(令和2年7月14日(火曜日)11時51分 於:本省会見室)

冒頭発言

外務省の幹部人事

【茂木外務大臣】今日の閣議で外務省の幹部人事、承認をされたところであります。
 発令は来週の火曜日、7月21日を予定しております。今回の外務省幹部人事に当たっては、様々な要素を検討して決定いたしましたが、特に2点、一つは、政策の継続性、そしてもう一点は、有能な若手人材の登用、組織の新陳代謝、これを重視いたしました。
 これまで要職を経験してきた幹部、本当によく仕事をしてもらったと、そんなふうに思っておりまして、今後も大使等の役職で、引き続き日本の顔として活躍してほしい、こんなふうに考えています。

日本における子の連れ去りに関する欧州議会決議

【NHK 山本記者】先週の会見でもご発言いただいたのと同じような話で恐縮なのですけれども、EUのハーグ条約に関する日本への決議について、2点ほどお伺いさせてください。
 大臣、この前の会見で、条約の対象にすべき事案と、対象にならない国内の事案を分ける必要があるというふうにおっしゃっていましたけれども、対象となる方の事案なのですが、日本側は適切に対応しているとしていますけれども、EU側は日本は国際ルールを遵守していないと思っています。この認識の違いは、どういった点に原因があるとお考えでしょうか。また、EU側にはどのように理解を、今後得ていくお考えでしょうか、まずこの点をお願いいたします。

【茂木外務大臣】まず事実関係、数字等を見れば、日本の主張、これは明確であると思っておりまして、ハーグ条約の対象事案について、同条約に基づいて日本へ連れ去られた子のEU加盟国への返還について、これまで26件について、日本政府が援助決定を行いました。全世界でこういった援助決定が行われたのは126件であり、日本とすべての条約締約国の間でも123件、失礼しました、123件、そこの中で日本とEU加盟国の間では26件です。そのうち日本とEU加盟国のとの間では11件で子の返還が実現しております。子の返還が実現しているのは、日本とすべての条約締約国との間でも43件ということになるわけでありまして、四分の一は日本とEU加盟国の間でということであります。
 また日本政府はEUおよびEU加盟国に対して、本年4月の子の返還執行の実効性を強化した条約実施法改正を含めて我が国の取組について、これまで累次にわたり説明をしてきております。
 以上の事実、客観的な事実にも関わらず、欧州議会が本決議において、どのような根拠に基づき、そのような主張をしているのか理解しかねる点は多いわけでありますが、日本としてはハーグ条約の対象となる事案については、同条約に基づいて、EU加盟各国の中央当局との協議を通じて、一貫して適切に対応してきていると考えております。

【NHK 山本記者】関連してもう一点、今度、ハーグ条約の対象とならない日本国内の子の連れ去りについてですけれども、EU側はこちらについても早急に対応するようにというふうに日本側に求めています。共同親権を認める法改正の必要性にも触れているようですけれども、国内法ですので一義的に法務省の対応になるかと思うのですけれども、この利益のためにどういった制度が必要か、大臣のお考えがあればお聞かせください。

【茂木外務大臣】法務省で検討されている案件でありまして、法務省においてお答えいただく案件だと思っております。

米国の南シナ海政策

【読売新聞 阿部記者】米国のポンペオ国務長官が、南シナ海の領有権をめぐる中国の主張は完全に不法とする声明を発表しました。これまで、米国は領有権争いでは中立の立場を維持してきましたけれども、声明の受け止めと、日本政府の見解をお願いいたします。

【茂木外務大臣】一言で申し上げて、米国のコミットメント、これを歓迎し支持をしております。米国の今回の発表、これは地域の安全保障環境が厳しさを増す中、地域の平和と安定に向けた、米国の揺るぎないコミットメントを示すものだと考えております。
 我が国は、法の支配と、力や威圧ではなく平和的な手段を用いることの重要性を一貫して主張してきているわけであります。また、国連海洋法条約の規定に基づいて、仲裁判断は最終的であり、紛争当事国は法的に拘束されるということでありますから、当事国は仲裁判断に従う必要があると考え、そのように今、指摘をしてきております。
 今後も自由で開かれた平和な海を守るため、引き続き、米国をはじめとする国際社会と連携をしていきたいと思っております。

新型コロナウイルス(人の往来における水際対策)

【日本経済新聞 加藤記者】水際対策のことで1件、お伺いいたします。一部報道で、米国や欧州の企業経営者の往来を緩和するという報道がありますけれども、政府の現状の検討状況を教えてください。

【茂木外務大臣】第一弾として、対象4か国について、ビジネス人材、ビジネス上必要な人材について、人の往来の再開、これについて協議を行っていると、これが特にベトナム、タイについてはかなり議論というのが進展をしていると、そのように考えております。
 その上で、今後、感染症の拡大防止対策、拡大防止策と両立する形で、いかに人の往来、これをさらに再開させていくかと、非常に重要な課題であると考えております。そこの中では、感染が収束しつつある国から順次進めるという、国の拡大の問題があるわけであります。同時に、人の面に着目して日本経済の回復、これは喫緊の課題でありまして、そういったものを行っていく上で、必要になってくる人材というのはどういう人なのか、またその人の往来を認める場合にどういうスキームであれば、感染の拡大防止と両立するのか、こういう検討を今、検討と言いますか、議論を関係省庁間で行っているという段階です。

新型コロナウイルス(在日米軍の感染者数の公表)

【共同通信 高尾記者】在日米軍基地における新型コロナウイルスの感染状況についてお伺いします。沖縄県の普天間飛行場をはじめ、青森県の三沢基地、山口県の岩国基地などで、複数の米軍関係者の感染が確認されております。特に感染者の確認数が多い沖縄県の玉城知事は、近く上京して感染状況に関する情報公開を米側に求めるよう、国に要請する方針です。こうしたことを踏まえて、日本政府として米側にどのように働きかけるお考えなのか、大臣のご見解をお聞かせください。

【茂木外務大臣】現在の状況を受けまして、私の指示のもと、米側に対して改めて感染防止のために厳格な措置を徹底するとともに、緊密に情報共有を図るよう申し入れを既に行ったところであります。本件に関する情報共有を含めた在日米軍と連携し、適切に対応していきたいと思っております。