(令和2年9月18日(金) 15:17~15:38)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
お待たせしました。それでは今日は私からご報告することはございませんので、何かご質問ございましたらお願いします。

質疑

記者:
黒い雨についてお伺いします。控訴した際に、黒い雨地域の拡大も視野に入れ、可能な限りの検証を行うとされていましたが、今後どのような場でいつまでに検討を進めていかれるおつもりでしょうか。
大臣:
前回の検証は平成3年だったと思いますが、いろいろな科学的な知見に基づいて検証した結果であったわけです。しかし、今般、更にいろいろなご要請、ご要望がある中で、最新の科学的知見を使って、更にどういうふうに雨が降った可能性があるのかを含めて、例えば加藤前大臣が仰っていましたがAIを使ったり、場合によってはスーパーコンピューター等を使いながら、シミュレーションをする。
 他にも、いろいろな今使える資料、文献等があればそういうものも含めてしっかりと再検証をする中で、科学的知見に基づいて再度、黒い雨について、どういう方々が対象になるか、どういうエリアが対象になるかということを再度検討するということになると思います。
 専門的な分野では例えば気象学でありますとか、疫学、統計学の専門家、更には放射線物理学等いろいろな専門家の方々に、必要に応じて入っていただく必要があると思います。そういう様々な方々と意見を交換させていただく中で、検証していくという形になると思います。
記者:
子宮頸がんワクチンについて、積極的勧奨の中止から7年が過ぎています。勧奨再開の是非や今後の厚労省の対応方針について教えて下さい。また、新たに九価ワクチンが承認されましたが、今後定期接種に位置づけるのでしょうか。
大臣:
基本的に私が前回大臣をやっていたときに、定期接種ということを判断いたしました。その上で、積極的勧奨の時に様々な症状等のお声があったものですから、積極的勧奨を止めて考え直してみようということにしたわけです。私もいろいろなお声を当時伺った覚えがあります。
 その後のそれぞれの大臣の下で、いろいろな検討、研究調査もやられたと承知しております。多様な症状に関して、子宮頸がんワクチンを打った方、打たなかった方において、どれくらいの症状が出るのに差があるのかということも研究したと承知しております。
 なかなか国民の皆さま方のご理解をまだ十分にいただいていないという認識の下、厚生労働省として積極的勧奨はしていない、まだ再開していないというのが現状だと認識しています。
 リーフレットを作って、国民の皆さま方に、例えば子宮頸がんワクチンを使うことによってどのような効能があるのか、どのように子宮頸がんを防げるのか等も含めて説明し、同時にその中にはどのような副反応の症状があるのかなども含めて、ご説明をしていきたいと思いますが、リーフレットに基づいて国民の皆さま方に十分にご理解いただけていたかどうかというのは、なかなか疑問があるところです。
 今ちょうどリーフレットの見直しを検討するということで、9月25日に審議会でしっかりと御議論いただいていくということです。九価のワクチンに関しては、効果等をしっかり判断する中で、定期接種化するかどうかを判断していくことになると思います。
記者:
GO TOトラベルについて伺います。東京発着の旅行商品の販売が今日から始まっていますが、東京では感染者が今日200人を超えているという状況です。
 こうした中で、東京を加えるということで、来月からの開始に関して懸念もされるかと思います。大臣の受け止めであったり、感染防止は今後どう図っていくべきかとお考えでしょうか。
大臣:
一週間単位で見るのが良いと思いますが、正直に言って下げ止まっているという現状があります。東京もそういう傾向があるわけで、なぜピーク時の400人を超える状況から今のような状況になったのかというのも、よく研究していかなければならないと思います。
 一方で、爆発的に増える兆候があるとすれば、それはGO TOキャンペーンに関しても専門家の皆さま方のご意見をいただいて、再度どうするかということを判断していかなければならないと思います。状況から見ると、今の状況であるとそういう判断、これは東京都のいろいろな見解があると思います。
 そういう下においてこういう判断をしたというのは一つの考え方であるということで、我々としても経済の問題もございますから、しっかりと対応していく。ただし、今申し上げたとおり、状況が変わるようなことがあればそのときにはまた専門家の方々からいろいろなご意見をいただく、という話になってくると思います。
記者:
COVAXファシリティについて伺います。WHOが今日参加表明の期限としていますが、アメリカは不参加を表明しているほか、中国やロシアも明言していない状況です。こうした状況の中で、日本が参加するメリットは何だとお考えでしょうか。
 また、大国が参加しない状況下で、枠組みそのものの形骸化を懸念する声もありますが、ワクチンの争奪戦の問題について大臣の御所見をお願いします。
大臣:
それぞれの国々や大国等の考え方があるでしょうから、それに対して我が国が、厚生労働省が直接何か申し上げる話にはならないと思います。
 ただ、我々としては、もちろん様々な国々でワクチンが利用されるということは、世界的に意味のあることであって、今パンデミックと言われていますが、今のところは人の往来は止まっているような状況であります。やがてはまた、正常に戻らなければならない時期が必ず来るわけで、その中において、世界的にこの新型コロナウイルスというものが、一定程度の収束の方向性が見えてこなければならないということを考えれば、世界各地でワクチンというものがしっかりと利用されることの必要性。
 それからもう一つは、日本は、来年に延期しましたが、東京オリンピック・パラリンピックの開催国になります。開催国ということだと、世界的にコロナという問題が一定の方向性が見えてこないことには、なかなかオリパラというものに向かって安心して開催に向けて動けないということもあります。
 そういう意味では、日本の立場としては、COVAXに参加しながら我が国はもちろん、他の国々に対してもワクチンというものが利用できる環境を整えていくことの重要性は認識する必要があるのではないかということで、このような枠組みに参加しようという判断をしているわけです。
記者:
昨日の民法のテレビ番組や記者会見でも仰っていましたが、これまでの政府のコロナ対策で国と地方の連携について課題があった、通達を出すだけではだめだということを仰っていました。
 例えば通達を出すだけではだめだということを巡っては、受診の目安について37.5度以上が4日間というのが目安だったのにそれが基準になってしまったという問題もあったわけです。この点、具体的にどういう改善策を図っていかれるのかお考えをお願いします。
大臣:
私が大臣になる前から、いろいろな問題がある中で、今仰ったように通達等を出したとしても、平時なら自治体がよく消化いただいてこれはこういう意味合いなんだなということで動いていただけますが、やはりコロナという状況の下において、かなり各自治体も大変な状況の中で日々対応いただいてきたわけです。それを出した通達が十分に意思疎通できないということはいたし方なかったという部分もあると思います。
 そこで、伴走型という言い方がいいか分かりませんが、ただ単に通達を出して終わりではなく、後のフォローアップだとかどういう状況であるかということはやはり確認をして、共に考えながら動いていく。つまりコロナに対する対策を組んでいくということが非常に重要であると思っています。
 昨日も申し上げましたが、これから秋冬に向かってインフルエンザの流行とコロナの流行が同時並行で進む可能性がありますので、その体制整備に向かっては、ただ単にこうやってくださいと通知を出すだけではなく、状況はどうでありましょうかというきめの細かい対応を厚生労働省としてもしていかなければ、通知を出しただけで体制が整うわけではありませんので、そういう対応を指示しております。
記者:
インフルエンザワクチンについて伺います。厚労省としては高齢者を除いた方々は10月26日以降に接種してほしいと呼びかけをされています。昨日小児科医会が一律に送らせるべきではないということを表明されています。
 自治体によっては(10月)1日から高齢者以外についても助成をしたいと。また、小児科分の助成がもう既に入っていたりということで、現場では一部混乱も見られるようですが、この事態についての受け止めと何か厚労省としての対応を考えていらっしゃるかどうかお願いします。
大臣:
それぞれの自治体にはそれぞれの事情があって、今までの経緯、毎年の経緯もあると思います。一方で、今回の新型コロナウイルスというものを考えた時に、もちろんインフルエンザワクチンを打つことによってインフルエンザの発症が一定程度は抑えられるかも分かりませんが、完全に抑えられるわけではありません。
 重症化を防ぐという意味で、特に高齢者に関しては重症化によって命を落とされる可能性もありますから、ある意味それを防ぐエビデンスはあるということで、定期接種にしているわけです。そこがコロナとの峻別の難しいという話の中で、コロナでも重症化される層、可能性のある方々でありますから、そこでなるべくそういう方々を優先的にというような話になっているわけです。
 一方で、インフルエンザという意味からすると子供達も心配だという話もあるわけで、それはそれで十分に理解できる部分もあります。それぞれの自治体のお声は一度お聞かせいただき、そういうお声があるのであれば厚生労働省の方にいただければ、厚生労働省としてどうするのか、細かくご説明はするんだと思います。
 基本的には、まずは高齢者の方々を優先いただきたいというのが、このコロナ禍の下でということもありますので、一定程度ご理解いただければありがたいというのが今の立場です。もちろん、いろいろなお声がありますから、厚生労働省の方にお声がけをいただければ、各自治体とは十分にお話し合いをさせていただきたいと思います。
記者:
最低賃金について伺います。菅総理が最低賃金の引き上げについて非常に強い思い入れを語っております。改めて、菅総理から最低賃金についてどんな指示がありましたでしょうか。
 また、コロナで今年は足踏みをしてしまいましたが、今後の引き上げについて大臣ご自身はどんなお考えでいらっしゃいますでしょうか。
大臣:
最低賃金に関しては、全国加重平均1,000円ということを目指して、前政権下においても進めてきたわけです。そういう意味からすると、それまでの政権と比べると大変なスピード、私が当初大臣になった頃はまだ15円とか16円という金額でしたが、更に10円上乗せするようなスピードでここ数年上がってきているということで、早く目標を達成したい。日本は欧米と比べて最低賃金の水準が決して高い状況ではないので、そういう思いもあるんだと思っておりますし、私もそういう思いはあります。
 一方で、中小零細企業はそれに対していろいろなことを仰っていることもあって、総理の総裁選挙のときのお話であったと思いますが、中小企業の経営基盤の強化ということも仰っていたと思います。上げられる環境を作らないと上げられない、それは当然の話でして、最低賃金を大幅に上げた結果、失業率が増加したということでは元も子もないわけです。
 例えば、それはそれぞれの受発注の契約等があります。下請けの契約でありますとかそういうものも含めて、十分に利益を上げられるような契約形態等に含めても、これも自民党も含めていろいろな施策を提言いただき、政府として進めてきたわけです。
 そういう総合的な政策をしっかり進めながら、しかし総理の思いというのは、早急に加重平均1,000円を実現するということですから、これに向かって我々厚生労働省としてはしっかりと歩みを進めていきたい。コロナ禍においては、だからこそ今年はこのような形になったと認識しております。
 いつまでもこのような経済状況で良いと我々も思っているわけではありません。厚生労働省だけではできませんが、政府を挙げて、まずは経済状況をしっかり立て直す中で、最低賃金が上げられる環境整備をしっかり進めていくことが必要になると思います。
記者:
保育の現場でのわいせつ行為の防止について伺います。文科省は幼稚園を含めた免許再取得までの期間を3年から5年に延ばすという検討を始めています。
 同じ未就学児を預かる保育士について、再登録の期間の見直しが必要かどうかという点について、大臣の考えをお願いします。
大臣:
今2年(延ばす)という話がありますが、これは文科省の方で教員に対していろいろな議論をし始めておられるということですし、文科大臣のいろいろな思いもお考えもあるようです。
 いずれにしても文科省ともある程度は足並みをそろえないといけない部分もあると思いますので、そこは良く相談しながら。今のままで良いとは思っておりません。より強化を図る、厳しくするべく、検討をさせていただきたいと思っております。
記者:
東京のコロナの感染状況ですが、国の指標に当てはめて1~4と想定すると、どこに当てはまるというと大臣はお考えでしょうか。1~2くらいでしょうか。
大臣:
1~4というのは政府の分科会がまとめたステージ1~4のことですか。
記者:
総合的な判断の1~4です。
大臣:
それは私がというよりは、専門家の方々のご意見を伺わなければならないと思います。いずれにしてもGO TOキャンペーンをやることを決めたわけですから、GO TOキャンペーンをやれる範疇にあるということは間違いないと思います。
記者:
国の分科会で出した指標で、国がそれぞれの都道府県の感染状況を判断しないというのは大臣としてこれは妥当なのでしょうか。
大臣:
国が判断しないということでしょうか。
記者:
はい。各都道府県の感染ステージの1~4について。
大臣:
国が一律に判断しないということですか。
記者:
はい。
大臣:
これはなかなか難しい話だと思います。以前から言われている話なので。都道府県において、様々な事情が違います。都市部もあれば地方もある。ということを考えると、なかなか国が一律で、一応の基準はお示ししていますが、それをもって一律に国が決めるとなると、社会構造だとか都市構造等が違う中で、果たしていかがなものかという議論はあると思います。
 ある程度、各地方において、ご判断をいただくというのがまた当然なのだろうと思います。もちろん、いろいろな形でご相談には乗らせていただくつもりです。

(了)