2020年7月31日

経済産業省は、事業再編研究会における議論等を踏まえ、新たに「事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~」を策定・公表します。

1.背景・趣旨

経営環境が急激に変化する中、企業が持続的な成長を実現していく上では、経営資源をコア事業の強化や成長事業・新規事業への投資に集中させることが必要であり、このような経営資源の移行を円滑に進めるためには、事業ポートフォリオの見直しとこれに応じた事業再編の実行が急務となっています。

しかしながら、日本企業において事業ポートフォリオ検討の必要性について認識が高まりつつあるものの、合併・買収(M&A)と比較すると、事業の切出しに対しては消極的な企業も多く、必ずしも十分に行われていない状況にあります。

こうした現状を踏まえ、「新たな成長戦略実行計画策定に関する中間報告」(令和元年12月19日未来投資会議)において、「企業価値向上のためのスピンオフを含めた事業再編を促進するため、取締役会の監督機能の強化等の在り方について指針をとりまとめる」との方向性が示されました。

これを受け、経済産業省では令和2年1月より事業再編研究会(座長:神田秀樹 学習院大学大学院法務研究科教授。以下、「本研究会」という)を設置し、同年1月から5月末まで計6回にわたり、持続的な成長に向けた事業再編を促進するため、経営陣、取締役会・社外取締役、投資家といった3つのレイヤーを通じて、コーポレートガバナンスを有効に機能させるための具体的な方策について検討を行いました。

令和2年7月17日に閣議決定された「成長戦略実行計画」において、「スピンオフを含む事業再編を促進するための実務指針を策定し、企業に対応を促す」との方針が示されたことも受け、本研究会の議論をまとめる形で「事業再編実務指針~事業ポートフォリオと組織の変革に向けて~」を策定しました。

2.事業再編実務指針について

本指針は、コーポレートガバナンス・コード(以下「コード」という)との整合性を維持しつつ、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資する形でコーポレートガバナンスを実践するためにコードを補完するものです。

本指針は、昨年策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」(2019年6月28日)の事業ポートフォリオマネジメントに関する議論を前提に、特に事業再編に焦点を当て、経営陣における適切なインセンティブ、取締役会による監督機能の発揮、投資家とのエンゲージメントへの対応、事業評価の仕組みの構築と開示の在り方を整理するとともに、事業の切り出しを円滑に実行するための実務上の工夫について、ベストプラクティスとして示しています。

具体的には、第2章が経営陣、第3章が取締役会・社外取締役、第4章が投資家とそれぞれのレイヤーごとに、コーポレートガバナンスを機能させるための具体的な取組等を整理しており、第5章では事業の切出しを円滑に実行するための実務上の工夫についてまとめています。

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担当

経済産業政策局産業組織課長 安藤
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