令和2年9月24日
水産庁

我が国と国際捕鯨委員会(IWC)が共同で北太平洋海域において実施していた鯨類目視調査の調査船が、9月24日(木曜日)に帰港します。

1.背景

   我が国は、国際機関と連携しながら科学的知見に基づく鯨類資源管理に貢献していくとの基本的な考えのもと、平成22年から国際捕鯨委員会(IWC(注1))と共同で「北太平洋鯨類目視調査(POWER(注2))」を実施しています。
   本共同調査は、IWC科学委員会が策定する計画に基づき、北太平洋における鯨類資源の状況に関するデータを幅広く収集してきており、国際的な鯨類資源の管理に重要な役割を果たしています。本年5月に開催されたIWC科学委員会では、本共同調査における我が国のこれまでの協力に対して謝意が示されるとともに、令和3年以降の調査の継続も承認されました。
   また、昨年7月から大型鯨類を対象として再開した捕鯨業を持続的に実施していくためにも、継続的な目視調査等によって太平洋における鯨類の資源量等の科学的データを把握・更新していく必要があります。
   このため、引き続き、我が国は本共同調査の実施を通じて、国際的な鯨類資源管理に貢献するとともに、科学的根拠に基づく持続的かつ適切な捕鯨業の実施の確保を図ってまいります。

(注1) IWC: International Whaling Commission
(注2) POWER: Pacific Ocean Whale and Ecosystem Research

2.調査の目的

北太平洋海域における鯨類の資源状況等の解明

3.調査委託機関

指定鯨類科学調査法人(注3)  (一財)日本鯨類研究所
調査団長 松岡耕二  ((一財)日本鯨類研究所)(前期:7月11日~8月17日)
             村瀬弘人 (東京海洋大学)(後期:8月20日~9月24日)
その他、日本人3名の鯨類研究者が乗船。
なお、当初計画では米国人2名の鯨類研究者が乗船する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のための入国制限により、本年の調査における米国人鯨類研究者の乗船は行われませんでした。

(注3)鯨類の持続的な利用の確保に関する法律(平成29年法律第76号)第7条第1項に基づき、農林水産大臣が鯨類科学調査を適正かつ確実に行うことができると認めた法人

4.調査期間

令和2年(2020年)7月11日(土曜日)から9月24日(木曜日)まで

5.調査海域

北緯40度以北、東経160度以東、180度以西のうち、外国の排他的経済水域を除いた海域(青色)

6.調査船

第二勇新丸(747トン)

7.調査内容

目視調査、バイオプシー(皮膚標本)採取(注4)、自然標識撮影(注5)等を通じて以下の情報を収集します。
  ・イワシクジラ、ザトウクジラ等の詳細資源評価に関する情報収集
  ・希少種である北西太平洋のセミクジラ及びシロナガスクジラに関する情報収集
  ・資源情報が不足しているその他の鯨種について資源量と系群構造に関する情報収集

(注4)DNA等を解析するため、鯨の表皮の一部を採取するもの
(注5)外見上の特徴(色、ひれの形状、傷跡等)により、鯨の個体識別ができるようにするため、発見された鯨を撮影するもの

8.調査結果

  ・イワシクジラについては、131群181頭を発見し、38頭からバイオプシーを採取しました。
  ・ザトウクジラについては、7群8頭を発見し、2頭からバイオプシーを採取、3頭分の自然標識を撮影しました。
  ・ナガスクジラについては、29群32頭を発見し、9頭からバイオプシーを採取、1頭分の自然標識を撮影しました。
  ・ミンククジラについては、3群3頭を発見しました。
  ・シロナガスクジラについては、22群31頭を発見し、13頭からバイオプシーを採取、26頭分の自然標識を撮影しました。 
  
今回の調査で得られたデータは、IWCと共有され、今後、詳細な分析を行った上でIWC科学委員会における資源量の推定などに役立てられます。

9.参考

令和2年7月10日付けプレスリリース「令和2年(2020年)IWC/日本共同「北太平洋鯨類目視調査」を実施します」
https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/200710.html

お問合せ先

資源管理部国際課捕鯨室

担当者:鈴木、細田
代表:03-3502-8111(内線6762)
ダイヤルイン:03-3502-2443
FAX番号:03-3504-2649