(令和2年8月24日(月曜日)18時07分 於:ミャンマー)

冒頭発言

【茂木外務大臣】それでは始めさせて頂きます。今回パプアニューギニアに続きましてメコン地域の3か国、カンボジア、ラオス、ミャンマーを訪問致しました。いずれの国にとっても、新型コロナの感染拡大以降最初の外国要人の訪問ということになります。新型コロナに関する国際協調、これが重要性を増す中でコロナ以降の日本の様々な取り組みや支援、そして国際協調におけるリーダーシップ、全ての国において高く評価をされました。今回の訪問で訪問先の現地新聞の一面であったりとかテレビニュースでも大きく取り上げてもらいました。今回の訪問では、まず人の往来の再開に関する進展がありました。コロナが落ち着きつつあるカンボジア、ラオス、ミャンマーとの間では長期滞在者の往来を可能とします「レジデンストラック」これを9月上旬に開始することとなりました。また「ビジネストラック」についても早期の開始に向けて事務レベルの協議を加速することで一致を致しました。メコン各国に対する日本の医療支援、経済協力、これを表明し、いかなる時でも日本とメコン、各国との関係が強固であることを確認できたと思います。また、南シナ海問題を始めとする地域情勢についても各国の首脳、そして外相と時間をとってじっくりと議論をし認識の共有を深めることができました。日本が率先して進めている「自由で開かれたインド太平洋」の実現、これについて各国から理解と支持を得ています。メコン三カ国との間で秋のASEAN関連会合も視野に入れつつ、協力の強化に向けた各議論を深めることができた大変有意義な今回の訪問であったとこのように考えております。以上です。

質疑応答

【記者】パプアニューギニアから始まった4か国の歴訪を振り返ってなんですけれども、感染対策ということで同行者相当絞られて現地での報道制限も非常に多かったと聞いていますけれども、こういうコロナの状況でも外国を訪問する意義と逆に大臣が感じられた難しさがあればそれぞれどのように感じておられるでしょうか。

【茂木外務大臣】当然移動制限等々ですね、様々な形での制約というのはありましたが、それを超える大きな成果を上げることはできた。そのように考えております。また、コロナ対策における国際協調の重要性、さらには今日本が進めているリーダーシップについて各国の理解を得ることができた。また、このコロナ下で様々な地域における課題もあるわけでありまして、南シナ海の問題を始め、日本の考えをしっかりと伝え、それに対して理解を得ることができた。このことについては大きな成果であると考えております。
 もちろん、コロナが完全に収束をして、人の行き来が完全に自由になる、こういう時が一日も早く来るということを誰もが願っているわけでありますが、制約がある中でも、一歩でも前に出ながらこういった外交努力を続けていく。やはりこれまで電話会談、各国の外相等と60回近く行ってきております。電話会談・テレビ会談こういったことも一定の効果があると思いますが、直接お会いをして、そして、場合によっては、2時間、3時間と時間をかけてじっくり議論をすること、そして理解を深めることの重要性を改めて感じたところであります。

【記者】本日のミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問との会談の中で、ラカインのロヒンギャの問題をお話しされたと思うんですけれども、大臣の方からICJとか調査団の勧告に基づいて行動することを求められたということなんですけども、これに対して、アウン・サン・スー・チー国家顧問のほうからどういった回答があったのかということ、それから今日本は官民でミャンマーの警察とか軍に対する人権などの教育に取り組んでいると思うんですが、この辺の話というのは出たのでしょうか。

【茂木外務大臣】ラカイン情勢も含めまして、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問、さらには、ミン・アウン・フライン国軍司令官双方とですね、ラカイン情勢の、ラカイン州の状況改善、さらには、避難民の帰還のための環境整備の重要性、会談でも私のほうから指摘をさせていただいたところであります。
 日本として、ミャンマーの民主的な国づくり、官民をあげて全面的に最大限支援していくとお伝えをしたところであります。アウン・サン・スー・チー国家最高顧問からでもですね、経済協力、また国内情勢、ラカイン情勢など日本によります各分野での支援。これに対する感謝の表明、それから、支援の継続に対する期待を表明されたところであります。

【記者】ちょっと音声が途切れてしまったので確認も含めてお伺いをしたいんですけれども、今回のカンボジア、ラオス、ミャンマー各国と南シナ海問題について協議したとのことですけれども、日本が目指す自由で開かれたインド太平洋構想の観点から、今回の3か国を訪問した意義について改めてお聞かせください。
 またですね、自由で開かれたインド太平洋に対して、各国から支持があったと理解してよろしいでしょうか?お願いいたします。

【茂木外務大臣】音声が途切れたということでありますので、改めて冒頭の発言、加えてお話をしたいと思いますが、今回はですね、3か国の訪問では南シナ海問題をはじめとする地域情勢についても各国の首脳及び外相と時間を取ってじっくりと意見交換を行い、認識の共有を深めたところであります。
 日本が率先して進めている「自由で開かれたインド太平洋の実現」について、今回はですね、しっかりと説明をして各国からも理解と支持が得られたところであります。

【記者】大臣がいらっしゃるミャンマーに関してですが、ラカイン州からバングラデシュに避難した人たちの早期帰還の取り組みに関して、日本から具体的にこういった協力ができる、新たな協力ができるというような、提案、申し入れのような物は何か具体的にありましたでしょうか。

【茂木外務大臣】ラカイン州の情勢につきましてはですね、先程申し上げたようにですね、状況の改善、そして避難民の帰還のための環境整備、この重要性を指摘して、日本としてこれまでも協力をしてきましたし、これからも引き続き協力を進めていく、こういうお話をさせていただきました。
 詳細などういう提案をしたか、また、どのような要望があったか、このことについては外交上のやり取りでありますから差し控えたいと思いますが、これまでの継続や協力、先方からも大きな評価があり、今後も日本の協力に期待する旨の発言がありました。

【記者】今回の歴訪全体についてですけれどもメコン3か国そしてパプアニューギニアは中国との関係が伝統的に深い4か国だと思いますけれども、その4か国で日本との二国間関係を強化するべくコロナでの医療支援や経済支援などを今回確認されてきたということで、この時期にこの地域での日本の存在感を高める意義と狙いについて教えてもらえればと思います。

【茂木外務大臣】メコン3か国に限らずメコン地域やさらには国際社会全体にかかわる問題でありますが、今、コロナの中で様々な課題があるわけです。そういった課題にですね、国際協力が必要であること、また日本はその国際協力の先頭に立つ、こういったことをしっかり表明できた、このことは大きな意義があったと思っております。地域の情勢につきましても冒頭申し上げたようにですね、時間をとって先方の首脳、そして外相とですね、意見交換をし、日本の考え方についても十分理解や支持が得られた、このことは大きな成果だったと思っております。

【記者】ラカイン情勢について一つ伺いたいのですが、日本政府は引き続きミャンマー政府に寄り添った立場をとっていくという風に伺っていますけれども、これに対しては一部の国際NGO等からもミャンマー側に寄りすぎではないかという批判も出ています。この国際社会のなかで日本としては改めてどのようにこうした批判に反論していくのかお聞かせいただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】先ほどお答えをしたとおりでありますが、日本としてですね、このラカイン州の状況改善、それから避難民帰還のための環境整備の重要性を指摘をし、先方からもですね、できる限りの努力をしたいと表明があったわけであります。やはり、ミャンマー政府が進めている様々な取り組み、自らの取り組み、後押しすることが極めて重要であると思っております。

【記者】ビジネストラックとレジデンストラックの再開について確認させていただきたいのですが、ちょっと冒頭聞こえにくいところがありまして。今日のミャンマーとの・・・

【茂木外務大臣】すみません、細かいところは事務的に確認していただけますか。

【記者】わかりました。