(令和2年10月3日(土曜日)15時01分 於:サウジアラビア)

冒頭発言

【茂木外務大臣】日本では相当夜遅い時間になっていると思いますが、会見をやらせていただきます。今日まででポルトガル、フランスそしてサウジアラビアへの訪問を終えたところであります。この後クウェートのほうに向かいます。これまでいずれの国においても温かい歓迎の中、各外相とじっくりと時間をかけて、直接の対話ですから相当つっこんだ意見交換を行うことができました。
 また、パリ滞在中には、マース・ドイツ外相とテレビ会談のほか、ユネスコ事務局長であったり、たまたまホテルでご一緒したケニア外相とも会談を行いまして、大変充実した出張となったと考えております。
 まず欧州では、EUをリードするフランス、そしてドイツ、来年前半のEU議長国を務めるポルトガルとの間で「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携の強化を確認すると共に、幅広い二国間関係及び日・EU関係の更なる強化で一致をしたところであります。また、東シナ海・南シナ海、拉致問題を含む北朝鮮への対応等、地域情勢についても意見交換をし、今後も緊密に連携していくことを確認したところであります。一連の会談で、インド太平洋への欧州のコミットメント、強くなっていると実感をしたところであります。
 また、各国との間では新型コロナ対策に関する国際的な枠組みの進展に向けて協力していくことを確認いたしました。そして、日本への入国規制緩和について、10月の1日、もう過ぎてしまったわけですが、在留資格保持者等の新規入国を順次認めていくことを伝え、各国からこれを歓迎する意向が示されました。
 今日、本年のG20議長国のサウジアラビアとの間では、G20リヤド・サミットの成功に向けて緊密に連携していくこと、また、「日サウジ・ビジョン2030」を通じて幅広い分野で両国の戦略的パートナーシップを強化する方針を確認いたしました。さらに、大きく変動する中東情勢、イランの問題、そして中東和平の問題含め、率直な意見交換を行い、中東地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けた連携を確認したところであります。
 この後クウェートのほうに向かうわけでありますが、サバーハ・クウェート国首長が9月29日に薨去されたことを受けて、弔問のために向かうわけであります。クウェートでは、アフマド外務大臣との会談も予定をしております。おそらく今日、現地に着いてすぐということになるのだと思います。今回の欧州、そして中東訪問を通じて得られた成果、これを基礎として、各国との協力を更に進めていきたい、こんなふうに考えております。私(大臣)からは以上です。

質疑応答

【記者】今回のサウジアラビア外相との会談でございますが、会談とともにワーキングランチもあったと思うのですけれども、それぞれどういった議論の区別を行ったのでしょうか。その辺をもう少しお願いできますでしょうか。

【茂木外務大臣】まず最初に会談を行いまして、その後ワーキングランチという形をとりましたが、会談のほうではですね、特に日サウジ、二国間関係の問題、さらには国際場裡での日本とサウジの協力、特にG20サミット、日本は昨年議長国でありまして、今年サウジが議長国、トロイカとしてですね、リヤド・サミットの成功に全面的に協力をしていく、こういう話をさせていただきました。比較的日本とサウジの話、これがいわゆる会談でありまして、その後ワーキングランチに移りまして、ここからは地域情勢、これについて話をしました。大きく二つでありまして、一つは先ほど申し上げましたが、イラン、そしてまた中東和平をはじめとする中東情勢、そしてもう一つは東アジアの問題、東シナ海・南シナ海、そして拉致問題を含めます北朝鮮情勢について話をしたところでありまして、拉致問題につきましては、日本の立場、そして、早期解決に向けて先方の理解と協力を得たところであります。

【記者】今回の外遊全般についてお伺いいたします。今回の外遊は菅内閣に替わって初めての外遊となりました。国際社会をリードした安倍前首相が退任されたわけですけれども、各国から日本の政権が替わったことへの関心等は示されたのでしょうか。またですね、新政権の外交方針を大臣の方からお伝えするといった場面はあったのでしょうか。

【茂木外務大臣】菅政権が出来てですね、最初の外遊という形になったわけでありますが、引き続き外務大臣を務めることになりまして、これまで日本が進めてきた様々な外交方針、「自由で開かれたインド太平洋」の問題であったりとか各国との関係、この方針は、菅政権においても揺るぎない、こういったことは私(大臣)の方から明確に申し上げました。そしてそれに対してですね、是非そのような方向でこれからも協力していきたい、各国からそういう話があったところであります。

【記者】サウジアラビアの外相との会談についてお伺いしたいと思うのですけれども、先ほど大臣、中東の緊張緩和と安定化に向けて連携していくことを確認したというふうに仰いましたが、今後さらにこうした中東情勢の安定に向けてですね、日本としてどういうふうに役割を果たしていきたいのか、改めて大臣ご自身、決意がありましたらですね、今回の外遊を皮切りにですね、どういったことをこれからしていきたいか、その辺をもう少し、お話しいただければと思います。

【茂木外務大臣】中東情勢全般について申し上げますと、日本はですね、原油輸入の9割以上を中東に依存する、こういう状況にありまして、中東の平和そして情勢の安定化は日本にとっても極めて重要だと考えている、こういうお話を申し上げました。同時に、「自由で開かれたインド太平洋」に関しまして、航行の自由・安全、こういった問題は、原油タンカー、これを日本に運んでくる、航行するという問題にも直結する重大な問題なのだ、こういう話をさせていただきました。イラン情勢、そしてまた、中東和平の問題、さらにはイスラエルとUAE、バーレーンの国交正常化の問題等々についてですね、本当に率直な意見交換をしまして、基本的な認識が一致する部分が非常に多かったとこんなふうに考えております。

【記者】今回の外遊のことではなくて恐縮なんですけれども、アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染しました。この受け止め、外交への影響などですね、お聞かせいただければ幸いです。お願いします。

【茂木外務大臣】まずトランプ大統領、メラニア夫人の1日も早い全快をお祈りしたい、そのように思っております。基本的に日米同盟、どういう状態になっても揺るぎない、こんなふうに考えております。来週、ポンペオ国務長官が訪日の予定でありまして、そういった点も含めてですね、日米関係、更には国際場裡の問題についてしっかり意見のすり合わせをしたいと思っております。