2020年7月31日

ESG投資が拡大するなか、投資家が企業の気候関連のリスクと機会を適切に評価できるような企業の情報開示フレームワークの重要性が増しています。経済産業省が2018年12月に策定した「気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFDガイダンス)」について、民間主導で設立されたTCFDコンソーシアムがその改訂作業を引き継ぎ、本日、「TCFDガイダンス2.0」として公表されました。
また、経済産業省では引き続きTCFD提言への対応を推進するため、2020年10月9日にTCFDサミット2020を開催する予定です。

1.背景

2015年12月に採択されたパリ協定を受け、金融業界を中心に、気候変動が投融資先の事業活動に与える影響を評価する動きが世界的に広まっています。「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD; Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」は2017年6月に最終報告書(TCFD提言)を公表し、経済産業省では2018年12月にその解説書として、「気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFD ガイダンス)」を公表しました。

これを契機にTCFD提言への対応に向けた機運が高まり、民間主導で2019年5月にTCFDコンソーシアムが設立され、企業の効果的な情報開示や開示された情報を金融機関が適切な投資判断に繋げるための取組が議論されています。

こうした議論を踏まえ、本日、TCFDコンソーシアムは、経済産業省が作成した「TCFDガイダンス」の改訂作業を引き継ぎ、「TCFDガイダンス2.0」として公表しました。 

2.TCFDガイダンス2.0の概要(主な改訂内容)

本ガイダンスは、企業がTCFD提言に沿った開示をより充実させることを目的として策定されており、主に以下の点を中心に改訂されています。

  1. 近年のTCFDに関する国内外の知見やデータを踏まえた解説の拡充

  2. 業種別ガイダンスの追加(食品、銀行、生命保険、損害保険)

  3. 事例集において、日本企業を中心にTCFD開示事例を拡充 

また、TCFD開示の促進に向けては国際的にも様々な議論が行われていますが、TCFDコンソーシアムからは、更なるTCFD開示の促進に向けたメッセージ(よりdecision-usefulなTCFD開示の促進に向けて)も同時に公表されています。

3.TCFDサミット2020の開催

経済産業省は、2019年10月、世界の先進的な取組を行っている産業界・金融界のリーダーが集結し、TCFDの課題や今後の方向性をすることを目的として、世界初となるTCFDサミットを開催しました。全世界では1,350以上の機関が、サミットをひとつのきっかけとして、日本では290機関(2020年7月27日時点)がTCFDに賛同しており、世界最多となりました。情報開示の内容も年々進展しています。

「環境と成長の好循環」の加速に向けて、TCFD提言を実務に定着させるための国際的な議論を日本がリードしていくために、今年も10月9日にTCFDサミット2020をオンライン開催する予定です。TCFDサミット2020では、TCFDコンソーシアムが公表した「TCFDガイダンス2.0」、「よりdecision-usefulなTCFD開示の促進に向けて」についても、議論を行う予定です。
 

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