(令和2年7月21日(火曜日)11時59分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)外務省幹部職員への辞令交付

【茂木外務大臣】この会見の前に、外務省の幹部職員22名に対して、辞令の交付を行いました。片山研修所長、金杉外務審議官はじめ、局長クラスの皆さん、本当にいい仕事をしてくれたと、こんなふうに考えております。改めて心から敬意を表したいと思いますし、新たにそれぞれ審議官、また局長等のポストに就くみんなには、これまでの成果、これを踏まえて、更にそれを発展するような仕事をしてくれることを期待したいと、そのような話をさせていただきました。
 今、それぞれ官房付となっている方が多いわけでありますが、いずれ大使等の発令があると思っておりまして、それぞれの任地において、まさに日本外交の最前線でそれぞれ皆さんに活躍をしてほしい、こんなふうに考えているところであります。

(2)感染症危険情報の引き上げ

【茂木外務大臣】もう一点、感染症の危険情報の引き上げについてでありますが、ご案内のとおり、今、新型コロナ、米国でも再拡大、こういう様相を呈しておりまして、また南米やアフリカでも感染拡大が継続をしております。7月21日現在、世界188か国・地域で1,400万人以上の感染が確認をされ、全世界の死亡者数59万人を上ると、こういう状況になっております。
 このような状況を受けて、1万人あたりの感染者数等を含みます様々な状況を総合的に勘案して、新たに17の国・地域の感染症危険情報レベルを「レベル3(渡航中止勧告)」に引き上げます。
 具体的には、アジア・大洋州ではネパール、中南米ではスリナム、パラグアイ、ベネズエラ、欧州・中央アジアではウズベキスタン、中東・アフリカではケニア、コモロ、コンゴ共和国、シエラレオネ、スーダン、ソマリア、ナミビア、パレスチナ、ボツワナ、マダガスカル、リビア、リベリアです。この結果、合計146の国・地域が「レベル3」ということになります。

感染症危険情報の引き上げ

【NHK 山本記者】冒頭の感染症危険情報ですけれども、今日これから引き上げるということですか。

【茂木外務大臣】今、引き上げるということになります。

新型コロナウイルス(在留資格保有者の再入国制限)

【ラジオ・フランス 西村記者】再入国の協議について質問なのですが。

【茂木外務大臣】なんですか。

【ラジオ・フランス 西村記者】ラジオ・フランスの。

【茂木外務大臣】なんの協議。

【ラジオ・フランス 西村記者】再入国についての質問をさせていただきます。

【茂木外務大臣】再入国ね。

【ラジオ・フランス 西村記者】数か月前に出国した日本在住外国人は、再入国は認められない状況が続いています。永住者や日本人配偶者でない方は、制限の前に出国した場合でも、再入国の許可がもらえません。
 それでも彼らは、日本で税金、健康保険、家賃などを払い続けています。異常であると言わざるを得ませんが、こんな日本在住外国人には、優先的に再入国を許可するつもりでしょうか。また、どんな順番で、どの時期で、日本在住外国人の再入国を認めるのか、いつになるか、戦略を教えてください。

【茂木外務大臣】冒頭ですね、産油国に聞こえたので、oil producing countriesのことを聞かれたのかと思いまして、再入国ということで、ご質問の趣旨は分かりました。長期在留資格保持者の再入国にかかわります様々な要請については、承知をいたしております。
 これまで我が国として必要と考える水際対策措置を講じつつ、再入国許可を得て出国中の在留資格を有する外国人について、特に人道上配慮すべき個別事情がある場合、再入国を認めてきた、こういう経緯があります。
 政府として、感染再拡大の防止と両立する形で、どのように部分的・段階的に人の往来を再開できるか、引き続き検討していきたいと思っております。
 この会見でも何度も繰り返させていただいておりますが、段階的に進めたいと、その段階的というのは、一つは国や地域でありまして、やはり感染の収束しつつある国か、これから緩和していく、これはどの国でもとっているアプローチであります。
 今、EUを見ましても、そういった国は13か国、世界で、そういう形になっております、シェンゲン外でありますと。また、どういった人たちについて認めるかと、これは国の方針もありますが、例えばどうしても観光ニーズが高い国で、そういった観光客も含めて入れている国、こういった国もあるわけでありますが、多くはやはりビジネス関係者、これを中心にまずは進め、その上で留学生であったり、最終的には一般の観光客、更には一般人、こういう順番で進めていくと。
 世界の感染状況、更には各国におきます往来の再開に関する緩和の状況、自分(大臣)も毎日チェックしております。日本が異常だということはありません、決して。日本だけ異常だということは、決してないと思っております。感染の拡大は防止しなきゃなりません。いくら感染させても構わないと、もしそういう考えだったら、あなたの考えと私(大臣)の考えは違います。感染の拡大、これを防止する、これと両立する形で人の往来をどう再開していくかと、こういう方向で考えると、この方針に全く変わりありません。

感染症危険情報の引き上げ(人の往来再開)

【ジャパンタイムズ 大住記者】その関連で2点お伺いします。先ほど、再入国の問題なんですけれども、渡航中止勧告の対象国が146か国に上げられたということは、再入国の規制に影響あるのか、現在、129か国が対象になっているんですけれども、それが1点目で、2点目は、ビジネス客に対しては、政府はたしかに入国許可を進めているんですけれども、その戦略の中では、やはり現在出国で検査を受けても、隔離や検査を受けても入国できない方が何か月前からいるということで、その中には家や職業、学業など失っている、生活を失っている方がいます。それはやはりそういった方より、ビジネス客に対する入国許可を優先的に許可を進めるということでしょうか。

【茂木外務大臣】まず、この「レベル3」への引き上げ、146か国に拡大をさせていただいたと、このことと人の往来について、試行的に、試験的に段階的に広げていく。このこと自体が直接関わっていると、そのようには考えておりません。
 その上で、先ほど申し上げたように、長期在留資格を保持する方で、再入国を希望されている方がいらっしゃる、そのことは十分理解をしております。そういった人たちに対して手当てをしなければならない。ただ、それは関係省庁との間でも、水際措置をどうしていくのか、同時に、それによって日本国内での感染の拡大に繋がらないか、こういう懸念もしっかり一つひとつ解消しながら進めていきたいと思っております。

【ジャパンタイムズ 大住記者】続けて申し訳ないんですけれども、この状況は何か月も続いて、目途ぐらい教えていただければ。いつ頃、何らかの動きが、戦略の変化なり、何らかの動きの発表が期待できるか、ということを教えていただければ助かります。

【茂木外務大臣】ご案内のとおり、現在、4か国、ベトナム、タイ、そしてオーストラリア、ニュージーランドとの間で、ビジネス関係者を中心にした人の往来を再開するための仕組みについて調整を行っているところであります。感染の拡大が落ち着いている国から順次、そういった対象国・地域というのは広げていきたいと思っております。
 また、人材についても、様々なニーズがあるわけでありまして、感染症拡大防止と両立する形で、どういう人材だったら、どういう追加的な感染防止対策の実施の上で、入国が可能かと、こういったことは鋭意検討していきたい、そのように思っております。
 ただその一方で、では数か月前に今のコロナの状況、これを本当に皆さん正確に予測をできていたかと、そんなことはないんだと思います。新型コロナ、この感染が中国で確認をされてから、最初の10万人感染者が出るまでには、67日間かかりました。10万人から20万人になる、これは67日ではなく11日でそのような状況です。20万人から30万人になる、これはたった4日間で、そのような状況が生まれました。今、4日間では10万人でありません。100万人の感染拡大が続いていると。世界的に流行の中心というものも、中国から欧州に移り、そして米国で拡大をし、更に今、ブラジルをはじめとする中南米、更にはインド等の南アジア、またアフリカ、世界的な拡大、こういったものも見えるわけでありまして。では、半月後、1か月後、これについてどんな状況になっているか、見通すということは極めて難しいと思います。それは専門家であっても。
そういった状況、収束を1日も早くしてほしいと、こういう思いは誰も一緒だと思いますが、そういった感染拡大の収束の状況も見なければ、人の往来について、どこまでのことを、どういう国に対して、どういう人材についてできるかということは、確たることを申し上げるというのはできないと、そんなふうに思っておりますが、できるだけ早く、人の往来が再開できる方がいいと、そう考えていることは間違いありません。

中国情勢(尖閣諸島への中国公船侵入)

【読売新聞 阿部記者】中国公船による尖閣諸島周辺の接続水域への侵入の問題についてお伺いします。昨日まで98日連続となり、過去最長を更新している状況ですけれども、中国側の動きについて、大臣のご所見と、政府の対応をお伺いします。

【茂木外務大臣】航行日数連続記録が64日間を超えて、記録を更新する、その度ごとに、中国側に対してはしっかりと申入れを行っているところでありまして、今後とも、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜く、この決意の下、冷静かつ毅然と対応していきたいと思っております。

【産経新聞 石鍋記者】今の質問に関連してお伺いいたします。中国側の公船、尖閣沖への公船への動きについてですね、自民党では環境調査、あるいは自衛隊と米軍との共同訓練、こういった措置も検討すべきではないかとの声も挙がっています。大臣はですね、外務省による抗議以上の具体的な措置の必要性について、どうお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】与党の意見もよく伺った上で、対応については考えたいと思います。