(令和2年9月18日(金曜日)11時13分 於:本省会見室)

【茂木外務大臣】新内閣が発足して最初の記者会見ということになります、この場においては。引き続きよろしくお願いいたします。

安保関連法成立から5年

【読売新聞 大藪記者】集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法が成立してから、明日で5年となります。この間、日本の安全保障政策がどう改善され、日米同盟の深化にどう貢献してきたのか、大臣のご所見をお聞かせください。

【茂木外務大臣】7年8か月の安倍政権、様々な成果を残しておりますが、この安全保障関連法制、この制定というのはそこの中でも一つの大きな成果だと、こんなふうに考えています。いかなる事態においても、国民の命であったり、平和な暮らしを守り抜くと、これは政府の最も重要な責務であります。
 平成27年に成立したこの平和安全法制によりまして、米軍の部隊の武器等の防護等ができるようになったこともありまして、日米同盟はかつてないほど強固になり、そして抑止力・対処力も向上しているのは間違いない事実であります。このことは、地域の平和と安定にも寄与すると、そのように考えております。また、国際社会の平和と安定に、より積極的に貢献できるようになったと、このように考えております。
 外務省としては、引き続き、この安全保障法制につきまして、国家安全保障局や防衛省と緊密に連携しながら、効果的な運用に取り組み、いかなる事態においても、国民の命と平和な暮らしを守るべく、緊張感を持って、万全に対応を期していきたいと思っております。

菅総理大臣の対面外交

【日経新聞 加藤記者】新政権の外交の取組の方針についてお伺いします。菅新総理が誕生されて、これからその各国首脳との信頼関係を築いていく上で、対面での外交というのも重要になってくるかと思うんですけれども、新型コロナウイルスが広がっている中でなかなか直接の外交が難しい中で、今後どのようにこの首脳外交を進められていくお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】対面外交については、コロナの世界的な拡大の中でなかなか難しい状態でありましたが、私(大臣)自身は、先月から積極的に外国訪問を再開をいたしまして、各国の要人と直接会って、コロナ対応の問題であったり、また南シナ海の問題であったり、更には国際社会が直面する課題について、時間をかけてじっくりと議論をすること、そして理解を深めることを行ってまいりまして、その重要性、改めて実感をしているところであります。
 今週、新政権は発足したばかりでありますから、総理の外国訪問、現時点で決まっているものはありませんが、菅総理の外遊について、今後国際情勢であったりとかコロナの状況を見ながら、そのタイミングであったりとか訪問先、総合的に判断していきたいと思っております。

菅総理大臣の就任後の初会見

【インデペンデント・ウェブ・ジャーナル 濵本記者】先日の菅首相の就任後初めての会見の内容について、茂木大臣の認識をお聞かせいただきたく、ご質問差し上げます。
 菅首相は就任後初めての記者会見において、国民のために働く内閣をスタートさせ、しっかりとした成果を上げて、国民の期待に応えたいと述べられました。これについて、国民に選ばれた政治家が、国民のために仕事をするというのは当然のことだと思うんですけれども、これが意味するのは、少なくとも前内閣において、国民のために仕事ができていなかったという認識を反映したものであるのでしょうか、ご意見をお聞かせください。

【茂木外務大臣】全くそんなことはないと思います。安倍政権もそうでありましたし、菅政権においても、国民のために働く、そして、日本がまた国際社会が直面している課題解決に全力で取り組むと、こういう姿勢は変わらないと思っております。
 国民のために働く、様々な観点がありますが、外務省から申し上げましたら、国民イコール邦人でもありますが、この海外にいらっしゃる邦人の安全の確保と、これは極めて重要な、最も重要な仕事でありまして、今年、新型コロナが発生し、世界に広がっていくと、こういった中で、武漢の帰国オペレーションから始まりまして、これまでに帰国困難な地域・国から1万2,000人を超える邦人の方の帰国のお手伝いを、外務省としてさせていただきました。こういった仕事はしっかり続けていきたい、邦人の安全確保に万全を尽くしていきたいと思っております。
 同時に国民の命、そして平和な暮らし、これを守っていく、極めて重要なことでありまして、日本外交の基軸、日米同盟にあるわけであります。これを基軸にしながら、今、東アジアの安全保障環境、極めて厳しくなる中で、どういう事態にあっても、しっかりと国民の命や国民の安心・安全を守れるようにしていきたい、そんなふうに考えております。
 同時に、様々な国との良好な関係、こういったことを築いていくというのは重要でありまして、二国間、バイにおいても、また多国間、マルチにおいても、そういった関係を築いていく。同時にまたその中心に日本がいると、そういった意味で、日本の存在感、プレゼンス、これも高めていきたい。こんなふうに考えております。
 更には国民のためといいますと、国民の生活や経済、こういったことも重要になってまいります。日本として、自由貿易、この旗手であると、こういう自負の下で、今、内向き思考と言いますか、各国でそういった動きがある中で、日本は自由貿易の推進・発展、これに中心になって取り組んできたわけでありまして、TPP11から始まり日EU・EPA、更には日米貿易協定、これもこの1月に発効しております。そして、日英の協定も先日、大筋合意をいたしまして、来年1月に発効したい。そんなふうに考えておりまして、こういった通商政策の推進というのも、国民経済、そして国民生活の向上に資するものだと考えております。そういった政策を実行していきたいと思っております。
 外交は、継続性、一貫性これが重要でありまして、しっかり、それを行っていきたいと思います。

ファイブアイズ(ジョンソン英国首相の発言)

【毎日新聞 青木記者】水曜日にですね、ボリス・ジョンソン英国首相が、いわゆる、「ファイブアイズ」に関して、日本の参加も歓迎するというような考えを示されました。大臣、「ファイブアイズ」についてどのように考えてらっしゃるか、あと、何か交渉というのは始まっているのか、そして今後、参加する可能性というのがあるかどうか、それを聞かせてください。

【茂木外務大臣】ジョンソン首相の具体的な発言内容について、私(大臣)がコメントする立場にありませんが、「ファイブアイズ」は「ファイブアイズ」として、様々な取組みを進めているのは事実でありまして、そういった取組み、日本としても評価しておりますが、定義自体、「ファイブアイズ」ですからね、日本が「ファイブアイズ」になるわけはないんですよ、それ自体は。ただ、様々なマルチの協力関係、こういったものは日本として進めていきたいと思っております。

日中関係(習近平中国国家主席の国賓訪日)

【産経新聞 石鍋記者】日中関係についてお伺いいたします。昨日、自民党の二階幹事長が、講演でですね、延期になっている習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の国賓訪日が実現していれば、「共創」をテーマにした、「きょうそう」というのは「共に創造する」と書いて「共創」と言うらしいんですけれども、それをテーマにした第5の政治文書を結ぶはずだったと述べました。政府としてこうしたことを検討しているのでしょうか、また改めてですけれども、国賓訪日についての検討状況をお聞かせください。

【茂木外務大臣】習近平国家主席の訪日については、何度も申し上げているように、現段階で検討する、こういう段階にはないということであります。その上で、習近平国家主席の訪日が予定されている段階で、様々な準備作業を進めておりました。その際に、これまでかつての国家主席が来日した際に、様々な文書、四つの文書というのも出しているわけでありますが、そういった成果文書を作るかどうかと、こういうことにつきましても議論は行ってまいりましたが、実際に訪日は実現していないわけでありますから、現段階におきまして、訪日、さらにはその際の文書をどうするか、こういうことについては検討は行っておりません。