(令和2年8月25日(火) 11:19~11:43)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭5件申し上げたいと思います。まず一点目は、次のインフルエンザ流行に備えた体制整備でありますが、昨日、アドバイザリーボードにおいて、外来・検査体制の整備、インフルエンザワクチンの接種等の項目について議論していただきました。インフルエンザワクチンについては、4価ワクチン、つまり4種類のウイルスに対応できるワクチンに変更された平成27年以降で最大の供給量となる約3,178万本、人数に換算すればその2倍の人数分を確保できる見込みです。
 申し上げたように、これは平成27年以降最大の供給量です。一方、新型コロナウイルス感染症の流行が懸念される中、インフルエンザワクチンの需要が高まる可能性があると考えています。
 インフルエンザワクチンについては、現状65歳以上の高齢者等が予防接種法に基づく定期接種対象者となっていること、また、8月3日の日本感染症学会の提言で、医療関係者、高齢者、ハイリスク群、小児、特に乳幼児から小学校低学年への接種が強く推奨されるとされていることを踏まえ、明日、26日厚生科学審議会の合同部会を開催して、インフルエンザワクチンの優先的な接種対象者への呼びかけの実施等について、広く専門家のご意見を伺うこととしています。
 いずれにしても、インフルエンザの流行に備え、こうしたワクチン接種、外来・検査体制の整備をしっかり図っていきたいと思います。

2点目ですが、新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAについては、8月24日 17時時点でのダウンロード数が1,464万件となっています。この間、日々増加しています。また、陽性登録は、386人の方から行っていただいております。ご自身が陽性となった中、登録にご協力いただいていることに感謝申し上げたいと思います。
 これについて、今般、接触通知を受けたすべての方に検査を受けていただけるようにいたします。それに伴いご案内方法を変更します。お手元に資料を配布しております。
 具体的には、これまで、症状がある方、あるいは症状がなくても感染者等との接触の心当たりがある方を検査の対象と整理し、それ以外の方はご自身で健康観察をしていただくという流れになっていました。それを今回、それぞれの地域におけるPCR検査体制の整備等も十分に整ってきたことを踏まえて、症状の有無や感染者等との接触の心当たりに関わらず、接触通知のあった方全員に検査を受けていただけるようにすることとしました。
 なお、具体的なアップデートについては、若干時間がかかるため、大幅なアップデートは9月以降に行いたいと思います。それまでの間においても感染者との接触の心当たりをお尋ねする画面の中で、「心当たりがなくても受診を希望しますか」という一文を加え、希望される方には検査をご案内できるよう、暫定的な対応をさせていただくことにしております。
 こちらの改修は明日にも終わる見込みですが、アプリのアップデートをしていただく必要はありません。関連して、8月21日に自治体向けの事務連絡を発出しています。大きく2点です。
 1点目は、COCOAで接触通知を受けた方に対して検査を行う場合は行政検査として行い、検査費用の自己負担を求めないということを明確化しました。なお、本アプリで通知を受けた方については、別途濃厚接触者であると確認された方を除き、検査結果が陰性であれば14日間の健康観察は求めないという考え方を併せてお示ししています。
 2点目ですが、現状では、それぞれの帰国者・接触者相談支援センター等への連絡という形でしたが、これも9月以降、改修により本アプリの画面を変えまして、自治体の状況に応じて直接画面上に検査機関を掲載すること、COCOA専用窓口を設置して検査機関を案内していただくこと等、各自治体の状況に応じてそれぞれの相談先につながる形にしていきたいと思います。
 こうした措置によって、接触通知を受けた方が速やかに検査を受けられる、また検査につながっていただけるようにしていきたいと思います。ただ、自治体ごとに対応は異なりますので、接触通知を受けた方は、アプリの案内に従って、検査機関やCOCOA専用窓口等にご連絡いただくようお願いいたします。
 アプリの活用についてこれまでも申し上げてきたとおり、個人情報を入れず、安心して利用いただける仕組みです。今回通知を受けた方がすべて検査につながっていける仕組みにさせていただいたことをしっかりPRしながら、更に多くの方にダウンロードしていただけるよう努力していきたいと思います。
 この仕組みは皆さんの利用が増える中で感染拡大の防止を図っていくということですので、引き続き積極的なご活用をお願いいたします。

3点目ですが、マスク、アルコール消毒製品の市場供給の改善に伴う対策です。本日、国民生活安定緊急措置法施行令の改正を閣議決定し、8月29日より、マスク及びアルコール消毒製品の転売規制を解除することにしました。
 マスクについては3月15日から、アルコール消毒製品は5月26日から転売規制を図っていたところですが、転売規制は私権の制約であり、規制の根拠である国民生活安定緊急措置法においては、事態の克服に必要な限度で抑制的に規制を設けることが求められています。
 現在、これらの製品については、いずれも供給量が大幅に増加し、市中での購入が可能な状況となっていることから、今般、規制の解除を行うことといたしました。なお、その上で、これらの製品の更なる安定供給の確保のため、メーカー、卸売業者や小売店舗の皆様に対し、改めて、供給力の確保、流通円滑化の取組の継続を要請しております。
 具体的には、メーカーの皆様には、原料・原材料の安定調達も含めた供給力の確保、卸売事業者の皆様には受注量・納入量の調整、小売店舗の皆様には、需給の状況に応じた適切な仕入れや販売を行っていただくなど、安定的な供給への協力を依頼しております。なお、規制の解除後も、需給の状況を注視し、高額転売が横行してこれらの製品の購入が困難な状況となれば、転売規制の再実施を検討するなど、必要な施策を講じていきます。
 なお、このような対応と合わせて、第一線で新型コロナウイルス感染症に対応していただいている医療機関の皆さまを守っていく、また安心していただけるよう、引き続き、医療機関向けのサージカルマスクについては、次の需給の逼迫に備えて国において必要な備蓄を進めること、都道府県や医療機関等の現場備蓄用として、今後感染が再燃した場合に対応できるよう、感染拡大時の1ヶ月分に相当する約8,100万枚を現在無償で特別配布を行っているところです。
 更に、個別に発生する新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関の緊急の需要については、引き続き、G-MISによる緊急要請の仕組みを通じて迅速に対応することとしています。引き続き、マスク等の需給状況や新型コロナウイルス感染症の動向などを踏まえつつ、必要な施策を講じてまいります。

4点目は、一時保護所の環境改善についてです。虐待事案の一時保護については、必要な場合に躊躇なく一時保護を行うとともに、子どもの権利擁護を図り、安全・安心な環境で適切なケアを提供することが重要です。
 そうした中、昨年成立し本年4月に施行された児童福祉法等の一部改正法の附則において、一時保護その他の措置に係る手続の在り方について、施行後1年を目途とする検討規定が設けられました。
 また、先日、8月5日に、社会的養護を経験された方々との意見交換会を行いましたが、私も直接ウェブで話を聞かせていただきました。その中で、一時保護所で保護された経験のある方々からは、私語が禁止されていたことや、学校等に行けないということ、更に、先の見通しが説明されなかったことなどの問題提起をいただいたところです。
 厚労省としては、これまでも一時保護を適切に行うためのガイドラインの作成、施設整備や職員配置の強化のための財政支援の拡充、教育を専門的に行う学習指導協力員の配置促進などに取り組んできましたが、そうした経緯も踏まえ、児童相談所における一時保護の手続等の在り方に関する検討会を来月に立ち上げ、年度内に議論をとりまとめるべく検討を進めていただきたいと考えております。
 この検討会においては、社会的養護の経験者の方にもご参加いただきながら、一時保護所内での適切なケアの在り方、一時保護の開始時や解除時の適正な手続の在り方についても議論を行っていただきたいと考えております。

最後に、大変皆さまにご迷惑をおかけしました、雇用調整助成金のオンライン受付システムについてです。2度にわたるシステムの不具合により稼働早々に運用が停止していました。この間、外部の専門家によるシステム監査を実施し、必要なシステムの改修等を行い、再稼働可能であるという監査人の見解も踏まえて、今般、システムを再開することとしました。
 本日25日12時から、オンラインでの受付を再開したいと思います。ぜひこうした申込みの手段も併せて活用いただきたいと思います。いずれにしてもこのような問題が再び生じることがないよう、安定したシステム稼働に努力していきたいと思います。私の方からは以上です。

質疑

記者:
雇用調整助成金の特例措置、来月末までに迫っておりますけれども、延期の方針や具体的な時期も含めてご所見をお願いします。
大臣:
雇調金については、今回は新型コロナウイルス感染症の特例措置ということで、例えば上限額を1万5,000円に引き上げる、あるいは解雇等を行わない場合の中小企業については10分の10にしていく等の特例措置を設けているところです。また、様々な手続の簡素化も図らせていただきました。この措置が9月30日までとなっております。
 8月23日時点で78万601件の支給決定を行い支給決定額は8月21日時点で9,941億円であり、多くの方にご利用いただいているという認識です。雇用調整助成金の特例措置の延長については、先日自民党から、その前には公明党からも、また様々な団体等からも、国会における質疑においても、延長に関する要請をいただいております。
 こうした要請を踏まえ、特に今月内に決めてほしいと、特に経営戦略、特に労務管理の観点から一定の時間的な猶予もほしいという声もございます。そうしたことを踏まえ、早急に判断していきたいと思います。今政府内で調整をしております。本件の場合には、財源を確保していかなければならないということもありますので、政府内で今そのことも含めて議論しています。
記者:
安倍総理が二週連続で病院に行かれております。検査ということなんですけれども、大臣からご覧になって最近の体調のご様子とか、何か変化を感じることがあれば教えてください。
大臣:
今日も閣議がありましたが、通常の閣議のときとお変わりないと思っております。また、ご本人の検査に関しては、昨日総理が会見されたと承知しています。
記者:
関連して総理の件でお伺いします。今コロナ対策が行われている中で、総理が長年政権とられている中で、こうして病院に何度か行かれるというのは異例なケースだと思いますが、コロナ対策の渦中で政権運営への影響はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
コロナ対策に対しては、総理のところで連絡会議を実施したり、我々も必要に応じて議論、総理とも意見交換しているところです。それと総理の検査のこと、これは我々も人間ドックにいったりするわけですから、必要な検査を行って体調に万全を期して、今お話があった新型コロナ対策をはじめ、総理に様々な課題の先頭に立っていただいていますから、今後引き続きそういった形で当たっていただけるものと考えております。
記者:
接触確認アプリCOCOAについて、ダウンロード者数が日々増加しているということですが、陽性者として登録されるための処理番号が中々保健所から発行されないなどのケースがあるようです。陽性となった人が登録しようという意欲を削いでしまうおそれがあると思うのですが、こうした状況をどう改善していくのか大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
今お話があった通知が保健所の方からきていないという報道があることも承知しています。その状況について、私どもも頻度の高そうな自治体を10くらい、今週中くらいにもヒアリングして実態把握をしたいと考えております。
 いずれにしても、そうしたひとつの目詰まりといってもいいと思いますが、そうしたことがないように、先ほど申し上げた陽性になった方が、これは本人のご対応によりますが、陽性登録をしていただいて、そしてそこで接触者として通知された方がしっかり検査を受けていける仕組みをしっかり作っていくことが、このアプリの活用を広げていくことにつながりますし、またそれが感染の拡大防止につながっていくと考えております。
 その過程において課題があれば、ひとつひとつその課題を早期に解消すべく努力したいと思います。
記者:
インフルエンザのワクチンの関係で、大臣のご見解を確認したいのですが、今年新型コロナもあって需要が高まるというような見通しを示されておりましたが、今回の数量で十分対応できる、混乱なく接種できるよう確保できている認識でしょうか。
大臣:
インフルエンザワクチンについては、製造のやり方の問題もありまして、急に生産量を大きく増やすことは難しいというのが現状です。ただ今回こういった事態がありましたので、メーカーに対してはできる限りの増産と早期の供給をお願いしたところです。
 先ほど申し上げた4価になってからは最大の供給量ということになっていますが、ただ2倍していただいても約6,300万ですから、全人口がということになれば、それまでには至っていないというのはご指摘の通りです。
 従って、例年はこうした数量の中で皆さん接種を受けていただいているわけですが、今年はそれよりも需要が増えていくだろう、それに応じて供給量も増やしていますが、それを超える需要増ということも当然考えられますので、その中でどういった方にどういうふうにやっていただければ良いのかということについて、先ほど申し上げた厚生科学審議会の合同部会、感染症部会、また予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針合同部会、ここで専門家の方々からこれまでのインフルエンザワクチンの接種の方針、それから先ほど申し上げた日本感染症学会の提言、これらを踏まえて御議論いただいて、限られた数量の中でいかに必要な方に混乱なく打っていけるようにするかということで、対策を考えていきたいと思います。
記者:
指定感染症の見直しについて伺います。昨日分科会後の会見で、尾身会長が言及をされておりますけれども、今、現状では2類を超える一部の措置をとられていると思いますが、所管大臣としての問題意識、どの程度の見直しが必要と考えていますか。
大臣:
指定感染症は当初の段階で、いわゆる感染症法2類相当の感染症に対応した措置をそのまま準用した形でスタートし、その後更にこうした対応が必要ではないかというご指摘もありました。それを踏まえて、逐次行える措置を政令で追加してきたという状況ですので、比較はなかなか難しいですが、2類相当を超えた措置も、現行指定感染症で行いうる措置としてこの中に盛り込まれているのが現状です。
 この間、感染症の実態ですとかあるいは現場での様々な対応が見える中で、現在のその措置の政令上の書き方ですと、より例えば入院措置についても、これは入院措置が「できる」と書いてありますが、基本的には陽性であれば入院をしなければならないのではないかという意識、そしてそれが結果として現在の入院の施設の中に、例えば軽症あるいは無症の方も入院を結果的にさせているのではないか、あるいはそれが保健所における負担を増やしているのではないか等、様々な医療機関や保健所における負担につながっているのではないかという指摘をいただいています。
 そうした指摘を踏まえて、我々としても検討すべきではないかということを、昨日のアドバイザリーボード、また分科会でもお話をいただき、結果的にアドバイザリーボードの中で、具体的な中身、今どういうことが課題になっているのかということを含めて御議論いただくことになっていますから、そうしたことも含めて我々としても対応していきたいと考えております。
記者:
見直しの時期のメド、スピード感についてご見解はありますでしょうか。
大臣:
これから検討を始めるので、具体的なメドは経っていませんが、できるだけ速やかに対応していきたいと思います。

(了)