、その仮定に対して答えると、これが一般的だと思いますが、外交の質問、一つの仮定を置いて、その仮定についてどうこう答えるかと、そういう設問にはお答えしないと、これが外交の一般の常識だと思いますので、そのようにさせていただきます。

国際的な人の往来再開(今後の方針)

【NHK 渡辺記者】先ほどの日韓の関係の関連なんですけど、今後のですね、その他の国々、隣国含めまして、中国とかいろいろあると思うんですけども、交渉している国が、そうした国とのその関係、行き来の再開に向けては、どういった今、方針で考えていらっしゃるのか。いろいろと難しい局面があると思いますけども、今後、どうやって往来再開に向けていくかっていう、現段階でのその考え方、あればお願いします。

【茂木外務大臣】今、コロナによりまして、世界の経済、大きく落ち込んでおります。ビジネスも含めて、人の往来の再開、これは経済の回復に不可欠なものであると、そのように考えておりまして、感染拡大の防止と両立する形で、いかに人の往来の再開を図っていくか、これまで「レジデンストラック」「ビジネストラック」、様々な試みも行っております。国につきましても、感染が収束する国であったり、そういった国から順次受け入れるということも行っております。
 また、いわゆる防疫上、トレードじゃない方、病気の方の防疫上の措置をとることが適切か、こういったことも様々検討を進めているところでありますし、更に今、世界でどんな緩和の動きが起こっているか、こういったことについても、分析等を行っているところでありまして、そういったことを踏まえながら、段階的そして試験的に、更には順次、この人の往来の再開、しっかりと進めていきたいと思っております。

日米豪印外相会合

【フランクフルター・アルゲマイネ紙 ヴェルター記者】
(以下は英語で質問)

 先月、中国の外交部副部長は、日米豪印の会合について「ミニNATO」のようなものであると発言しました。この発言についてコメントいただけますでしょうか。これは適切な表現であるとお考えでしょうか。また、これは日本が今晩のような日米豪印の会合を通じて達成したいと考えることでしょうか。
 二つ目の質問として、日米豪印の枠組みを包摂的なものとするとの議論がありました。いつになったら日米豪印の枠組みに他国も含めるべきとお考えでしょうか。これには近隣諸国のみ含まれるのでしょうか、それとも欧州諸国についても枠組みに含まれる可能性はあるのでしょうか。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語で発言)

 恐らく、こういった新型コロナの世界的な拡大によりまして、国際社会が抱える様々な課題、浮き彫りになっている部分は非常に大きいと考えております。
 それは感染症対策でもそうでありますし、更には今後考えたときに、例えば、データ流通と、それをどうしていくのか、そのための国際ルールを作っていく、こういった課題もあるわけでありますし、また、東シナ海・南シナ海だけではなくて、様々な地域において緊張関係があるわけでありまして、これをどう解消していくかと、こういった観点から、多国間での議論、こういったことは極めて重要だと考えております。
 その中で、日本が提唱しております「自由で開かれたインド太平洋」これは自由、民主主義、法の支配、そして航行の自由等々、基本的な価値観を共有する国々が誰でも参加できる、こういう枠組みでありまして、今回、日米豪印、4か国で開催いたしますが、同じような価値観といいますか、考え方、これは東南アジアも「AOIP」という形で打ち出しております。
 そして今回、ヨーロッパを訪問して感じたところでありますが、フランスであったりドイツ、これもインド太平洋に対する関心・コミットメント、これを間違いなく強めていると、このように感じるところでありまして、こういった基本的な価値であったりとか、共通のルール、こういうものを共有できる国、できるだけ多く連携をする、こういったことが大切だと考えております。

大臣のモンゴル訪問

【NHK 渡辺記者】今の関係でもあるんですけども、先ほどのモンゴルの訪問の発表に関連してなんですけれども、その文脈におきましても「自由で開かれたインド太平洋」という価値観の話がございましたけれども、モンゴル、内陸国ではありますけども、そういった意味ではなんでしょうか、価値観っていう意味で共有していくってそういう文脈でよろしいでしょうか。

【茂木外務大臣】内陸国であっても、例えばそれは全く内陸だけではなくて、海の交易であったりとか、それはどこかを通じて行うこともあるわけでありますし、例えばフランスにおきましても、フランスはヨーロッパの国と見えるところもあるかもしれませんが、仏領ポリネシアであったり、様々な地域も持っているわけでありまして、この「自由で開かれたインド太平洋」と、これは東アフリカ、インド洋、そして太平洋、ここに広がる広大な地域でありまして、世界人口の半分を有すると、そして、まさに今、世界の活力の中心でありまして、多くの国にとりまして大きなテーマであると、関心事項であると、このように考えております。

新型コロナウイルス(トランプ大統領の感染)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 木原記者】一つだけ。トランプ大統領は良好な経過というふうに伺っておりますけれども、側近の方などがですね、クラスター状態に陥ったような報道もございまして、コロナが国の政権中枢に与える影響は非常に甚大だというふうに考えられます。我が国でも菅総理をはじめとしてですね、全大臣あるいは副大臣、政務次官、事務次官、秘書官の方など、政権の中枢の方全員がPCR検査をするべきじゃないかというふうに思われるのですが、そういうご予定は、ございませんでしょうか。

【茂木外務大臣】厚労省にお聞きください。