2020年9月23日

ISO/IECの合同専門委員会(JTC 1)において、日本から提案した「家庭用エアコン・HEMS コントローラ間アプリケーション通信インターフェース仕様」に関する国際規格が発行されました。

日本発のこの国際規格の発行により、家庭用エアコンが当該規格に基づき普及することで、HEMSの導入が国内外で促進され、世界的な省エネルギーに貢献するとともに、国際市場における日本製品の優位性向上につながることが期待されます。

1.目的・背景

ECHONET Lite AIF仕様は、異なるメーカー間の機器の相互接続性を向上させるために「機器ごとの動作」を規定した、国際規格ECHONET Liteに適合する仕様です。

国内では、HEMS重点8機器[1](図参照)を対象にAIF仕様が業界標準として策定され、第三者による認証も開始されていますが、国内での更なるHEMS普及(海外製機器であってもAIF仕様に適合し、国内で使用できること)や、日本製HEMS対応機器の海外展開を目指し、海外での相互接続性を確保するため、AIF仕様の国際規格化が進められています[2]。

重点8機器のうち、エアコンは家庭内でのエネルギー消費比率が高く、エネルギーマネジメントによる省エネ効果が得られやすいことや、海外でも一般的に使用されている機器であることを踏まえ、ISO/IEC JTC 1の専門委員会(JTC 1/SC 25:情報機器間の相互接続)において、日本からの提案により2017年9月から、AIF仕様に関する最初の規格として、家庭用エアコンとHEMSコントローラ間のAIF仕様に関する審議が進められました。

その結果、今般、「ISO/IEC14543-4-301:2020 Information technology – Home Electronic System(HES) architecture – Part-4-301: Application protocols for home air conditioners and controllers」として承認され、国際規格が2020年6月22日に発行されました。

[1] エアコン、太陽光発電、蓄電池、照明、給湯器、燃料電池、スマートメータ、電気自動車充放電機の8機器。なお、2019年度のECHONET Lite対応のエアコンの国内出荷台数:668万台(AIF認証取得機器率:52.3%)。

[2] 省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(ECHONET Lite AIF(アプリケーション通信インターフェース)仕様の国際標準化;平成29年度~平成31年度)等。

家庭内ネットワークを通じて異なるメーカーの様々なIoT家電、住宅設備、創エネ・蓄エネ設備の相互接続を可能とするための通信規格。これまでに、ECHONET Lite規格書及びECHONET機器オブジェクト詳細規定が国際規格として発行済み。

家庭用エネルギー管理システム(Home Energy Management System)

エアコン、太陽光発電、蓄電池、照明、給湯器、燃料電池、スマートメータ、電気自動車充放電機の8機器。なお、2019年度のECHONET Lite対応のエアコンの国内出荷台数:668万台(AIF認証取得機器率:52.3%)。

省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(ECHONET Lite AIF(アプリケーション通信インターフェース)仕様の国際標準化;平成29年度~平成31年度)等。

 

2.規格の内容

今回発行されたAIF仕様に関する国際規格では、家庭用エアコンとHEMSコントローラを接続する際の相互接続性や信頼性を確保するために、通信プロトコルのみならず、通信上の機器の動作を含めて基準を定めています。これにより、HEMSコントローラは、同一ネットワーク内にある家庭用エアコンを検出、発見、制御が可能となります。また、ユーザが手許の赤外線リモコンで家庭用エアコンを操作しても、HEMSコントローラは家庭用エアコンの状態を正しく把握できます。(なお、家庭用エアコン以外の機器についてもそれぞれAIF仕様に関する業界規格が策定されており(順次、国際規格化予定)、HEMSコントローラは同一ネットワーク内の対応機器を制御、状態把握することが可能です。)

図: HEMSを構成する重点8機器

(出展:一般社団法人 エコーネットコンソーシアム)

3.期待される効果

本国際規格の発行により、HEMSに対応可能な家庭用エアコンが国内外で一層普及することが期待されます。また、現在、国内では蓄電池等エネルギー供給が可能な家庭用機器のAIF仕様に関する国際規格案も検討されており、電気の使用と蓄電の両面からHEMS対応機器の普及に向けた環境整備が進められています。これにより、HEMSによるエネルギー消費の削減だけでなく、家庭での多様なエネルギー利用(再エネ、蓄エネ、創エネ設備の組合せ活用)が進むことが期待されます。国内では、ECHONET Lite対応のエアコン出荷台数のうち、約半数が本規格に適合(認証取得)していることから、世界規模でのHEMSの導入が進むことにより、エアコンを始めとした関連する日本製機器の優位性向上や、これらに関するサービス事業の市場拡大を目指すことが期待されます。

担当

産業技術環境局国際電気標準課長 柳澤
担当者:佐藤(貴)、東谷、大平

電話:03-3501-1511(内線3428)
03-3501-9287(直通)
03-3580-8631(FAX)