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第37回独立行政法人評価制度委員会 評価部会 議事録

日時

令和2年度7月16日(木)14時から16時まで

場所

中央合同庁舎2号館9階 第3特別会議室

出席者

(委員)樫谷隆夫評価部会長、原田久部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、高橋伸子委員、浜野京委員、河合晃一専門委員
(事務局)吉開官房総括審議官、辻管理官他

議事

中(長)期目標の変更について(諮問案件)
令和元年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の点検について
令和2年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る調査審議の状況について
その他

配布資料
議事次第
資料1-1 資料1-2 資料1-3 資料1-4
参考資料1
参考資料2

議事録

【樫谷部会長】 ただいまから、第37回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開会します。
本日は、天野委員、河合専門委員はウェブ会議で御参加いただいております。
また、本日の会議は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、密を避ける観点から、傍聴者には別室で会議の模様を中継し、モニターで視聴していただくことになっております。
それでは、議題1の中(長)期目標の変更について、審議を行いたいと思います。
事務局から御説明をお願いします。
【辻管理官】 本日は、諮問案件が4件ございます。
まず、各担当管理官から御説明いたします。
【栗原管理官】 厚生労働省担当でございます。よろしくお願いいたします。
本日は厚生労働省関係で、国立研究開発法人医療基盤・健康・栄養研究所の目標変更について御説明します。
本法人でございますが、主な業務として3点ございます。1点目が、医薬品等の開発に資する基盤的な技術の研究。2点目が、民間企業などが行う医薬品等の試験研究に対する補助金の交付や指導助言といった研究開発の振興関係の業務。3点目として、健康・栄養分野に関する調査研究・情報発信といった業務を行っております。今回のこの目標変更につきましては、このうち2番目の研究開発振興の業務についてでございまして、その対象となる医薬品等の種類を追加するというものでございます。
背景といたしましては、昨年、「医薬品・医療機器等の品質・有効性及び安全性の確保等に関する法律」、俗に薬機法と呼ばれる法律が改正されました。なじみがありますのは薬事法というものがあったと思います。こちら、平成25年に薬事法が改正されまして、再生医療等製品というものが法の対象に加わりました。そのときから、これは薬機法という名前になっております。その後、昨年改正が行われまして、医療上特に必要性が高いものとして、従来から本法人による試験・研究の助成の対象であった「希少疾病用医薬品等」に加えて、新たに「特定用途医薬品等」というのが追加されたものでございます。
では、この追加された特定用途医薬品等というのは何かと申しますと、例えば小児用法・用量が設定されていない医薬品といったように、医療上の必要性が高いにもかかわらず、市場が小さくてなかなか採算が取れないといった理由から開発が進んでいない、あるいは需要が著しく充足されていないということで、厚生労働大臣が告示で指定するというものになってございます。
このような特定用途医薬品等につきまして、企業による研究開発を促進するために、この法改正の際に本法人の根拠法も併せて改正されましたので、従来からの希少疾病用医薬品等に加えまして、特定用途医薬品等についても法人の試験・研究助成等の対象とされたところでございます。これらの法律が本年9月に施行予定であることを踏まえて、今回中長期目標を変更して、法改正に合わせる形で、目標の「医薬品等の開発振興」の項目に「特定用途医薬品等」を追加するということが改正内容でございます。
このほか、併せて今回の目標変更の機会を捉えて、目標策定指針にありました人材確保・育成に関する方針について、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律に基づき作成された方針を活用することということと、それから、研究開発成果の実用化とイノベーション創出を図るため、同法に基づく出資等を活用することといったことも改正する内容となっております。
本法人についての説明、以上でございます。
【秋山管理官】 2つ目でございます。経済産業省関係でございます。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)でございます。
目標は、平成30年度から5年間の期間となっております。JOGMECは、資源エネルギー開発の中心的役割を果たす法人でございますが、国際エネルギー情勢の緊迫化を踏まえたLNGの調達先の多様化、あるいはレアメタル獲得競争の激化を踏まえた金属・鉱物の安定的な供給確保が重要になっております。
これらに対応する形で、今年の通常国会におきまして、強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律が改正され、先月、6月に施行されております。その中で、石油天然ガス及び金属鉱物におけるリスクマネーの供給機能の強化、あるいは緊急時の燃料調達の業務が追加されるということで、JOGMECに新しい業務あるいは役割が生じたところでございます。
主な追加業務につきまして、法改正事項だけ簡潔に御紹介をいたしますと、LNG事業の支援強化は、従来あります炭鉱開発事業への資金面の支援に加えまして、新たに貯蔵という積替・貯蔵基地の整備に必要となる資金面での出資、債務保証の実施を新たに行えるようにするものでございます。
また、金属・鉱物については、新たに鉱山における採掘に付随をしない製錬事業に対する資金面の支援・出資・債務保証を実施するものでございます。諸外国でも新たなビジネスモデルとなっており、スケールメリットを追求する、あるいは鉱山の操業リスクを遮断するような形で製錬所の整備の支援として新たに取り組んでいくものでございます。
最後に緊急時の調達そのものの関係でございますが、電力の供給安定の確保に支障が生じるような場合、この法改正の契機の一つになった昨年の千葉等における大きな停電等の大規模被害のような際には、あらゆる措置を尽くすということで、この緊急時においては発電用燃料についての調達業務そのものを、経済産業大臣の要請に基づきましてJOGMECが実施をしていくというものです。以上が、主な追加業務3点でございます。
目標の変更箇所でございますが、LNGの関係ですと、ロシア・北極圏といった高リスクの国、あるいは地域からの新たな輸送ルートの開発に関する案件の支援を実施するという貯蔵事業を追加するものでございます。エネルギー調達多様化の経営方針に沿った取組と承知しております。
レアメタル関係でございますが、先ほど申したような採掘に付随しない製錬所といったものを支援対象として追加するとともに、特定国の依存が特に高く供給リスクの懸念があるような重要な鉱物資源については、特にアフリカ等高リスク国における案件を支援に追加していくというものでございます。レアメタルでございますので、我が国競争力の維持強化のために必要不可欠なものだと承知しております。
最後に、先ほどの調達業務そのものでございますけれども、こちらにつきましては、緊急時におきまして大臣の要請で調達を行うことが定められて、これは来年の12月までの間に施行と承知しておりますけれども、それに向けまして必要な体制、検討チームの組成等を行っていきたいという旨が目標の中に書いております。
人材の育成確保の関係については、全体方針を踏まえた位置づけとなっております。
全体として、カントリーリスクの高いもので、民のみでは対応できないものについて、民の補完あるいは支援を行うというものです。
以上です。
【千代管理官】 国土交通省については2法人ございます。
1つ目が、鉄道建設・運輸施設整備支援機構でございまして、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律という法律が改正されたことの中で、大きく分けて2つの目標変更でございます。
1つ目は、地域公共交通というものに対しての出資等ということで、項目としては、地域の足という部分と都市鉄道というものと2つありますが、人口減少においてその地域の足の確保が非常に課題になっているということもございますし、あるいはインバウンドの増加に伴いまして、空港からの交通手段の効率性が魅力の一つとして都市間競争において非常に重要になっているということで、それらに対しての支援を行うものでございます。
このうち、1つ目の地域公共交通出資等というのは、認定軌道運送高度化事業等の実施に必要な資金の出資・貸付けを適切に行うというもので、後述の都市鉄道融資の項を追加する関係で、一部記述の変更を行うもの。2つ目の都市鉄道融資としまして、新たに認定地域公共交通利便増進実施計画に定められた都市鉄道に係る鉄道施設の建設に必要な資金の貸付けを適切に行うという業務を追加するもので、鉄道インフラの整備に対する貸付を行うというのが1点目でございます。
それから、2点目は物流ですね。これも今、宅配の増加や、また地球温暖化対策の取組の強化ということで、効率化が求められており、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律というものがございまして、この法律に基づく認定総合効率化事業の実施に必要な貸付けを適切に行うということを追加しております。その他業務運営に関する事項として、人材確保・育成方針の策定というのはほかの法人と同じです。これらの目標変更を行いたいというのが、鉄道建設運輸施設整備支援機構の目標変更の概要でございます。
それから、もう一つの法人が都市再生機構で、従来の都市再生機構の業務と非常に似通っている部分もありますが、公営住宅だけではなく、民間のマンションの老朽化が非常に進んでいるということで、他方でいろいろと老朽化したマンションは、建替えがなかなか進まないということで、その管理の適正化や除却による建替えなどを進めるために、マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律を改正したことに伴い、都市再生機構の従来の公営住宅の建替えや都市再生の事業と非常に似通っている部分である、このような民間のマンションの建替え・除却に対して、調査、調整、技術の提供を行うマンション再生コーディネート業務を追加したということでございまして、目標変更案では、マンションの管理者等からの委託を受けた場合において、老朽化等により除却する必要がある分譲マンションの再生に向けたコーディネートを実施することというのを付け加えたいということでございます。
その他業務運営に関する事項として、人材の確保・育成に関する方針についても反映するということでございます。
以上でございます。
【樫谷部会長】 ただいまの事務局の御説明につきまして、御意見・御質問ございましたら御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、本件については、意見なしとさせていただくことで御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【樫谷部会長】 ありがとうございます。それでは、本件については異議なしとして整理させていただきます。事後の処理につきましては、部会長の私に御一任いただくことにさせていただきます。
次は、議題2の令和元年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の点検についてということで、事務局から御説明をお願いします。
【辻管理官】 例年8月を目途に、各主務大臣により87全ての法人、準用法人を含めると88の法人ですが、それらの法人について、前年度1年間の各法人の業績の評価、いわゆる年度評価、それから前年度見直し対象であった法人についての前年度末に終了した目標期間における各法人の確定した業績の評価、いわゆる期間実績評価、それから中長期目標期間の途中において法人の長の任期が前年度末に終了した国立研究開発法人についての当該中間期間における業績の評価、いわゆる中長期目標期間中間評価が行われまして、評価結果が公表されています。
今年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、主務省からの評価書等の提出が例年よりも後ろ倒しになることが見込まれているところですが、これらの評価結果につきましては、例年同様、独立行政法人通則法第12条の2第1項第6号において「評価の実施に関する重要事項を調査審議し、評価の実施が著しく適正を欠くと認めるときは、主務大臣に意見を述べること。」とされていることに基づき、委員会で点検を行うということとしております。
今後、今年度の点検作業を進めていくに当たり、事務局においてあらかじめ心得ておくべき点検の観点につきまして、御意見がございましたら、この機会に御指示を頂けますと幸いです。
以上でございます。
【樫谷部会長】 それでは、今年度の点検の観点につきまして、私から一言申し上げます。
4月の委員会で示されたとおり、今年度も、例年同様、評価部会を中心に年度評価等の結果について点検を行うこととしています。
例年申し上げているとおり、委員会としては、評価が実際に法人の業務運営やマネジメントに十分に活用され、法人の業務の改善につなげられていくことが重要であると考えております。
したがって、評価の点検に当たっては、評定の結果自体に重きを置くのではなく、評定を付すに至った判断の根拠・理由等が合理的かつ明確に説明され、主務大臣において、評価結果によって判明した法人の業務運営上の課題や法人を取り巻く社会経済情勢の変化などを踏まえた業務及び組織の見直し等の対応が行われていることが、重要と考えております。このような観点から、点検を行うことが必要であると考えております。
すなわち、主務大臣が評定を付すに当たっては、なぜその評定に至ったのかの根拠が適切に説明されることが必要であり、具体的には、評定はBが標準ですので、A以上の評定を付す場合には、(1)所期の目標を上回る成果が得られていると認められていること、又は(2)難易度を高く設定した目標の水準を満たしていることについて、具体的な根拠を示して明瞭に説明することが求められているということです。
また、C以下の評定を付す場合には、評価書において、改善に向けた取組方針又は具体的な改善方策が記載され、明らかにされていることが必要であると同時に、前年度にC以下の評定を付して改善方策を記載した目標については、その後の具体的な改善方策の実施状況も含め、実際に改善が図られたのかどうかを、評価書の点検を通じて確認することが必要であると考えております。
なお、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、主務省からの評価書等の提出が例年よりも後ろ倒しになる見込みですが、点検項目を可能な限り簡素化するなど、これまで以上に効率的な点検の実施に努めつつ、必要な点検をしっかりと行っていきたいと考えております。
私といたしましては、今申し上げた観点で点検を進めたいと思いますが、委員の皆様、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【樫谷部会長】 ありがとうございました。それでは、評価部会としては、今申し上げた観点から点検を進めていくこととしたいと思います。事務局においても、これを踏まえて点検に向けた作業をお願いします。
【辻管理官】 かしこまりました。ただいま御意見を頂いた方向で、準備を進めてまいります。
【樫谷部会長】 次に、議題3、令和2年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る調査審議の状況についてに入ります。
令和2年度に中(長)期目標期間が終了する今年度の見直し対象法人については、5月に主務省からヒアリングを行い、6月下旬から法人理事長等と意見交換を順次行っているところであり、昨日までに自動車技術総合機構、航空大学校、国立科学博物館及び国立文化財機構の4法人との意見交換を行いました。
これまでの議論の状況につきまして、法人ごとの担当委員から御報告をお願いしたいと思います。
まず、天野委員。
【天野委員】 私から、農林水産省所管の家畜改良センター、森林研究・整備機構及び水産研究・教育機構について、これまでの議論の状況を紹介いたします。
まず、家畜改良センターにつきまして、何点か紹介させていただきます。
家畜改良センターは、全国的な視点での家畜の改良・増殖、飼養管理の改善、飼料作物種苗の生産・供給等に取り組み、国産畜産物の生産性や品質の向上を通じて、我が国の畜産業の発展及び国民の豊かで安心・安全な食生活の確保に貢献することが求められています。
センターは、中立的な機関として、全国から家畜データの提供を受けていまして、家畜の改良を進める上で重要な、信頼度の高い遺伝的能力評価を行うことによって、乳用牛の産乳能力の向上、和牛の増体性(発育速度)や脂肪交雑の改良を進めるなどの成果を上げています。
一方で、畜産農家の高齢化や後継者不足の進展により、省力的な飼養管理の中でも高い生産性を発揮できる家畜づくりが求められている中、家畜改良・増殖目標等の国の全体目標とセンターが達成すべき目標との関係をより明確に示すことで、国の目標達成につながる事業実施を行うことや、家畜の能力評価プログラムの開発等を進めることが、今後の課題ではないかと認識しております。
主務省ヒアリングにおきまして何点か意見がございました。まず、畜産物の自給率や質、飼料自給率等に関わる国の全体目標に対して、現在の到達点、目標達成のために今後必要な措置を明らかにした上で、センターに求める役割を整理すべきではないかという意見です。つまり、主務省からは具体的な話を聞いておりますが、その具体的な話が全体の目標に対してどういう位置づけにあるのかということが明確ではなかったため、その点を明らかにしてほしいということです。
次に、家畜の成育環境情報等をビッグデータとして集約するなどのシステム開発や、飼養管理のロボット化を推進すべきであり、そのための人材確保を計画的に行うべきではないかという意見です。昨今のIT化促進に向けた動きもありますので、IoTなども活用し、ビッグデータを集め、それを有効に反映していくべきではないかという御意見を頂きました。
また、知的財産保護のため、外部の専門家を活用すべきではないかといった点についての議論もございました。この点は、日本の農業、水産業、全てについて言えることだと思いますが、特にこのセンターについて、このような御意見がございました。
次に、森林研究・整備機構の内容を説明いたします。
森林研究・整備機構は、まず国内唯一の森林・林業・木材産業分野の中核的な試験研究機関として、国の施策や社会的ニーズに対応した研究などを実施するとともに、研究開発成果の橋渡しや普及に取り組むこと、次に水源涵養上重要な奥地、水源地域の森林の有する公益的機能を持続的かつ高度に発揮させるために、多様な森林を造成整備すること、それから、森林所有者自らが災害に備える唯一のセーフティネットとして、森林保険により林業経営の安定、被災地の早期復旧に貢献することが求められています。
この機構は、森林・林業・木材産業に関わる研究分野を網羅的に対象としており、林業の低コスト化に貢献する森林施業技術や木質バイオマス由来の工業原料の開発をするなどの成果を実現しています。
一方で、我が国の人工林が本格的な利用期を迎えていることや、集中豪雨等による大規模災害の発生のおそれが高まっている中で、林業の新たなニーズに対応するため研究開発、水源林造成及び森林保険業務を実施する必要があることや、若手研究員などの人材確保・育成が今後の課題ではないかと認識しております。
主務省ヒアリングにおきましては議論が2点ございまして、1点目は風水害への備えなど、林業全体が直面している課題を明らかにし、課題解決に向けて法人が行うべき業務の方向性を具体的にすべきではないかということです。
2点目です。林業は、植栽から伐採まで長期間適切な管理が必要であることから、森林の公益的機能に関する広報を推進し、林業に関する国民の関心を醸成することで、人材の確保・育成につなげるべきではないかという点について議論がございました。
最後に、水産研究・教育機構について紹介します。
水産研究・教育機構は、水産業に関する調査、研究開発及び教育を専門的に実施する国内唯一の国立研究開発法人であり、資源管理の基礎となる調査や水産に関する技術の向上に寄与する研究開発について、主要な役割を果たすことが求められています。
機構は、保有する調査船を活用し、生物学的許容漁獲量の算定など高度な資源評価を実施するほか、先進的な分析機器を備えた研究拠点を活用し、ウナギの完全養殖を実現するなどの研究成果を上げています。また、水産大学校から就職した学生の多くが水産関連分野に進んでおり、水産業界への専門人材輩出に貢献しています。
一方で、海洋資源に対し国際的な関心が高まっている中で、情報通信技術や先進的な調査機器等を活用した情報収集を進めることや、養殖等における研究成果の社会実装を推進することが、今後の課題ではないかと認識しております。
主務省ヒアリングにおきましては議論が2点ございまして、海洋資源のモニタリングにおけるIT化をより一層進め、日本の資源管理について世界へ主張できるよう、エビデンスを示せるようになるべきではないかというのが1点目です。最近、日本の水産業については中国等に対して劣勢になることが多いようですので、是非この点を進めていただきたいということです。
また、ほかの国立研究開発法人との連携を進めることによって、研究成果の社会実装を進めるべきではないかというのが2点目となります。
以上の3法人につきましては、今御紹介したような論点を中心に、今後、主務省が行う見込評価や、業務の見直しの内容を踏まえて、次期中(長)期目標の策定に向けて調査審議を進めていきたいと考えております。
【樫谷部会長】 浜野委員。
【浜野委員】 それでは続きまして、私からは、農林水産省所管の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)及び国際農林水産業研究センター(JIRCAS)、並びに環境省所管の国立環境研究所(国環研)について、これまでの議論を御紹介します。
まず、農研機構につきまして、こちらは我が国の農業関係研究の中心的機関です。農業、食品分野で育種、生産、加工・流通のスマート化の推進など、科学技術のイノベーションを創出するために様々な機関との連携や、農業以外の異分野からの知の融合を図っており、主導的な立場で研究プロジェクトを企画立案、推進していくことが求められております。
機構はこれまで、自動走行農機などによるスマート農業の推進や、生産性や品質に優れた品種開発を行うなどの研究成果を上げてきました。それとともに、地域農業研究センターを設置し、研究開発及び社会実装の推進体制を構築してきました。
一方で、この分野の担い手の減少、あるいは高齢化の進展などによりまして、労働力の不足が深刻化していることは皆様御存じのとおりですが、農業・食品分野でのSociety5.0の早期実現に向けた取組の加速が求められております。農研機構は、研究開発成果の社会実装に向けた取組の強化や、研究開発に必要な外部資金の獲得推進が今後の課題ではないかと認識しております。
農研機構につきまして、主務省とのヒアリングにおける議論のポイントにつき3点ほど御紹介します。まず1点目は、スマート農業は、プラットフォーム整備に加えて、研究開発成果を更なる社会実装へつなげるために、次期中長期計画目標期間において、是非具体性を持って目標を策定してほしい、策定すべきではないかという議論がありました。2点目は、既に国際標準が確立している分野は、当該国際標準をベースとして利用することで早期の社会実装を図るべきではないかという議論がありました。3点目に、外部資金獲得を更に推進するための方策を検討していくべきではないかといった点の議論がございました。
続きまして、JIRCASでございます。JIRCASは、開発途上地域における農林水産業の研究を包括的に行う我が国唯一の研究機関です。開発途上地域への研究者の派遣等を通じた二国間共同研究の実施による研究水準の向上や、多国間の研究活動を含むより広い視野での地球規模課題の解決に対する科学技術面での貢献が求められているところです。
また、ただいま申し上げたように、JIRCASは開発途上地域等での共同研究の経験や、研究開発成果の蓄積、多国間の多様なネットワークを持っていて、地球規模での課題解決に向けた研究を推進しており、相手国や地域の課題解決に対し直接貢献しています。
一方で、地球規模の気候変動や食料問題などに対する貢献が一層求められる中、JIRCASが貢献すべき分野をより明確にしてより能力を発揮することや、JIRCASの活動内容に対する国民的理解を高めることが今後の課題ではないかと認識しております。
主務省ヒアリングにおいての議論を、2点ほど御報告します。先ほどの農研機構や様々な他の農林水産業に関する研発法人との役割分担をもっと明確にすべきではないかというのが1点目でございます。2点目は、グローバルな気候変動への対応など、JIRCASが自らの役割に基づく研究開発成果の広報をもっと行うことで、国内外における存在感を高める必要があるのではないかといった点についての議論がございました。
続きまして、国環研について御紹介します。国環研は、我が国の環境科学における中核的研究機関でして、新たな研究の先導や、また社会からの要請を踏まえた課題である気候変動や災害への対応など、科学的側面から環境政策に貢献することが求められています。
これまで全国10万組の親子を対象とした環境と健康に関わる疫学調査、いわゆるエコチル調査の実施や、衛星(GO-SAT)を用いた温室効果ガスによる影響の観測分析などの点での研究成果を上げておられます。それとともに、気候変動適応センターを設置し、地方の取組を支える技術的助言等の支援体制を構築してきました。
一方で、環境問題の複雑化、多様化の進展がここのところ著しいところですが、環境・経済・社会の統合的解決という学際性がより強く求められておりまして、そのような中で、研究成果の社会への発信や政策貢献、社会貢献を通じた社会実装など、これまで以上に社会と接点を有する研究展開が求められており、これに応えるために、体制整備・強化が今後の課題ではないかと認識しております。
主務省ヒアリングにおいての議論を2点ほど御紹介します。まず1点目は、研究機関相互の連携も重要ですが、研究成果を活用した社会実装を一層推進していくためには、研究機関以外との連携や共同も一層推進していくべきではないかという議論がございました。更に2点目は、国環研に求められる役割を十分に果たしていくためのリソースを十分確保していくためには、国環研の強みやこれまでの成果等を積極的にアピールしていくべきではないかといった議論がございました。
以上、3法人について御報告しましたが、ただいま御紹介したような論点を中心に、主務省が行う見込評価や業務見直しの内容を踏まえまして、更には3法人とも視察をさせていただいて、役職員と意見交換をする機会を設けていただいておりますので、次期中長期計画目標の作成に向けて、調査審議を進めていきたいと考えております。
以上です。
【樫谷部会長】 金岡委員。
【金岡委員】 私からは、国土交通省所管の4法人について、これまでの議論の状況を御紹介します。
まず、海技教育機構(JMETS)でございます。JMETSは、我が国の経済活動に不可欠な海上輸送を担う船員を養成する基幹的な養成機関であり、国の政策や業界のニーズに対応し、他の大学等の養成機関と連携しながら、優秀な船員養成を安定的・持続的に実施していくことが求められています。
機構がこれまで実施してきた船員教育に関する知見や、海上技術学校、海上技術短期大学校など、全国に設置された施設を活用して、業界のニーズに対応した船員の養成を実現してきました。
一方で、船員の高齢化による現役世代の減少や、少子化による若年層の減少、就学状況の変化に対応し、養成課程の見直しや養成定員の拡大を図ることが求められており、そのための優秀な教員・教官の確保や効果的な施設の整備、訓練の実現に向けた更なる取組の強化が今後の課題ではないかと認識しています。
主務省ヒアリングにおいては、(1)船員の高齢化に対応するための養成を行うことは大きな役割であり、短期的には船員を目指す人が少なくなり、就職先も減ることが見込まれる点についてどのように考えるか。(2)平成13年度と比べて予算が3割減っている一方、対応すべき業務が増えているが、船員のニーズと養成数について、今後5年、10年の見通しや、民間の教育機関の活用についてどのように考えるか。(3)今般の新型コロナウイルス拡大の状況も含め、災害時の船舶の役割は重要だと思うが、災害対応に関する教育についてどのように考えるか。(4)養成における国際交流の活動をより積極的に進めることも必要ではないかといった点について議論がございました。
続いて、航空大学校について御紹介します。航空大学校は、国立の操縦士養成機関として設置され、我が国の基幹的交通手段である航空輸送を支える操縦士を必要な規模で確保するため、民間養成機関への技術支援を含め、国の政策や業界のニーズに対応した質の高い操縦士の養成が求められています。
法人は、これまで実施してきた操縦士養成の知見や訓練環境の活用、航空会社との意見交換等の実施により、我が国航空会社の機長や訓練査察を行う指導的操縦士など、基幹的要員となる質の高い操縦士の養成を実施してきました。
一方、主要航空会社操縦士の高齢化による将来の大量退職に対応し、航空需要の増加に対応した操縦士の養成確保がより重要な課題となっています。このため、法人では養成定員を一部拡充し、また民間養成機関への技術支援を行うなどの対応を進めてきているところですが、教育の質の向上や安全の確保、自己収入の拡大などの適正な受益者負担を図りつつ、業界のニーズに対応した操縦士の養成の実現に向けた取組の強化が今後の課題ではないかと認識しております。
主務省ヒアリングにおいては、(1)中長期的には高齢化に対応していく必要があるが、短期的には新型コロナウイルスの影響で各航空会社とも経営状況が厳しいことが見込まれる中で、どのように養成を実施していく見込みか。(2)現在操縦士の国内供給数の4割を占める航空大学校の供給割合について、高齢化により一層養成需要が高まると考えられる将来に向けて、どのような見通しを立てているのか。(3)予算を見ると、運営費交付金はあまり減少していないようではあるが、新型コロナウイルスの影響も出てくる中、自己収入の拡大も求められるのではないか。(4)訓練中の安全確保も重要であり、事故が多発している原因に対し、適切に対応すべきではないかといった点について議論がございました。
続いて、自動車技術総合機構(NALTEC)について紹介いたします。NALTECは、自動車等の陸上交通に関する総合的な機関であり、自動車の型式認証や検査等に係る保安基準適合性審査、リコールに係る技術的な検証、基準策定や国際標準化の支援・研究等により、自動車に関わる国民の安全・安心の確保及び環境の保全に資するとともに、国民やメーカー等に対し的確で厳正かつ公平な審査を推進していくことが求められています。
機構は、自動車の設計から使用段階までの安全の確保及び環境の保全について、あらゆる行政ニーズに対して総合的に対応することができる技術的専門性を生かし、国の施策に対し一体的な貢献を実施してきました。
一方で、安全・環境に関する国際的な動向に適合する基準策定を支援し、また自動運転等の新たな自動車技術に対応した型式認証、検査やリコール技術検証等の業務を適正に実施していくことが求められており、そのための優秀な人材の確保・育成、技術の向上に向けた更なる取組の強化や施設整備が今後の課題ではないかと認識しています。
主務省ヒアリングにおきましては、(1)自動車開発技術の進歩に合わせ、検査項目のスクラップ・アンド・ビルドにより、検査の効率化を図ることが必要ではないか。(2)93の地方事務所について、ITを活用するなど縮小・簡素化は検討しているか。(3)機構の審査職員や検査機器類について、民間の新たな技術に対応できる専門性を有する職員や検査機器の確保を図る必要があるのではないか。(4)国際標準化に対する技術支援について経済産業省も力を入れている中で、法人はどういう役割を担っているのかといった点について議論がございました。
最後が、住宅金融支援機構(JHF)でございます。JHFは住宅の取得時等における支援などの住宅金融を専門とする政策実施機関として、長期の固定金利住宅ローン提供のための金融業務の実施や、子育て支援や空き家、防災対策など、地域が抱える住宅課題に対応する地方公共団体等との連携、高齢者・被災者等の住宅支援、我が国のインフラシステムの海外展開に関する金融システム面における支援について、それぞれ推進していくことが求められています。
機構は民間金融機関のネットワークを通じ、業務連携や委託により全国一律の住宅ローンサービスの提供を支援する証券化支援業務を主に実施し、また公的機関として政策上重要な住宅金融分野である被災害住宅やマンション修繕の支援を行うなど、地方公共団体等と連携し、住生活基本計画に基づく国の施策に対し、一体的な貢献を実施してきました。
一方で、業務連携等に関する民間金融機関のモニタリングや金融業務を支える技術革新に関する対応、災害時の職員派遣や被災者支援、多様な地域課題へ適切に対応していくため、専門家やノウハウを有する人材の確保・育成に向けた更なる取組の強化が今後の課題ではないかと認識しています。
主務省ヒアリングにおいては、(1)大都市圏と地方など、地域により住宅に関する事情が異なる中で、自治体や地方金融機関と連携しながら、それぞれの地域の事情に応じた支援策を検討していく必要があるのではないか。(2)空き家の活用など、地域や社会の課題解決に向けて、より柔軟に自治体や金融機関と連携をしていく必要があるのではないか。(3)金融システムの海外展開事業においては、インフラ輸出に取り組む各法人や企業と連携することで、より大きな成果が上げられるのではないかといった点について議論がありました。
以上の4法人については、今後は今御紹介したような論点を中心に、主務省が行う見込評価や業務見直しの内容を踏まえ、次期中長期目標の策定に向けて、調査審議を進めていきたいと考えております。
なお、今の4法人のうち航空大学校、そして自動車技術総合機構につきましては先の2週間ほど前に理事長以下法人役員へのヒアリングを実施し、御紹介した主務省ヒアリングにおける問題点のいくつかについては、もう既に確認してきたところでございます。
以上でございます。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。それでは、ここまでの内容について、一旦議論に入りたいと思います。御質問・御意見などがございましたら、どなたからでも結構ですので御発言いただけたらと思います。
なお、国環研の監事を務めていらっしゃいます天野委員におかれましては、申合せにより当該法人に関する意見を控えていただくこととされておりますので、よろしくお願いします。
原田委員。
【原田委員】 後ほど議論する法人にも関わるものですが、中期目標管理法人にせよ、国立研発開発法人にせよ、新しい改正独立行政法人通則法に基づいて目標期間が一巡しつつあります。昨年度は中期目標管理法人でも目標期間4年のものが見直しの対象で、今回5年のものが見直しの対象となるわけですが、目標期間が一巡したタイミングで、新たな独立行政法人制度が一体どんな感触なのかという点は、是非とも私としては各法人から聞き取り、共有したいと思っています。
この見直し法人のチェックも、今回で半分ぐらいを迎えると、次の制度改正を見据えてということではないですが、新しい独立行政法人制度そのものがどう機能しているのかということもやはり視野に入れた形で議論しないといけないと思いますので、その点をできれば共通に質問してくださると良いなと思っています。
以上でございます。
【樫谷部会長】 天野委員。
【天野委員】 各法人におきましては、今年度から事業報告書の形態が変わり、財務情報のみならず非財務情報や将来情報も含めて説明することや、ストーリー性を持って情報のつながりを示すことが期待されておりますが、そうしたことがどこまで整っているかという点については、特にお聞きしていきたいと感じています。
【樫谷部会長】 ありがとうございます。まさにそのとおりで、今回ちょっとコロナで大変だと思いますが、事業報告書に求める中身が少し充実したと考えておりまして、そこについては初めての経験ですので、準備をしていただいていると思いますが、その議論も今後確認した方が良いかもしれません。
今回の見直し対象法人は、独立行政法人通則法の改正後の2回目の見直しになっていると思いますので、前回見直し時のことを確認しながら法人ヒアリングをしたいと思っております。
それでは、次に行きたいと思います。河合専門委員。
【河合専門委員】 それでは、私から、総務省所管の情報通信研究機構及び財務省所管の酒類総合研究所(酒類総研)について、これまでの議論の状況を御紹介します。
まずは、情報通信研究機構(NICT)についてです。NICTは、ICT分野を専門とする我が国唯一の公的研究機関として、国の政策と密接に連携しつつ、大学や民間企業では実施できないような長期間にわたり組織的に取り組むべき研究開発を推進するとともに、研究開発成果を広く社会へ還元し、イノベーションを創出していくことをその使命としております。具体的な研究分野としては、AI、量子情報通信、サイバーセキュリティなどについて、政府方針等において重点的に推進することとされております。
NICTでは、従来から技術移転やライセンス提供などにより、研究成果の実用化に取り組んできましたが、今後ICT技術が新たな社会変革の基盤としてより一層重要度を増していくことに鑑みて、これまで以上に研究成果の社会実装の取組を強化していく必要があります。また、それを支える人材の確保・育成についても、国際的な人材獲得競争が激化する中で、重要な課題であると認識しています。
一方で、NICTは長期にわたり蓄積された膨大な研究データを利用できる魅力的な研究環境、ICTに関する高い専門性を活用した他機関との連携の可能性、我が国唯一の公的研究機関としての国内外におけるプレゼンスの大きさといった強みがあると認識しています。
主務省ヒアリングにおいて各委員から様々な論点が出ましたが、この場では3点申し上げます。1点目は、それぞれの研究分野に関し社会実装に向けてどのような出口戦略を描いているのかということです。2点目は、AIや量子といった基盤的技術の社会実装のためには、ほかの研究機関をはじめ様々な機関との連携がより一層必要なのではないかというものです。そして3点目として、課題である研究者、研究支援人材の確保育成について、今後どのように取り組んでいくのかといった論点提起がございました。今後、以上のような論点を中心に検討を進めて参りたいと考えております。
続けて、酒類総研です。酒類総研は、酒類に関する唯一の国の研究機関であり、日本酒のブランディングに資する研究など、日本産酒類の競争力強化・海外展開推進と、酒類原料や醸造微生物に関する研究など、国内産業への技術支援を両輪として取り組んでいます。また、酒類行政における適正課税及び適正表示の確保のため、酒類の高度な分析鑑定による科学的技術の提供などの業務も実施しています。
酒類総研は、これまで蓄積してきた酒類に関する豊富な科学的知見と研究データを活用して、日本産酒類の輸出促進、酒類業界の技術力の維持強化に貢献してきました。
一方、これらの取組における酒類総研の役割、成果に対する酒類業界以外の国民の認知度は高くなく、研究成果の社会的活用が十分でないことが課題だと認識しています。また、その課題に対応するに当たっては、輸出促進、技術の維持強化に関わっている様々な機関の中で、酒類総研がどのような役割を果たしているのかを確認していくことも重要だと認識しています。
これらの点に関して、主務省ヒアリングでは次のような論点提起がなされました。1つ目は、特に酒類産業の振興について、国税局の鑑定官室とどのように役割分担をしているのかということです。また、輸出促進については、農林水産省、あるいは独立行政法人ですとJETROなどの他機関との連携、役割分担をどのようにしているのかというものです。2つ目は、酒造りを通じて文化や観光などの地域産業と連携できるのではないかといったものです。3つ目は、自ら情報発信するだけではなく、取材してもらうなどの多様な方法でPRしていくことも今後検討すべきではないかというものです。
以上の2法人については、今後は、今御紹介したような論点を中心に、主務省が行う見込評価や業務見直しの内容を踏まえ、次期中(長)期目標の策定に向けて、調査審議を引き続き進めて参りたいと考えております。
以上です。
【樫谷部会長】 栗原委員。
【栗原委員】 それでは私から、文部科学省所管の国立特別支援教育総合研究所(特総研)、それから大学入試センター、国立青少年教育振興機構、国立女性教育会館、教職員支援機構の5法人につきまして、これまでの議論の状況を御紹介します。
まず、4つの法人です。特総研、青少年教育振興機構、女性教育会館、教職員支援機構につきまして御紹介します。これらの法人につきましては、国の政策に基づいて、特総研であれば特別支援教育関係職員、青少年教育振興機構であれば青少年教育指導者等、女性教育会館であれば女性教育指導者等、教職員支援機構であれば校長、教員、その他の学校教育関係職員、といった方々を対象に、各法人が対象とするそれぞれの分野に対して、例えばその指導者に対する研修を行ったり、研修に対する指導や助言等を行ったり、各法人の分野における調査研究等を実施するなどしております。それに加えて、青少年教育振興機構においては、青少年の団体宿泊訓練等の研修を実施することとされています。
各法人の現状と課題ですが、それぞれの法人は、今申し上げたそれぞれの教育分野におきまして、ナショナルセンターとしてその専門性を生かして、関係機関との連携・協働を進めつつ、各教育機関等のニーズに応じた研修プログラムを開発したり調査研究等を実施し、それを研修に生かし実際の研修をするといったことに当たっているところでございます。また、コロナ禍におきまして、ウェブ教材の活用や提供の取組も実施しています。各法人が担う役割というのは、それぞれの分野の基礎として大変重要であると認識しています。
その一方で、法人を取り巻く環境は大変変化しており、例えばICTを含めた教育ニーズの多様化・複雑化、少子化社会といった環境の中で、その法人の役割をどう発揮していくのか。あるいは学習指導要領や、女性教育会館であれば男女共同参画基本計画などの国の政策等の変更がある中で、研修・調査研究等の実施をどうしていくのか。法人として最終的に何を目指していくのか、これを達成するために何を実施すべきか、いま一度整理をすることが課題であると認識しています。
また、教育現場において、ICT等を含めて教育ニーズが多様化しているといったことに対応する人材、マネジメント人材を含みますが、そのような人材の確保のための方策の検討と、研修の策定・実施が必要であると認識しています。
そのほか、保有する施設の老朽化が進んでおり、ICTの設備等も必ずしも十分ではないといったような現状におきまして、施設の稼働率等も踏まえて、その役割を果たしていくための施設の在り方についても今後の課題であると認識しております。
これらの課題については各法人だけが考えるのではなくて、文部科学省と法人の役割を整理した上で行っていくことが必要であると認識しています。
各法人について、主務省ヒアリングの中で議論したことを御紹介いたします。まず、特総研につきまして、関係の教育機関、これは特別支援教育以外の関係の教育機関との連携や、実際学校を運営している自治体や教育委員会との連携、あるいは調査研究成果というものを地方に還元、普及させていくことと、それらの成果を教育現場で生かして改善することが重要ではないかという議論がございました。また、特別支援教育現場におけるICT基盤の充実に当たって、特総研の役割の整理が必要ではないかという議論がございました。それから、老朽化が進む施設の有効活用について、研修の在り方も踏まえた検討が必要ではないかという議論がございました。
青少年教育振興機構につきまして、施設の維持等については、例えば他機関との共通利用等を通じた効率的な運用等といった検討も必要ではないかという議論がございました。また、ここでの調査研究の成果も生かしつつ、機構で実施している研修プログラムや体験プログラムの有効性について確認し、機構の役割、存在意義を示す必要があるのではないかという議論がございました。
3番目に、女性教育会館についてですが、男女共同参画の推進に向けて教育すべきターゲットの見極め、すなわち女性を対象に教育をしていくだけではなく、様々なステークホルダーに対しても教育していく必要があるのではないかといったことや、法人として取り組むべき内容について、整理する必要があるのではないかという議論がございました。それから、ジェンダーギャップ指数等、日本の評価が国際的に低いことから、日本全体として、男女共同参画に係る取組の効果的な情報発信の方法について検討して、世界に向けて発信していく必要があるのではないかという議論がございました。
教職員支援機構については、教職員の方へのサポートというのがより重要性を増していることから、こういった環境変化の中で、次期中期目標では何を最終的な目標とし、それに対してどういう取組をしていくのか、また、その期間中の成果をどう測定するのかといったことを検討する必要があるのではないかという議論がございました。それから、一層のマネジメント力の向上が望まれることから、マネジメント能力のある人材の育成・登用について、文部科学省の政策の方向性が示され、これを踏まえ、機構の役割を明確化し対応する必要があるのではないかという議論がございました。それから、学校現場でのICT化や、外部からの新たな人材等も考慮した研修プログラムとする必要があるのではないかといった点について議論がございました。
以上、4法人につきまして御紹介いたしました。
もう一つ、大学入試センターについて御紹介します。センターは、国の方針等に基づいて、大学入学共通テストについて具体的な試験実施内容の決定、試験の作成、採点等を一括して実施しており、また選抜方法の改善に関する調査研究を実施するなど、共通テストの実施に関する業務を一手に担っています。その実施に当たっては、大学、高等学校ほか関係機関との連携・協力体制をとり業務に当たっているところです。
現状とその課題として考えられることとしては、1つには、大学入試試験の改革が進められている中で、来年度導入予定であった英語の民間試験、記述式試験の導入の見送りを踏まえた対応や、令和6年度からの新たな試験実施への対応等が今後求められることになるということです。また、将来を見据えた財政基盤の改善方策の検討、センターが実施している業務の重要性のアピール・広報活動、それから必要に応じてのガバナンスの強化といった取組が、今後の課題であると認識しております。
これらを踏まえまして、主務省ヒアリングにおきましては以下のような議論がございました。1つ目に、今後の受験料の収入の見込み等を考えると、財政基盤の改善について、手遅れにならないように検討する必要があるのではないか。2つ目に、極めて難しい試験実施等の業務を安定的に実施しているということを、国民にもっと理解してもらえるようなレピュテーションマネジメントを実施していけば良いのではないかということ。それから、信頼性の観点からも、先般の利益相反の疑い、センターの分科会委員が新たな共通テストの記述式問題の問題集を作成したことに関して、必要に応じて、法人のガバナンス強化について、より考えていくべきではないかといった点が課題ではないかという議論がございました。
以上、5法人につきまして、今後は今御紹介したような論点を中心に、また法人からのヒアリングも実施して、主務省が行う見込評価や業務見直しの内容を踏まえて、次期中期目標の策定に向けて、調査審議を進めていきたいと考えております。
以上でございます。
【樫谷部会長】 高橋委員。
【高橋委員】 私から、文部科学省所管の国立科学博物館、国立美術館及び国立文化財機構について、これまでの議論の状況を御紹介いたします。
これらの法人については、国立科学博物館であれば自然史に関する科学その他の自然科学、国立美術館であれば美術に関する作品、国立文化財機構であれば有形文化財と、各法人が対象とする分野に関して、博物館、美術館等を設置した上で、関連する作品・資料の収集、保管、公衆への観覧を通じて、貴重な国民的財産を将来にわたって確実に保存・継承することや、教育・普及活動や調査研究を通じて自然科学や芸術その他の文化の振興に貢献すること、また、職員・関係者等への研修や、関係団体・施設への援助・助言等を通じて、国内の博物館・美術館活動の活性化において中心的な役割を果たすことなどが求められています。
そこで、現状及び課題についてです。これまで専門的な研究人材等を活用して作品の収集や各種展示の工夫、調査研究、研修といった取組を実施し、一つの指標としての入館者数は、新型コロナウイルス感染防止に伴う休館時を除けば、各施設ともおおむね増加傾向にあります。また、展示方法の工夫として、ICTやVR技術を活用した観覧手法の導入などを一部において実施しているところです。
一方で、年々収蔵物が増加する中、収蔵庫等の狭隘といった問題、湿度管理や防災なども含めてですが、そのような問題が存在しているところでもあり、収蔵品の適切な管理、管理と収集のバランス、収蔵品の活用促進、収蔵スペースの確保が課題です。
加えて、文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律が本年5月1日に施行され、国内外からの観光客へ文化資源の魅力を分かりやすく紹介するなど、文化観光の振興に関することが期待されている中で、更なる作品紹介手法の工夫や多言語による情報提供、セキュリティの強化等を実現するための体制整備が急務であると言えましょう。
これまでに行った主務省ヒアリングにおける論点についてですが、主務省ヒアリングにおきましては、第1に、現中期目標策定時においても課題であった収蔵庫等の狭隘や老朽化への対応、鑑定手法の改善、加えて管理と収集、投資とのバランスなどに関して、現状を踏まえた検討・取組が必要ではないか。第2に、東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据えた観光振興への対応、また公衆への観覧という観点からは、コロナ禍の影響と新しい生活様式を踏まえた対応が必要ではないか。第3に、観光振興に向けた関係団体・施設との連携強化、ICT化への対応、作品紹介の工夫に引き続き取り組む必要があるのではないか。第4に、以上のような対応に必要な人材の確保、育成、配置等、実効性ある取組が喫緊の課題ではないかということです。
また、以上の3法人の共通の論点のほかに、国立科学博物館につきましては、平成30年度より文化庁へ所管替えとなり、文化振興等への貢献が求められているところなのですが、次期中期目標において、様々な観点からの検討が必要ではないかということ。これにつきましては、昨日行いました現場の法人の理事長等との意見交換の中でも重要な論点であるということを確認したところです。
いま御紹介したような論点を中心に、主務省が行う見込評価や、また施設の現状視察や法人の役員との意見交換等によって知り得た業務見直しの現状内容等を踏まえて、次期中期目標の策定に向けて調査審議を進めていきたいと考えております。
以上です。
【樫谷部会長】 原田委員。
【原田委員】 私から、厚生労働省所管の国立高度専門医療研究センター、いつもNCと呼んでおりますが、6法人について一括してこれまでの議論を紹介します。特にNC6法人につきましては、将来の組織の在り方について、昨年度のこの委員会でも発言しましたが、宿題がございます。この点についても後ほど言及したいと思います。
NCですが、国民の健康に重大な影響がある特定の疾患領域について研究開発を行い、実際に病院を持っていますから、医療も提供する。そのような6つの法人の総称です。分野としては、がん、循環器病、精神・神経医療、国際協力・感染症医療、成育医療、そして長寿医療。この分野につきまして、それぞれ別個の独立した法人格を持つ研究センターによって構成されています。
NCは、これらの6つの領域に関する中核的な研究機関として、我が国の医療分野の研究開発を先導するとともに、その研究開発成果を基に高度かつ専門的な医療を提供する医療機関として、我が国の政策医療を牽引することがミッションとなっています。
NCにつきましては、病院を実際に併設しているという特色から、質の高い臨床の研究が可能となるため、それを通じて高度専門的な新しい治療法の開発や、難治性疾患・希少疾患といった分野についての研究、あるいは中長期にわたって継続して見ていく必要があるコホートの研究の分野等で貢献をしてきました。
他方で、NCが全体としての一体性を保ちつつも、それぞれ担当する領域が定められているという現在の組織形態を考えますと、この6つのNCでは、例えば重複する疾患があり得ます。小児がんがその一例ですが、どのようにしてこの6法人が効果的に連携していくのかというのが今後の課題であると考えています。
また、NCを取り巻く環境変化については、先ほどからほかの法人でも議論になっておりますが、情報通信技術が急速に進歩する中、NC以外にもたくさんの研究機関、医療機関がありますので、そのようなところと相互に医療に関連する情報をどうやって共有していくのかということについてですが、以前よりはかなり共有がしやすくなりつつあるのではないかと思います。そこで、各センターが研究開発成果の最大化を使命とする国立研究開発法人として、どうやってこのようなこのような情報を集積して、日本の医療全体で活用していく体制をつくっていくのか。また、そのための人材育成をどうやって進めていくのかということについて関心を持っているところです。
さて、先ほど冒頭に組織の在り方についての宿題というお話をしましたが、NCの組織については、平成25年の「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」及び平成27年の「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について」というペーパーの中で、分野横断的な疾患、あるいはこれまで発見されていないような疾患といったその時々の政策課題に柔軟に対応できるようにするといったことも考えていく必要がある。そのためには、各センターを統合する必要があるのかどうかなど、NC全体の組織の在り方について議論することとされています。
厚生労働省は既にこの問題について対応を取っており、「国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会」が設置され、当面の対応ではありますが、6つのNCの内部組織として法人横断的な研究推進組織を設置し、その効果・課題などを検討しながら、検討会で示されたその他の組織類型案、幾つか案が示されていましたが、それらも踏まえ、将来的な組織の在り方について可能な限り早期に結論を出すことになっています。
この方針に基づきまして、今年の4月には「国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部」という形で連携していくという運用がスタートしましたが、勧告の方向性で示された検討の途上にあり、最終的な組織形態については示されていないと認識していますので、委員会といたしましても、その検討について注視していく必要があると考えています。
今、新型コロナウイルス感染症の問題で、この6つのNCは大変お忙しい時期にあります。しばしばテレビにも出てきて様々な報道もなされている、大変お忙しい中ですが、このような組織の在り方についての最終的な結論に向けて、いつまでに、何を、どういう水準まで検討・検証するのかについて、できれば主務省においてロードマップを作っていただいて、この時期までにこのようなところまでというところを示していただくことが重要ではないかと考えています。
これまでの主務省からのヒアリングにおいては、先ほど申し上げた組織の在り方についての宿題について、御説明を一度いただきましたが、研究開発成果を最大化するというのが独立行政法人通則法の目的ですので、そのことがきちんと対外的に説明できるように検討を進めるべきではないかといった議論がありました。また、横断的組織の検討に当たっては、トップのコミットメントが非常に重要であり、研究開発成果の最大化を意識しながら、トップの方々にしっかり取り組んでもらう必要があるのではないかという議論がありました。また、繰越欠損金をどうするのか、解消していくための財源をどうするのかということについて質問・意見が出ました。今申し上げた繰越欠損金の問題は、主務省にしっかり考えていただく必要があるかと考えています。
今後はほかの法人と同じように、先ほど申し上げた論点を中心に、見込評価、業務・組織見直しも今後出てまいりますので、引き続き調査審議を進めてまいりたいと思います。
以上です。
【樫谷部会長】 それでは、河合専門委員から今の原田委員までの御説明につきまして、何か御意見・御質問がございましたら御発言いただきたいと思います。天野委員、どうぞ。
【天野委員】 NICTにつきまして、今の社会状況もありますし、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の2期でも中心的な役割を果たしているので、かなり負荷がかかっているのではないかと少し心配しています。
例えば、特定国立研究開発法人であれば、人員体制について、それなりの対応も可能であると思いますが、NICTはそのような立場でもありませんので、どうされているのか、何か情報などございますでしょうか。
【樫谷部会長】 NICTは、第4次産業革命というのでしょうか、Society5.0の先端中の先端の取組を行っている法人ですよね。この形でいいのかどうかという議論はどこかでされているのでしょうか。
NICTに9月にお邪魔しますので、特定国立研究開発法人にするべきかということも含めて、NICTが担う非常に難しい重い課題を今の人員体制でできるのかを確認したいと思います。では、浜野委員。
【浜野委員】 ただいま伺った各法人以外にも感じるところなのですが、やはりこのコロナの影響を受けて、各法人、皆さんドラスチックにテレワークの推進や、働き方改革を進める大チャンスが来ているのではないかと思いますし、それにつきまして、やはりマネジメントをどうするかとか、どのように組織として進めていくかといった観点からも是非御議論いただきたいと思います。併せて、AIやICTといった様々な省力化の導入も、是非次期中(長)期目標などに入れていただいて進めていただきたいというのが1点です。
2点目は、各法人の担当委員の皆様からもお伺いしまして、昨年も感じているのですが、やはり各法人の皆様がそれぞれ御努力はしていただいていますが、情報発信と広報を更に強化していただきたいと思います。コロナ禍で国民の皆様も大変な生活を強いられて、社会的にも経済的にも厳しい中にあって、各法人の行っている成果をよりしっかりと見せていただいて、この法人が役に立っているということをしっかり国民の皆様にも分かるように発信していただく必要があると思いますし、より民間の方々にも御利用いただけるような法人として、そのようなところを強く希望いたします。
【樫谷部会長】 原田委員。
【原田委員】 先ほど栗原委員が説明なさった文科関係の4つの法人について、この4つの法人に共通するのは、最終的な教育のターゲットとなる人たちが別個に存在していて、その人たちに教える人を教える研修という事業がメインであり、それに併設して箱があるというような3点セットになっているわけです。
私の印象ですが、それが非常に分離しているといいますか、それぞれで独立しているというような印象が非常に強くあります。先ほどの発言に私も非常に同調いたしますが、例えば最終的に教育サービスを受ける人は、もう少し多様であってもいいのではないか。この施設に呼ぶ人たちはこの研修を受ける人たちであって、その人たちはこのような仕事をすべきだということについて、少し緩めてもいいのではないかという気がしています。
そのような意味では、例えば障害児の教育などは多分典型的だと思います。実際になさっているのかもしれませんが、箱と研修される人、最終的にその教育を受ける人という固定観念から少しずれるようなことを、少しずつなさってはいかがかと思っているところです。
【樫谷部会長】 金岡委員。
【金岡委員】 先ほど浜野委員からも御発言ございましたが、今日の各法人の担当委員のお話を聞いていましても、新型コロナで、テレワークももちろん、ITに関わる人材の育成、そのIT系の人材が明らかに不足している。採用しようとしても苦しい、内部でも手当てできない、というのが、ほとんどの法人に共通する課題ではないかと思います。
これは法人だけではなくて国全体にも関わってくる問題で、恐らく各法人を抱えている主務省で第一義的には御検討されることかと思いますが、更に広くこの法人全体で、このITを含めた人材育成、今の世の中が大幅に変わらなくてはいけないときに、どこが主導的役割を持ってこの人材を育成し供給していくのかというのは大変大きな課題でありまして、単に取り合いだけしていても仕方ないところではないかなと思います。
したがって、各法人に共通する課題、今は新型コロナを受けて特にテレワークその他を進めなくてはいけないわけですが、それをどう取り上げて、一つのまとめとして提言していくかというのは大切なのではないかと。特にIT系の人材については、今本当に各法人の共通課題として、大変大きなものとして浮かび上がってきたのではないかなと思います。
【樫谷部会長】 高橋委員。
【高橋委員】 関連した発言になりますが、先ほど河合専門委員から酒類総研のところで、情報発信・PRというお話がありましたし、浜野委員からJIRCASについて、認知度が海外で高くても日本では低いという議論がありましたが、まず認知度を高めないと、情報発信・PRのホームページを作ったとしてもそこに来てもらえないので、今、金岡委員からの御発言もありましたように、とても工夫が必要だと思います。
コロナ禍がありまして、今後のことを考えるとIT系もそうですが、広報に適切な人材が必要というのは今までも何度か申し上げてきたところです。今までのやり方ですと、例えばうまくやっているところの好事例を横展開してくださいねといった緩やかな呼び掛けであり、みんなで競い合うなど、横展開するのに有効なことを考える仕掛けが必要かなという思いがしております。
国立研究開発法人にせよその他の法人にせよ、直接・間接的に国民生活に非常に深い関わりがあり、国民への説明責任がしっかりあるはずですし、また外からどう見られているかをより意識することで、各法人の方々の仕事の仕方とかやりがいなども変わってくると思いますので、その点について、次期中(長)期目標を策定するときに、是非知恵を絞っていただきたいと思っています。
【樫谷部会長】 私からも申し上げますと、酒類総研についてですが、最初の独法改革のときに、できるだけコンパクトにしようという思想があったかと思います。そこで、酒類総研については、酒税というところを意識して、その分析などのことに限るというような位置づけにされたかと思います。そのときはそのときの判断で間違っているとは思いませんが、今はもう少し業務の範囲が変わってきまして、酒税の関係だけではなくて、日本の酒類産業の活発化や、国際的な展開といった、いろいろなニーズが出てきましたので、そうした観点から、人材も含めていろいろなものを整備する必要があると考えています。求められる人材の内容も違ってくると思います。
もう一つは、最後に原田委員に御説明いただいたNCについては、将来的な組織の在り方についての検討のスケジュール感は特に決まっていないのでしょうか。
【辻管理官】 現段階で、厚生労働省の方でスケジュールが定められている状況ではありませんが、検討を行っていくということは方針として決められているという状況でございます。
【原田委員】 厚生労働省としては、会議体を立ち上げて、連携できる組織からやるというところまで今持っていっていただいているのですが、それが最終的な形態だというふうにも、先方としても思っていないし、委員会としてもそのような認識はないので、大変お忙しい時期ではありますが、いつまでに結論を得るのかというロードマップを、この委員会にお示しいただきたいと考えています。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。大体よろしいでしょうか。
それでは、ただいまの御議論を踏まえまして、引き続き法人からのヒアリングを行いつつ、担当委員を中心に検討を深めていただければと思います。
最後に、事務局から何か御説明ございましたら、お願いします。
【辻管理官】 まず、1点、御報告でございますが、独立行政法人評価制度委員会の中村委員が6月末で退任をされまして、7月1日から新たに野﨑委員が就任されております。委員長の指名によりまして、野﨑委員は会計基準等部会に所属するとされておりまして、また中村委員が務めておられました会計基準等部会の部会長には梶川委員が就任されておりますので、御報告させていただきます。
それから、今後の委員会日程について御説明させていただきたいと思いますが、参考資料1を御覧いただければと存じます。今年度は見直し対象法人に係る見込評価や業務・組織見直しの結果につきましても、委員会への通知が例年よりも後ろ倒しになる見込みでございまして、9月中旬以降となることが見込まれております。一方で、年明け以降の目標案の調査審議スケジュールも踏まえまして、これらの見込評価等に係る意見の取りまとめについては、年内12月4日の委員会を目指して作業を進めてまいりたいと考えております。例年よりもタイトなスケジュールとなりますが、委員の皆様と御相談しつつ、柔軟に進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
また、本年は6つの行政執行法人におきまして、効率化評価の実施が予定されております。効率化評価は、3~5年の間で主務省令に定める期間における業務運営の効率化に関する事項の実施状況について評価するものでございまして、独立行政法人通則法第35条の11第7項におきまして、委員会は当該評価の結果について主務大臣から通知を受け、必要があると認めるときは、意見を述べることとされております。こちらにつきましても、12月4日の委員会での意見の取りまとめを目指して、チェックを進めてまいりたいと考えております。
最後に、独立行政法人役員の退職金に係る業績勘案率でございますけれども、例年2月頃の評価部会でまとめて御審議いただいてきたところでございますが、本来の制度上は、主務大臣が法人の業務実績評価を行えば、その結果を基に、翌年の2月を待つことなく業績勘案率を決定して委員会に通知をすることができるという仕組みとなってございますので、退職金支給の早期化が可能となるように業務の見直しを行うこととしまして、今年度以降は、主務大臣は評価の実施後、随時業績勘案率を決定し、委員会に通知ができるということを改めて周知するとともに、委員会としましては、年度評価等の審議を行う委員会が終わった以後の評価部会において、それまでに委員会に通知された業績勘案率を順次御審議いただくというような形で、柔軟に対応していくこととしたいと考えております。
これによりまして、最速では、例年11月頃に開催される委員会の後に評価部会を開いて御審議いただくということも想定されるわけでございますが、今年度については、評価スケジュールが後ろ倒しになっていることも踏まえまして、年明け1月26日に開催予定の評価部会で御審議いただくこととしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【樫谷部会長】 業績勘案率は柔軟に対応するということですよね。まとめて審議するのではなくて。ただ、今年度はコロナの関係で、遅れるかもしれないということですよね。
【辻管理官】 はい。
【樫谷部会長】 分かりました。ありがとうございました。
今後、このスケジュール表でも御説明いただきましたように、委員の皆様方には相当御負担をかけることになりますが、よろしくお願いします。
それでは、第37回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会します。本日は、皆様お忙しい中、御出席いただきまして、大変ありがとうございました。

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