(令和2年9月11日(金曜日)11時14分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)日英EPA交渉状況

【茂木外務大臣】冒頭、私(大臣)の方から2点、申し上げます。
 まず一つは、日英の経済パートナーシップ交渉についてでありますが、日英間で、私(大臣)の訪英後、先月の初めになるわけですが、事務レベルで連日厳しい交渉を行った結果、交渉は進展して、今、大詰めを迎えております。今日の午後に、トラス国際貿易大臣とテレビ会談を実施しまして、交渉なのでやってみないと分かりませんけれど、できれば本日、大筋合意を目指したいと、このように思っております。

(2)国際的な人の往来の再開(シンガポールとの「ビジネストラック」開始)

【茂木外務大臣】もう1点、国際的な人の往来の再開に関してでありますが、先月私(大臣)がシンガポールを訪問した際、主に短期出張者の利用を念頭に、自宅待機期間中も限定的なビジネス活動、これを可能とする「ビジネストラック」を9月にも開始をすることで、シンガポール政府との間で合意をしたところでありますが、これ受けて、本日、両国の外相間で共同プレス声明を発出し、この「ビジネストラック」を9月18日に開始することとなりました。
 「ビジネストラック」の開始、これはシンガポールが初めてということになります。すでに7か国・地域との間では「レジデンストラック」を始めておりまして、この「レジデンストラック」に加えて、今回の措置は感染拡大、再拡大の防止と両立する形で、国際的な人の往来を部分的・段階的に再開していく上で重要な一歩になると、このように考えております。
 またシンガポールとの間では、駐在員等の長期滞在者の往来を可能とする「レジデンストラック」につきましても、早期の運用開始に向けて、引き続き調整を進めているところであります。私の方からは以上です。

国際的な人の往来の再開(シンガポールとの「ビジネストラック」開始)

【テレビ朝日 大石記者】今、大臣から冒頭発表があったシンガポールとの短期出張者の往来再開についてですが、今回初めてということで、改めてその再開の意義について教えていただければと思います。あと、率直に今回初めて再開されることに、無事合意に至ったことについて受け止めをお願いします。

【茂木外務大臣】シンガポールにおきましては、一部感染者が見られるのですが、どちらかと言いますと、外国からの労働者の方等々が多いということでありまして、実際にビジネス等を営んでいる方における感染というのは、非常に低いレベルに抑えられている状況であると思っております。
 更に、シンガポールでありますから、日本との間で様々な、金融であったりとか、いろいろな物流であったり、ビジネスニーズも多いということで、先日シンガポールを訪れた際に、この「ビジネストラック」についても、早期に再開をしたいということで、共同文書、こういったものを作って、最終的な詰めを行ってきたところでありまして、「ビジネストラック」につきましては今回が初めてということになりますので、これを他の国にも広げていくようにいいモデルにしていきたいと、こんなふうに考えています。

新たな安全保障政策

【NHK 馬場記者】新たな安全保障戦略をめぐって、今日、安倍総理が談話を発表する予定ですが、ミサイルを阻止するための新たな方針について検討していくことも示すと見られますが、日本周辺各国への外交的な影響についてどのようにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】すみません、設問の前提で、今、談話を発表するとかこういうことがあると、それは事実に基づいておっしゃっているんですか。
 もう1回どうぞ。

【NHK 馬場記者】取材に基づいて、はい、質問させていただきます。

【茂木外務大臣】はい。政府としては、我が国を取り巻きます安全保障環境が一層厳しくなる中で、我が国の安全保障のありようについて、現行憲法の範囲内で、また専守防衛という考え方の下で、また日米間の基本的な役割分担、これは変えないと、こういう考え方の下で、世論における議論なども受け止めつつ、私(大臣)を含みます関係閣僚が参加して、累次にわたって政府内で議論を行ってきているところであります。
 この関係で今お話があったような、議論の具体的な内容、結論を出す時期、これについてお答えすることは控えたいと思います。

茂木大臣とジャパンタイムズ記者の会見でのやり取り

【週刊金曜日 植松記者】先週に引き続き、ジャパンタイムズ大住記者とのやり取りの問題で質問いたします。まず前提として、差別の問題については、差別の意図があったかどうかではなく、差別の効果をもたらしたかどうかが重要ですので、そのことを前提に質問いたします。
 以後ちょっと、早口ですみません。8月28日の大住記者とのやり取りで、大臣は最後に、「日本語、分かっていただけますか」との旨を2回繰り返しました。しかし、この言葉に非常に必然性がないと、読んで思いました。なぜならばその前に大臣が発した言葉は「出入国管理庁にお尋ねください」のみです。分かりにくい日本語は出入国管理庁という単語しかありません。
 大臣は先週の会見で、そのケースごとに最適な言語を選択して、いわば善意で英語を使ったとおっしゃいましたが、ならばこの場面こそ、出入国管理庁という言葉を、日本語と英語で併記して話すべきところではないでしょうか。そこから言うと、この先週の発言には前後矛盾を感じます。すみません、長くなりましたが質問はですね、結局この事例は。

【茂木外務大臣】すみません。1問ずつにしてください、質問は。

【週刊金曜日 植松記者】はい。質問、これからです。

【茂木外務大臣】では、今までの部分は。

【週刊金曜日 植松記者】この事例は、侮蔑の効果を生み出した事例として。

【茂木外務大臣】すみません。

【週刊金曜日 植松記者】はい。

【茂木外務大臣】では、今までの部分は、質問ではないということでよろしいんですね。質問は、1問ずつにしてくださいと申し上げております。

【週刊金曜日 植松記者】はい、ですから、矛盾を感じますということを述べた上で、それで最後に、この事例は侮蔑の効果を生み出した事例として、今後、再発すべきではない事例として位置づけるべきかと思われますけど、大臣のお考えはいかがでしょうか。

【茂木外務大臣】ここにいらっしゃる記者の方ですね、この1年間、私の会見を聞いていただいていると思いますが、そこの中で日本語で質問される方、更には英語で質問される方、様々いらっしゃいます。そういった中で、私なりにできる限り正確にそして正しく、それぞれのご質問についてお答えをするということをやってまいりました。
 先日の会見のやり取りについて、あくまで、先日も申し上げたように、質問の趣旨、正確に言いたい、理解したいと、これは日本語で質問されたときも、「質問の趣旨がよく分からないのですが、どういうことですか」ということは、何度も私は申し上げたことがあります。これは質問に対して、できる限り、誠実に正しくお答えしたいと、こういう意味で、質問させていただいているところでありまして、これが初めてというケースでありません。できるだけ、正しく答えたいと、その意味でお答えを申し上げております。
 科学的根拠ということをお聞きになられました。先日も申し上げたように、この外務大臣の会見で、外交上の配慮からどうなのかとか、他国への影響がどうなのかとか、経済の影響をどう考えているのかと、こういう質問は何度も受けることがございます。
 ただ、科学的な根拠という質問を受けることが初めてでありまして、科学的な根拠というものがどういうものを意味するか正直言って分かりませんでしたので、そのことについてお尋ねをしたわけであります。英語でお聞きをいたしました。その上で日本語についてもお聞きをいたしましたが、科学的な根拠ということだけでありましたので、それは例えば感染の蔓延状況等々、いろいろなデータに関する問題であると。そうなってきますと、出入国管理そのものは、全体として出入国管理庁と、そういったところが統括して行う組織でありますから、そちらにお答えくださいと、質疑応答を通じて、よく日本語はご理解だということは承知いたしましたので、日本語で答えさせていただきました。

【週刊金曜日 植松記者】最後、大住記者が日本語で理解されているから、出入国管理庁という言葉も、英語を使わず日本語でおっしゃられたということでしたら、そうだとするなら、最後の「日本語分かっていただけますか」っていう言葉が2回出てくるのは、今の大臣のおっしゃったことから言うと、必然性がない言葉だと思いますが、なんでその言葉が最後わざわざ2回も繰り返して出てきたのか、結果はどういった意図であれ、それが侮蔑の効果を生み出してしまったのではないかと思われますがいかがでしょうか。

【茂木外務大臣】誠実にお答えをさせていただいております。

日中関係(駐中国大使人事)

【産経新聞 石鍋記者】本日の閣議で垂前官房長が新しい中国大使に起用されることが決まりました。中国との関係、海洋進出を含めですね、様々な懸案あると思いますけれども、垂前官房長に期待する役割などあればお聞かせください。

【茂木外務大臣】垂前官房長、中国語も非常によく理解をされ、中国に駐在の経験もあるわけであります。様々な政策にもこれまで関わってきたところであります。もちろん、日本と中国の間、東シナ海、南シナ海、そして、香港問題、様々な課題があります。そして隣国でありますから、懸案事項というのがあるわけでありますが、そういった懸案でハイレベルの対話を通じて、一つひとつ解決していくことが極めて重要だと考えておりまして、そういった意味で、垂前官房長、そういった日本の外交努力を進める上で、大きな力になってくれることを期待したいと思っております。