(令和2年9月17日(木) 16:23~17:13)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
それではよろしくお願いいたします。ご挨拶はよろしいですよね。皆さま方からのご質問をお受けいたします。

質疑

記者:
オンライン診療の恒久化について伺います。現在はコロナの流行期間に限って、初診から診療を限定することなくオンライン診療を受けることができますが、恒久化というのはこの特例をコロナ収束後も続けるということでしょうか。
大臣:
3ヶ月毎に検証をしようということで、今検証しつつこのコロナ禍においての初診のところを解禁したと。元々オンライン診療というのは段々広げてきていますから今も恒久化の部分はありますが。
 問題は、しっかりと安全性、有効性、場合によってはなりすましということも考えられますので、そういうところを担保できるのかということを考えていかなければなりません。
 いずれにいたしましても、患者の皆さま方が安心して受けられるような、そういうようなオンライン診療をしっかりと進めるということを前提に、総理からも指示をいただいておりますので、オンライン診療を恒久化していくということの検討を進めていくということです。
記者:
不妊治療の保険適用についても、菅総理から指示を受けたとのことですが、改めて具体的にどのように進めていくおつもりか教えてください。
大臣:
これは少子化社会対策大綱に沿って、保険適用も含めて負担の軽減、このために検討を行うための調査研究を進めている最中です。今も一部保険適用はありますが、保険適用となれば、それこそ体外受精等に関してもいろいろなやり方がありますし、それぞれの手法、質、いろいろな部分があります。
 保険適用するためには施設の基準等も含めて安全性、どういうものを適用していくかということは慎重に議論しなければならないと思います。そういうことを早急に検討した上で、なるべく早くということを総理からもお話をいただいておりますので、なるべく早く保険適用ができるように努力してまいりたい。
 同時に、総理からそれまでの間に関しても、初回30万、2回目15万という今の助成制度があります。これに関しても大幅に増額をしてほしいというお話を今いただいて帰ってきたばかりですから、それに関しても検討を早急にした上で、保険適用までにも負担の軽減が図れるように進めてまいりたいと思います。
記者:
全世代型社会保障の関係で、後期高齢者の医療費の自己負担ですが、当初6月に一定所得以上は2割と、所得基準を6月に決める予定が年末まで伸びています。こういうコロナの状況下で、あと数ヶ月しかありませんが年末までにその所得基準というか、そこの線引きは決めるお考えでしょうか。
大臣:
そういうような話になっておりますので、年末までに一定の方向性は出さなければならないと思います。少子化で人口構成が変わっていますから、一定の負担能力のある皆さま方には高齢者の方々も含めてお願いしていかなければならない。
 一方で、それによって必要な医療を受けられないということになると、それはまた大きな課題になりますから、その所得の水準とはどういうものかということをしっかりと御議論いただくということが重要になると思います。
 いずれにしましても、12月、年内ということでありますから、一定の方向性をお示ししなければならないと思います。
記者:
先ほど不妊治療の関係で、現在の助成制度の増額も検討するということでしたが、現在ある所得制限の緩和等についても検討されるのかお願いします。
大臣:
幅広にいろいろなことを検討した上で、負担感の軽減という話ですから、いろいろな検討はしなければならないと思います。
 一方で、保険適用というのは先にありますので、そことのバランスも考えながら、どういうものに助成するのかということも含めて検討しなければならないと思います。
記者:
新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行への懸念が高まっていますが、既に自治体での医療体制の整備など事務連絡を発出されていると思います。今後どういった点が課題になると思われるかお考えをお願いします。
大臣:
実はこれは今年の春先も同じような状況でした。幸いにという言い方が良いか分かりませんが、この年初は、インフルエンザが例年より割合少なかったので、そういう部分で警戒はしていましたが、毎年のインフルエンザよりはそういう影響が少なかったということがあります。
 一方、秋から冬にかけて、この年初のような状況かどうかは分からないわけで、毎年並もしくは例年よりも多くのインフルエンザという話になれば、1日それこそ30万件だとか、場合によってはそれ以上の発熱者の方が外来にくることがあるかもしれません。
 それにどう対応するかということのお願いをしなければならないところに、今言われたように都道府県に通知をする中において、対応の仕方、これは発熱者が来られるところを対応していただくという話がありますから、コロナともちろんインフルエンザも診て、インフルエンザが出なければコロナの検査をする、場合によってはインフルエンザが出ても医師の判断においてコロナの疑いがあればコロナもやるという話になってくるのだと思います。
 そういう意味で、かなりのコロナの検査能力がなければいけないということで、時間的な制約があります。PCR検査ですと時間がかかってしまいますが、インフルエンザの場合は数十分で出ますので、それに併せてということになりますと、やはり抗原検査キットというようなものを、今お願いしているのは日量20万件、これに向かって各民間企業にも医療機関にも努力いただいているところです。
 そう考えると、それぞれの地域によって事情は違うと思います。例えば、ほとんどのクリニックが対応できるという地域もあれば、例ですから実際にそうなるかどうかは別として、ビルの中の狭い場所で開院をされておられるような、ビル診と言われる診療所もある。
 結果的に導線をいろいろと変えたりしなきゃいけないのか、いろいろな感染防止のための対応をしなければならないので、対応できるところがあるとすれば、そういう診療所では受けられないという話をされてこられるかもしれません。
 そういう場合には、検査センターみたいなものを作らなければいけないのかも分からない。そういうことは、実際に地域の医療の現場を預かっておられる方々が一番よく分かっておられるわけで、自治体、これは都道府県や市町村と相談をしていただきながら、うちはこういうやり方をやっていきましょうということをそれぞれに決めていただいて対応いただく。
 ただこれも、コロナの問題の初期の頃に通知を出してもなかなか意図が伝わらないということがございましたので、ただ単に通知を出すだけではなく、そこはきめ細かく、それこそそれぞれの都道府県や自治体、医療機関も含めて、どういう状況ですか、こういうふうに進んでおられますかということも含めて、しっかりきめ細かく対応をこれから早急にしていかなければならないだろうと。
 本当に2,000万だとか3,000万という検査が本当に要るのか、あるとすればこれは大変なことになってまいりますから、十分に対応できるように今厚生労働省の中でしっかりと頑張るように指示をしているところです。
記者:
デジタル化について伺います。菅内閣では政府一体でデジタル化を推進する方針が示されています。厚労省においてはこのデジタル化をどう進めていかれるのでしょうか。また、進めるに当たって課題があるとすればどのようなことが壁になると大臣はお考えでしょうか。
大臣:
今3つのアクションプランというものを進めようということでやっているわけです。一つは処方箋の電子化でありますとか、それから医療情報が全国どこでも確認できるというような話、更には健康医療情報のPHR。こういうものをしっかり進めようということで、順に進めていくということであります。
 更にその先には電子カルテの話があります。これは今実際に、カルテの電子化については、統一基準みたいなものを作って進めている最中なので、まだ十分に時間がかかると思います。
 問題は前々から言われていますが、医療情報はセンシティブ情報なので、電子化を進めていく上で、例えばビッグデータを匿名化するということで次世代基盤法というものを作りました。今これが進んでいる最中です。
 一方で個人データというものをいろいろなところで利用しようと思った場合に、それを個人でちゃんと管理できるのか、使った医療機関が管理できるのかという問題があります。それ以外にもいろいろな研究等に使おうという話だと、オプトイン、オプトアウトという話が出てきます。
 そういうところを総合的に検討しないと、これが大胆に進めていくというわけにはいかなくて、これに関しては党の方からもデータヘルス特命委員会、塩崎委員長からも提言いただいています。ついこの間私は出す側でしたが、今は提言をいただいている側ということもありますので、そういうことを順次検討しながら、今ICT化を進めると総理も仰っておられますので、検討の上、電子化を早急に推進していかなければならないと思っております。
 なお、昼にも申し上げましたが、例の資格の確認、マイナンバーカードを保険証替わりに使うということ。これに関しては進めてきており、来年の3月から進めるということで現在準備を進めております。
記者:
午前中の会見でもテレワークや兼業・副業について今後の整備を進めたいというご指摘がありました。現状コロナウイルスにもいろいろな働き方の課題が出てきておりますが、どういった課題があって今後どういったことの整備が必要だとお考えでしょうか。
大臣:
テレワークですか。一つはいろいろとセキュリティの問題が注目されています。これは厚生労働省というか民間ベースでもセキュリティをしっかりしていかないと企業情報が漏れるというような大きな課題があると思います。その点、急遽コロナ禍で進めましたので、それぞれの立場でしっかり対応いただきたいと思います。
 それから、テレワークという働き方の中において、長時間労働になりやすい、どうしても自宅でどの部分が仕事でどの部分がプライベートなのかを峻別しにくいという問題があります。そういう部分をどう対応していくのか。併せて健康管理です。会社にいる場合は産業医等もあるでしょうし顔も合わせています。
 一方、こういう労働者の方々の体調管理を企業としてどうやっていくか、こういう課題があると思います。もちろん、労働時間の管理は前々から言われています。
 一方で、それ以外にも、例えば家庭で、家族が皆さんテレワークとなるとストレスの問題も出てきます。昨今、今までの体調のリズムと違う、そういう生活の中で仕事をやってきたわけです。そういう中において、体調不良を訴えるという事例もあるようです。
 一つは家庭だけでやるのがテレワークではありません。サテライトオフィスですとか、シェアオフィス、レンタルオフィスというものを使いながらのテレワークというものも企業の皆さま方にはご検討が必要なのかも分かりません。
 いずれにしても、急速なテレワークの推進ということになりますと、いろいろな問題が生じてくると思いますので、厚生労働省としても、そこはしっかりといろいろな事象に対してアンテナを広げながら努力してまいりたいと思います。
記者:
ハンセン病の問題について伺います。昨年11月にハンセン病の患者差別補償法が制定され、家族に対する補償金の申請受付がスタートしました。対象家族は2万4,000人に上ると推計されていますが、9月時点の申請者は6,000人に留まり、申請数は伸び悩んでいます。
 家族の中にはハンセン病患者の家族と知られれば結婚や就職に影響するので申請をためらう人もいます。声を上げられない家族をどうやって救済につなげ、また、差別・偏見の解消をどうやって進めていくおつもりか大臣のお考えをお願いします。
大臣:
家族の皆さま方に対する問題に関しては、法律ができて対応ができるとなってもなかなかお手を挙げづらいという問題が既にあるのは我々も認識しています。旧優生保護に関しても、同じように、対象者の方が法律ができてもなかなか手を挙げていただきにくいということがあります。
 十分な広報というものをしっかりとやっていくと同時に、差別というものが根源にあって、感染症法も前文にその反省が書かれているわけで、このコロナ禍の時代であるからこそ、そういういろいろな感染症を含めて差別という問題に対して敏感にならなければならないと思っています。
 事実、このコロナに関してもそういう議論が各地域で行っていることも散見されます。まずは、そういう差別というものを根絶する中で、ハンセン病は元々感染性が非常に低いものでありますし、今治るということを、再度怖い疾患じゃないということを含めて伝えていく必要があるのだと思います。
 過去のハンセン病のいろいろな政府の対応というものは法律の中でそれに対しての反省が込められているわけですから、そういうことも皆さんにご理解いただきながら、手を挙げていただきやすい環境を作っていきたいと思います。
記者:
以前、大臣された時から7年程度経ったと思いますが、この間、党で厚労省を見てきて、また大臣をやるにあたって、組織としてここは変えたいとか、ここは変えられると思われることがもしありましたら教えて下さい。
大臣:
なかなか難しいお話ですが、やはり1つは、業務量が非常に増えてきているという認識があります。そこにコロナという課題があり、感染症ですから厚生労働省が中心になりますので、全体として仕事量はかなり負荷がかかっていると。
 一方で、これは私が党にいるときに仕事量が増えているところに関しては定員を増やすべきであるということで若干増えてきていますが、ただ、全体の公務員の定員の枠がどうしても限界がありますので、劇的に増えるということはありません。
 ですから、これだけ世の中コロナ禍のもとで、ICT、テレワーク、効率化、無駄な会議はやめる、いろいろな話になっております。前の大臣もしっかりとやっていただいていたと思いますけれど、もう一度厚生労働省の中においても、業務の見直し、仕事量を減らしても良いような仕事があるのであれば、そういうものを減らしながら本当に必要な仕事をしっかりやっていく。
 なかなか忙しいものですからそれも見直せないというのもありますが、そういうところにもしっかりと取り組んでいかなければならないなというのは、これは前回厚労大臣をやっている時からずっと感じていたことであります。
 厚生労働省に行ったら自分のやりたい仕事どころではない、何も考えずにただ単に日々の仕事をやっているだけだというようなことを、特に若い方々に決して思っていただかないような、そんな職場環境を作って、やはり公務員、これは全体の奉仕者であり、国民に対してしっかり仕事をするというのが、第一義であるわけでありますから、そういう期待できる仕事をやっていただけるような環境を大臣として作っていくことは大変重要だと痛感しますね。
記者:
不妊治療で重ねてお伺いします。保険適用の時期ですね、来年の4月というのはさすがにいろいろ難しいと思いますが、再来年の4月とか、時期があればと。それから、保険ということですと、保険を払う、納める方の中には独身の方もいらっしゃいますし、お子さんのない方もいらっしゃる中で、納得が得られるのか。
 もう一つ最後は、保険になるということは、やはり社会全体で不妊治療を認識して支えるという点では応援のメッセージになると思いますが、一方でお子さんがあって一人前であるというような極端なメッセージとか、社会が、国が産めよ増やせよみたいなメッセージにつながらないか、そのあたりをお願いします。
大臣:
時期に関しては、なるべく早くとしか言いようがないわけですが、制度的にちゃんとできていないものを例えば明日からスタートしてもちゃんと動かないわけで、今まさにおっしゃられたとおり、国民の皆さまが納得いくような仕組みというものを作ったうえでスタートしなければならないと思っております。なるべく早くそういう仕組みができるように、検討を進めていくということだと思います。
 それから納得というお話でありましたが、やはり子どもが少ないという今の日本の現状は大きな国の課題であることは間違いないわけです。各家庭に子どもを必ず作ってくださいと言っているわけではありません。
 それぞれのご事情、いろいろな考え方があって、お子さんをお作りになられる、お作りになられない、また、作ることができる、できないというようなことはあるわけです。その中で、作ることができない、できないというのはいろいろな身体の状況があってできないというご家庭に対して、しっかりと国として対応をするために、保険適用というのは一つの方策であるということです。
 仰るとおり、決して産めよ増やせよなんてことを言っているわけではなくて、あえて言えば子どものいる家庭というものがいいなと思う方々に、ちゃんと子どもを産み、育てやすい環境を作っていくということが重要であると思っております。
 それぞれのお考えで、また、保険だとか社会だとかいうことを考えれば、一定程度の人口構成というものが必要であるならば、子どもを産もうとしているけれど、身体の状況で産むことができない方々に対する不妊治療にいろいろな支援をすることは納得いただけるのではないかと思って、今回このような施策を進めさせていただこうとしているとご理解いただければありがたいと思います。
記者:
来年の4月からというのはさすがに難しいということですよね。
大臣:
さきほど申し上げました。難しいかどうか、できるかできないかというのは、まだ現状わかりませんが、タイムラグがある中で今ある助成制度を拡大することは、総理から指示をいただいております。
 ですからそれはやらせていただきます。もし来年の4月からできるのであれば、それがなくても保険適用という話になるかもしれません。そういうことも含めて、なるべく早く、保険適用をするような環境整備を進めてまいりたいということであります。
記者:
薬価制度について2点お伺いします。まず、毎年調査と毎年改定ですが、7月の骨太の方針が決まるまでは、党の方でコロナ禍での実施は望ましくないとのことで調整をされていたかと思いますが、今後大臣としてはどういった方針で進めていくのでしょうか。
 また、今後の薬価制度改革全般についてどのような方針で進めていくか、見解をお聞かせください。
大臣:
コロナ禍でありますので、そういう意味ではその状況というものをちゃんと勘案しなければならない。その上で、検討をして決定する。こういうような骨太の方針の内容になっているわけです。
 ですから、それは骨太の方針に則って調査はやります。やった上でコロナの状況をちゃんと勘案します。その上で、十分に検討して薬価改定を決定していく。閣議で決まっている話でありますので、これに従っていくのは当たり前の話であります。
 併せて、これから薬価改定に対してどういうような考え方があるか、これは薬価というものは当然に、市場で売り買いされている金額と、それから公的価格の薬価との間に差があるから薬価差というものがあって、結果として市場と公的価格の差を埋めなければならないという行為である。
 こういうことはご理解いただけると思いますが、一方でそれが医療機関の収入になっているという事実があります。この医療機関の収入が仮に得られにくくなる、得られなくなるという話になると、医療機関の財政状況がどうなのだ、という話になってくるわけであります。
 これは医療機関によって違うと思います。例えば急性期等を抱えるような大きな病院等が非常に厳しい運営、大学病院等含めて大変厳しい運営だという話になれば、医療実態経済調査の結果で、ほとんど収益が上がっていない、もしくはマイナスというところもあるかもしれない中において、薬価差益というものが入ってこないとなったときに、地域医療を守るためにどのような形でそこが存続していくのか、ということも考えなければいけない課題だと思います。
 これは医療経済的に見てどうお金が回るかという話なので、そこまで含めてちゃんと地域医療は国民の皆さま方のために守る、しかし一方で薬価というものに対してどう是正していくかということを、これを常に頭の中で整合性を取りながら、進めていく必要があるのであろう認識しております。
記者:
オンライン診療について、重ねてお伺いいたします。2018年度に保険適用されてから、なかなか普及、広まってこなかったと思います。その広まってこなかった原因、課題は何だとお考えでしょうか。
 また今後、今の緩和ルールの恒久化というのを進めていくうえで、何が課題になってくるのか。どのように道筋をつけていくのかというのをもう少し具体的に教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。
大臣:
進まなかった理由はいくつかあると思いますが、一つはよく言われる診療報酬の点数の問題もあるのだと思います。これは若干なりとも上げてきておりますが、あとは医療を提供される側からみればその安全性という問題。
 例えばまったくの初診の方を見た場合に、本当にその方がどういう状況かというのを、例えば電話もオンラインの一つですが、それでは本当に風邪なのかどうかわからない、でも風邪の症状を言われる。それが言葉の発言だけでそれをちゃんと診断出来るのか、医療を提供される方にはこういう心配があると思います。
 その場合、どういうものをその遠隔診療、オンライン診療として認めていくのかという環境の整備も考えなければいけないのかも分かりません。
 一方で、進めないといけない一つは、超高齢社会に入ってきている中において在宅での診療がどうしても必要になってきた場合に、限られたお医者様のマンパワーの中で、より広範な地域での患者の方々を見ていく場合には、今まで訪問診療していたものをオンライン診療に代替していくこと、これは訪問診療や在宅医療をやっておられるお医者さんのお話をお聞きしてもそういうものは必要だねと言われる方も結構おられます。
 そういうものも含めて全体としてどういう形ならば安全性を担保し、有効性を担保しながらオンライン診療というものを進められるのか、ということを検討していかなければならないと思います。私がここでどうお話しするかというよりも、関係される方々の下で、いろいろな議論をしていただきたいと思います。
記者:
地域医療構造についてお聞きします。去年、厚生労働省が公表した公立・公的病院のリスト、再編・統合の議論が必要な424のリストの中で、北海道が一番多いです。
 この議論の結論を出す時期について、厚生労働省で整理中とのことですが、いつ頃までに方向性を出したいと思っていらっしゃるのか。コロナ渦を受けて、感染症も踏まえて地域医療計画見直しなども求めるお考えはありますでしょうか。
大臣:
これは8月24日ですかね、社会保障審議会の医療部会において、ここでいう医療提供体制について議論を開始したと聞いております。その上で、2020年の秋頃までという話だったと思いますが、もう2020年の秋に入ろうとしております。
 一方でコロナという課題が、コロナと言いますか、広汎な感染症といった方がいいのかもしれません。こういう課題が起こり得るよねと、その下において、地域の医療の提供体制というものがどうあるべきかということも、十分に議論しなければいけないよねという声があるのは私も十分に理解をさせていただいております。
 そういう意味で、秋といってもあと1ヶ月、2ヶ月では難しい話でしょうし、このコロナ渦において、十分にどのような体制がいいのかの結論を出すのは、早急には難しいと思います。
 一方で2025年に向かって、この地域医療構想というのは完結をしていく。もちろんリニューアルはありますが、これは私が大臣の時に医療介護総合確保推進法という法律の中で作ったものでございますから、その期限はあるわけです。
 これに向かってということを考えれば、パンデミックが起こりうる感染症、もちろんコロナの感染力と、これから起こりうるパンデミックが起こるような感染症の感染力がどうなのかという議論もあります。
 そういうことも、どれくらいの患者の方々がということも含めて検討いただかなければいけないと思います。だからといって闇雲に空き病床を確保すれば良いという話でもありません。
 これはそれぞれの地域、医療機関が経営・運用をしていただかなければいけない話でありますから、そういうことが起こっても十分に対応できるような体制はどういう体制なんだということも含めて、各地域でこの地域医療構想の検討をしていただきたいという思いでございます。ちょっと不確定要素が入ってきていますが、なるべく早くこれも含めて、結論を得ていただきたいという思いであります。
記者:
菅総理のコロナの対応を踏まえて、厚労省を含めた政府の組織の在り方について見直すことを言及されています。内閣官房の司令塔機能強化という話も出ておりますが、田村大臣は感染症対応の組織の在り方についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
これは私が自民党のコロナ関連肺炎の対策本部の本部長をさせていただいて、その下でガバナンス小委員会というものが結成され武見小委員長の下で提言書を作って大臣に届けたと思います。司令塔機能という意味からすれば、やはり常設する機関が必要であるとこの中に書いてあります。
 それはパンデミック、感染症というものがこれからはいつ起こってもおかしくないという状況が、それは環境的要因もあるしいろんな要因があるであろうと。
 それは、今回は中国でしたが、ほかにもいろいろなところで起こり得る可能性があるので、常設の機関は常にちゃんとモニタリングして、どこで何が起こっているかというものをチェックしながら、それが起こったときに日本に入ってくるリスク、これも分析しなきゃなりません。
 入ってきた場合にどのようなことが起こるかも想定しなければならない。また、どういう形でその感染症が入ってくるかということもシュミレーションしながら、それに対していろいろな訓練も必要になってくると思います。そういう組織を官邸に、官邸のどこかというのはいろいろな議論がありますが、作るべきであるというようなことを提言していると思います。
 併せて、感染研、それから国際医療研究センター、ここがどうしても公衆衛生、疫学的な部分と臨床的な医学、医療の部分、これがコラボしていなかった部分もあるのではないかという提言をいただいております。そこがスムーズになるように一体的に運営ができないか、こういう中身であります。
 併せてもっと言えば、それが都道府県の保健所、地方衛生研究所、そういうところと国との関係というものの意思の疎通に関してのいろんな課題が今回あったことも事実であります。そこをもう少し、意思の疎通がうまくいくための組織がどうあるべきかということも書いております。
 中には法改正が必要な部分もあるのではないかということもあります。ただ、私が出しているので言いづらいのですが、これは党からいただいた内容でございますので、これから厚生労働省として、党からの提言を今度は行政機構として評価をした上で、どういうようなものであればちゃんと機能をするのかということを判断した上で、法改正が必要であれば法改正をしなければなりませんし、各都道府県や保健所、地方衛生研究所との連携が必要であるならばそれに対してのいろいろな組織の関わり方というものを考えていかなきゃならないということであります。
 まさに仰るとおり、この感染症に関して、大きく今まで以上に、国民の皆様方が安心いただけるような対応をできるようなガバナンスの見直しをやっていかなければならないという認識であります。
記者:
2つお伺いします。先ほどの引継ぎでは前任の加藤官房長官とはどのようなお話をされたのかということと、コロナの感染拡大に関しては、地方の医療体制や財政にかなり影響が大きいですが、今後財政支援なども含めて、地方対策にどのように取り組んでいくのか教えて下さい。
大臣:
まず、前任の加藤大臣、現在の官房長官との引継ぎでありますが、やはりコロナについて、後をお願いしますということでありました。加藤前大臣が大変ご苦労をされた課題であり、なおかつ私は現在進行形のものを引き継ぐわけでありますから、今までの様々な経験を踏まえた対応がこれからできるわけであります。
 しかし、加藤前大臣におかれては、経験を踏まえない中で起こったことに対応いただいたとのことで大変なご苦労をいただいたなと思います。そういうこともあって、いろいろ経験された加藤前大臣でありますから、そのいろいろな部分に関して、前任の大臣としてこれからもアドバイスいただけると思います。
 これに対してはしっかりと、後を田村さんに引き継ぎたいとのことでございましたので、それに関しては私も分かりましたということで引継ぎをさせていただいたということであります。
 もう一つは地域医療です。ご承知の通り、コロナの患者の方々を対応いただいている医療機関に関しては、重症の患者の方々には数度の診療報酬の引き上げをやってきたわけでありますし、空床といいますか、使っていない、用意をしていただいておりましたベッドも含めて一定程度見てまいりました。
 加えて、例えば感染防護のためにいろいろな財政支援をさせていただいて、これはコロナの対応をしていただいていない医療機関に対しても、感染を防ぐための支援をしてきたわけであります。
 今回、改めて重症ではないコロナの患者の方々の対応をいただいている医療機関に関しても、一定の評価をしなければならないということで、これに対し予備費も含めて対応させていただくということであります。
 併せて、秋冬にかけてインフルエンザかコロナか分からない発熱者の方々に対応いただく医療機関に対しては、予備費を含めてしっかりとした対応をしていかなければならないということであります。
 併せて申し上げれば、それ以外の医療機関も非常に重要であることは間違いありません。と言いますのは、現状はコロナで患者の方々の受療行動が変わっております。コロナに感染するのが心配だということでありますが、一方で、先ほど申し上げましたとおり、医療機関ではコロナの感染防止のためにいろんな対応をしていただいております。
 それに対する経済的支援もさせていただいておりますので、やはり安心して医療機関に行っていただいて、例えば慢性疾患を持っておられる方々などがより悪化をしないような対応をしていただけなくてはなりません。予防接種もそのうちの一つだと思います。
 そう思うと、受診行動を戻していただいたときに医療機関がなければ健康管理ができないわけでありますから、そのためにも地域の医療機関がしっかりと維持できるような体制をとっていただかなくてはならないということであります。
 コロナの対応など、今医療機関はそれぞれ地域によっても診療科によっても違うと思いますので、そういうものをしっかりと把握した上でどのような対応ができるかということを検討させていただきたいと思います。
記者:
PCRの関連でお伺いいたします。先ほど総理から、PCR検査の範囲適用外の費用の引き下げについてご指示があったと思いますが、改めてどのような内容だったのかお願いいたします。全額自己負担となる原価費用そのものの価格が国際比較で高すぎるという問題意識が背景にあるのでしょうか。
大臣:
仰るとおり、国際比較で高いという数字もあるようでして、それを比較してみてなぜ高いのか、高い理由があるんだと思います。それが国の制度の問題なのか、それとも試薬やいろいろなものが入ってくるのにお金がかかるのか、そういうものをちゃんと調べた上でご意見をお聞きし、その上で下げられるものは下げていただきたい、という思いでそういうことを仰ったと思いますので、それは私の方からもそういった話は以前からもさせていただいておりましたので、しっかりと進めて下さいということでありました。
 そこに公費が入るのか入らないかというのは次の話になってくると思います。もちろん誤解はあってはいけません。PCR検査をやって陰性だったというのは、実は医学的にはその瞬間が陰性だったのであって、その1時間後は陽性になっている可能性はあるわけです。
 このコロナという疾患は、感染してから一定程度PCRでウイルスが捕まるまで期間があるものでありますから、もしかしたら今の時点で私がPCR検査をやって陰性だったとしても、1時間後に陽性になってしまうこともあります。
 ただ確率論としては、今陰性ならば1時間後陽性というのは低いであろうということは考えられますから、そういう意味で、民間同士でいろいろなものに使えます。民間同士でいろんな形で使うということになると、それはビジネスモデルの中に入ってくる可能性があります。
 日本だけ非常に検査金額が高いという話になると、競争力の問題にもなると思いますので、そういう意図があって、国際比較の中において高いのであれば、金額を下げてもらうような努力をお願いしてもらえないかという話でございました。
 ただ、単にお願いするのではなくて、問題があれば、その問題点も解決をしていかなくてはなりませんから、それに対しての対応もさせていただきたいということであります。     
記者:
現状でどのような具体策を検討されているのでしょうか。
大臣:
これは理由があると思いますので、まずなぜ高いかということをお聞きしてみないとと思います。国際比較もいくつかの国を調べてみないと、例えば安い国だけ調べてこの国安いのではないかというと、その国特有の理由がある可能性もあります。
 ですから、いくつかの国を調べた上で、日本がどれくらいの地域であるか。よく高い高いと言われていますが。それをちゃんと調べた上で、それを下げるということを考えていかなければならないと思います。
記者:
薬局のあり方について大臣のお考えをお聞きします。医薬分業、処方箋を受ける薬局のメリットがあるのかという分業バッシングの最中、薬機法が改正されまして、専門医療機関連携薬局・地域連携薬局という標榜できるような薬局が今回創設されておりますが、一方でまだ分業バッシングというのは冷めやらず、薬剤師・薬局の在り方についてまだ検討会が進んでいる中であります。
 こういった分業のバッシングがある中で、一方では健康サポート機能であったり、在宅の機能を医療リソースが地域でかなり困窮している中で活かして、機能を逆に広げていこうと、例えば身近な検体測定室という検査であったりとか、むしろそういった機能を高めて貢献していこうという意見もありますが、大臣はこういったOECDの中では薬剤師の数が極端に多いとか色々な意見もありますが、大臣の今後の薬局の在り方についてのお考えを教えてください。
大臣:
厚生労働省は医薬分業を進めてきた立場ですし、これからも医薬分業を進めていく立場です。その上でいろいろなご批判があるこということも存じておりますが、十分にまだ医薬分業の役割が十分理解されていないというところに、そういう問題点があるのであろうなと思います。
 それから先ほど申し上げましたが、例えば超高齢社会の中において、在宅でのいろいろ対応が必要となったときに、きめ細かいどのような対応があるのか、やはり訪問していろいろな状況を把握いただくとか、いろいろな薬の飲み合わせとか、場合によっては疑義照会のような形で医療機関に対して物申していただくとかそういうことを考えた場合に、医療機関との連携をしっかりやっていただいて、かかりつけ薬局的な対応をしていただくような機能は非常に重要となってきます。
 その場合に、オンラインの服薬指導等も進みつつありますけれども、それもまた先ほどの医療と同じでありまして、ある意味必要な部分に関しては在宅での医療の対応ということで、そのようなものも必要に応じて、もちろん私個人的に申し上げれば、ある程度ちゃんと駆けつけられる範囲の中でやっていただかないと、何か問題があったときにそこの薬剤師が対応できないということでは、何のための医療かという話になりますから、そういう意味からすると医師にしても薬剤師にしても、同じように一定の駆けつけられる範囲というのが、これはこれからいろいろな議論が専門家の中でありますから、そういう中において対応いただくと。きめの細かい対応ということです。
 それからもう一つは、先ほど言われました高度な薬学管理をやられる専門的な薬局、これがどうしても必要になってくる。例えば地域にもがん患者がおられるでありましょうし、いろいろな方が在宅の中で治療していかなければならない中で、そういうような薬局があることは非常に心強いことですから、そういう高度な薬学を管理できる薬局を整備していくということが、先般の薬機法の一つの考え方でありますから、それに対しては私も十分に理解しております。
記者:
コロナ禍において経営難に陥っている病院の支援についてですが、地域医療を支えているJA厚生連病院など公的病院からは公立病院と同等の地方交付税措置などの要請があったと思うのですが、特に公的病院の支援についてお考えがあれば教えてください。
大臣:
自治体病院がそれぞれの自治体の一般財源を含めていろいろな支援があるのではないかと、同じ公的機能を持っているところでもそういうものがない医療機関もある。もちろん公的機能ということで、他の制度の中で一般の民間病院と比べて優遇されている部分があるというのは事実であります。
 一方で、本当の民間病院の中にも、例えば今回のコロナの対応をいただいている医療機関もあるわけでして、なかなかそこをどう仕分けるのかというのは、それぞれの制度の下に成り立っている医療機関の歴史もあります。今言われた地方交付税措置をしっかりやれというのは我が省の所管外ということもございますのでお答えは難しいと思います。
 ただ言えるのは、今回コロナという疾病に対応いただいている医療機関に関しては、その範囲の中においていろいろな支援策というものを、今回の予備費の使用も含めて決めたわけであります。
 そういう形で対応させていただいて、それでも個々の医療機関の実態が違いますから、それぞれによって。この医療機関だけが経営が悪いからそこに対して、というのは難しいかもわかりませんが、医療機関全般それぞれのコロナの患者の方々を対応していただけるところがこのような形で運営ができないという話であれば、更にどのような形の支援が必要かは検討してまいりたいと思います。

(了)