令和2年8月6日

 8月6日(現地時間5日)、パラグアイ共和国の首都アスンシオンにおいて、我が方、石田直裕駐パラグアイ共和国日本国特命全権大使と先方アントニオ・リバス・パラシオス・パラグアイ共和国外務大臣(H.E. Mr. Antonio Rivas Palacios)との間で、供与限度額91億3,000万円の上下水道整備のための円借款(「シウダ・デル・エステ都市圏水及び衛生計画」)及び供与額3億円の保健・医療関連機材のための無償資金協力(「経済社会開発計画」)に関する書簡の交換が行われました。

1 円借款「シウダ・デル・エステ都市圏水及び衛生計画」
 【供与限度額91億3,000万円】

(1)案件の概要
 本計画サイトのシウダ・デル・エステ都市圏は、パラグアイ東部アルト・パラナ県に位置し、人口40万人の同国内第二の都市圏を形成しています。
 パラグアイ全国における上水道普及率は78%、下水道普及率は11%、下水処理率は2%に留まっています。また地域間格差も大きく、アルト・パラナ県の上水道普及率は39.7%、下水道普及率は2.3%、下水処理施設はなく、国内第二の都市圏を有するにもかかわらず、上下水道サービスの普及が全国に比して著しく低水準に留まっています。
 本計画は、上記の状況を踏まえ、パラグアイ政府によるシウダ・デル・エステ都市圏におけるエネルギー効率の高い上下水道施設の新設・改修を支援します。安全かつ効率的な上下水道サービスの提供を通じて、同地域の生活環境の改善が期待されます。
 また、この計画は米州開発銀行(IDB)との再生可能エネルギー及び省エネルギー分野向け協調融資(COREスキーム)の下で実施します。

(2)円借款案件の供与条件

(ア) 金利 1.35%(下水道部分は1.15%)(コンサルタント部分は0.01%)
(イ) 償還期間 30年(10年の据置期間を含む。)
(ウ) 調達条件 アンタイド

2 保健・医療関連機材の供与を通じた新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた支援(無償資金協力「経済社会開発計画」)
 【供与額3億円】

(1)パラグアイにおいては、本年3月7日の初の感染者確認以降、感染者数は日々増加しています。同国の保健医療システム、特に地方医療体制が脆弱であり、今後のさらなる感染拡大におけるリスクは高く、同国の保健・医療体制の強化が喫緊の課題となっています。本計画は、パラグアイに対し、小型救急車や移動式X線撮影装置といった保健・医療関連機材を供与することを通じて、同国の感染症対策及び保健・医療体制の強化に寄与することが期待されます。

(2)新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大は、人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日、日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり、まさに人間の安全保障に直結した世界全体にとっての深刻な危機として国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ、保健・医療体制が脆弱な途上国における感染拡大防止は、在留邦人の健康・安全に直結するのみならず、我が国への感染症流入を予防する観点からも極めて重要であり、我が国の経済・社会にも大きく影響し得る喫緊の課題です。

(3)我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく保健・医療体制が脆弱な国々を支援していきます。更に、この支援が、一人ひとりの健康を含む人間の安全保障を推進するとともに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(PDF)別ウィンドウで開くの実現を含むSDGs達成別ウィンドウで開くのための基盤づくりに役立つことを期待しています。

[参考]パラグアイ共和国基礎データ
 パラグアイ共和国は、面積約41万平方キロメートル(日本の約1.1倍)、約696万人(2018年世界銀行)。人口1人当たりの国民総所得(GNI)は約5,680米ドル(2018年、世界銀行)。