令和2年7月16日

 7月16日(現地時間同日)、バングラデシュ人民共和国の首都ダッカにおいて、我が方、伊藤直樹駐バングラデシュ日本国特命全権大使と先方ファティマ・ヤスミン財務省経済関係局次官(Ms. Fatima Yasmin, Secretary, Economic Relations Division, Ministry of Finance)との間で、供与額10億円の保健・医療関連機材のための無償資金協力(「経済社会開発計画」)及び供与限度額4.46億円の若手行政官等育成のための無償資金協力(「人材育成奨学計画」)に関する交換公文の署名が行われました。

1 感染症対策及び保健・医療体制整備支援(無償資金協力「経済社会開発計画」)
 新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大は、人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日、我が国を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり、国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。
 とりわけ、保健・医療体制が脆弱な途上国における感染拡大防止は、在留邦人の健康・安全に直結するのみならず、我が国への感染症流入を予防する観点からも極めて重要であり、我が国の経済・社会にも大きく影響し得る喫緊の課題です。
 バングラデシュにおいては、本年3月8日に初の感染者が確認されて以降、感染者数が日々増加しています。同国の人口密度の高さ、従来の保健医療システムの脆弱さ及び医療人材の不足から、今後更に感染が拡大した場合のリスクが極めて高く、保健・医療体制の強化が喫緊の課題となっています。
 この計画は、バングラデシュに対し、保健・医療関連機材(CTスキャナー、移動式X線撮影装置等)を供与することを通じて、同国の感染症対策及び保健・医療体制の強化に寄与することが期待されます。我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく保健・医療体制が脆弱な国々を支援していきます。

2 若手行政官等育成支援(無償資金協力「人材育成奨学計画」)
 バングラデシュでは、堅調な経済成長を遂げつつも各開発課題を取り扱う政府機関の職員・組織・制度・財政等の能力・体制が、取り組むべき課題に比して総じて不足しているという現状に直面しており、同国の将来を担う若手行政官等の人材育成が急務となっています。
 この計画は、バングラデシュの若手行政官等が、我が国で学位(修士または博士)を取得するために必要な学費等を供与するものです。
 この協力により、最大で修士課程30名及び博士課程3名のバングラデシュの行政官等が自国の開発や発展に必要な各分野の専門的知識を習得し、帰国後、同国政府の政策立案等に貢献することが期待されます。また、日・バングラデシュ間の相互理解及び友好関係の強化に加え、国際的な知的ネットワークの強化に寄与する人材の育成につながることが期待されます。

[参考]バングラデシュ人民共和国基礎データ
 バングラデシュは、面積約14.7万平方キロメートル(日本の約4割)、人口1億6,365万人(2018年、バングラデシュ統計局)、人口1人当たりの国民総所得(GNI)1,750米ドル(2018年、世界銀行)。