総務省・新着情報

報道資料
令和2年8月20日
光回線の事業者変更の案内との誤認を招くISPサービスの不適切な勧誘等に係る株式会社Never Stageに対する指導等

総務省は、本日、株式会社Never stage(代表取締役 佐藤 未輝矢)において、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第26条第1項に規定する提供条件の説明義務その他の同法の規定への違反が認められたことを受け、同社に対し、同法の遵守を徹底することなどについて指導しました。なお、本件に関して、同社がその業務を委託していた販売代理店は、総務省が本年6月18日に行政指導を行ったことを公表した株式会社HSC及び株式会社ベンチャープランニングであったことが確認されています。

1.事案の概要及び指導の内容

(1)株式会社Never Stage(以下「Never Stage」という。)が消費者向けに提供するISPサービスである「ニューネット」(以下「本件サービス」という。)(※)に関して、総務省及び全国の消費生活センターに多数の苦情相談が寄せられました。その中には、自らを大手の電気通信事業者又はその販売代理店であるかのように名乗る等の行為により、利用者をこれらの者からの勧誘を受けていると誤認させた状態で勧誘を行っていたと考えられる事案など不適切な事案が多く含まれていました。

※Never Stageが、株式会社アイコムから卸売を受け、消費者向けに提供するISPサービス。

(2)上記の苦情相談を踏まえ、その法令遵守体制等を確認するために、Never Stageに報告を求めたところ、電気通信事業法(昭和59年法律第86号。以下「法」という。)第26条第1項(提供条件の説明義務)で規定する説明書面について、基本説明事項を記載していない書面を用いていることが判明しました。このことから同項の規定への違反が認められました。

(3)また、本件サービスに対して寄せられた苦情のうち、本件サービスを取り扱う販売代理店であった株式会社HSC(※)が行った電話勧誘について、別紙のとおり、法第27条の2第2号(自己の名称等又は勧誘である旨を告げずに勧誘する行為の禁止)の規定への違反が認められました。

※株式会社HSCについては本年8月5日付けで、法73条の2第4項に基づく媒介等の業務廃止届出書が提出されました。

(4)加えて、Never Stageとその販売代理店との間で連携を適切に行っていなかった結果、当該販売代理店から訪問販売を受けた際に契約の申込みを断った利用者に対して、本件サービスを提供している事実がないにもかかわらず、その利用料金の請求を行っていた事実が判明しました。

(5)これらの行為は、Never Stageがその販売代理店に対して委託した業務が適切かつ確実に遂行されるために必要な措置を講じていなかったことにより行われたものです。このため、法第27条の4(媒介等業務受託者に対する指導等の措置)の規定への違反が認められました。

(6)これらの状況から、総務省はNever Stageに対して法の遵守を徹底することなどについて指導しました。

(Never Stageに対する指導の主な内容)
ア.法第26条第1項及び第27条の4の規定の遵守徹底
法第26条第1項(提供条件の説明義務)及び第27条の4(媒介等業務受託者に対する指導等の措置)の規定の遵守を徹底することとし、販売代理店においては法第27条の2第2号(自己の名称等又は勧誘である旨を告げずに勧誘する行為の禁止)の規定の遵守が徹底されるよう措置を行うこと。

イ.再発防止措置の実施及び実施状況の報告
Never Stageが提供する電気通信サービスにおいて、今後このような不適切な事案が生じることがないよう、上記の指導を踏まえ、再発防止措置を速やかに講じ、当該再発防止措置の内容については、令和2年9月16日(起案者注:文書発出日から起算して1か月が経過する日)までに、総務省へ文書で報告すること。

2.利用者の皆様への御注意のお知らせ

今般、光回線等の契約変更に係る手続を利用し、東日本電信電話株式会社/西日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本/西日本」という。)等の大手の電気通信事業者又はその販売代理店からの勧誘を受けているとの誤認を利用者に与えた上で、利用者に十分な認識がないままに自社が提供するサービスの契約を締結させるといった事例が確認されています。このため、電気通信サービスの利用者の皆様におかれましては、電気通信サービスの勧誘を受けた際には、対象となる電気通信サービスを提供する電気通信事業者の名称や契約するサービスの内容、料金(解約料金や手数料を含む。)等を確認することを心がけ、希望しない契約を結んでしまうことがないよう、十分に注意してください。具体的な勧誘手法については以下(1)及び(2)のとおりとなります。
(1)光回線の事業者変更の案内との誤認を招くISPサービスの勧誘
令和元年7月1日から、NTT東日本/西日本から光回線サービスの卸売を受けた卸先事業者(以下「光コラボ事業者」という。)の光回線サービスを利用している方が契約先事業者の変更を希望する場合、電話番号及び光回線サービスの継続利用を可能とする形式で、当該光コラボ事業者から他の光コラボ事業者又はNTT東日本/西日本へ移行することを可能とする「事業者変更」の手続が開始されています。
そのような中で、今般、Never Stageにおいて、本件サービスについて以下のような勧誘手法が確認されました。
(1) 光コラボ事業者と契約している利用者を対象に電話勧誘を行い、当該利用者に対してISPサービスの案内であると告げた後すぐに、「光回線サービスをNTT東日本/西日本が提供するサービスに変更する「事業者変更」の手続をとれば料金が安くなる」と告げ、あたかも光回線の案内であるかのように装った上で、光回線サービスの料金等を案内する。
(2) 光回線サービスの乗換を承諾した利用者に対してISPサービスの契約が別途必要になるとして、自社が提供する本件サービスの説明を行う。その際、事業者変更の詳細な手続やサービスに係る設定等は訪問時に行うと告げ、訪問の約束を取り付ける。
(3) 訪問時、事業者変更の手続(現在契約中の光コラボ事業者及びNTT東日本/西日本への連絡に係る手続等)を説明し、その場で本件サービスの設定を行う。
上記の勧誘手法においては、勧誘の冒頭に「事業者変更」の案内が行われるため、利用者がNTT東日本/西日本又はその販売代理店からの勧誘を受けているとの誤認に陥り、十分な認識がないままに、Never Stageが提供するISPサービス及びISPサービスに付随するオプションサービスを締結してしまったという苦情相談が寄せられています。
なお、総務省及び消費生活センターには、Never Stage以外にも同様の勧誘手法をとる電気通信事業者等に対する苦情相談が寄せられており、それらの電気通信事業者等について、電気通信事業法の規定に違反した不適切な勧誘が確認されたことから、本年6月12日及び18日に総務省から行政指導を行ったことを報道発表しております。
(参考:同様の勧誘手法をとる電気通信事業者等に対するこれまでの指導例)
令和2年6月12日報道発表資料「光回線の事業者変更の案内との誤認を招くISPサービスの不適切な勧誘等に係る株式会社イースプラント及び同社の販売代理店株式会社NLINKに対する指導等」(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_03000318.html
令和2年6月18日報道発表資料「光回線の事業者変更の案内との誤認を招くISPサービスの不適切な勧誘等に係る株式会社クライアンフ並びに同社の販売代理店株式会社HSC及び株式会社ベンチャープランニングに対する指導等」(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_03000320.html
※ 株式会社クライアンフの販売代理店として不適切な勧誘を実施していたため、総務省が行政指導を行った(本年6月18日付け 報道発表)株式会社HSC及び株式会社ベンチャープランニングについては、Never Stageの販売代理店でもあったことが確認されています。
(2)「固定電話の設備切替」等に便乗した虚偽の情報に基づく販売行為
NTT東日本/西日本においては、固定電話(加入電話・INSネット)の契約数等が減少し、電話サービスのために用いられている公衆交換電話網(PSTN)の設備(中継交換機・信号交換機)が2025年頃に維持限界を迎えることから、2024年1月以降に固定電話の設備切替を予定しています(いわゆるアナログ回線からIP網への移行)。
IP網への移行後も現在使用中の電話機や電話番号はそのまま使用することができ、設備切替に伴う手続や工事も不要にもかかわらず、事業者からこの設備切替に乗じて「デジタル電話への設備切替が必要になる」等のセールストークを受け、本来不必要である光回線の契約を締結させられた、という苦情が寄せられています。
また、今般、総務省及び消費生活センターに寄せられている苦情相談においては、光回線を利用している高齢者等に対して、大手通信事業者の名前を騙り、「インターネットを利用しないなら光回線は解約して、回線をアナログ回線に戻した方がいい」とセールストークを行い、利用者にとって不必要なサポートサービスを認識がないままに契約させる、といった勧誘手法も確認されています。

連絡先
総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第一課
担当:原田消費者行政調整官、石塚官
電話:03-5253-5488 FAX:03-5253-5948

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