(令和2年9月11日(金曜日)16時23分 於:本省大臣接見室)

冒頭発言

【茂木外務大臣】先ほど16時から、英国のトラス国際貿易大臣とテレビ会談を行いまして、日英包括的経済連携協定について、大筋合意、Agreement in Principleを致しました。TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定に続いて、自由で公正な貿易体制の推進を日本が主導し、この成果を挙げることができました。日英両国は6月9日から交渉に入ったわけでありますが、先月初めには私自身が英国を訪問し、大半の分野で合意し、主要論点について認識の一致に至ったところであります。その後も詰めの議論を行った結果、非常に難しい交渉でありましたが、約3か月という異例のスピードで大筋合意に達するができました。本日の大筋合意を踏まえて協定の詰めの作業を行い、署名を更に行い、本協定について国会承認を頂いた上で、来年1月1日に発効することを目指します。これにより、日EU・EPAの下で、日本が得ていた利益を継続し、英国にある日系企業のビジネスの継続性を確保することが可能となると考えております。また、今回、電子商取引を始め、日EU・EPAより先進的かつハイレベルなルールに合意したことで、日英間の貿易・投資の更なる促進につながることが期待をされるところであります。合意内容を先ほどトラス大臣と改めてですね、確認、調整を行ったところでありますが、簡単に説明致しますと、市場アクセス面では、日EU・EPAの下での英国市場へのハイレベルなアクセスを維持するとともに、鉄道車両や自動車部品等の一部品目では、英国市場へのアクセスの改善を実現致しました。鉱工業品・農林水産品ともに、日EU・EPAと同じ関税率へのキャッチアップ、これを行うことと致しました。原産地協議については、EU拡張累積を導入致しましたので、日本の製品メーカーがEUで調達した部品を使った製品を、今までどおり特恵関税を用いて英国に輸出することが可能となります。農林水産品については、日EU・EPAの範囲で合意を致しました。具体的には、日EU・EPAで設けた関税割当て25品目について、英国に対して新たな関税割当枠は設定しておらず、また、英国側の関税については、牛肉、茶、水産物など主要な輸出関心品目について、関税撤廃を獲得した日EU・EPAの内容を維持する形で合意を致しております。英国側の関税というのは、日本から英国に輸出する場合ですね。ルール面では、電子商取引、金融サービス、競争政策、ジェンダー等の分野で、日EU・EPAより先進的かつハイレベルなルールを新たに規定致しました。特に、日英双方の関心が強い電子商取引については、情報の越境移転の制限の禁止、コンピュータ関連設備の設置要求の禁止、ソースコードの開示要求の禁止対象へのアルゴリズムの追加、暗号情報の開示要求の禁止等、日EU・EPAよりハイレベルの規定を導入することと致しました。本日の大筋合意を受けて、テキストの調整、そして、リーガル・スクラビング等の作業を鋭意進めていくことになります。私の方から以上であります。

質疑応答

【記者】今日のトラス大臣との会談の際に協定に署名する時期について、日程的なものは触れられたのでしょうか。それとも何か視野にあるのでしょうか。

【茂木外務大臣】今日のですね、会談で署名の時期についてはですね、具体的に何日にするとか、いつぐらいという議論は行っておりませんけれど、これから先ほど申し上げたようにですね、協定の案文の調整であったりとかリーガル・スクラビング、そういったことを加速していかなければならない。そして、できる限り早くですね、そういった作業を終えて署名に取り付けたいと思っております。