2020年7月27日

特許庁は、近年注目されているAI(Artificial Intelligence:人工知能)関連発明の特許出願について、国内外の状況を調査しました。

1.背景

特許庁は、深層学習(ディープラーニング)を中心としたAI技術の発展に伴う、AI関連発明(※1)の特許出願に対する関心の高まりを受け、2019年7月にAI関連発明の特許出願について国内外の状況を調査し、その調査結果を報告しています。この度、2020年4月までに新たに公開された出願のデータをもとに調査結果を更新しました。

※1 AIのコア技術に関する発明(国際特許分類G06Nに対応するもの)に加え、AIを各技術分野に適用した発明を含めたもの。

2.調査結果概要

(1)AI関連発明の国内特許出願件数は、第三次AIブームの影響で2014年以降急増しており、2018年は約4,700件(前年比約54%増)でした。そのうち、AIのコア技術に関する出願は、約1,500件(前年比約65%増)でした。

図1 AI関連発明の国内特許出願件数の推移

(2)近年のAI関連発明に用いられている主要な技術は機械学習です。その中でも深層学習(ディープラーニング)に言及する出願は2014年以降急増しており、2018年の国内のAI関連発明の特許出願は、半数以上が深層学習に言及するものです。

図2 深層学習に言及するAI関連発明の国内特許出願件数の推移

(3)AIの適用分野としては、画像処理や情報検索・推薦、ビジネス関連、医学診断分野が目立っています。また、近年は特に制御・ロボティクス、医学診断分野への適用が増加しています。

 

図3 AI関連発明の適用分野の推移(2018年の出願件数を分類毎に表記)

(4)AIのコア技術に関する出願は、五庁(日本、米国、欧州特許庁、中国、韓国)及びPCT国際出願(※2)のいずれにおいても増加傾向であり、中でも米国と中国の出願件数は突出しています。

※2 1つの出願願書を条約に従って提出することによって、PCT加盟国であるすべての国に同時に出願したことと同じ効果を与えるもの。

図4 五庁及びPCT国際出願における、AIのコア技術に関する出願件数の推移
(JP:日本、US:米国、EP:欧州特許庁(EPO)、CN:中国、KR:韓国、WO:PCT国際出願(出願人国籍問わず))

(5)AIのコア技術のひとつである、ニューラルネットワークに関する出願も増加しています。これらの出願のうち、深層学習関連の出願の割合が各国で年々上昇しており、特に米国、日本に対する出願では、その割合が高くなっています。

図5 五庁及びPCT国際出願における、ニューラルネットワークに関する出願件数の推移
(JP:日本、US:米国、EP:欧州特許庁(EPO)、CN:中国、KR:韓国、WO:PCT国際出願(出願人国籍問わず))
 

図6 五庁及びPCT国際出願における、ニューラルネットワークに関する出願のうち、出願書類中に深層学習関連用語を含むものの割合の推移(JP:日本、US:米国、EP:欧州特許庁(EPO)、CN:中国、KR:韓国、WO:PCT国際出願(出願人国籍問わず))

3.詳細な調査結果

下記リンクを参照してください。

担当

特許庁 審査第四部 審査調査室
担当者: 山口、岡北

電話:03-3581-1101(内線3505)
03-3580-6917(直通)
03-3501-0637(FAX)