(令和2年9月25日(金曜日)12時19分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)シンガポール・ブルネイのレジデンストラック

【茂木外務大臣】まず私(大臣)の方から2点、ご報告いたします。
 まず一点目は、国際的な人の往来の再開についてでありますが、国際的な人の往来の再開に向けて、各国・地域との間で、それぞれ協議を鋭意進めてきたところでありますが、これまでにタイ、ベトナム、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾の7か国・地域との間では、長期滞在者等の往来を可能とする「レジデンストラック」をすでに開始をいたしております。
 今回、シンガポールとブルネイとの間で進展がありました。シンガポールとは、9月18日から短期出張者を念頭に置いた「ビジネストラック」が開始されたところでありますが、先月、私(大臣)がシンガポールを訪問した際、駐在員等の長期滞在者等の往来を可能とする「レジデンストラック」についても、9月にも開始することで合意をしておりました。その後、両国間で協議を行った結果、本日、「レジデンストラック」、シンガポールとの間で、9月30日から開始をすることで合意いたしました。
 また、ブルネイとの間でも、本日、「レジデンストラック」を10月8日から開始することで合意をしたところであります。
 また、在留資格を持つ外国人の再入国についても、既に9月1日からこれを認めているところでありますが、新規入国者の受入れの再開、これは極めて重要な課題だと考えておりまして、感染再拡大の防止と両立する形で、どのように往来を再開していくかについて、政府全体として、真剣に検討しているところであります。
 特に、在留資格を新たに取得した新規入国者の受入れについては、優先的に結論を得たい、このように思っております。これが一点です。

(2)梅本・国際交流基金理事長の任命

【茂木外務大臣】もう一点は、国際交流基金の理事長の任命についてでありますが、今朝の閣議で、国際交流基金の新たな理事長に、10月1日付で、梅本和義氏を任命することが了解されました。
 梅本氏の任命に際しましては、有識者から成る委員会を設けまして、多数の応募者の中から選考を行いました。その結果、国際関係全般に関する幅広い知見と文化に対する深い造詣を有している者として、梅本氏が最も高い評価を得たと、そのように承知をいたしております。
 私(大臣)自身も、担当大臣として取りまとめましたTPP11の協定や日米貿易協定の交渉において、梅本さんには首席交渉官を務めてもらいまして、その堅実な仕事ぶりであったりとか、イタリア大使等の豊かな経験、知見、よく承知をしているところでありまして、国際交流基金の理事長にふさわしいと判断をしたところであります。
 日本と世界をつなぐ総合的な国際文化交流の実施を担う国際交流基金のトップとして、リーダーシップを発揮してくれるものと期待をいたしております。私(大臣)からは以上です。

海外からの入国再開

【エコノミック・マンスリー スシロ記者】先ほど大臣がお示ししたとおり、入国の再開なんですけれども、いろいろな新聞の記事を見たら、これから10月から、全世界から新規入国再開可能になりますので、何か10月からの情報とか、大臣からありますでしょうか。

【茂木外務大臣】先ほどもお話したところでありまして、今、いくつかの国との間では、「ビジネストラック」そして「レジデンストラック」の協議を行っておりまして、すでに実施している国もあるわけであります。
 また、在留資格を持っていて、一旦海外に出られた方、この再入国と、これにつきましても、すでに9月1日から、これを認めているところであります。
 その上で、新規入国者の受入れ再開も重要な課題だと考えておりまして、感染再拡大の防止と両立させる形で、どのように往来の再開をしていくか、政府として今検討しておりますが、特にそこの中でも、在留資格を新たに取得した新規入国者の受入れについては、最優先に結論を出したい。最優先ということでありますから、そんなに長い時間かかるとは思っておりません。

日米豪印外相会合

【共同通信 高尾記者】大臣の今後の外交日程について一つ伺います。来月、日本、米国、オーストラリア、インドの4か国の外務大臣が東京で会談する方向とのことですが、現在の調整状況を教えていただければと思います。また、今回、日本で開催予定というのはどのような背景や理由があるんでしょうか。そして、この外務大臣会議で、どのような成果を得たいとお考えなのか、併せてお聞かせください。

【茂木外務大臣】現時点で、今お話にありました日米豪印の外相会合の具体的日程は、決まっているわけではありませんが、「自由で開かれたインド太平洋」のビジョン、これはポストコロナの世界において、ますます重要性を増しておりまして、我が国としては、関係国、日米豪印はじめ、様々な協議の枠組みを活用しながら、その実現を目指していきたい、そんなふうに思っております。
 仮にこれが日本で開催をされるということになりますと、おそらくコロナ後の初めての主要国の外相が一堂に会したというか、そういった形での対面での協議ということになってくるわけでありまして、こういった「自由で開かれたインド太平洋」の問題、更には海洋秩序の問題、様々な課題について忌憚のない意見交換、こういうものができればと思っております。

外務省における押印廃止の見通し

【フジテレビ 古山記者】行政改革の一環で、判子の廃止が議論されていますが、大臣のご意見がございましたらお願いします。また、大臣から何か職員に対し、既に指示を出されていればお聞かせください。

【茂木外務大臣】外務省はほとんど残ってないのですけれども、不要な判子については廃止する方向で検討させています。

日韓関係

【東亜日報 キム記者】日韓関係について伺いたいんですけれども、昨日、日韓電話会談が行われましたけれども、茂木外務大臣のお考えで伺いたいんですけれども、今回、菅内閣で以前の政権と比べて、日韓関係がもう少し改善する可能性があるんでしょうか。お考えをお願いします。

【茂木外務大臣】安倍政権においても、決して日韓関係が全てにおいて悪いということではなくて、重要な隣国として様々な協力もしてきた、北朝鮮を巡る問題について日韓、日米韓の協力が必要だ、こういったことでは一致をしながら、また外務大臣同士、また外務省のレベルでも、意思疎通というのは継続をしてきたとまず考えております。
 その上で、日韓首脳の電話会談、昨日行われましたが、そこでは両首脳は日韓、日米韓の連携の重要性、これを改めて確認した上で、菅総理から旧朝鮮半島出身労働者問題をはじめ、現在、非常に厳しい状況にある日韓関係を、このまま放置してはならないと考える旨述べるとともに、韓国側において日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけを作るべきとの、我が国の一貫した立場を明確に伝えたところであります。
 一方、韓国は冒頭申し上げたように、極めて重要な隣国でありまして、北朝鮮問題をはじめ、この地域の安定には日韓、日米韓の連携というものが不可欠であります。他方で、隣国、隣国には懸案というのはつきものでありまして、日韓の間にも旧朝鮮半島出身労働者問題をはじめとする難しい懸案というものが残っているわけであります。
 こういった課題解決に向けて、ハイレベルも含め、両国間の対話、そして意思疎通を続けていくことで昨日の電話会談で一致したと、これは良い意見交換だったなと、そんなふうに思っております。