(令和2年9月29日(火曜日)11時53分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)大臣のポルトガル・フランス・サウジアラビア訪問

【茂木外務大臣】私(大臣)の方から、当面の外交日程2点、ご報告したいと思います。
 まず本日から10月4日、日曜日まで、ポルトガル、フランス、サウジアラビアを訪問いたします。
 菅内閣発足後、初めての外国訪問という形になります。欧州及び中東各国とこれまで多くの電話会談を行ってきたところでありますが、国際社会においては、活発な要人往来というものが再開しつつありまして、ポスト・コロナの世界を考えるためにも、欧州諸国や本年のG20議長国でありますサウジアラビアとの間で、今回、直接会って、突っ込んだ議論を行う予定であります。
 具体的には、基本的価値を共有する欧州の中でも、G7のパートナーでもあるフランス、そして来年前半のEU議長国を務めるポルトガルの外相との間で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力であったり、新型コロナ対策に係る協力、国際社会が直面する喫緊の地域情勢について意見交換を行う予定であります。また、フランスでは、パリに本部がありますユネスコのアズレー事務局長との間で、教育、文化、科学といった、日本が長年積極的に貢献してきた分野について意見交換し、日本の考え方も伝えたいと思っております。
 更に、サウジアラビアについては、昨年のG20議長国として、今年11月のG20サミットの成功に向け、日本・サウジ、両国の協力を確認する予定であります。同時に、日・サウジアラビア間の協力強化であったり、イスラエルとUAE、及びバーレーンとの国交正常化など、大きな変動の中にある中東地域情勢についても、議論を行う予定であります。

(2)日米豪印外相会合

【茂木外務大臣】もう一点、来週になりますが、10月6日、東京でポンペオ米国国務長官、ペイン豪州外務大臣、ジャイシャンカル・インド外務大臣とともに、日米豪印外相会合を開催いたします。日米豪印4か国によります外相会合は、昨年のニューヨークで行われて以来、2回目ということになります。
 今回の外相会合は、新型コロナの発生・拡大後、日本で初めて開催をする閣僚レベルでの国際会議でありまして、注目度も高く、新型コロナの発生・拡大に伴って顕在化した諸課題への対応であったり、地域情勢について志を同じくする4か国の外相が東京に集まり、対面で意見交換を行うことは、まさに時宜を得たものであると考えております。またこの機会に、ポンペオ長官をはじめとする各国外相との二国間の会談も行いたいと思っております。
 「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンは、ポスト・コロナの世界において、益々重要性を増しておりまして、今回の外相会合では、その実現に向け、より多くの国々と一層連携を深めていくことの重要性、これも確認したいと思っております。
 私(大臣)から以上です。

イージス・アショア

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 木原記者】防衛省の方で、イージス・アショアは中止されるというふうに決まったわけですけれども、その代替として、敵基地攻撃論というのが、国会論議を経ずに進められているようですけれども、ところが更にそのイージス・アショアを洋上に戻すという計画も、国会論議を経ずに進められようとしております。
 これまあ、防衛省だけではなくて、日本外交の全体に係る問題で大きな問題であろうというふうに思います。万々が一、中国と開戦するというようなことがあれば、滅多打ちにされるということが必定であると思うんですけれども、それにもかかわらずその報復対策について少しの議論もなく、安全保障上の合理性とか、経済性を考慮に入れずに進められているというのは、米国のですね、武器購入の要求の言いなりになっているからではないでしょうかというのが、大きな疑問でございまして、菅政権としては今後も、こういういわゆる対米追随外交というのを進めていかれるということでしょうか。これを、外務省としての見解を、お聞かせいただきたいというのが質問でございます。よろしくお願いいたします。

【茂木外務大臣】イージス・アショアの代替案につきましては、これまでも国家安全保障会議で、何度にもわたって外交・安全保障をはじめとする多角的な議論を行ってきたことであります。
 これを踏まえて、防衛省において、引き続き検討を進めているという状態であります。ご案内のとおり、様々な課題について政府で当然検討するということはあり得るわけでありまして、それについて国会でご質問等ご審議の機会があれば、当然丁寧にお答えをさせていただく、これが政府の方針でありまして、国会が始まるまで何の議論もしないと、政府内で詰めた議論を行わないと、そのことの方がかえって私(大臣)は無責任だと、そのように考えております。

渡航禁止勧告の段階的引下げ

【NHK 山本記者】感染症危険情報のレベルの引下げについて伺います。
 大臣、新政権発足直後の会見でも、引下げの可能性に言及されていたと思いますけれども、現時点で引下げの時期、それと対象国について、どのような検討を進めているでしょうか。来月中の引下げというのも可能性としては考えていらっしゃるでしょうか、お願いします。

【茂木外務大臣】菅政権が発足をして最初の記者会見の際に、この感染症危険情報、これについては、今年の新型コロナウイルスの発生以降、順次、世界での感染状況であったり、また、移動制限の状況等々を見ながら、引下げを行ってきた。今、160か国近くを、レベル3、こういう段階にしているわけでありますが、現在今、世界的には感染拡大が続いている地域もあります。
 一方で、収束しつつある地域もある。また様々な移動の制限等々についても、緩和の動きというものが進んでいるわけでありまして、そういった中で、感染症危険情報、これは危険情報そのものについては、渡航される方、また、海外に赴任される方等々について、そういった国へ渡航することについての危険性がどうであるかと、これについて、注意喚起をすると、これが基本的な目的でありまして、それに沿って、危険情報の引き上げとか引下げ、こういったものも検討していくということになるわけでありますが、結果的には、危険情報の引き上げと併せて、入国の禁止措置、こういったものも、政府全体として取ってきたわけでありますが、今後その感染の落ち着き等々を見ながら、国際的な人の往来の再開については、引下げも視野に入れて、検討を進めていく方針でありますが、今、具体的に、どの国に対して、またいつの時期からと、こういうことが決まっているわけではありません。
 その上で改めて申し上げますと、感染症危険レベルの引下げに当たっては、各国・地域の感染状況がどのように収束していくのかが重要でありまして、外務省としては、各国・地域の感染状況について、日々分析を行っているところであります。同時に、各国での移動制限、移動制限の緩和であったりとか、経済回復に向けたビジネスニーズ、こういったものもよく見ていきたいと思っております。
 いずれにしましても、人の往来の再開に当たっては、感染拡大の防止と両立することが重要でありまして、その上で、単に危険情報の引下げだけではなくて、どのような施策、対策の組合せで、国際的な人の往来を再開していくかについては、政府全体として、よく検討していきたいと思っております。

日露関係

【読売新聞 森山記者】ロシアとの関係について伺いたいんですけども、今晩、ロシアとの首脳会談が予定されていると思います。基本的に政府としては、領土問題の解決ですとか、平和条約の締結といった、安倍内閣の基本路線を引き継ぐと思われますが、改めて、今後どのような形で交渉に臨まれるか、大臣のお考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】ご指摘のロシアを含め、菅総理、様々な国と今、首脳電話会談を行っているところでありまして、今後についても、首脳電話会談の実施について、検討あるいは調整を行っているところであります。
 ロシアでありますが、我が国として日露関係を重視していくと、この姿勢に変わりありません。平和条約締結問題を含みます政治・経済・文化等、幅広い分野で日露関係全体を国益に資するよう、発展をさせていただきたいと思っております。
 政府として、領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針、変わっておりません。これに基づき引き続き粘り強く取り組んでいきたいと思います。

王毅中国国務委員の訪日

【共同通信 高尾記者】日中関係について伺います。先週、菅総理大臣と中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が電話会談し、首脳間を含むハイレベルでの緊密連携を確認しました。こうした中で、王毅(おう・き)国務委員兼外務大臣が、来月にも日本を訪れ、茂木大臣や菅総理と会談する方向との報道もありますけれども、現在の調整状況についてお聞かせください。

【茂木外務大臣】中国は世界第2の経済大国でありまして、日中関係、日本にとって、最も重要な二国間関係の一つであります。一方で、中国との間には様々な懸案が存在をしておりまして、引き続き首脳会談や外相会談等のハイレベルの機会を活用して、主張すべきはしっかりと主張して、懸案を一つひとつ解決し、また中国側の前向きな対応を強く求めていくというのが基本的な考え方であります。
 王毅国務委員と私は、これまで4回の会談、4回の電話会談を行うなど、緊密に意思疎通をしてきました。前回、直接会ったのが昨年の年末の北京でありまして、夕飯をご馳走していただいたと、こういうこともあるわけでありますけれど、現在、王毅国務委員の訪日について、具体的な日程調整をしているわけではありません。

新政権の対中東外交

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて質問)

 先ほど発表された大臣のサウジアラビア訪問に関して、日本の中東外交の基盤は総じてどのようなものでしょうか。前政権の際には、中東地域に対しては緊張の緩和と安定の向上という基本方針を有していたと記憶しています。今回の政権において、この方針に変更はあるのでしょうか。それとも、この方針が強化されていくのでしょうか。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)

 中東情勢全体で申し上げますと、日本のこれまでの考え方、中東地域における緊張緩和、こういったものをしっかりと進めていくと、この方針に変わりありません。
 原油輸入の約9割、我が国として中東地域に依存しておりまして、中東地域の平和と安定は引き続き、我が国にとって極めて重要であると考えております。
 今、中東においては、新型コロナの感染拡大が続く一方で、依然として高い緊張状態が継続をしているわけであります。様々な複雑な力関係であったりとか、そういったものも存在いたします。
 我が国は米国と同盟関係にあり、同時に中東各国と良好な関係を築いているわけでありまして、菅内閣の下でも引き続き、中東の緊張緩和、そして情勢の安定化に向けて関係国に対する様々なレベルでの働きかけを行っていく考えであります。
 私(大臣)自身も、新型コロナの感染拡大以降も、いろいろな国の外相と電話会談を行ってきております。イスラエル、ヨルダン、イラン、サウジ、UAE、カタール等、中東各国の外相と電話会談を行いまして、中東和平を含みます地域の情勢やコロナ対策を含む各種の課題に関して、意思疎通を図ってきました。
 冒頭申し上げたように、今週末にはG20の今年の議長国であり、中東地域のキープレーヤーでありますサウジアラビアを訪問する予定でありまして、また、近いうちに、アラブ連盟との間でも意見交換を行って、こうした課題解決に向けて、緊密な連携、確認したいと、このように思っております。

日米豪印外相会合

【NHK 山本記者】冒頭にご紹介があった日米豪印の外相会合なんですけども、3人の外相が来られて、菅総理への表敬っていうのは調整されているんでしょうか。

【茂木外務大臣】菅総理、官房長官時代に訪米したときに、ポンペオ国務長官とお会いになっていると、こんなふうに思っているところであります。今回、日本にとっても極めて重要な同盟国であります米国、そしてまた、豪州、インド、まさに基本的な価値観を共有する、主要国の外相が訪日する機会でありまして、総理の日程等々もあると思いますけれど、お会いいただくことは有意義であると、このように考えております。

王毅中国国務委員の訪日

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 木原記者】先ほどの中国の王毅外相がお見えになる可能性があるというふうに伺いましたけれども。

【茂木外務大臣】そんなふうに言ってないです。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 木原記者】違いますか。

【茂木外務大臣】そんなふうに言ってないです。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 木原記者】そうではない。

【茂木外務大臣】先ほど答えたとおりです。私はそういう言い方をしていません。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 木原記者】調整をして、ごめんなさい、まだそれについては調整してはいないという。

【茂木外務大臣】具体的な日程を調整しているわけではないとお答えしました。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 木原記者】ではない、ということですね。ということはいらっしゃる可能性も、今、分からないということでしょうか。

【茂木外務大臣】先ほどお答えしたとおりだと思います。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 木原記者】なるほど。ただ、その会談をされるという報道があるんですけれども、そのときにですね、尖閣諸島の問題等を話される予定というふうに報じられておりまして、そのときに更に安定した両国関係を維持する重要性を確認する方針というふうに報じられておりますけれども、であるとすればですね、日中の政府の先人の知恵に倣って、この領土問題を棚上げするというような可能性というのはございますでしょうか。
 もし、そうでなくて、あくまで対決姿勢を示すということであればですね、中国への対決姿勢を強めている米国への追随外交というふうに見えるような気がするんですけれども、外務省としての見解をお聞かせいただきたいということでございます。よろしくお願いいたします。

【茂木外務大臣】ごめんなさい。まだですね、会うということが決まっていないと。仮定の質問にお答えすることは控えたいと思います。