(令和2年8月28日(金) 18:45~19:35)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
お手元に配布していますが、本日の新型コロナウイルス感染症対策本部において、私から新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組について説明いたしました。そして、本部で決定されました。その内容について、ご報告申し上げたいと思います。
 新規感染者数については、ここ最近減少傾向にあり、もちろん引き続き警戒は必要ですが、専門家からは、積極的に検査を実施してクラスター感染の対象を捉え、早期に対策を講じたことが感染拡大の抑制につながっているとの評価もいただいています。
 これは何よりも、医療現場等の前線において、感染リスクがある中で治療や、あるいは感染防止に当たっていただいている医療従事者の方々はじめ、多くの関係者の皆さま方の努力の賜物だと思っております。改めて感謝申し上げたいと思いますし、また、国民の皆さま方においても3密を始め、様々な行動において感染防止を意識していただいて、そして新たな生活様式に取り組んでいただいている、そのことに感謝申し上げたいと思います。
 そうした中、新型コロナウイルスに感染された方々の状態の分析、今後の取組の本文1ページ目に書いてありますが、若年層をはじめ感染者のうち8割の方々は軽症または無症状のままで治癒をされている、その一方で高齢者や基礎疾患を有する方を中心として、2割の方々は肺炎症状が悪化し、更に5%程度の方々は人工呼吸器管理などが必要になるということです。
 こうした新たな知見などを踏まえますと、この感染症を過剰に恐れ社会経済活動を停止させるのではなく、メリハリの効いた対策を効果的に講じていくことによって、重症者や死亡者をできる限り抑制しつつ、社会経済活動を継続することが可能になるとされております。こうした考え方の下、今後の季節性インフルエンザの流行期も見据え、重症化するリスクが高い高齢者や基礎疾患のある方への感染防止を徹底するとともに、医療資源を重症者に重点化していくこととしております。
 今回そうした考え方に沿ってこの取組においては7つの柱でまとめさせていただいておりますが、今日は政策目標と絡んで説明させていただきたいと思います。お手元の資料をご覧ください。

 大きく5つの政策目標を掲げておりますが、まず1点目の高齢者や基礎疾患を有する方への感染防止の徹底ということであります。そして、医療資源を重症者に重点化し、高齢者をはじめとした感染者の命を守るということに全力を挙げております。対比表の7つの取組の中で、黒文字で書かれたものがこれに関連する施策であります。
 まず、1つ目の点については、お手元の新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組の本文2ページ目の1の丸でありますが、具体的に医療提供体制について、軽症や無症状の方には宿泊療養や自宅療養での対応を徹底し、医療資源を重症者の治療に重点化するということ。
 それからもう1点。感染症の権限の運用についても、指定感染症という位置づけは維持しつつ、政令改正も含めて検討し、こうした方向性にあったものに見直しをしていきます。感染症法上の指定感染症については、別途資料をお配りしている参考資料の1ページ目ですが、感染症法に位置づけられていない感染症は指定感染症として具体的な感染症名や講ずることのできる措置を個別に政令で指定でき、また新しい知見を踏まえて政令改正により、講ずることができる措置の変更が可能とされているわけです。
 こうした点を踏まえて、先ほど申し上げた見直しを図っていきたいと考えております。また、検査体制についても重症化するリスクが高い高齢者への感染を未然に防ぐため、積極的な検査を実施していくことにしております。
 対比表の2の検査体制の抜本的な拡充の2つの黒丸であります。記述としては3ページ目の2の2つ目と3つ目の丸に係る話でありますが、1つは感染者が多数発生している地域などでは、医療機関や高齢者施設等に勤務する方や、入院・入所者を対象に、症状はなくても定期的に検査を実施する、また、市区町村において個人の希望に基づき、一定の高齢者や基礎疾患を有する方に検査を行う場合には、国が支援する仕組みを構築し、そうした検査も進めていきたいと考えております。
 それから2点目が、対比表の黄色の部分、秋冬のインフルエンザ流行への備えであります。関連する施策が黄色い文字で書かれておりますが、秋冬にかけて季節性インフルエンザの流行期が到来し、発熱等の症状がある方が大幅に増え、検査や医療需要が急増することが見込まれております。
 こうした中で、検査体制、医療体制をしっかりと確保し、安心して医療機関を受診していただけるような体制を構築していく必要があります。具体的には、本文3ページ目の2の1つ目の丸ですが、季節性インフルエンザの検査の需要は1シーズンで約2,000万から3,000万件と見込まれております。
 新型コロナウイルスの検査についても、地域の医療機関で簡易かつ迅速に行えるよう、抗原簡易キットの生産をメーカーに対して要請し、1日平均20万個程度を確保していきたいと考えております。併せて、PCR検査や抗原定量検査の機器の整備を促進し、その時点における最新の検査手法を活用しながら、必要な検査体制の確保を図ってまいります。
 もう1点、本文4ページ目の1つ目の丸の部分に係るわけですが、発熱患者の方が、帰国者・接触者相談センターを介することなく、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関に直接相談、受診し、必要に応じて検査を受けられる体制も整備してまいります。
 3点目は、感染拡大防止と社会経済活動の両立、これは対比表の緑の部分です。1点目は一番下の国際的な人の往来に係る部分ですし、本文ですと6ページ目の7ということになります。国際的な人の往来を部分的、段階的に再開していけるように、入国時の検査体制について、9月には1万人超の検査能力を確保してまいります。
 併せて、ビジネス目的の出国者が検査証明を迅速に取得できる仕組みを、10月を目標に構築していきたいと思います。それから、本文の3ページ目の2つ目の丸ですが、地域の感染状況を踏まえ,感染が確認された店舗に限らず、地域の関係者を面的に幅広く検査することで、感染拡大を未然に防ぐ対策も進めてまいります。
 また、本文4ページ目の4ポツの1つ目の丸ですが、既に新型コロナウイルスの治療薬として活用されているレムデシビルやデキサメタゾンの供給確保を図りつつ、海外も含めた臨床研究の推進などによって、新たな治療薬の研究開発を支援し、そうした治療薬が一日でも早く使用できるように、我々としても体制を構築していきたいと思います。
 それからもう1点はワクチンであり、本文5ページ目の1つ目の丸です。来年前半までに全国民に提供できる数量の確保を目指し、国内外を問わずワクチンの供給に関する契約の締結を進めてまいります。
 また、国が主導して身近な地域で接種できる仕組みなどを構築していくとともに、2009年の新型インフルエンザの際にも我が国や諸外国で同様の措置が取られたように、ワクチンによる健康被害を賠償すること等により、製薬企業に生じた損失を国が補償することができるよう、接種の開始前までに法的措置を講ずることといたします。ワクチンの確保については、法的措置を講ずるという重要な行政上の方針決定も含むことから、本日別途閣議了解が行われたところです。
 なお、ワクチンの交渉状況について、ファイザー社とアストラゼネカ社の話は既にお話したところですが、モデルナ社のワクチンについて、武田薬品工業株式会社による国内の販売・流通の下で、来年上半期から4,000万回分以上の供給を前提として、モデルナ社及び武田薬品工業株式会社と現在交渉を進めているところです。 
 それから4点目の最前線の医療機関や保健所への支援であります。これは対比表の赤い部分であり、関連施策は赤文字で書かれていますが、最前線で新型コロナウイルスに立ち向かっていただいております医療機関や保健所に対して、強力に支援してまいります。
 本文4ページ目の1つ目の丸の中でありますが、患者を受け入れて、必死の思いで治療に当たっておられる医療機関の経営が悪化するようなことはあってはなりません。このため、先般の二次補正予算による支援に加えて、こうした医療機関の安定的な経営を確保するための更なる支援を行います。
 また、新型コロナウイルス感染症患者への医療を含め、感染防止の観点から地域全体の医療提供体制を維持・確保するための取組や支援を行ってまいります。本文4ページ目の3つ目に関連しますが、現場の医療従事者を感染から守るため、今後の感染状況に関わらず、十分な量の医療物資を調達・備蓄するとともに、G-MISなどにより医療機関における物資の状況を把握し、不足しそうな場合には、緊急配布できる体制を構築してまいります。
 また、本文5ページ目の5の1つ目の丸ですが、保健所の皆さまには住民の方などからの相談、検査・入院の調整、積極的疫学調査の実施など、日々大変な業務に取り組んでいただいているところです。感染者が多数発生している地域の保健所を応援するため、全国から保健師等の専門職を緊急で派遣するスキームを構築してまいります。
 最後でありますが、感染症危機管理体制の強化です。対比表では青い部分、関連施策は青い文字で記載しています。感染症危機管理時において、迅速な情報集約、対策実施を可能とする危機管理体制を強化してまいります。
 本文5ページ目の6の1つ目の丸ですが、国と自治体の権限・役割の見直しや、感染症危機管理における司令塔機能の強化を図ってまいります。また、感染症に関する様々な情報を国立感染研究所に集約をし、国立国際医療研究センターと連携し、感染症の感染力や罹患した際の重篤性の迅速な評価、情報発信を可能とする仕組みを構築してまいります。
 また本文6ページ目の1つ目の丸ですが、実地疫学専門家の育成・登録を行い、有事に国の要請で迅速に派遣できる仕組みを整備するとともに、必要な国立感染症研究所の体制強化も図ってまいります。 新型コロナウィルス感染症は今後も我々の生活に大きな影響を及ぼすと考えておりますが、こうした中にあっても、政府としては、高齢者などの皆さんの命を守り、感染拡大防止と経済活動の両立にしっかりと道筋をつけるため、これまで得られた新たな知見に基づく、今ご説明しました施策を確実に、また、強力に進めていきたいと考えております。
 改めて事業者の皆様には、業種ごとの感染拡大防止予防ガイドラインの遵守をお願いするとともに、国民の皆様には、引き続き、3密や大声をあげる環境を回避していただく、マスクの着用や手指消毒、換気の徹底など、基本的な感染対策を行い、「新しい生活様式」を実践していただければと思います。

 もう1点ございます。雇用調整助成金などについてです。雇用調整助成金については、今般の感染症の影響を踏まえ、助成額上限の1万5,000円への引上げ、助成率最大10分の10への引上げなど、これまで前例のない特例措置を講じてきております。
 併せて、事務処理や資金繰りの面から、休業手当の支払いもままならない中小企業の労働者を支援するため、労働者本人が申請できる新型コロナウイルス感染症対応休業支援金制度を創設しました。こうした特例措置については9月末に期限を迎えることになっておりますが、現下の情勢を踏まえ、引き続き雇用を維持し、働く皆さんの暮らしを守るため、12月末まで延長いたします。
 その上で、感染防止策と社会経済活動の両立が図られる中で、休業者数・失業者数が急増するなど、雇用情勢が大きく悪化しない限り、段階的に通常の制度に戻していくものとしております。また、現在も一部の学校や施設等において集団感染が見られることもあり、「小学校休業等対応助成金・支援金」や「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金」についても、9月末となっている期限を12月末まで延長することにしています。
 併せて、「新たな日常」の下での経済・社会活動に適合した雇用の実現に向けた総合的な支援の在り方も検討していきたいと考えております。私の方からは以上です。

質疑

記者:
ご説明いただきました新型コロナ対策ですけれども、ちょうど総理からも発表がありました。また、同時に辞任についても正式に発表されたわけですけれども、それについて大臣の受け止めと、新たな取組が発表されたタイミングでの辞任について、新型コロナ対策へ影響はないのかお聞かせください。
大臣:
私も先ほどの総理の会見を見ておりました。その前に閣議においても総理から辞任のご意向を示されたところであります。そうした思いについては総理が記者会見でお話になられました。そういう中にあっても、総理からも話がありましたが、新型コロナウイルス感染症に対する対応をしっかりやっていかなければならない、そういった意味での今後の取組をまとめていく。
 そしてこれは今後になりますけれど、それをしっかり実施をしていく。そうした総理の思いというものも私どもしっかり受け止めて、今申し上げた各施策をしっかりと実現を図っていきたいと思っております。
記者:
こうして総理が辞任されることになったわけですけれども、今後行われる予定の自民党総裁選についてお伺いします。ポスト安倍候補に加藤大臣もおられますけれども、改めて現時点の立候補のお考えはいかがでしょうか。
大臣:
私自身、この第二次からスタートした安倍政権を当初から支えるメンバーの一人として、官房副長官からスタートさせていただきました。その前の選挙の関係でも支援をさせていただいたわけでありますけれども、そうした中でこの安倍政権でしっかり仕事をし、そして国民の皆様の期待に応えていけるように、任期の中においてしっかりと全うできるように、こういう思いでありました。
 また、そういった思いで取り組ませていただいたつもりであります。ただ、残念ながら今回総理の体調ということからご判断されたということで、本当に私個人としては総理の判断ということまでに至る思いというのは非常に重く受け止めることでありますが、やはり残念だという思いもあります。
 そうした中で先ほどの質問もありましたが、総理としても新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組を残していくんだ、しっかり決めてやっていくんだということで、またこういうタイミングになったということでありますから、それを所管する厚労省の担当大臣としてはまさにそのことにまず邁進していきたいと思っております。
記者:
コロナですけれどもPCR検査の拡充に関して、感染が拡大している地域に関して医療機関、それから高齢者施設など幅広くかなり大掛かりなPCR検査をやっていくということでした。この体制は今、現場は対応できる状態にあるのかというのが一点。
 
 それから安倍総理の辞任に関してですけれども、この7年半という期間、厚生労働省にとっても非常に大掛かりなテーマが政権から発出された7年半だったかと思います。
 例えば待機児童ゼロ、介護離職をゼロにするとか、あるいは正規と非正規の違いを無くしていくとか、それから全世代型社会保障、そういった改革がまだ未完のものも多いかと思います。この7年半を振り返って、加藤大臣の評価をお聞かせください。
大臣:
まず最初のPCRに関してですけれども、感染拡大の状況を踏まえてそれぞれの地域において必要な検査を実施していただくことを通じて感染の抑制を図っていきたい。
 そのためにこれまでもPCRの検査能力含めて拡大を図ってきているところでありますし、また唾液等の検体採取についても新たな技術の導入を図っているところであります。
 そうした措置をしっかり進めていく中で、例えば重症化しやすい方たちが多く入っておられる医療機関、あるいは高齢者施設、そういったところにおける感染を抑えていくことが非常に大事だということは、皆さん共有されているわけであります。
 これまでは、その施設等において陽性者が出た場合においてPCR検査をしていくということでありましたが、今回はそれを超えて、地域の感染状況を踏まえて必要であれば全員に対して、しかも定期的にその感染状況が終わるまでしっかりやることによって感染防止を図っていきたいという方針を申し上げたところであります。
 これをどう具体的に進めていくのかというのはそれぞれの地域や施設における取組ということになりますけれども、我々としてもそれを全面的に支援していきたいと思っております。
 例えば高齢者施設において、いざ検査をしようと思っても、その入所者の皆様方がどこかに移動するというのは難しい話でありますから、そこに行って検査ができるようなPCRカーですね、そうした構想も色々言われているわけでありますが、そうした様々な具体的な取組、これを一つ一つ実施をしていく、またこうしたやり方がうまくいっている好事例を横展開することによって、それを広げていく。
 そして我々がそれを支援していく。そうした形でまさに一つ一つということになりますけれども、実行していきたい、実施ができるようにしていきたいと思っております。
 
 それからこの7年半でありますが、今ご指摘いただきましたように、待機児童ゼロ、介護離職ゼロ、働き方改革、そして全世代型社会保障、これは私自身も担当大臣等として深く関わってきたところであります。
 残念ながら待機児童も今の段階ではゼロに至っていません。介護離職についても介護しながら働いている方も増えてきておりますが、一方で離職をされている方々もおられます。
 また介護の現場において働く方々の確保も大変、これは保育所等も一緒でありますけれども、なかなか難しいという状況がある。また、働き方改革については、既に実施している長時間労働の規制に加えて、同一労働・同一賃金について、今、大企業は進め、来年からは中小企業、そういったまさにこれから一つ一つ更に進めていかなければならない課題が残っているというのは事実ですが、こうした方向性については国民の皆様からも強い支持をいただいております。
 また、それを実現する中において働きやすい環境、あるいは子育てしやすい環境、あるいは介護をしながらでも働けるという環境を作っていくということは、今後において、より大事なことだと思っておりますから、今もちろん目の前にある新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んでおりますけれども、しかし同時に今申し上げた課題の一つ一つについても、しっかりとこれから来年度予算要求などにおいて、取り組んでいきたいと思います。
記者:
総裁選に対することについて確認ですけれども、大臣としては新型コロナ対策に専念するために、ご自身の総裁選への出馬は現状では考えておられないということでよろしいでしょうか。
大臣:
それは先ほど申し上げたように、私としては総理もこうして新型コロナウィルス感染症に対する今後の取組ということをまとめることに相当な力を込められておられたわけであります。我々も一緒になって作り上げてきたわけでありますから、まさにこれをこれから具体的に実施していく、そしてそういった中において重症化される方あるいは亡くなる方をできる限り抑えていく。
 あるいは目の前にもうインフルエンザの流行期も近づいてきているわけでありますから、それに対する万全な対策を講じていく、それに全力を傾けたいと思います。
記者:
加藤大臣は安倍総理とまさに一体となってこの第二次政権に取組まれてこられたと思うのですが、安倍総理から直接この辞任について、閣議ではなく個別に伝えられたりしたりというのはあったのでしょうか。
大臣:
総理の口から直接辞任を聞かせていただいたのは、今日の閣議が初めてであります。
記者:
コロナ対応で二点伺います。まずワクチンの関係ですが、来年前半までに国民全員に供給できる分の量を確保すると目標を掲げていて、先ほどモデルナ社のワクチン4,000万回分以上の供給を受けるとお話ありまして、これまで合意した2社と合わせて来年前半までに国民全員という目標は達成できる見通しになるのでしょうか。
 
 もう一点療養の関係で、軽症者・無症状者は宿泊療養・自宅療養を基本とするという件ですけれども、これは徹底するにあたって何か新たな制度を作るというお考えはあるのでしょうか。
大臣:
まずワクチンですけれども、最終契約にはまだ至っておりませんけれども、ファイザー社とアストラゼネカ社、そして今モデルナ社もかなり具体的な交渉をさせていただいておりまして、これまで申し上げたものを単純に足し合わせれば、全国民の皆様の分を超えるワクチンの確保につながってまいります。
 令和三年、来年の前半までの供給ということでありますけれども、現在明らかなのはファイザー社の6,000万人分とアストラゼネカ社の1,500万人分ということでありますが、これから最終契約に向けて最初に申し上げた前半までに国民の皆様が接種し得るワクチンの供給ができるように各社としっかり協議を進めていきたいと思っております。

 それから、医療と宿泊療養、あるいは自宅療養との関係でありますが、これはこれまでも申し上げてきましたように軽症やあるいは無症状の方に関しては、基礎疾患があるとか高齢者であるとかというリスクのある方は別として、基本的に宿泊療養あるいは適切な対応がとれるのであれば自宅療養でもよい、ということは申し上げてきたわけであります。
 それと並行して先ほど申し上げた指定感染症との関係があります。指定感染症についてはお手元に資料をお渡ししておりますけれども、入院の勧告をすること、これは「できる」規定にはなっておりますけれども、法律で「できる」と書いてあるが、「しなければならない」のではないかと受け止められ、それを背景に軽症者でも無症状の方でもあえて入院ということにつながっているのではないか、またそのことが医療機関や保健所の負荷を強めているのではないか、こういうご指摘をいただきましたので、これまでの運用とその趣旨を踏まえて、その運用を、もう少し細かく政令の中に書き込んで、分かりやすいというか、「しなければならない」というような受け止め方がされないような書き方をしていく必要があると思っております。
 その点については分科会でも議論がなされ、私ども厚労省のもとに設置しているアドバイザリーボードの専門家の間でもご議論いただき、それを踏まえて対応していきたいと考えております。

記者:
総理辞任について、コロナ対応を最優先される中において最高責任者である総理が辞められることによって、コロナ対応においても穴ができるのではないか、空白ができるのではないかといった懸念があると思います。加藤大臣におかれては総理辞任の影響をどのようにお考えか教えてください。
大臣:
総理も会見で仰られたように、まさにそういう穴が空かないように今回こうした方針の取りまとめをまずしっかり行った上で、方針を確定すれば後はそれぞれ大臣であったり各役所、主として厚労省等がそれを具体的に実現に努力していくわけであります。
 総理が今回辞任を表明されたことが結果としてその進捗を遅らせることとなったということにならないように、我々として決まったことについてしっかりとその実現を図っていきたいと思っておりますし、また関係者にも働きかけていきたいと思います。
記者:
ワクチンの損失補償の件、救済措置について今回入っていたかと思います。臨時閣議も行ったということですけども、これにより、今後どのよう効果が期待できるのかお聞かせください。また、法的措置は年内に臨時国会で行う方針でしょうか、お聞かせください。
大臣:
損失補償の件ですが、まず前回の新型インフルエンザワクチンの時に調べた時点、2010年の1月時点では、少なくとも20か国以上の国で、新型インフルエンザワクチン購入契約における企業への損失補償条件の存在が確認されているということであります。
 また、我が国においても海外からの輸入ワクチンに関してはそうした対応をとるべく法的な措置も講じたということです。言うなれば、海外のメーカーからみると、そうした損失補償があるということがワクチン供給の一つの前提になっているということなんだろうと思います。
 そういった意味において、これから最終契約に向けて国としてもそうした措置をとるということを明らかにすべく、今回閣議了解を行ったわけであります。最終的なことについては、そもそも、その開発・供給時期、接種開始時期が明らかではありませんが、実際に供給されるまでに、損失補償が法的に担保されるということが必要だと思います。
 逆にいえば、法律が成立して、そういう状況にならないと、供給そのものが日本に入ってこない、あるいは、接種をすることについて合意を得られないということになると思います。
記者:
総裁選の件についての追加で、自民党総裁選の選出の在り方について、国会議員による投票か、それとも党員参加型の投票を行うのか、色々議論がでていますが、党員として、どのようにあるべきとお考えでしょうか。
大臣:
そこは今、自民党の幹事長ほか、幹部の皆さんが議論をなされて、最終的な決定をなされるということだと思います。自民党の中には、本来の党員投票ということと、それから両院議員総会で決めるということがありますが、今回、総理が意向を示された訳であります。
 もちろん「すぐに体調が悪化する訳ではない」と総理がおっしゃっていましたが、やはり、一定期間の中には答えを出していかなければいけない。そのへんも踏まえながら、党の担当する幹部の皆様が答えを出されるんだろうというふうに思います。
記者:
HER-SYSについて伺います。今日取組を示されたわけですが、今日示された取組も同じく、こうした取組の基盤となるのが国内の感染状況を示す基本的な情報です。厚労省として、こうした基本的な情報は、集約はHER-SYSで行うことになっていますが、一方で入力された情報を厚労省としては集計、あるいは分析、そして国民への還元、公表ができていない状態です。
 この状況について、大臣として問題と捉えていらっしゃるか教えてください。
大臣:
HER-SYSについて、元々NESIDという仕組みがありました。これまでにNESIDに入れられた情報、それからHER-SYSがスタートしてから入ってきている情報と2つあります。
 後者のHER-SYSが始まってから来ている情報については、これはリアルタイムでちゃんと入力されているかどうか、あるいは項目が多すぎるから結果的にファックスで保健所が全部入れなければならないという課題があり、これに対しては今、議論をさせていただきますが、少なくともそのHER-SYSとして入っている情報については、今分析などができる状況になっているということです。
 それから、NESIDに入力されたデータをHER-SYSのデータベースに直すためには、自動でデータを転換する作業がありますが、完全に100%きちんと変わるわけではありませんので、ちゃんと転換されているかどうかチェックをするデータクリーニングも今逐次やっておりまして、できたところからはそれを活用できる。
 ただどうしても東京と大阪はHER-SYSに移行する時期が遅いのと、莫大なデータがあるものですから、そこに対して今完全な移行ができていないということです。できるだけ速やかに移行すべく、更に取組を強化していきたいと思います。
 最終的にはそうした入っているデータをしっかり分析し、そしてリアルタイムで新しい情報を入力していただけるよう改善すべき点がある。これについては、医療機関等にヒアリング等も行って、改善すべきところは改善するという方向で、この仕組みによってリアルタイムで情報が入り、我々が分析をしたりそれを皆さん方に状況をお示しし、場合によってはそのデータを使ってそれぞれ皆さん方が更なる分析をしていただく、そういう環境を作っていきたいと思います。
記者:
今大臣、HER-SYSに入力された情報は分析ができていると仰ったと思いますが、分析できているのであれば、どうして公表されていない、あるいは国民に還元されていないのでしょうか。HER-SYSに入力されている情報の中には発症日などの極めて基礎となる、分析に当たって重要な情報も含まれています。
 一方で、発症日の情報については、国が示している統計でも示されていない状況です。この現状については、問題だと思われていらっしゃるのかいないのか、いかがでしょうか。
大臣:
発症日のデータは非常に大事です。いわゆるエピカーブを分析するには、いつも発症日ベースで分析することになっています。先ほど申し上げたように、HER-SYSの問題というよりも、HER-SYSに入力されているデータには、ちゃんと発症日が記入されているものと記入されていないものがあり、これはNESIDのときにも実はそういう課題がありました。
 ですから、それを一つ一つ潰しながら、しかもこれ一つのデータだけでも意味はありますが、全体を通してデータを分析しなければ一つの傾向というのは見ることができないわけであります。今それに向けて、努力をしているということで、制度的にはそれができる形になっているということです。
 それから、分析できていると申し上げたのは、HER-SYSとして入れて、的確な情報として入っているものであれば、それはそこだけを持って分析できる状況にはありますが、分析をしようとするときにそこだけではなくもっと幅広く分析をしたいということになると、そこはまだ十分に過去のデータクリーニングが終わっていないためにできていないというのが、今の状況ということです。
 それに対しては先ほど申し上げた一日も早くデータクリーニング等を実施すると、それからHER-SYS等の入力に対しても、本当に必要なものとできれば必要なものといくつか段階がありますから、今の発症日なんかは必ず入れていただきたいと私は思いますが、そういったことをより切り分けて、しっかり入れていただく体制を早く構築したいと思います。
記者:
繰り返し申し上げるみたいですが、サーベイランス、この感染状況の情報というのは感染対策を作る上での基礎になる情報なわけです。一方で、国として厚労省として日々示している感染状況の統計は、これは自治体がホームページなどで公開している情報を厚労省の職員さんたちが手作業でまとめて、それを取りまとめて発表しているわけです。
 専門家によると、こうしたサーベイラスの仕方をして統計情報を示しているという国はなかなかないと、日本くらいしかないのではないかという厳しい意見もある中で、厚労省の職員さんたちが手作業でホームページから情報を集めて示している現状については、どのようにお考えでしょうか。
大臣:
それは先ほどの取組の中でも申し上げましたけど、やはり感染研なら感染研に様々なデータが集まっていくという仕組みをしっかり構築していく、そのあたりHER-SYSもその一環として取り組んでいるわけですから、そういったことを一つ一つ実施していく、それからかつてのNESIDでも、十分完全に情報が入っていたわけではないし、それから当初の情報は入っていますが、その後その人達がどうなっていったかというのはなかなか追えない仕組みになっていました。
 まさにそれを追える仕組みにしようということでHER-SYSを導入したのであり、そうした取組をさせていただいている。他国との比較については他国の状況が分かりませんが、少なくともそうした意味において、他国に遅れを取らない、あるいは他国より先んじれるように、例えばHER-SYSならHER-SYSの仕組みというものをしっかり進めていきたいと思います。
記者:
最後に、HER-SYSについて、今後何か具体的に現時点で改善すること、決まっていること何かございますか。
大臣:
今のHER-SYSの感染者情報の活用の在り方に関するワーキンググループで、データの精度管理、あるいはHER-SYSの運用改善について集中的に議論を既に2回開催しております。そういったところで議論をしっかりと、早期に答えを出していただいて、すぐできるものとできないものがあると思いますが、すぐできるものは、できるように対応していきたいと思います。
記者:
検査について伺います。これまでコロナの検査、PCRを主体に進めてこられました。ただ今回抗原検査1日に20万件ということを打ち出されて、数の上ではPCRを上回ることになるかと思います。
 検査の主体をPCRから抗原検査に切り替えるということなのか、検査の全体像の中での抗原検査の位置づけはどういうことなのか聞かせてください。
大臣:
検査として、PCR検査と抗原定量検査というもの、簡易な抗原検査キット等があります。それぞれ一長一短がありますから、それを踏まえながら運用していくということです。
 先ほど申し上げたのはインフルエンザ流行期ということであれば、当然、医療機関に来られる方は発熱や何らかの症状がある、いわゆる有症者ということになり、有症者であればこの簡易キットは活用できます。症状のない人について活用することについては、今それができる状況にはなっておりません。従ってインフルエンザ流行期になった時を考えると、早い時間において答えが出てくるという簡便性も含めて、簡易キットというのをしっかり活用していきたいと思っております。
 そもそもインフルエンザの検査そのものも簡易キットでありますから、この2つの簡易キットを上手く活用していくということを考えていて、そういった意味でインフルエンザの流行期における人数等を勘案して、1日20万、要するに20万回検査でき得るような体制を作っていこうということです。
記者:
PCRの場合は首相が1日2万件を目指すと表明されてから、なかなか実現するまでに目詰まりも指摘されて、時間がかかりました。
今回の20万件に向けての準備というか、目詰まりなくやれるためにどのような対策を考えていますか。
大臣:
これは、検体採取して、その場で簡易検査キットに取った検体をいれて、その試薬の液を垂らすことによって判定ができるという、非常に簡易な仕組みです。従って、簡易検査キットをそれぞれの医療機関にどれだけ供給できるかが重要であり、今それぞれ開発ができているところ、あるいは日本国内だけでなくて海外もありますから、そういったところに対して、国内には生産の増強をお願いし、海外からより多くの購入もお願いしていく、そういった措置を取ることによって20万という数字を確保していきたいと思います。
記者:
雇調金についてです。年明けからの段階的な縮減ということで、打ち出されましたけれども、その趣旨について考え方をお聞かせ願います。
大臣:
雇調金について、まず12月末まで特例措置を延長するということを先ほど申し上げさせていただきました。その後については、他の国もそうですが、例えば、雇調金の時に議論になったイギリスの例で言えば、8月から賃金の80%を補償する。社会保険料は雇用主負担。9月は政府70%、10月は60%。順次段階的に、政府負担の割合を下げていくということです。
 各国そうした措置を採っておられる訳であります。ただ、各国が採っているから日本もすぐ採るということではありません。我々は8月からではなくて、まず12月までは現下の雇用情勢を踏まえて、延長しようということを決めさせていただきましたが、将来的には、本来、経済活動を戻していこう、それに向けて今、先ほど申し上げた今後の取組も、感染抑止もありますが、併せてこういう対策をすることによって、経済活動を元に戻していく。
 そして経済活動も戻ってくれば雇用情勢も戻ってくるわけであります。そうすれば当然、特例的な措置ではなくて、本来の措置に戻っていく。これはある意味自然の流れなんだろうと思っています。ただ、「段階的に」と申し上げたのは、いっぺんに本来の姿ではなくて、途中にいくつかのステップということも当然あり得るということで、「段階的に」ということを申し上げているということであります。
記者:
総理辞任についてなんですけども、加藤大臣は総務会長も務められもして、政治家として高みを目指すとおっしゃってこられました。地元からは「総理になって欲しい」という期待の声もあります。その声を今回どのように受け止めておられるかお聞かせ願います。
大臣:
従前からも常に高みを目指して自ら研鑽に努めてきたつもりですが、ただ、この状況について、というご質問がありましたので、この状況においては、私自身、まさにこの新型コロナウィルス感染症に関する今後の取組、まさに総理がこれを取りまとめるまで、体調が悪い中、頑張ってこられたということでもありますから、まさに決められたことを実施すべく、私の与えられた任期の間は、しっかりとそれに専念していきたいというふうに思っています。
記者:
検査の件で2件伺います。地域の関係者を幅広く検査するという記述があるのですが、闇雲に検査するという訳ではないと思うのですが、これはどういうケースを想定されているんでしょうか。
 もう一点、高齢者や基礎疾患を有する方が、本人の希望で検査を行う場合、国が支援するとあるのですが、これは行政検査の枠組みとは別に何か費用を補助するような仕組みを考えておられるのでしょうか。
大臣:
最初の地域の検査について言えば、例えば、既に、夜の繁華街みたいなところを中心にしているとか、これはそれぞれの状況の中で、ご判断いただくことなんだろうと思います。一般的には、お店とか施設の中で陽性者がいれば、そこに関係する人たちを調査している訳でありますが、もう少し幅広くみていくというやり方も当然あるかと思っています。
 そこはそれぞれ地域が設定していただいて、検査していける。色々なやり方を駆使して地域における感染防止に取り組んでいただきたい、そして我々はそれをしっかりと支援していきます、という趣旨であります。
 それから、もう一つの件ですが、感染した場合に重症化するリスクが高い一定の高齢者や基礎疾患を有する方ご自身の希望に応じて、市区町村において検査を行うということでありますから、基本的に疑いがあって行う行政検査とは種類が違うと認識しています。
 従って、行政検査ではありませんから、行政検査のスキームには乗りませんが、それに対しても、国としても支援をしていくということを今回表明させていただいたところであります。具体的な補助のあり方については、今後更に財政当局と詰めていきたいと思いますが、少なくとも一定程度は国が支援していくということであります。
記者:
モデルナの件なんですが、4,000万回分ということなんですが、人数にするとどれくらいなのかご説明いただけますでしょうか。いつ頃をメドにお考えでしょうか。
大臣:
モデルナ社からは4,000万回分ということで、一人2回打つということですから、人数分にすると2,000万人分ということであります。それから先ほど申し上げましたように、ワクチンについては、来年上半期から4,000万回分以上の供給ということを前提に議論しているということであり、それ以上についてはまだ交渉の過程ということであります。

(了)