遺骨収集事業においては、本年5月に公表した「戦没者遺骨収集事業及び事業実施体制の抜本的な見直しについて」(以下「見直し方針」という。)に基づき、検体のみを持ち帰り、日本人の遺骨であると判定された場合に、検体以外の部位を持ち帰ることとしています。
 この日本人の遺骨と判定するための専門家の会議として「所属集団判定会議」が設置され、初めての会合が去る7月31日に開催されました。
 この会議の議事要旨については別途公開いたしますが、初めての会合であることも踏まえ、その会議での検討状況について公表します。
 
※所属集団判定会議
 「戦没者遺骨のDNA鑑定人会議」において、ロシアで収容された遺骨の一部について、日本人の遺骨ではない可能性が指摘されていたにもかかわらず、適切な対応がなされていなかったことから、有識者会議の意見を踏まえ、遺骨収集事業の見直しを行い、本年5月に見直し方針を公表しました。
 見直し方針においては、日本人の遺骨であるかの判定を、専門家による会議で行うこととしており、所属集団判定会議は、そのための会議として、戦没者遺骨鑑定センターの立上げに合わせて、設置したものです。
 
1 所属集団判定会議について
・当面の検討課題等を整理し、日本人と判定する基準、遺骨収容に関する技術の向上等について、検討していくこととされました。
 
2 日本人遺骨の判定について
・国際的なデータベースを基に日本人と判定する基準について
 国際的なデータベースを基に日本人と判定する基準(以下「判定基準」という。)を設定するに当たり整理すべき事項について議論を行いました。今後さらに具体的な判定基準を議論していくこととされました。
 判定基準の議論を行う際、令和元年8月に検体を採取したカザフスタン(第347収容所レニノゴルスク市)埋葬地の14検体のDNAデータ等を資料として検討しました。
 14検体のうち、2検体については日本人の遺骨である蓋然性が低く、その他の12検体については日本人の遺骨である蓋然性があるが、判定結果を確定するには至らず、引き続き、判定基準を含め議論を行い、日本人の遺骨であるか否かを判定することとされました。
 
※ 昨年8月に検体を採取した上記の事例においては、過去にロシアで収容された遺骨の一部に日本人でない遺骨が含まれている可能性があるとの指摘を踏まえ、現地に派遣した日本人鑑定人が慎重に骨の形質鑑定を行い、日本人の遺骨であることに少しでも疑義がある場合には検体のみを持ち帰り、その他の部位は現地に未焼骨で保管するという方針の下で実施しました。
 上記2検体については、骨の形質鑑定において、ヨーロッパ系とアジア系の特徴を併せ持つ遺骨であると判断したため、DNA鑑定に必要な最小限の量の遺骨(歯など)を検体として持ち帰り、その他の部位は現地に再埋葬しています。
 なお、今後行われる遺骨収集においては、本年5月に定めた新たな遺骨収集の手順に基づき、日本人の遺骨である蓋然性が高い場合のみ検体を持ち帰り、それ以外の場合は持ち帰らないこととしており、今後は当該2検体のようなケースでは検体も持ち帰らない取扱いとなります。
 上記2検体については、外務省を通じて、カザフスタン共和国に対し、今後の取扱い(返還手続)について、協議を行いたいことを伝達しました。
 
※ 本プレスリリースは、カザフスタン共和国との調整を行い、調整を終えたことから、今般公表に至ったものです。