令和2年9月25日(金)

 今朝の閣議において,法務省案件はありませんでした。

新型コロナウイルス感染症の水際対策に関する質疑について

【記者】
 新型コロナウイルス感染症の水際対策について,政府が来月にも全世界からの入国を再開すると報じられています。入国制限などのこれまでの対策の評価と,今後の取組の方針についてお聞かせください。

【大臣】
 まず,法務省といたしましては,出入国管理を預かっている省ということであり,これまで,国内への感染者の流入防止のため,水際対策につきましては万全を期してまいりました。
 また,国際的な人の往来の更なる再開に向けて,政府全体としての検討結果を踏まえながら必要な措置を講じ,国内での感染再拡大の防止に努めてきたところでございます。
 この間,在留資格を有する外国人につきましては,上陸拒否の対象地域に出国した者であっても再入国を認めることとしておりまして,また,その他の外国人につきましても,特に人道上配慮すべき事情がある場合,あるいは公益上の必要がある場合など,個別の事情に応じて入国を認めてきているところであり,国内外の感染状況等を踏まえながら,外国人側の事情にも配慮してきたと思っております。
 今,御指摘がございましたが,更なる入国制限の緩和につきましては,現時点で決まったものはございませんが,現在上陸拒否の対象となっている外国人につきましても,感染再拡大の防止と両立する形で,どのように入国を認めることができるかを,関係省庁と共に検討した後に,政府の新型コロナウイルス感染症対策本部での決定を踏まえて,更に法務省としての対応に取り組んでまいりたいと思っております。

行政手続における押印等の見直しに関する質疑について

【記者】
 23日にデジタル改革関係閣僚会議が行われて,そこで河野大臣から,ハンコを使用することについて見直しを,という発言がありました。法務省ではかなり電子決裁が進んでいると思うのですが,現状とこれからの取組についてお願いします。

【大臣】
 今回,菅政権におきましては,政府全体でデジタル化を進めていくという大きな方針が打ち出され,デジタル庁の創設ということも視野に入れながら,今,取組をスタートしたところです。
 法務行政を預かるに当たりまして,所信の中でも申し上げたところでもありますが,これまでの旧来の考え方や,あるいはやり方に捕らわれることなく,法務行政のイノベーションを推進していくということで,このデジタル化におきましても,そのような方針で進めていく決意でございます。
 御指摘いただきました行政手続における押印等の見直しでございますが,全体の行政手続のオンライン化,あるいはデジタル化,これを進めていくということでありますので,様々な手続の案件がございます。
 国民にとっての利便性を最大限高めていくのと同時に,行政の効率化,あるいは正確性,もろもろのことについての将来型,未来型のイノベーションに対しまして,法務省としても後れをとることなく,必要な措置を積極的に進めてまいりたいと思っております。
 いずれも大方針として,旧来の枠組みに捕らわれない柔軟な思考で,必要な取組を積極的に進めてまいりたいと考えております。

入管法改正に関する質疑について

【記者】
 22日の新聞報道で,入管法改正案に関する記事が一部の新聞に大きく出ていたのですが,その中で,難民認定制度における今までの人道的配慮による特定活動,在留特別許可に代わる措置として,「準難民」の創設のことが取り上げられていました。
 大臣は2014年に開設された「難民問題に関する専門部会」の報告書も受けていらっしゃるわけですが,その中でも現行の難民認定制度に対するいろいろな問題が指摘されていたと思います。
 今,99%以上が難民不認定になるという状況があるわけですが,こういった難民認定審査の在り方そのものについて,何か問題があると現在お考えなのかどうかということと,今回の「準難民」というものと現行の人道的配慮の違いについて,もしお分かりのことがあれば伺いたいのですが,よろしくお願いいたします。

【大臣】
 ただいま新聞報道に言及しながら御指摘がございましたが,我が国におきましては,難民条約の定義に基づきまして,申請されたそれぞれの事案につきまして審査をした上で,難民と認定すべきかどうかを認定しているところで,これが基本的な取組であります。条約上の難民とは認定できない場合でありましても,本国情勢等を踏まえまして,先ほど御指摘があった人道上の配慮ということが必要な場合におきましては,我が国への在留につきまして,これは庇護ということでありますが,認めているという状況です。
 その上で,今年の7月に「収容・送還に関する専門部会」から報告書を提出されたところでございまして,この庇護を要する者が確実に保護されることができるよう,様々な提言がされている中におきまして,私が大臣のときに頂いた,平成26年の「難民認定制度に関する専門部会」からの提言を踏まえた施策を実施することも,その中に提言として盛り込まれていると承知をしております。
 現在,まさに出入国在留管理庁におきまして,こうした一連の御提言を踏まえまして,必要な検討を行っていると承知をしております。
 現時点で,制度の内容等法案の内容についてお答えすることにつきましては困難であるということを御理解いただきたいと思っておりますが,私自身といたしましては,この二つの提言を踏まえた形で,制度の改善に向けて,出入国在留管理庁に必要な指示を行いながら,しっかりと対応してまいりたいと思っております。
 それ以上の内容につきましては,必要があれば,出入国在留管理庁に問い合わせいただきたいと思います。

【記者】
 もう1点,今の法改正に関する質問ですが,現行の仮放免制度の代替措置として,「監理措置」制度を新設するといったような報道もありました。その内容は逃亡のおそれがないとか,一定の前科がないとか,2回までの難民申請者が対象であるとか,現在の仮放免制度を厳格化する内容だと思うのですが,ただ現実には複数回の難民申請の結果,難民認定されるケースもありますし,長期収容されている人の中には,刑事手続を経て服役後に日本での社会復帰を望んでいる日系外国人や元インドシナ難民といった,日本で20年,30年暮らしてきた定住外国人の方もいます。その多くの方が日本社会での社会復帰を望んでいるとか,家族も日本に定住しているという方です。
 現行の仮放免制度では就労もできないし,公的な支援も受けられないということで,厳しい状況にあるのですが,その仮放免制度をより厳格化する形で,その「監理措置」というのを,対象範囲を絞って新しい制度を検討しているという理由がもしあれば教えてください。

【大臣】
 先ほど申し上げた,7月に提出されました「収容・送還に関する専門部会」の御提言におきましては,今御質問がございました仮放免に関する問題についても御指摘がございました。その仮放免に関する内容及び収容の長期化の防止のためのいわゆる収容代替措置,こうした内容についても含まれていると承知をしているところであります。
 現在,この提案を踏まえ,出入国在留管理庁におきまして,必要な検討を行っているということでございます。
 今の段階で,法案の中で,御指摘いただいたようなことについて詳しくということにつきましては,お答えする状況にございませんので,差し控えさせていただきたいと思っておりますが,いずれにいたしましても,様々な御提言を踏まえまして,現状の改善を図っていくことができるよう,私としてはしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
 詳細につきましては,出入国在留管理庁にお問い合わせいただきたいと思います。

(以上)