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日時

2020年6月23日(火)10:00~13:00

場所

消費者委員会会議室
東京都千代田区霞が関3-1-1 (中央合同庁舎第4号館8階)・テレビ会議

出席者

【委員】
新川座長、山本座長代理、池本委員、伊集委員、大森委員、尾嶋委員、西田委員、八木委員
【消費者委員会委員】
生駒委員、清水委員
【事務局】
二之宮事務局長、金子参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 地方消費者行政に関する報告書骨子案について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

  • 議事次第(PDF形式:95KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料1】 報告書骨子(案)(PDF形式:496KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料2-1】 第32次地方制度調査会 2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申(案)(PDF形式:504KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料2-2】 第32次地方制度調査会 中間報告(案)の概要(PDF形式:614KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料3】 池本委員提出資料(PDF形式:232KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料4】 第30回地方消費者行政専門調査会における議論の整理(PDF形式:293KB)PDFを別ウィンドウで開きます

≪1.開会≫

○新川座長 ただいまから第31回「地方消費者行政専門調査会」を開催させていただきたいと思います。

本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止という観点から、テレビ会議システムによりまして、本専門調査会を開催いたします。

本日の進行についてでございますけれども、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間は山本座長代理に、また、座長代理の回線も併せて切れた場合は事務局に、それぞれ進行をお願いいたしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

まず、テレビ会議システムでの開催に当たりまして、事務局より留意事項をお願いいたしたいと思います。

○友行企画官 テレビ会議による専門調査会開催に当たりまして、お願い申し上げます。

1つ目でございますが、ハウリング防止のため、発言者以外の方はマイクをミュートの状態にしていただきますようにお願いいたします。

また、2つ目といたしまして、御発言の際にはチャットでお知らせいただきますか、もしくは御発言で「発言です」とか「質問です」という形でお知らせください。

3つ目でございますが、音声が聞き取りづらい場合には、チャット機能で「聞こえない」旨を記載していただきますようお願いいたします。

どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、本日の委員の御出欠について御報告を申し上げますが、本日はまず首藤委員、山田委員が御欠席です。

また、池本委員が11時頃から御出席の予定と聞いております。

また、山本座長代理におかれましては、12時頃御退席の御予定とお伺いをしております。

次に、配付資料の確認をさせていただきます。既にお手元に本日の議事次第が届いておろうかと思いますが、この議事次第の1ページ目の中ほど、配付資料の欄がございます。資料1から資料4まで、枝番がございますのは資料2-1、2-2のところでございます。もしも資料に何か不備がございましたら、今、お知らせをいただければと思いますが、いかがでしょうか。大丈夫でしょうか。(各委員から問題ない旨意思表示)


≪2.地方消費者行政に関する報告書骨子案について≫

○新川座長 皆様、よろしいようでございますので、進行させていただきたいと思います。

本日の進め方についてでございます。本日の議事に早速入りたいと思っておりますが、御承知のとおり、当専門調査会では、我が国の20年後の姿、人口減少であるとか、超高齢化社会であるとか、社会情勢の様々な変化に備えて、地方消費者行政につきましても、今後20年の間に様々な変化に対応していかなければならないということで検討をしてまいりました。今後はこれまでの調査研究等を踏まえまして、その成果を報告書として取りまとめる、そういう段階に来ておろうかと思います。まず、本日はこの報告書の方向性を示します骨子案について御議論をさせていただきたいと思います。

本日の進め方でございますけれども、お手元議事次第では「地方消費者行政に関する報告書骨子案について」とだけ書かれてございますが、まずは最初に事務局から報告書骨子案について御説明をいただきたいと思っています。

続きまして、今回の調査研究の出発点になりました総務省の様々な御検討がございました。20年後の社会情勢の大きな変化、これを踏まえて、地方行政の諸課題、そして、その対応策について検討してこられた地方制度調査会の御検討が進んできております。過日、その答申案が出されているようでございますので、これにつきまして、地方制度調査会小委員会委員長として取りまとめの任に当たられました山本座長代理から御説明をいただきたいと思っております。そして、私どもの議論の参考にしていきたいと思っております。

もう一点、後ほど御参加をいただきます池本委員から、報告書骨子案の議論に先立ちまして御発言がおありとお申出をいただいてございますので、その御発表をいただきたいと思っております。

その後、報告書骨子案について意見交換を進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

以上の進め方で、本日はかなり長い時間にわたりますが、よろしくお願いをいたしたいと思っています。

それでは、早速でございますけれども、報告書骨子案につきまして、事務局の説明からお伺いをしてまいりたいと思います。

事務局、恐縮ですが、御説明をお願いいたします。

○友行企画官 事務局でございます。

資料1を御覧いただけますでしょうか。「報告書骨子(案)」と記載しております。

最初のページが目次になっております。「はじめに」から始まりまして、最初に、第1という形になっております。

説明に入ります前に、座長からも御説明がございましたけれども、この専門調査会の報告書を取りまとめるに当たってのこれまでの目的でございますとか若干の経緯などにつきまして、再度申し上げます。

まず、この専門調査会でございますが、昨年の6月に立ち上がりました。そもそもの目的といたしましては、我が国が既に人口減少局面を迎えているということや、都市部での高齢単身世帯の増加、地方部での過疎化が進むことによる大きな社会的な変化、これまでに経験したことのないレベルでの人口構造や社会情勢の変化等により、消費者行政も新たな局面を迎えることが予想されるということを最初に問題のテーマといたしました。そして、これまでの施策の延長線上では対応し切れない可能性もあるということが論点として挙げられておりました。

この専門調査会では、直近の消費者課題についても目を向けつつ、2040年頃において地方消費者行政が役割を果たすためにどのような対応策が考えられるかということで、10年後、20年後を見据えた中長期的な視点から、新たな消費者行政の形、消費者行政分野における公共私の相互の連携などについて検討を行うということで、御検討を始めていただきました。

昨年6月に専門調査会は立ち上がり、同8月に一旦中間整理を行いました。その後、地方自治体などからのヒアリングを重ね、また、調査審議を重ねていただきまして、今日に至っております。今日、初めて表の場で報告書骨子案につきまして御説明申し上げます。

それでは、お手元の骨子案の1ページ目にお戻りいただけますでしょうか。まず「はじめに」から始まりまして、第1の「現状」でございます。1番のところで「消費者問題の現状」などを記載することとしております。

第2といたしまして「20年後の我が国の主な課題と消費者行政」というところを記載しております。

第3といたしまして「20年後の消費者行政が目指すべき姿」、この専門調査会として、2040年頃を見据えて、目標とする、理想とする姿をここに描いております。

第4といたしまして、その目指すべき姿、理想とする姿に向けた対応策をここで述べております。第3と第4がなるべく対応するような形で記載しているところでございます。

最後が「おわりに」といった形になります。

それでは、本文に参ります。3ページ目を御覧いただけますでしょうか。まず、第1のところでございます。1番の「消費者問題の現状」でございます。ポツのところから御説明してまいりますが、最初のところでございますが、PIO-NETの相談件数につきましては、現在、90から100万件程度で推移しております。見方といたしましては、苦情相談件数は高止まりと見ております。それから、潜在的な消費者被害は5.4兆円、足元の最新の消費者白書では4.7兆円と、5兆円程度となっております。

3つ目のポツでございますが、規制緩和政策の進展により、事業者の競争激化、また、グローバル化などが進みまして、消費者問題は多様化・複雑化しております。そして、何よりも非対面化しております。

それから、最後のポツでございますが、2020年における新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの消費者問題も発生しております。感染症以外の自然災害も頻発しております。こうしたリスクは、これからの消費者問題を検討するに当たっては、緊急に対処すべき重要な課題として、皆様の認識に上がっております。

第1の2番目、「地方消費者行政の現状」を見てまいります。令和2年4月に、消費者庁は「地方消費者行政強化作戦2020」を取りまとめております。そして、そのような施策を取り、地方消費者行政の充実・強化に向けた取組を推進しているところでございます。

4ページ目に参ります。消費者庁から地方自治体への交付金でございますが、こちらは地方消費者行政活性化交付金、推進交付金、強化交付金と変遷しております。土台作りから充実・強化への段階へとフェーズが移行しているという見方もできます。

次の次のポツでございますが、地方自治体において消費者行政に関わる行政職員数は減少しております。また、消費生活相談員の確保に多くの自治体で苦慮しているような状況が見られます。

下から2つ目のポツでございます。相談体制の広域化が進む中で、市町村、都道府県の役割分担が若干不明確になってきているところがございます。

消費者問題の広域化などにもかかわらず、国の対応は限定的なものにとどまっているのではないかという問題意識でございます。

第2の「20年後の我が国の主な課題と消費者行政」ですが、1番目が「20年後の消費者を取り巻く環境において予想される課題と展望」でございます。

課題の1つ目のポツのところでございます。高齢化率が40%に達する。また、孤立化、過疎化が更に進展することにより、地域の問題解決力「地域力」が低下することが懸念されています。

単身世帯の増加、地域力の低下、また、コミュニケーションの取り方の変化などと相まって、消費者は孤立化するということが考えられます。

顔の見えない匿名社会(非対面化、デジタル情報化)が拡大してまいります。消費者は今よりももっと消費者被害に遭いやすい状態に置かれることが懸念されます。

5ページ目に参ります。消費者問題は、もはや一つの地域にとどまる問題ではなく、我が国全体に広がる消費者問題の「広域化」が進みます。

また、生活の問題が多様化していることなどから、経済的問題や健康面での課題など、一人で複数の問題を抱える消費者が増えるといったことも考えられます、

こういった課題とともに、20年後を見据えた展望といたしましては、ICT・AIなどの技術の更なる進展が予想されます。現実に起こると思われます。それにより、多くの消費者問題の未然防止から被害救済まで、そういったことを解決できる可能性もございます。

また、医療の進歩やこうした技術の発展などによって、高齢者のライフスタイルは格段に改善されるといったことが考えられます。活発な高齢者の増大につながることも予想されます。

こうした高齢者を含め「人生100年時代」で社会に積極的に関わっている高齢者が増加し、活動的な高齢者をターゲットとした新たな市場の登場、また、活発な消費活動が全体の消費を刺激するといったような経済へのプラスの効果も十分予想されるところでございます。

第2の2番目の「20年後の地方消費者行政において予想される課題と展望」でございます。

まず、課題のところでは、人口的なことを背景に行政サービスの供給の制約要因となることが予想されます。消費者行政に関わる専門的な人材の確保もますます困難になることが考えられます。

また、地域における課題の解決力も低下することが想定されます。

展望といたしましては、ICT・AIなどの技術を消費者行政にも効果的に取り入れることによって、多くの消費者問題が解決される可能性もございます。

また、地方においては、豊かな自然や伝統文化、民芸品などの魅力ある資源を有しております。安全安心な食品の供給が可能なことから、外国人を含む観光などの更なる活性化、良質な消費活動の実践の場として期待される面もございます。「地産地消」や「エシカル消費」といった概念から、こうしたユニークな取組を発展させる、地方がその現場になるといったことも考えられます。

こうした1番目、2番目の状況を踏まえまして、3番目といたしまして「消費者行政の重要性の更なる増大」でございます。消費者行政の目指すべき目標は、消費者被害の未然防止、被害防止、被害救済はもちろんでございますが、安全安心な消費環境を備えた消費社会の実現でもございます。

また、20年後を見据えたときに、消費者は更なる匿名社会、デジタル社会の拡大にさらされることが予想されます。それに対して、国ですとか地域のコミュニティー、自治体、個人の対応力は低下していく。そのため、新たな消費者行政の在り方を模索すべきことが必要となってまいります。

さらには、様々な自然災害などによる緊急事態が発生することに備えまして、危機対応としての消費者行政を早急に構築すべきということもございます。また、責任ある持続可能な消費と生産や安全安心なマーケットを国内市場において醸成することは必要不可欠になってまいります。

そして、高齢化率が40%に達するということは統計的にもう測定されており、高齢者が安全安心に生きがいを持って豊かな消費生活を送ることができる社会を実現することも求められております。

以上のように、消費者行政に求められる課題でありますとかやるべきこと、重要性ということは、非常に高まっております。20年後に向けて、消費者行政の重要性は確実に一層増大するということでございます。我が国全体で20年後を見据えた消費者行政の充実・強化へ向けた取組を直ちに行うべきであるということが、この報告書の提言の中心的な柱となっております。

以上を踏まえまして、第3の「20年後の消費者行政が目指すべき姿」でございます。この専門調査会として、こうした姿が実現されているということを、以下、記載しております。

第3の1番目は「市町村、都道府県、国が重層的に消費者の安全安心を守る消費者行政への転換」でございます。1つ目のポツでございます。消費者安全法によりますと、消費者行政は、消費者からの相談を受けること、福祉、警察との連携、消費者教育等、人へのサービスに関わるものでございます。こういったものは住民に最も身近な市町村が担うことがふさわしいとされてきております。ただ、全てのサービスを市町村が担うことが原則とされた方向性を若干見直し、市町村、都道府県、国の役割を明確化しつつ、ときには連携し、それぞれが補完し合う重層的に消費者の安全安心を守る体制へ転換していく必要があると考えるということでございます。20年後には、そうした行政体制へ転換している、それが実現されているということでございます。

2つ目のポツでございます。市町村、都道府県だけでなく、国の対応は現時点では限定的なものにとどまっているということが言えます。ただ、20年後においては、自治体における解決策の模索を自治体任せにせず、必要に応じて市町村、都道府県、国が一体となって取り組む枠組みが構築されているということでございます。

2番目といたしまして「新たな支え合い見守り合う地域社会への転換」でございます。行政部門は地域における安全安心を守る視点で連携し、地域の様々な主体ともつながりを持って隙間のない見守り体制が構築され、それにより、消費者問題の掘り起こしにもつながっている社会。

また、相談員、消費者サポーター、民生委員、地域の課題に取り組む事業者などがつながりを持ち、地域の資源をつなげ、コーディネートを行う機能が都道府県を中心に確立されている社会。

また、高齢者を含む消費者が、見守られるだけではなく見守りの担い手となって、真に支え合う地域社会が形成されているということでございます。

3番目といたしまして「複雑多様化した消費者問題から自らを守ることのできる消費者市民社会の形成」でございます。(1)として「安全安心な市場」でございます。1つ目のポツは、消費者市民社会の環境面として、ネットや実店舗などどこで購入しても安全安心な市場が醸成されている状態を示してございます。

また、将来の高齢者は弱者としてのみ捉えられがちでございますが、ICTに既に慣れ親しんでいる世代でございます。20年後においては、健康的で社会に積極的に関わる高齢者が増加することが予想され、そうした高齢者は消費者として自由な消費活動を行い、経済を刺激する存在になっているということでございます。

また、外国人にとっても安全安心な市場となっていること。

また、適切かつ迅速に被害に対応できるよう、救済制度が整備されている社会が実現されているということでございます。

8ページ目でございますが、(2)といたしまして「自立した消費者による消費者市民社会」でございます。消費者教育推進法では、消費者市民社会において、以下のように定めております。「消費者が、個々の消費者の特性及び消費生活の多様性を相互に尊重しつつ、自らの消費生活に関する行動が現在及び将来の世代にわたって内外の社会経済情勢及び地球環境に影響を及ぼし得るものであることを自覚して、公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会」と言っております。こうした社会が実現されていることでございます。

(3)といたしまして、理想の姿として「高齢者も担い手として支える消費者市民社会」が形成されているということでございます。高齢者が消費者として活発に活動すると同時に、生産者や労働者としても社会と関わりを持ち続けて、見守り側としても活躍している社会でございます。

また、高齢者の活躍を推進し、先進的事例を生み出し、消費者分野を含めた世界の高齢者問題を解決する主導的立場を我が国が目指すといった社会でございます。

(4)といたしまして「安全安心な市場と自立した消費者を支えるICT・AI技術」でございます。こうした技術により、以下のような安全安心な消費生活が保障されているということを描いております。

消費者が主体的に、かつ簡単に情報を得られる。

被害の未然防止、被害回復に役立つ情報に自然と触れられる。

グローバル化する消費犯罪に迅速に対応されている。

また、市場が常時監視されている。

消費者が遠方からも行政や消費生活相談員等とすぐに簡単に相談ができる。

そういった社会の実現でございます。

4番目といたしまして「感染症、自然災害等危機下において消費者の安全安心が確保された社会の実現」でございます。こういった危機下においても、地域とのつながりが維持・確保され、消費者を孤立させない社会が実現している、そういったことでございます。

9ページ目に参ります。5番目といたしまして「安全安心な消費生活を守る持続的な消費生活相談体制の実現」でございます。都市部、過疎地域などを問わず、いつでも誰でも安心して相談できる体制が構築されているということでございます。社会情勢の変化にも柔軟に対応できる体制が構築されているということでございます。

都道府県においては、多様化・複雑化する消費者問題に対して、相談から解決までの一貫した対応力が整備されている社会でございます。また、国境を越えた問題にも対応が可能となっている社会でございます。

そして、国はそうした対応が可能となる体制を整備していくといったことでございます。

6番目といたしまして「目指すべき姿を実現するための社会的資源の確保、活用の実現」でございます。こうした目指すべき姿、理想の姿を実現するため、必要な社会資源、人的資源でありますとか、組織でございますとか、財源等、幅広いそういった観点から、そういったものが確保され、有効に活用されている、そういったことが実現されている社会ということでございます。

第3といたしましては、以上の姿を目指すべき姿、実現すべき理想の姿として描いております。

それを具体的に実現に向けた対応策を第4のところで述べております。1番目といたしまして「消費者行政主体の役割の変化と連携強化」でございます。まず「市町村は」といたしまして、総合型行政の主役として、他の行政分野、消費者団体、事業者などと一体となって、現場レベルでの総合的な対応を行うということでございます。

都道府県は、市町村では対応できない相談などに対応すべく、相談員や弁護士、消費者団体など必要な関係者と協働で解決する実践的な対応力を備えた体制を構築すると。これを実行するために、連携の核となる、ここでは仮称でございますが「消費者行政コーディネートセンター」を都道府県に設置するということを記載しております。

また、国はそれに向けた体制整備、制度的な対応を行うといったことでございます。

2番目といたしまして「地域社会の対応力強化」でございます。(1)として「総合型行政化の推進」でございます。市町村及び都道府県は、限られた資源を有効活用する、そのため、一体となった総合型行政を進めていくといったことでございます。

その際には、連携の核となる「消費者行政コーディネートセンター」を中心に、様々なステークホルダーがつながっていく、地域の資源をつなげて、コーディネートする役割を担うということでございます。

こうした取組を通じまして、市町村は、総合的な対応力を向上させる、地域住民に近いところで安全安心な生活を確立する総合型行政の主役となるといったことでございます。

(2)の「新たな見守り体制の構築・整備」でございます。総合型行政化の連携の核となる「消費者行政コーディネートセンター」は、既存の消費生活センターや広域センターの機能にとどまらない機能を持つということをここでは想定しております。

コーディネート機能のほかに市町村の消費生活相談員の支援を行う機能や、市町村単独では解決が難しい、例えば広域的な問題、より専門性の高い問題を解決する機能も持つということでございます。

そこには、行政職員と消費生活相談員業務のエキスパートを配置するといったことも考えられます。

また、行政が地域コミュニティーの現状を把握し、ネットワーク作りのためのマッチング機能を担うといったことも考えられます。その際、この「消費者行政コーディネートセンター」に人材や団体の情報を集約する、そういった拠点となるといったことも考えられます。

「新たな見守り体制の構築・整備」については、もちろん事業者についても、地域社会に配慮して活動する健全な事業者においては、活動の担い手として、市町村、都道府県が中心となって一層の協力を求めるといったことでございます。

(3)といたしまして「消費者自身が見守りの担い手として活躍する社会の構築」でございます。担い手としての高齢者の活躍がどうしても必要になってくるということでございます。互いに支え合い見守り合えるよう知識のある消費者を拡大し、地域力の基盤を構築していくということでございます。

11ページに参りますが、そうした取組の中で、特に高齢者にはその役割が期待されるといったところでございます。そのため、高齢者の活躍しやすい環境作りについて資格制度の見直しを含めて国が検討を進めるといったことも記載しております。また、年齢制限を定めずに積極的に継続雇用・再雇用を相談員さんなどにおいては行っていく、そういったことも行ってはどうかということで記載しております。

また、地域のコミュニティーの推進でございます。現状あるコミュニティー、SNS等の新たなコミュニティーについて、それを形成していくために、コミュニティーへ参加した際のサポートなどを行っていくということも考えられます。

それに関連いたしまして、下から3つ目のポツでございますが、啓発・教育活動でございますとか、教育体制の構築・整備でございますとか、そういったことも重要になってまいります。

事業者に対しては、地域の人々や行政とともに地域の問題を解決し、社会貢献がしやすくなるような体制の整備を国が主導して行うといったことも考えられます。

3番目といたしまして「新しい消費者市民社会の形成に向けた対応策」でございます。(1)として「安全安心な市場を醸成するための仕組み作り」でございます。まず、安全安心な市場を醸成するために、例えば、消費者が安全安心なお墨つきを得た商品やサービスであることを一目で分かるようにする認証制度などでございます。この認証を受けた商品やサービスを専門的に取り扱うショッピングサイトを作り、安全安心な購買を保障するといったことも考えられます。

また、消費者が自ら商品やサービスの安全性を測ることができるツールを導入するといったこともございます。消費者が自主的かつ簡単に安全性を見分けられるような、商品ジャンル別などのリストを作成し、例えば携帯端末などで判別できるようなシステムを構築するといったことも考えられます。

安全安心な市場の構築については、ユーザー側でございますとか、また、財やサービスの提供者側の双方がチェック機能を働かせるといったことも考えられます。

(2)の「自立した消費者を育成するための消費者教育・啓発活動の推進」でございます。消費者教育・啓発活動につきましては、現在でもやっております。それについて、内容を常に高度化して新しくしていくと。主体的な行動を促進するような実践的な内容を充実させた、そうした消費者教育・啓発活動を推進していくといったことでございます。

また、3つ目のポツにございますように、消費者教育の分野でも、オンライン教育の環境整備を一層進めることは避けられないということでございます。

(3)の「高齢者が活躍する社会の構築」でございます。高齢者となってもリタイアせず、消費者に優しい生産を続けていく、地域の見守り活動や相談員として活動を続けられる環境を醸成する。例えば、現在活躍している相談員で意欲のある相談員については、先ほども申しましたような再雇用・雇用継続できるような雇用制度の見直しを行うといったことも考えられます。

また、高齢者自身が安全安心な市場のモニタリングを行う、そうした組織を構築していくといったこともございます。

そういった様々な施策を整えることによって、我が国が実践・研究した成果を「日本モデル」として世界に発信するといったこともございます。

13ページでございます。(4)のところでは、ICT・AI技術の活用でございます。様々なことが考えられますが、1つ目といたしまして、消費者が自由にかつ簡単に学ぶことができ、情報共有できる仕組みを導入するといったことでございます。また、相談情報など、ビッグデータとして集積し、より早い段階で注意喚起や予防策、解決策がアラートとして携帯端末などに提示されるといったことも考えられます。

継続的なモニタリングでございますとか、AIを活用した犯罪の早期発見、注意喚起も考えられます。

また、下から2つ目のポツでございますが、相談情報やそういったところで集積したデータを、民間の研究者や消費者が有効に活用できるような形にするといったことも考えられます。また、もしこれまでのデータが一般での活用を想定していないものであるのであれば、新たな形、一般の活用を前提とした再構築といったことも考えられます。

そして、消費者が遠方からも行政や相談職員とすぐに簡単に相談ができるよう、最新の技術を使ってコミュニケーションツールの利用を促進していくといったことでございます。

4番目といたしまして「感染症、自然災害等危機下における消費者の安全安心を確保する対応体制の構築」でございます。消費者を孤立させない社会、緊急時にも対応できる体制作り、そうした場合に備えた対応マニュアルの作成などでございます。

また、国・自治体などにおきましては、消費者に最新で新しい情報を提供するといったことでございます。

14ページに参ります。5番目といたしまして「持続的な消費生活相談体制の構築」でございます。この構築に向けましては、2つの視点で行うといったことをここで記載しております。1つ目の視点は、小規模市町村や中山間地域などの過疎地域、それらが広域拠点とつながる広域センター、これは避けられないだろうということでございます。もう一つの視点は、グローバル化や複雑化した消費者問題に対応可能な新たな専門機能、専門集団の構成でございます。そういった機能は、前述した「消費者行政コーディネートセンター」に付与するといったことが考えられます。ここの組織は、コーディネート機能のほかに相談員の支援を行う機能や消費者問題を解決する機能、そういったものを付与するといったことも考えられます。

(1)のところは「広域センター化の更なる推進」でございます。現在でも進められておりますが、市町村の相談窓口、広域センターの相談窓口では、住民に寄り添う相談窓口を維持するだけではなく、ICT・AI技術等の活用により隙間のない相談窓口体制を構築するといったことでございます。

その際に「消費者行政コーディネートセンター」における広域の見地への配慮を必要とする相談対応、バックアップ・指導・研修、人材育成、登録制度など、そういったものもコーディネートセンターの中の機能に付与し、そういった広域化の補完的な役割を果たしていくといったことでございます。

(2)で「専門性の高い消費者問題への対応体制の構築」でございます。都道府県や「消費者行政コーディネートセンター」は、市町村が単独では対応できない相談に対応していくといったことでございます。

国は、都道府県域を超えて、早期に対応が必要な問題に対応していくといったことでございます。例えば今般の危機のときに設置されました「クラスター対策班」のようなものを国から自治体に対して派遣する、支援する、そういった機動的なことも考えられます。

また、あっせん業務の一翼を担っている適格消費者団体、特定適格消費者団体などの活動を更に充実させるといったことが考えられ、そういったことをここで記載しております。

15ページでございます。(3)といたしまして「消費生活相談員の活躍の場の拡大」でございます。地域に密着した相談窓口を全国で維持するために、市町村の相談窓口業務の消費者団体や事業者などへの業務委託についても検討するということをここで記載しております。業務委託できるような委託先の選定・教育など体制整備を国や自治体は行うということでございます。

また、2つ目のポツでございますが、消費生活相談員の身分について、活躍の場を広げ、雇用先の有無や個別の処遇制度の影響を抑えるべく、例えばみなし公務員制度などの選択肢の拡大についても検討を行うといったことを記載しております。

6番目の「目指すべき姿を実現するための社会的資源の活用」でございます。様々な取組の効果を最大限に引き出し、持続可能なものとするために、行政の予算や人材配置など、従来の議論にとどまらず、行政・民間の双方の社会的資源(人的資源、組織資源、財源等)を有効活用していくといった視点を持って、社会的資源を活用していくといったことでございます。

社会的資源の活用例といたしましては、まず、地方自治体独自の財源として、課税自主権というものをここに記載しております。

それから、消費者問題への取組への支援と認証制度の認知度向上につながることを意図して、例えば「ふるさと納税」、自治体への寄附といった仕組みを参考にしてはどうかということでございます。

それから、クラウドファンディングでございます。そうしたことの活用も考えられるのではないかということでございます。

また、消費者分野の基金を設立し、積立て、運用により持続的な資金を確保するといったことも考えられます。

さらに、認証制度を受けた商品やサービスの価格に消費者分野の取組に対する寄附分を上乗せして、それにより消費者が支え合う仕組みといったことも考えられます。

人材の面では、それらが希少化する中で、地域や組織の枠を超えてシェアしていくという考え方でございます。16ページのところでございますが、出向でございますとか副業、転籍等の柔軟な雇用形態を一層推進していくことが考えられます。

また、行政実務などの経験のある公務員やその退職者が、公務以外で消費者分野の活動に従事することも有益と考えられます。

さらに、「地産地消」「エシカル消費」などに関する地方ならではのユニークな取組は、人材を地方に引き付ける要因ともなり得ます。

また、最後のポツでございますが、「そのほか」のところ、公共私のネットワークの活用という観点から、行政と民間事業者が共同で消費者団体を設立するといったことも考えられます。

また、もう少し幅広い視点でございまして、<利活用できるデータの整備>ということを記載しております。消費者団体や事業者における独自の消費者市民社会実現への取組などの社会的資源の活用に向けて、消費者行政に係る活動の実態について把握する体制を構築する必要があると考えております。

また、行政が実施した施策の効果を定量的に示すことが可能となるよう、利活用可能なデータを更に整備していくといったことも考えられます。

報告書骨子案についての事務局からの説明は以上でございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

いろいろと御意見、御質問はおありかと存じますが、後ほど時間を取ってございますので、御意見、御質問は改めてということにさせていただきたいと思います。

引き続きまして、山本座長代理から御発表をいただければと思います。山本座長代理からは、地方制度調査会の「2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申(案)」、これにつきまして、お取りまとめを中心になって当たられた御経緯などを含めまして御説明をお願いできればと思っております。

山本座長代理、よろしくお願いいたします。

○山本座長代理 それでは、私から御説明をいたします。

地方制度調査会は、地方自治法をはじめといたします地方制度の在り方について議論をする場でございまして、構成といたしましては、通常の審議会と同様の構成である専門小委員会と、国会議員数名、地方六団体の代表がそれに加わった総会から構成をされております。

本日の資料2-1に答申案がございますけれども、その1ページの末尾の部分にどのように議論をしてきたかということが書かれております。2年間にわたりまして5回総会を開催し、39回の専門小委員会を開催し、また、現地調査もかなり頻繁に行っております。

今日、資料2-1としてお示しをしている答申案は、その2年間の成果といたしまして、先週、総会においてこれを諮り、そして、一部表現の修正について会長が預かるという形で、おおむね内容を確定させたというものです。正式な答申には至っておりませんが、内容的にはこれでほぼ確定といったものです。

今日、もう一つお配りをしております資料2-2がございますけれども、こちらは1年前、すなわち2年間の議論の中間の地点におきまして中間報告をまとめたものです。この中間報告の時点までは、必ずしも地方制度の在り方ということにこだわらないで、2040年頃にかけて日本全体、それから、地方において顕在化する変化・課題がどのようなものであるか、そして、それに対してどのように対応することが求められるか、その視点・方策を示すといったものになっております。

その資料2-2の中間報告1ページ目に、変化・課題が挙げられております。3つありまして、人口構造の変化、インフラ・空間に関する変化、それから、技術・社会の変化ですけれども、この人口構造のところで、ここにはそこまではっきりとは書かれておりませんが、生産年齢人口が減少するということで、地方公共団体における職員の数も減少するということ、それから、とりわけ、技術職員が不足をするという問題が示されております。技術職員の不足という点に関しましては、既に問題が生じている、顕在化しているということでありまして、職員の不足ということに関しては、これからどんどん問題が顕在化をしていくということになろうかと思います。

この資料2-2の中間報告2ページ目のほうが、それに対する視点・方策ということで、ここでも大きく「ひと」と「インフラ・空間」と「技術」という3つの面から、それに対応する必要があるということが示されております。

資料2-1に戻りますが、こちらのほうが後半に議論をしたものでして、ここにおいて地方制度の在り方として、それでは、どのように対応するかということが答申の形で示されております。

時間がございませんので、以下、資料2-1をごくかいつまんで御説明申し上げますけれども、全体の構成といたしましては、まず「基本的な認識」、「地方行政のデジタル化」の問題、「公共私の連携」の問題、「地方公共団体の広域連携」の問題、そして「地方議会」の問題とございます。本日は「地方議会」については特にお話をいたしません。ほかの点につきまして、ごくかいつまんでお話をいたします。

まず「基本的な認識」に関してでございますけれども、この中で一つ注目をされますのは、4ページの末尾にあります(2)の「地域の未来像についての議論」という部分です。市町村は、住民に最も身近な地方公共団体としての役割を果たすため、今後の変化やリスクに的確に対応し、持続可能な形で行政サービスを提供していく必要があると。その際、市町村によって問題の現れ方は多様であるので、首長、議会、住民、コミュニティー組織、NPO、企業等の地域社会を支える様々な主体がというところが一つ重要なのですけれども、このようないろいろな主体がともに、資源制約の下で何が可能なのか、どのような未来を実現したいのかの議論を重ね、ビジョンを共有すると。

そのために、各市町村が行政需要や経営資源に関する長期的な変化の見通しの客観的なデータを基にして「地域の未来予測」として整理することが重要であると示されております。この「地域の未来予測」というのは、ここにありますように、まず、事実を認識すると。どのような状態に現状があり、そして、将来どのようなことが予測されるか、まずそこのところをきっちりと押さえた上で、それでは、将来どうするのかということを多くの主体がともに話し合う。そういうものとして、「地域の未来予測」がここに示されており、これがこの答申案の中でも非常に重視をされている点です。

次に、デジタル化の問題ですけれども、5ページの「基本的な考え方」の第2段落の部分におきまして、特にオープンデータの取組ということが書かれております。これは行政の持っているデータを社会に対して開放して、それを有効に活用していくという視点でして、これは消費者行政においても重要であろうと思われます。

6ページに、国の役割ということが明確に書かれております。2の(1)の第3段落の部分ですが「国には、共通して活用可能な基盤やツールの提供、条件不利地域も含めた地域におけるデジタル化に必要なインフラの整備促進を早急に進めていくことが求められる」と、国の役割を明確に書いております。

そして、更に具体的な一つの方策として、7ページの一番下の(2)の部分から「地方公共団体の情報システムの標準化」ということで、住民基本台帳、税務等の分野における基幹系の情報システムについて、8ページの7行目の辺りで、個々の地方公共団体でのカスタマイズや共同利用に関する団体間の調整を原則不要とするとともに、ベンダロックインを防ぎ、事業者間のシステム更改を円滑にするため、システムの機能要件やシステムに関係する様式等について、法令に根拠を持つ標準を設けると。各事業者はその標準にのっとったシステムを開発して全国的に利用可能な形で提供するとともに、地方公共団体は原則としてこれらの標準準拠システムのいずれかを利用することとすべきであるというふうに書かれております。

ここにおきまして、情報システムの整備ということについて、もちろん地方公共団体ごとの取組は重要なのではありますけれども、しかし、ここにおいて国が積極的な役割を果たすべきだということを明確に書いており、しかも、この最終的な文案では落ちているのですけれども、この途中の文案、これは公表されていますので確認していただければ分かるのですが、途中の文案においては自治事務であると法定受託事務であるとを問わずというふうに書かれておりまして、この情報システムの整備について国の果たす役割は、自治事務に関わる事柄なのか、法定受託事務に関わることなのかということは、余り関係がないということを書かれております。

次に「公共私の連携」に関して、11ページの冒頭の部分でございますけれども、ここにおいて、特にプラットフォームを構築することが重要であると書かれております。プラットフォームと申しますのは、全ての構成員が一つの目標を持って、全ての構成員が取り組むという堅い団体というよりは、もう少し緩やかな構成員間の結びつきを想定しておりまして、例えばあるプロジェクトについては、その構成員のうちのこの部分が取り組む、ほかのプロジェクトについては構成員の中のほかの部分が取り組むといったように、全体のコンセプトを共有しつつも、緩やかな形でいろいろな事業を展開していくプラットフォームが今後重要であるということを述べております。

同じ11ページの最後の部分でございますけれども、ここにおきまして「1人複役」ということが書かれております。民間と公務を行き来する人材を任期つき職員として任用する、任期つきの短時間勤務職員として民間と公務を兼業する任用を行うといったような多様な任用形態を活用することによって、民間人材を地方公務員として任用している例が見られるところであり、こういった制度を活用することが考えられると。

さらに、地方公務員の営利企業への従事等の許可につきましても、許可制の趣旨に留意しながらも、そのようなことを進める、「1人複役」が可能となるような環境整備を進めることが求められるとされております。

13ページに行きまして、(2)のマル1の第3段落ですけれども、ここでも同じ地方公務員について書かれておりますが、地方公務員が地域活動に参画することも効果的であるとして、例えば地域担当職員制を導入し、公務として継続的に特定の地域に関わる職員を確保・育成すると。あるいは、地方公務員やその退職者が公務以外でコミュニティー組織の事務局など地域活動等に従事することが有用であると書かれております。

次に「地方公共団体の広域連携」の問題です。まず、基本的な考え方として、14ページの(1)の第4段落ですが、広域連携というのは、地域の実情に応じ、自主的な取組として行われるものであり、市町村間の広域連携、都道府県による補完・支援など、多様な手法の中から、最も適したものを市町村が自ら選択することが適当であるとあります。これは、地方公共団体の側から何か国が主導して新たな合併のようなことを強力に推進するのではないかという懸念が非常に示されまして、それに対して、ここでの考え方として、そうではないと。あくまでこれはそれぞれの地方公共団体がどのように連携をするかということを考えて、それで地方公共団体が選択をして連携するのであるということが示されております。

15ページの4行目のところに、これは本筋からはやや離れるのですが、一言指摘をしておきますと、パートタイムでの職員の派遣ということが書かれております。これは、例えばA市の職員が火曜日と水曜日はB市で業務に従事するといったような形態の派遣を認めるというもので、従来、職員の派遣というのは、もう少し中長期的に1年とか2年とかそれぐらいの期間、A市の職員が専らB市で働くといったようなことを主に想定していたのですが、もっと柔軟な派遣の仕方があるということを、まずここで指摘しております。

16ページに行きますが、ここがこの中で一番議論になった部分なのですけれども、(3)のマル1の第3段落です。中核となる市と周辺の市町村から構成されているような地域をここでは念頭に置いて、そのような場合に、市町村間で連携して行う施策等を記載する連携計画を作成する等の役割を担う市町村の役割と責任が明確化をされるという点で、従来の取組は適切なものだと言っております。つまり、ここでは中心市が一定の役割を担う仕組みがそれなりに有効なのではないかということが書かれております。

逆に申し上げると、例えばもっとフラットに協議会を作るといったやり方も考えられます。そして、条件によっては、それぞれの市町村が言わば同じような立場で協議会を作って、いろいろなことを議論するといったことも有効な場合はあります。ただ、往々にして、責任の所在が不明確になる。悪い言葉を使いますと、みんな無責任になってしまい、結局何も進まないということが現実にあります。そうだといたしますと、このように中心市があり、そして、周りに市町村があるといった地域では、最終的な責任を中心市が持つというやり方にはそれなりの意味があるのではないかということが書かれております。

ただ、その場合に問題になりますのは、結局中心市ばかりが得をして、周辺の市町村が非常に不満を持つということがあります。これは現実に非常によくありまして、問題が認識をされております。

そこで、17ページに行きまして、中ほどのマル4の第1段落の部分ですけれども、このように関係市町村が役割を分担して施策を実施する枠組みを関係市町村が自ら選択した場合に、連携計画作成市町村が連携計画を作成する際の合意形成過程のルール化や、連携計画の進捗管理を行う際のほかの市町村の適切な関与などによって、ほかの市町村が十分に参画することを担保する仕組みを法制度として設けることが考えられると言っております。要するに、中心市が最終的な責任を持つのだけれども、特に計画を作る際には、周辺の市町村が必ずそれに参画できるようにするということを制度として設けるべきだと言っております。

しかしながら、次の段落ですけれども、実はこの点につきましては、地方六団体の一部からかなり強い反対が出されました。つまり、中心市とそれ以外の市町村という役割を決めてしまうことに反対であるという意見でございまして、そのために、結局ここでは両論併記という形になっております。

18ページに移りまして、第2段落、5行目、6行目の辺りですが、ここでは中心市があって周辺市町村があるといった構造ではない場合にどうするかということが書かれておりまして、ここにおいては協議会あるいは一部事務組合・広域連合といったような形で連携するという方法が示されております。

次に、19ページ、マル2に「都道府県による補完・支援の役割」ということが言われております。ここは重要なところですので、そのまま若干読むことにいたしますが、平成12年に施行された地方分権一括法により、従来の都道府県の補完事務は再構成され、その範囲は、市町村の規模・能力に応じて相対的に定まることとなったと。その結果として、都道府県はかつてのように幅広く市町村の補完・支援に取り組んでいる状況にはないと。しかしながら、平成11年以来の全国的な市町村合併の進展後も小規模市町村は相当数存在をする。市町村の規模・能力は一層多様になる。今後の人口減少によってこうした傾向の加速化が見込まれる。しかも、小規模市町村に限らず、多くの市町村において技術職員、専門人材の確保・育成など、市町村間の広域連携によっても対応が困難な事案が増加しており、深刻化が想定されるので、これまで以上にきめ細やかに都道府県が補完・支援の役割を果たしていくことが必要であると、明確にここに記されております。

具体的な方策といたしまして、例えば19ページの最後の段落ですが、ここでは、市町村の権限と責任が不明確になり、自主性・自立性を損ねる危険もあるというふうに、危険が認識されています。そこで、それを避けるためにきっちりと合意をすると。連携協約を結んで、言わば、約束事を決めておく。それによって、責任と権限の負担、分担をはっきりさせるということが言われており、そして、市町村間の広域連携によっては、行政サービスの提供体制の確保が困難である場合にということではあるのですが、つまり、連携をまずしてくださいと。しかし、それでも困難だというときには、市町村から都道府県に対して連携協約に基づく役割分担の協議を要請できるようにする。つまり、都道府県に補完を求めるといったことができるようにする仕組みを法制度として設けることが考えられると書かれております。

最後ですけれども、20ページの(7)の部分ですが、先ほどから申し上げております技術職員の不足に対応するために、大規模な自然災害の発生時に必要となる技術職員の中長期派遣、それから、平時に技術職員が不足している市町村の支援のために、令和2年度から財政措置が講じられておりまして、水準の高い技術職員を確保・育成するとともに、様々な支援ニーズに弾力的に対処するために、都道府県あるいは市町村間の広域連携に取り組む市町村、言わば中心市も実施主体となって、ここに人材をプールする。それで、ほかの市町村に人材を派遣するといった仕組みについて、既に財政措置が取られているということが示されております。

少し長くなりましたけれども、私から、地方制度調査会の答申案の内容で内閣府消費者委員会のこの地方消費者行政専門調査会での議論に少し参考になるかと思われる点について、御指摘をいたしました。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

ただいま、地方制度調査会での答申案の御紹介をいただきました。答申案の表題にもございますように、2040年というところからのバックキャスティングをしながら、その中でこれからの地方行政の在り方ということについて、今日は特にデジタル化、そして、公共私の連携、広域連携、特に都道府県の役割等々について御説明をいただきました。私どもの議論にも大いに参考になるところが多々あったのではないかと思います。

せっかくの機会ですので、委員の皆様方から、ただいまの山本座長代理の御説明に関わりまして御質問などがございましたらいただければと思います。よろしくお願いいたします。どうぞチャットでも、あるいはマイクをオンにしていただいて、直接御発言をいただいても結構でございます。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

では、私から山本座長代理に少しお伺いをしたいのですが、特に今回の地方制度調査会での御議論の中で、市町村の行政の中でも様々な課題があったのではないかと思いますし、専門技術的な側面ということでいえば、土木、建設等々が主な課題にはなったのだと思うのですが、私どもが関わっておりますこの地方消費者行政といった側面は、何か話題になったり、あるいはその専門性や今後の位置付け等について議論がございましたでしょうか。

併せて、こうした地方消費者行政に類するような、言わば住民生活に直結をするようなサービス分野について、それが今後の人口減少あるいは地方自治体制のある種の激変の中で対処しなければならない課題ということで検討されたということがあれば、福祉あるいは教育等の分野があるかもしれませんが、その辺り、もし参考にできることがあれば、御存じの範囲で結構ですけれども、お教えいただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。

○山本座長代理 まず、消費者行政の分野に関して、正面からは余りそれにフォーカスをして議論はしておりません。ただ、先ほどの公共私の連携であるとか、あるいは地方公共団体間の連携の議論の中で、消費者行政の分野が例として幾つか示されたということはあります。例えば、ここでも議論されている広域センター等が例として出されたことはあります。これは資料の中に出てまいります。

ほかの点ですけれども、本当に全面的にあらゆる分野について問題があるわけですが、御指摘のありましたように、医療・介護の分野ですね。とりわけ、首都圏における医療・介護のニーズがこれから大変なスピードで増加をすると。それに果たして追い付ける体制になっているのかという問題がありまして、これは厚労省でかなり危機感を持っていろいろ議論をしているところでもあるのですけれども、地方制度調査会でも具体的な問題としてその点はかなり何度も出てきていたかと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、大森委員から御質問がおありということでチャットをいただいてございますので、大森委員、どうぞ御発言をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○大森委員 山本先生、ありがとうございました。

技術職員の派遣制度にとても興味がありまして、消費者教育でも同じようなことをできないかどうか、先生の御意見をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

○新川座長 お願いします。

○山本座長代理 ありがとうございます。

私も実はそのことを少し念頭に置きました。ここで想定されているのは土木、建築という分野なのですけれども、ただ、このようなスキームはほかの分野にもいろいろ応用ができるのではないかと思っておりまして、まさに消費者行政の分野、消費者教育であるとか、あるいは相談もあるのかもしれませんけれども、そのような分野でも考えられるのではないかと思います。

○大森委員 ありがとうございました。

○新川座長 ありがとうございました。

そのほか、何かございますでしょうか。

清水委員から御質問をいただいてございます。清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 オブザーバーの清水です。

山本先生にお聞きしたいのは、この中の下水道の関係で、事業者委託というものの書きぶりとか、具体的にどうだったのか。地域によってすごく格差があると思いますし、資源の制約があると思うのですが、これは事業者の参入ということに対して考えるべきなのか、積極的にとか、名古屋市は御存じのように河村市長ですので、大変積極的に進めるというようなこともありますけれども、少し御紹介いただけたらと思います。よろしくお願いします。

○新川座長 お願いいたします。

○山本座長代理 民間委託の問題については、正面からその在り方を議論したわけではありません。これは私の印象ですけれども、どちらかというと、まず、いろいろな主体の参画を促すと。つまり「公共私の連携」のところでは、民間委託よりももう一段階前の段階で、いろいろな主体に参画を促すということが一つ言われ、また「地方公共団体の広域連携」の部分では、民間委託の前にというか、あるいは民間委託をする際にもと言うべきなのか、広域連携をして、まず、地方公共団体の側の力を確保することが必要ではないかと、そういうふうに民間委託との関係は整理できるかと思います。

ですから、民間委託のある意味で代替、代わりになるような取組として、あるいは民間委託をする際にも地方公共団体の側がきっちりと力を保持するための方策として、幅広い主体の連携あるいは地方公共団体の間の連携が重要ではないかということではないかと思います。

○清水委員 ありがとうございます。

私もそう思っていて、いきなり民間委託というのは大反対しておりますので、安心しました。ありがとうございます。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、西田委員、尾嶋委員、生駒委員からも御質問をいただいてございます。恐縮ですが、お三方続けて御質問をいただいて、山本先生にはまとめて御回答をいただくということにできればと思いますので、よろしくお願いいたします。

西田委員、まずはよろしくお願いいたします。

○西田委員 よろしくお願いします。今日もカメラの調子が悪く顔が出なくてすみません。

山本先生、ありがとうございました。非常に我々の議論と関連があるし、同時性もあるような感じを受けて、非常に参考になるのではないかと思いました。

僕からは、どちらかというと質問ではないのですけれども、この地方制度調査会の報告で書かれているようなものも我々のほうに一部取り込んでいけるといいのかなという観点で感じたことを述べさせていただきたいと思っています。

オープンデータ化などのところはこの地制調の答申案でも強調されていた、それから、我々の報告書骨子案では既に入っているので、その観点はいいのかなと思っています。一つ、6ページ目、7ページ目の辺りに、先生が報告されたところなのですけれども、「地方行政のデジタル化と国の役割」というところで、ここは非常に僕も興味があるところかなと思っています。

ポイントとしては、地域はすごく多様なので、画一的な支援は非常に難しいと。なので、未来予測をちゃんとして、その地域の実情というか、多様に合うようにやっていかなければいけない。しかし、ばらばらにプラットフォームというか、そういうものを作っても仕方がないので、標準化されたようなプラットフォーム、システムの標準化をしたようなものを作っていくべきだという辺り、これは非常にいい議論ではないかと思いました。その辺り、少し我々の報告書にも盛り込めるといいのかなと感じました。これはコメントです。ベンダロックインしないとか具体的に書いてあって、我々の地方消費者行政専門調査会でもそういう議論をした覚えがあるので、非常にいいのではないかと思っています。会津若松市の例などを見ても、そういうものがいろいろなところに広がっていくというのは非常にいいことだなと思っていますので、そういうものの阻害要因を最初から気にして作っておくというのは非常にいいことだと思います。

もう一つ、資料2-2の2ページ目にパワーポイントのような資料があったのですけれども、これの下のところに「ひとへの投資」という箇所があって、これはどんな議論だったのだろうかと思うのです。STEAM教育、デザイン思考の育成、官民を行き来する柔軟なキャリアパスというものがあって、これは非常にいいなと思っているのですけれども、会津若松市の例でも、結局技術を使いこなせる人が行政側にいると会津若松市でのヒアリングでお聞きしました。だから、「どこかに外注して丸投げして、それで言われるがままやっている」というのではなくて、結構職員が主体的に企画して仕様を作っているところがあって、消費者行政においても技術を使いこなせる人材の育成は非常に大事なのだろうと思っています。ですから、そういう側面が我々のところにもちょっとあってもいいかなというのと、どこかで大学でそういう人材を育てるべきという議論をしていたと思うので、そういうところに絡めて議論してもいいのかなと思いました。

最後なのですけれども、この地制調の答申案は本当に大変な資料かと思うのですが、しかし、若干文字が多くて、解説していただくと非常に分かるのですけれども、その議論の場に出ていない人には結構分からないなという印象を受けたのです。この答申案はもうこれで終わりという感じですか。中身を伝えるのが非常に難しいかなという印象を受けたのですけれども、その辺り、もし何かあったらお聞きしたいなと思いました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、尾嶋委員、お願いいたします。

○尾嶋委員 尾嶋です。

山本先生、ありがとうございました。15ページになりますが、パートタイムの職員派遣というところで、先ほど、A市、B市という例をもってお話しくださったのですけれども、現在、相談員の中には小さな市町に複数勤務していて、それぞれは月に1回とか、2回とか、週1回とか、非常に少ない勤務日数で、合計すると一定以上勤務している場合、例えばA市に雇用、A市からB市に派遣というようなことで、社会保険加入の可能性もあるのですか。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

後ほどお答えいただければと思います。

生駒委員、続けて、恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 山本先生、御説明ありがとうございました。

私はこのような形で地方制度調査会の御報告を受けるのが初めてなものですから、こちらの消費者委員会の地方消費者行政専門調査会の報告と、先ほど山本委員から御説明のありました地方制度調査会の答申案の関わりを質問したいと思いました。

結構重なる部分があるなと思って聞いておりまして、例えば広域連携ですとか公共私の連携ということ、すごく重要なポイントだと思っているのです。地方行政の中での消費者行政も、受け身ではなくて自立していくことが今後は非常に重要だと思うのです。自らつながって、行政も民間もつながって、地域としての力を付けていくことが非常に重要だと思いまして、先ほど事務局から報告書骨子案の中で「消費者行政コーディネートセンター」の御提案があったと思うのですが、例えば山本先生の答申案の御報告の中でも、5ページの冒頭で、「どのような未来を実現したいのか議論を重ね、連携をして、ビジョンを共有していくことが重要である」と書かれているのですけれども、これはすなわち、地方消費者行政専門調査会の骨子案に書かれています「消費者行政コーディネートセンター」の提案につながるものと解釈してよろしいのでしょうかという質問です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、山本先生、よろしくお願いいたします。

○山本座長代理 御質問ありがとうございます。

まず、西田委員の御意見については、それはそのとおりです。まだ正式に答申をしておらず、ただ、実質的に内容は前回の総会で固めたという段階のものですので、正式に答申をする段階では、恐らく先ほどの中間報告のパワーポイントのような形のものを示すことになると思います。

尾嶋委員の御質問ですけれども、職員の派遣ですので、結局A市の職員であるということが前提で、それがB市に行くという形になります。言わば本拠地というか、本籍がある形で勤務が行われるということです。

生駒委員の御質問ですけれども、「地域の未来予測」はかなり基礎的なデータの分析から始まりますので、特に消費者行政にフォーカスする形のものではないのです。ただ、その中に消費者行政の視点を入れていく。例えば、センターをどこに置いて、そこにどれぐらいの人が来て、そこの職員が今足りているのか、足りていないのかとか、そういったことを盛り込むことは可能です。総合的に政策の実現の仕方を考えるという点では、先ほど事務局から説明のあった「消費者行政コーディネートセンター」、それも、一つは地域を広く捉えてその中でどのようにやっていくかという広域連携の視点と、それから、分野間の連携ですね、消費者行政だけでなく他分野との連携の視点が入っているという点でいえば「地域の未来予測」の考え方もまさに同じですので、その点では共通していると考えられるのではないかと思います。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

伊集委員から御質問をいただいております。時間も大分超過しておりますので、恐縮ですがこれで最後にさせていただきたいと思います。伊集委員、よろしくお願いいたします。

○伊集委員 山本先生、御報告ありがとうございました。

できるだけ手短に御質問したいのですけれども、地制調答申案の内容そのものへの質問というよりは、そこでの議論だったり今後の見通しという観点で、抽象的になってしまうかもしれませんが、こういう議論があったのかどうかということをお尋ねいたします。

最初は、先ほどの質問にもありました民間人材と地方公務員の交流の環境を整備していくというのは今の状況の中で出てきて、これについては、今後2040年、後20年後ぐらいの状況を見据えたときに、現状では民間と公務員の雇用の違いを前提に、そこを交流していこうという話になっていると思うのですけれども、民間であったり公務員という人たちのそもそもの雇用の垣根を少し下げていくというようなことが、20年後、あるいはその先に想定されているというような議論もあったのかどうかもお聞かせいただきたいところです。

もう一つは、更に抽象的な話なのですが、答申案の中のSociety5.0というところで、今回、我々の報告書骨子案でもSociety5.0という言葉は使われているのですけれども、地制調で議論をしたときに、このSociety5.0というものはどういう捉え方をしていたのかというところで、もし議論があったら教えていただきたいと思います。

今後の情報化だとかICTとかAIの活用が積極的に取り込まれるというところを念頭に置いたらいいのかというのと、例えば科学技術基本計画でもともとSociety5.0が出てきたようなときは、実はAIだとかビッグデータの活用から更に踏み込んで、今後の経済成長だとか社会的課題の問題の解決を行っていく社会というような言い方をしていた。そこには価値判断が入るような、例えば所得の再分配をしっかりしていかないといけないとか、高齢化する中で社会保障費用がどんどん増えていくのを何とか抑制していかないといけないというようなものも含めてSociety5.0という言葉を使われていたと思うのですけれども、地制調で議論するときは、Society5.0というものを、2040年だったりあるいはその先というタイミングでどういうふうに捉えて議論しようとしていたのか、そもそものところで議論があったのかという辺りをお聞かせいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○新川座長 よろしくお願いいたします。

○山本座長代理 御質問ありがとうございました。

まず、人材の確保の点ですけれども、ここのところは細かい制度設計のところまで詳細に詰めて議論をしたというわけではないのです。ただ、前提の認識として、これから公務人材も減っていく、それから、これはどこかに書かれていたかと思いますけれども、その中で人の取り合いになる、そういうことは随分議論をされまして、その中でどのように地方を支えていくのかという形で議論が行われました。

具体的な制度としては、兼業等が書かれているのですけれども、将来的には今御指摘のように公務員制度そのものを考え直していかないといけない、民間の雇用との垣根をどう考えるか、ということも考え直していかないといけないという話につながっていくのではないかと思います。そこまで具体的に議論したというわけではありませんが、問題意識として、とにかく人が足りなくなる、人の取り合いになるということは、強く認識をされていたということです。

Society5.0の話なのですけれども、前半の昨年の議論において確かにSociety5.0をどう捉えるのかという話がございました。ここでは、どちらかというと技術の話で、技術をうまく使っていく可能性が広がっていくというところまでで、それ以上に踏み込んだところまでは言っていなかったのではないかと思います。前半の議論でも、情報技術を使ってというような表現が何回も出てきているのですけれども、その際にいろいろ意見がありまして、技術を適切に使っていくと社会がうまくいくという形で、技術をどう使うか、どのように社会をデザインしていくかというところの議論がもう一段階必要であるというような書き方に、全体としてしたところがあります。その意味でいうと、どちらかというとそこまで踏み込んだところは想定をしていないと言っていいかと思います。

○伊集委員 どうもありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。

まだまだ御質問はあろうかと思います。私どもの地方消費者行政の未来を考えていく上でもこの地制調での御議論、まだ最終の答申の「案」ということではございますが、この内容は一体的に考えていかざるを得ないところは多々ございます。本来であればもっと議論しなければならないのですが、時間の制約もございますので、本日のところは以上にさせていただき、また、これからの私たちの報告案の中で、改めて今日お話もいただきました地制調での御検討内容、これを参考にさせていただきながら今後の議論を進めていければと思っております。

山本先生、どうもありがとうございました。

○山本座長代理 どうもありがとうございました。

○新川座長 それでは、ここで10分ほど休憩を置かせていただいて、11時40分から再開をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

(休憩)

 

○新川座長 それでは、皆様お戻りになりましたようですので、再開をさせていただきたいと思います。

再開後、まず最初に、池本委員から御発言の御希望をいただいてございます。我々の報告書に関わる基本的ないろいろなお考えがおありかと存じますので、まずは御披露いただければと思っております。

池本委員、よろしくお願いいたします。

○池本委員 以前に一度発言の時間をいただきながら、再び時間をいただいて恐縮でございます。

今回ペーパーを用意したもともとの問題意識は、今日、山本委員から御報告いただいた地方制度調査会、それが最初のキャッチコピー的に言うと、人口減少社会でなかなか単独の中小の市町村では担い切れなくなる、だから、広域連携が必要だという、この部分だけが報道されたり伝わってきていて、しかし、広域連携の前に、その市町村でまず消費者行政を作らなければいけない、そこをどう関連づけるかという問題意識があって、ペーパーを作ったものです。

ただ、地方制度調査会の答申案、改めて実際の文章を読んでいくにつれ、きちんといろいろ配慮されているし、幾つかの点は先ほどもありましたように両論併記をしたり、かなりきめ細かな議論をされていることで少し安心したところがあります。

その意味では、地方自治体全体の行政の中の今後の在り方という提言と、その中で、消費者行政の立ち位置はどの辺りかを見ながらやっていく。1ページ目で言いますと、消費者行政というのは本当にまだまだ独自の取組が整備されていない行政分野であり、特に庁内のほかの部署と連携しながら地域の中へ広げていかなければいけない、まだその段階のレベルにあると。そこを広げていくことが大事だなと感じているところです。

その関係で「公共私の連携」という言葉がありますが、行政が担い切れないから民間に委託するというよりは、行政も強くなってもらわなければいけないし、消費者行政というのはもともと事業者対消費者との間の構造的な格差、これを埋めるために消費者の力を付ける。そこへ向けて、行政からもしっかり支援していく、これが出発点だったわけで、民間で担ってください、行政はこれ以上できませんということではないのだという趣旨でメモをしたものです。

ただ、先ほどの山本委員の御報告の中でも、民間委託の前にまず地方公共団体が力を付ける、それを確保するという問題意識であると言われたことには、本当に拍手したいようなうれしい気持ちでした。特に消費者問題というのが、それこそグローバル化していって、ますます格差が大きくなっていくので、行政も、一方ではこれは市町村ではなくて、都道府県とか国では事業者に対する規制は本当に全国規模でやっていかなければいけない。他方で、消費者に向けた支援というのは、もっときめ細かにやっていかなければいけない。この両方を担うのが消費者行政で、しかも、市町村でいえば、まずは庁内の連携から始まるのだと。(3)の1本目の矢印の辺りで書いてきましたが、まずは庁内連携があり、そして、公共私の連携という意味では、民間の力を付けていく、その中で更に広域連携が必要な課題は何かと。このように議論が進むのではないか。

そこで、広域連携については、消費生活センターの広域連携というものが既に幾つか始まっていますし、中小の市町村では必要になってくるということがあります。先ほどの山本委員の御発言の中でも触れていただいていましたが、周辺市の十分な参画が必要であるという言葉がありました。私も全く同じ問題意識がありまして、下の「例えば」というところですが、広域連携で消費生活センターを設置して、相談業務だけならば、そこへある程度委ねておくということでいいのですが、被害防止の関係も少しずつ担っていく、あるいはそれを各市町村で活性化するとなれば、時々その周辺市も含めた市町村の職員が集まって、最新の問題が何か、あるいは見守りのネットワークとか、そういうものをどう作っていくかを、構成している市町村の職員間でも一緒に協議をする、場合によっては資料も一緒に作るなどして、それを自分のところに持ち帰って、庁内での連携あるいは地域の民間との連携で広げていく。そういう取組が必要であるということを強調しておく必要があるのではないかと考えたところです。

2ページ目は、今のような庁内の連携あるいは地域の民間との連携ということをより強調しているのは、これは厚労省の地域共生社会推進検討会の取りまとめ、地域共生社会という言葉で指摘されているところ、それが消費者行政の中では本当に必要な観点として、ここも押さえておく必要があるかなと思って、もう一度読み返してみたわけです。

その中では、福祉は福祉だけというのではなくて、地域創生、まちづくり、住宅、自治、環境保全、教育、いろいろな分野が一体となって新しい地域ネットワークを作る必要があるのだという話がありました。ちょうどこれは消費者行政が単独では住民に届けることができない、むしろ庁内連携をして地域のいろいろな関係団体も含めて見守りのネットワークを作る、あるいは安全確保地域協議会を作るという課題と完全にフィットするはずなのですが、残念ながら、厚労省の地域共生社会のところに列挙してある分野に消費者行政というものが入っていないので、非常に残念なことだと思います。厚労省の文書だからと言っても、環境保全とか、ほかの分野は一定のものは入っていますから、ここはもっと消費者庁が国レベルでも消費者行政も地域ネットワークの中で重要な位置付けだということをアピールしていただく必要がある。それがまた地方自治体における連携を促進することになるのではないか。

「地域共生社会」論の中でも、それを本当に担っていくのは、行政が地域の様々な関係団体、関係者のコーディネートをきちんとしていく、あるいは議論の場を作っていくことが大事だということが強調されていました。まさしく、それは消費者行政で言えるところであります。そういうコーディネート力を付けていくというところ。

そして、2ページの下で、民間の担い手を育成していくという言葉がありましたが、それは先ほど申し上げたとおり、消費者行政はもともとの課題として、消費者にしっかりと力を付けていく、支援していくということがあったということも含めて、これからもっと必要であると考えております。しかし残念ながら、3ページの上の辺りに書いておきましたが、消費者に対する支援、あるいは消費者団体も含めて、そういうところは1990年代以降、この20年ぐらいではほとんど行政による関与が減ってしまって、担い手も本当に衰退しているというのが現状です。

実は、こういう議論をしていくと、消費者行政という自治体の中ではごく小さい部署が、地域共生社会で庁内で一体となってやれと言うと、消費者行政そのものがどこかに吸収合併されてしまうのではないか、そのほうが効率がいいという議論になりはしないかという逆の危惧が出てきます。そのことを意識して、消費者行政というものの仕組みをもう一回確認し、我々の報告書の中でも再確認をしておいて、強調していただく必要があるのではないかと思います。

それが、この囲みの中に書いておいたところです。消費者行政というのは、特殊な最新の事例をアドバイスしていくというだけではなくて、マル「ア」にあるような専門の相談員が様々な特別法を駆使して、しかも最新の情報に基づいて助言し解決をするという個別案件の処理だけではなくて、PIO-NETによって全国の情報を集約する。集約するからこそ、最新の情報でアドバイスができるということですが、その集約した情報を、マル「ウ」のところにありますように、国も都道府県もあるいは国民生活センターも含めて、絶えず消費者に向けて発信をしていく。市町村からの発信も、全てが自分のところで受けた相談だけではなくてPIO-NETの全国の情報を活用するから最新の情報が地域で発信できる。こういうPIO-NETの仕組みがありますが、実はこれは悪質業者を取り締まるときには、消費者庁もそうですし、都道府県もそうですが、法執行の出発点にはPIO-NETを検索して、こういう業者の苦情が増えている、そういう問題をどういう手口でやっているかを調べた上で着手すると言われています。

さらには、マル「C」にあるように、国が現在の法制度で不十分だという「法制度の見直し」のときの出発点は、まず国民生活センターを呼んでPIO-NETの実情を、現在どういう手口で、どういうトラブルがあるか、どこが問題かを報告してもらう。事業者に対して自主ルールを促進したり、あるいは消費者庁は政府全体の消費者行政の司令塔役として力を発揮していくと言われていますが、その全ての情報源が全国を網羅するこのPIO-NETである。

ということは、地域連携で、例えば福祉の方々にも消費者問題を知っておいていただいて、自分が接した高齢者に対して助言して、自分で解決してもらうということでは実は不十分なわけで、最新の情報ですばらしい解決をするためには専門職につないでいただきたいし、消費生活センターへつなげば被害の防止にもつながるし、法制度の見直しにもつながるし、消費者行政というのは専門部署が国から市町村へ向けた一貫した特殊なシステムで完結しているのだと、そこへ情報をどう集約するか、などということをアピールすることによって、吸収合併の対象ではないということを強調していただく必要があるのではないか。

3ページ以下は既に今日も報告されました報告書に対しての視点ということで、今説明したこととかなり重複していますので、見出し的なところ、観点だけを確認します。

消費者行政というのは、被害拡大防止等の関係で必要不可欠であるし、もっと機能を拡充する必要があるということの再確認。

4ページ目で言いますと、消費者行政の専門性・独自性というのは、先ほど申し上げたPIO-NETシステムを含む国から市町村の全体に向けた専門性と一貫性をシステムとして確保するということ。

(3)は、消費者行政は地域のネットワークを作るという意味では「地域共生社会」論で提起されているような、あるいは地方行政調査会でも指摘されている公共私の連携ということが必要になってくる分野なのだということを指摘していただく。

(4)、この辺から各論ですが、消費生活センターを広域連携の一つの分野として進めていく。ただ、これも小規模の市町村でどうしても単独で置けないというところには必要ですが、現在、ある程度の規模で単独でやっているところも広域にしたほうがいいよと言って全体を広域センターに進めていくということは、慎重であるべきだと思います。むしろ、相談が職員の啓発なり被害防止、地域の中での連携に直結するという意味では、効率からすれば単独でやっていくに越したことはないわけです。単独で相談業務が担えない、専門家を配置できないところで、それを担っていく。その辺のバランスも触れていただく必要があるのかなと思います。

相談員・職員の役割拡大、これはこれまでも議論していますが、相談員でいうと、相談業務の専門性だけではない、これは前回の委員間打合せの中でも少し話題に出ていましたが、地域の中でネットワーク形成のコーディネーター役として、地域社会の中で単に派遣されて、そこで講師として発言するというだけではない、様々な団体とつながりを作っていく。それは相談員だけではなくて、むしろ職員も必要になるのですが、例えば消費者教育コーディネーターというものがあります。現在配置しているところでは、学校の元先生、教員の先生がコーディネーターになっている。

これは学校教育分野で消費者教育を進めていく上では、人的なつながりのある学校の先生に担っていただくというのは非常に有効だと思うのですが、地域社会の中の、まさに社会教育的な面、更に言うと、地域の関係団体あるいは他分野も含めた地域のコーディネート役になるとすれば、最新の情報を直接持っている相談員たちがもっとそういうコーディネート役、こうなってくると、消費者教育コーディネーターと呼ぶのか、むしろ地域ネットワークのコーディネーターというような、より幅広い役割として位置付けていく必要があるのではないか。そうすることによって、個別相談をするだけではない、もう一つ新しい課題を含めた人員も必要なのだというアピールにつながっていくのではないか。そうなってくると、職員の専門性というところに、こういう地域ネットワークを形成していくコーディネート役ということをよりアピールしていただく必要があるのだろうと思います。

(6)はもともと言っている「消費者行政の財源確保」ですが、下のところでマル1、マル2、マル3と交付金措置、交付税の基準財政需要額を活用する措置、それから、地財法10条という3つの選択肢でこれまで議論されてきています。おそらく、現在の状況あるいはこれから5年、10年という中で、この一つでやれば必ずうまくいくということには残念ながらまだまだならない。財源確保の3つの方策の上のところに

○2つで書いたように、消費者行政は単に相談内容の専門性だけではない、国と地方の相互作用で機能するシステムであり、なおかつ地域の中での連携もしていく、そういうシステムである。そうだとすると、地方自治体の中で消費者行政がしっかりと根づいて力を発揮することは、国の消費者政策そのものにも不可欠のことだ。それを実現するためには、状況によって交付金措置も、あるいは基準財政需要額を活用するということももっと継続する必要があるし、場合によっては地財法10条の位置付けも考えていく必要があるのではないか。

一本に決め打ちというのはなかなかしにくいところですが、何をすべきかというところからやっていくことと、私が以前から申し上げている

○の2番目ですが、消費者庁創設からこの10年間の財政の状況、人員の状況だけではない、その前の20年を含めると、トラブルは何倍にも増えているのに予算も人員も大幅削減されてきたという実態の中で、これから先の地方行政の役割は、地域住民の暮らしの安心安全である、消費者行政は、日常的に常に発生する課題を中心とした公共私の連携のコーディネート役としては重要な位置を占めるのだ、という辺りを確認していただきたいと思います。

以上です。ありがとうございました。

○新川座長 どうもありがとうございました。

ただいま、池本委員からは特に消費者行政、これから市町村を中心にして、実際に消費生活の現場でしっかりとこれをどう担っていくのか、その中での担い手作りや地域社会の中でのネットワーク作り、それを支える国・地方を通じたシステムの構築、その中での専門性の確保、そして、それを裏打ちする財源の在り方、幅広く私どもの報告書の内容に即して留意点、あるいは新たな御提案も含めていただきました。

池本委員の御発言についてもいろいろと質疑、御希望もあろうかと思いますけれども、時間の都合もございますので、報告書の骨子に沿ったただいまの御発言と捉えさせていただいて、ここからは報告書骨子案についての意見交換とただいまの池本委員からの御提言も含めた御意見、これも含めて、一緒くたで恐縮なのですが、まとめて御議論をさせていただくということで、池本委員、よろしゅうございますでしょうか。

○池本委員 もちろんそれで結構です。お願いします。

○新川座長 ありがとうございます。

それでは、先ほど事務局から御説明をいただきました報告書骨子案、これにつきまして、そして、また、その内容について池本委員から更に踏み込んだ御意見をいろいろいただきました。これらも含めて、委員の皆様方から御意見や御質問をいただいてまいりたいと思っております。なお、またチャットのところで順次いただければと思っております。

それでは、既に大森委員から御意見、八木委員から御意見・コメント及び御質問をいただいてございますので、恐縮ですが続けて、お二方から御発言をいただければと思います。

大森委員からお願いできますでしょうか。

○大森委員 ありがとうございます。

私からは、意見と2点質問があります。

まず意見ですが、12ページの「自立した消費者を育成するための消費者教育・啓発活動の推進」のところで、ポツ3つにまとめられています。2つ目のポツでは、いろいろなところで消費者教育を実践していこうということと、後半のところで「大学・大学院において消費者分野に関する知識や実践経験を集中的に習得できる課程を創設する。そのための教育者の育成も行う」と、とても大切なことを書いていただいていて、とてもうれしく思います。特に知識や実践経験、実践経験も含めて書かれたことが、とてもうれしいなと思っています。指導者養成コースを一通り受講して卒業証書をもらうというだけではなくて、NPOの活動に参加するとか、審議会へ参加して発言するとか、官民を行き来する柔軟なキャリアパスとか、いろいろなことで実践は積めると思いますので、この辺りを大切にしていただきたいと思います。

次に1点目の質問です。この骨子案のところに幾度か出てくる言葉に「消費者行政コーディネートセンター(仮称)」というものがあります。いろいろなところに出てくるのですけれども、14ページに「広域センター化の更なる推進」の2つ目のポツのところに「『消費者行政コーディネートセンター(仮称)』は」とありまして、相談の対応とか研修、専門人材の育成などが書かれています。国民生活センターは大変な経験、キャリアを持っているので、これと重複はしないのかどうか。二重行政になると、また余分な費用とか人が不足しているので、これは重複しない形なのか、国民生活センターが参画、リードできるのか。その辺が一つ。

2点目の質問ですが、もう一つ別のところに同じ「消費者行政コーディネートセンター」という言葉が出ているのですが、10ページの新たな見守り制度というところの、3つ目のポツのところで、行政職員、消費生活相談員業務のエキスパートという形で、行政職員と相談員に絞り込んだ形で書かれています。目指すべき社会のところで、隙間のない見守り体制ということも書かれておりまして、今までも見守りネットワークとか、まちづくりセンターとか、いろいろな地域を支えるためのものがありまして、消費者教育推進会議設立のときも同じようなものは既にあるよとかということでなかなか進まなかったということがありました。いろいろな柱を打ち立てるよりは、むしろ統合して、いろいろな方に参加してもらって、地域、市町村になりますとその地域の情報を持つ人、世話人的な人のコーディネートとかが非常に大切になってくると思うので、いろいろな方に参加していただく形で、もっと見守りネットワークを強化する形では無理なのかどうか。例えば、いろいろな共同参画化などがあって、まちづくりセンターなどもあって、地域ですごく活動しているNPOの方とか、地域の人脈のある方とか、いろいろ参加してくださっている人はいるので、是非その方にも入っていただいて、より実のあるネットワークシステムが作れないのかどうか。

以上、私からの意見と2点の質問です。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、恐縮ですが続けて、八木委員からも意見・コメント及び御質問をいただいてからまとめて回答ということにしたいと思います。よろしくお願いします。

○八木委員 ありがとうございます。

今回の骨子案、未来の予測に対してそのプラス面といいますか、オポチュニティー面とリスクがバランスよく述べられていて、その上で、消費者行政の重要性が上がっていくのだという主張が中にあるということについて、非常にいいと思いました。

今、大森委員からもありましたけれども、コーディネートセンターの役割が曖昧ではないかと思います。一つはコーディネーションという非常に曖昧な言葉を使っていることに起因すると思います。コーディネートというのを、日本語的ニュアンスで考えると、調整するという意味になろうかと思いますが、英語のニュアンスであれば、調整するという意味に加えて、統合して一定の方向に決めていくという、より強い意味も持っています。ここではどういう意味合いでコーディネーションという言葉をお使いになっていらっしゃるのでしょうか。

私は後者のほう、統合して方向を決めていくという役割、英語でいうならばコーディネーションよりはインテグレーションに近いようなニュアンスということであれば非常にいいと思います。単純に調整するということであれば余り大きな役割を果たせないのではないかと思うので、どのようにお考えになってこの言葉を使われたのでしょうか。私は、コーディネーションという曖昧な言葉は使わないほうがいいのではないかと思います。

揚げ足を取るようで申し訳ないのですけれども、この骨子案の中の語尾が曖昧だと感じます。「考えられる」とか、「必要である」という語尾がたくさん出てきます。もう一方で、「何々する」とか、「行う」とか、「実行する」とか、はっきりと言い切っている文章があります。このことに関して、しっかりと考えた上で言い方を変えていらっしゃるのか、それとも、たまたまそうなっているのか。行政上の文言の使い方という意味で私が知らないだけかもしれないので、どんな考え方で「考えられる」「必要である」という言葉と言い切る言葉を使っていらっしゃるのか。語尾を使うときの意味があるのかどうか、その辺りをお伺いしたいということでございます。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

それでは、事務局から言葉の意味等も含めまして、まずは御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○友行企画官 ありがとうございます。事務局からお答えいたします。

まず、大森委員からの御意見と2つの御質問でございますけれども、最初の自立した消費者教育のところについては御意見ということで、確かに承らせていただきました。

その次の14ページのところで御指摘いただきました、都道府県や「消費者行政コーディネートセンター」の役割として、相談対応でありますとか、専門人材の育成、登録制度ということが、国センの機能と重複するのではないかという御意見をいただきました。

同じような関連だと思うのですけれども、10ページ目のところで行政職員と消費生活相談員業務のエキスパートを配置するということで、それも、今、同じようなものがあるといったことや、統合してもっといろいろな人に参加してもらうということができるのではないかという御指摘をいただきました。

さて、本日「消費者行政コーディネートセンター(仮称)」という言葉で打ち出しておりますけれども、この言葉、たくさん出てきております。具体的には第4の「目指すべき姿の実現に向けた対応策」のところで出てきております。ここで想定しておりますのは、どういう機能を持たせるのかということ、まさに御質問があるだろうなと考えておりました。これまで委員の先生方と御議論してきたときに、地域に密着した市町村では、しっかりと総合型の行政を取って隙間のない見守り体制を設置していくということがどうしても必要だということで御議論があったかと思います。地域に近いところではそういうことで、そこは何も消費者行政単独ではなくて、いろいろな関係する福祉ですとか、介護ですとか、医療、それから、警察などとも連携してというような御意見があったかと思います。

そして、そこから少し引いて見たときの都道府県レベルでありますとか、もしくはもっと広い広域のレベルのところで、そこでは地域密着ということから少し引いて、専門的なことを行っていく、そういった機能を持たせる。そこで言ったときの専門的なということは、単なる見守りとか声かけというよりは、もう少し何か消費者問題があったときに、そこで専門的な集団の方々が集まっていたり、そういった機能があって問題を解決していく、そして、被害救済にまでつなげていくといった機能を、地域密着の市町村に全部負わせるという考え方もありますけれども、そこを少し引いた、そういった専門的な集団とか専門的な機能を持ったものが必要ではないかというような御議論があったかと思います。

今までは専門的な集団とか専門的な機能という言葉で表しておりましたけれども、それを今回「消費者行政コーディネートセンター(仮称)」ということで置いたわけでございます。ですから、そこにどんな機能を持たせるかということは、現在の報告書においてはいろいろな機能を持たせるようなことを想定しております。単なる連携といったネットワークという機能、つなぐ役割だけを持つといったような組織でありますとか、あとはそこに企画ですとか調整的な機能を持たせるということや、または実質的な人を配置して事業を行うといったこと、あるいは本当に消費生活センターや国センに取って代わるようなことまでやることも含めて、現時点のペーパーでは記載しております。ここは少し新しい打ち出しといいますか、そういった新しい専門集団、専門機能、新しい役割を担うものを一つ置いてもいいのではないかということで、言葉を付して、ここが持つ機能について書き込んでいったわけでございます。

確かに、若干重なるようなところがある部分もございます。今の安全確保地域協議会でいいのではないかとか、国センの機能でいいのではないかというような御意見もあるかと思うのですが、そこはもう少し事務局で詰めたいとは思いますけれども、将来、20年後の姿を見たときに、地域密着のエリアがやることと、そこから少し引いたところで、もっと消費者の問題が何か起きたときに一気に駆け上がって問題解決まで行くといった仕組みが一つ必要なのではないか。そこが単なる相談業務に限らずに、地域のいろいろな資源のマッチング機能でありますとか、専門人材の登録、育成、それから、エキスパートがそこに配置されているということが必要なのではないかということで、現在の置き方になっております。

今ある組織とどう整理するかということについては、もう少し分かりやすい形で書いていきたいとは思いますが、むしろ欲張った形で「消費者行政コーディネートセンター」、名前は変えたほうがいいという御指摘もございましたけれども、そこにやらせていきたいと。それで、消費者行政がしぼんでいかない、落ち込んでいかないという形にしていきたいというのが、現在のペーパーに落としたかったことでございます。

何々があるからいいではないか、もうこれを発展させればいいではないかというような御意見ももちろんあるかと思います。ただ、消費者行政は今よりも何倍も重要性が増していくわけで、パワーアップしていかなければいけない。そういうものであれば、既存の組織を手直ししてやっていくというよりも、地域に密着したところではこういうことをやり、もう少し広い目で見たときにはこういった組織、そういった機能、こういった集団が必要だということを打ち出していきたい。そういうことで、今、打ち出しているところであります。もちろん重なっているところについては、そこが分かりやすいような形でどんどん整理していきたいと思っております。

100%回答になっていることではないかと思いますけれども、現時点ではそういう形で考えております。

八木委員から、名称が調整なのか、もしくは統合して一定の方向へ持っていくのかという御指摘がございました。八木委員御指摘のとおり、後者でございます。ですから、名称はもっと検討して、委員の先生方にも御提案いただいてということをできればと考えております。

八木委員の御質問に移りますが、語尾のところで「考えられる」「必要である」という言い方と、言い切っている言い方があるが、そこは違いを考えて使っているのかということでございました。一応、考えております。前にいろいろ委員の先生方と御議論をしたときに、報告書として方向性をきちんと打ち出していくのであれば「考えられる」とか「可能性がある」とか、そういう言葉ではなくて、しっかりと言い切るべきだという御意見もございました。ですから、理想の姿のところでは、こういう形が実現しているということをすごく意識して語尾をまとめております。第4の対応策のところについては、意識としては言い切り型にしております。ただ、現時点で6番の「目指すべき姿を実現するための社会的資源の活用」のところにつきましては、財政のことや人的資源のことなどでありまして、第4の6のところについては「必要である」とか「考えられる」という文言が残っているかと思いますが、これはおいおい精査して整えていきたいと思います。

財政の話については、消費者委員会の専門調査会のほうで断定的に言えることと言えないことが恐らくあるのだろうと考えておりまして、最終的に文言は、断定的に言うべきことはそういう形にして、提案という形のニュアンスを取ったほうがいいものについては、そちらの方向に読み取れるような形で語尾をそろえていきたいと思っております。

100%伝わっているかどうかというところもございますが、もし重ねて御質問や御意見がございましたら頂戴できればと思います。

事務局からの回答は以上でございます。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、御意見をそのほかにもいただいてございますので、恐縮ですが続けて、生駒委員、池本委員から順に御意見をいただければと思います。

生駒委員、お願いできますでしょうか。

○生駒委員 骨子案について、少し意見を述べさせていただきます。

御説明ありがとうございました。先ほど八木委員もおっしゃったのですが、課題と展望がうまくバランスよく含まれていて、希望が持てる骨子案になっているなと思いました。何より、より自立した地域の力を持つことが必要なのだという視点は重要だと思います。むしろ、大都市では実現できないようなことが地方で実現できるのではないかと私も常々思っていまして、地域が自立していく力、社会課題を自ら解決していくような力、それを持ち得ることが重要ではないか。そのために、骨子案に書かれておりますのは、例えば行政と民間がもっと連携していくこと、それから、高齢者の活用というところも随分加えられまして、私はすばらしいと思いました。一般的には、高齢者は社会の重荷という表現が多いではないですか。そうでは全くなくて、知恵も経験も豊富な高齢者の方々が日本の社会を支えていく、高齢者は社会の知恵袋、最大のサポーターになり得ると私も常日頃思っていましたので、そういった面の記述はすばらしいと思いました。

SDGs、エシカル消費に関しましても、ポストコロナの時代には必須事項となっております。もともとの消費者基本計画のほうでもSDGsを全ての工程にひもづけていこうという考え方がありますが、この地方消費者行政専門調査会の報告書の中でも、もう少しいろいろな部分でSDGsがひもづけられていてもいいかなと。2040年といいますのは、実はSDGsが実現されているはずの2030年から10年後になります。非常に重要な時代で、2045年にはシンギュラリティーというようなことも掲げられていて、20年後の社会というのは、SDGs的な状況が少なからず実現されていなくてはいけないのかなと思うのですが、その中で地方の行政でできること、例えば地産地消ですとか、ものづくり力と身近にある環境ですとか、自然と共生している環境であるというのは、実は大都市で実現できないことなのです。そういった要素、ポテンシャルを地方が強く持っているということを強みに変えていくような、そういう視点が一つ重要なのではないかと思いました。

もう一つ、人材的に、今、「関係人口」という言葉がございます。地域の中だけの人材を考えるのではなくて、その地域に興味を持っている人、あるいは旅でやってくる人々、仕事で訪ねる方々、あるいは若者でもUターンやIターンの人材もあります。地域の中だけではなくて、外部からの人材も含めて、消費者行政の人材の要素として取り込んでいくこと、それが重要ではないかと思いました。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、池本委員からもコーディネートセンターについてということで発言の御要望がございました。池本委員、よろしくお願いいたします。

○池本委員 池本です。ありがとうございます。

私の今回の意見メモを出したときには、まだ本日のこの骨子案最新版は入手していなかったので、コーディネートセンターという言葉は私の意見メモでは全く意識していなかったのですが、なるほどなという感じがして、私は基本的には賛成です。と申しますのが、委員間打合せの時には、特に職員が個別相談処理をするセンターの相談処理の言わば補佐役にとどまってしまっていると、もっと地域社会あるいは庁内での本格的なコーディネーターにならなければいけないのだ、抜本的に立場を変えていかなければいけないのだということを申し上げました。本日は、相談員も単なる個別相談処理だけではない、あるいは依頼された先へ行って話をしておしまいではない、まさにコーディネーター役として積極的に出ていく力を付けた人を位置付けなければいけないのだということをお話ししました。

ただ、それが既存の今のセンターや消費者行政の中でこういう役割も担ってねというと、少しにじみ出たかなということで終わってしまうおそれがあるところを、従来の消費者行政の組織とは一つ外側にもう一つ作るのだというくらいの勢いは必要ではないかと思います。

都道府県域という言葉が骨子案の中にあったかと思うのですが、人口100万人とか200万人以下のところであれば県域で一つということも考えられますが、それより大きなところでいうと、むしろ一つの都道府県内にブロックごとで、その地域の市町村と連携して一緒に動けるくらいの規模感で設けて初めて市町村の職員も動かせる。先ほど私が言った広域連携センターのときには、職員もそこへ時々定期的に参加して、一緒に議論して、一緒に作っていくと言いましたが、そういうポジションのコーディネートセンターであれば、市町村の活性化にも結び付くのかと感じました。それが申し上げたいことです。

もう一点は、私は最後のところで財政のことをちょっと申し上げました。特に今、コロナウイルスの問題で補正予算で爆発的に費用がかかっていく中で、余り財政のことを書いても実現は難しい時期なのかもしれませんが、少なくとも消費者行政は市町村と都道府県、その全体が機能して初めて国の消費者行政が全体として完結するのだと。そこへ向けて、市町村も頑張ってもらわなければいけないけれども、国もこの全体の消費者行政のシステムを維持、拡充するために、きちんと財政的な措置も講ずるべきであるという方向づけ、その選択肢は先ほど言った3つを効果的に組み合わせてという程度にとどまるのかもしれませんが、財政のことについて何も触れないというのはまずいかなという気がします。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

今の生駒委員、池本委員の御意見につきまして、事務局から何かありましたら、簡単にお願いできますでしょうか。

○友行企画官 生駒委員の御意見につきましては、ありがとうございます。承りまして、報告書を充実させていくときに御意見を踏まえてやっていきたいと思っております。

池本委員の御意見につきまして、最初のコーディネートセンターのことにつきましては、こちらについて拡充していくときに池本委員の意見を踏まえて行っていきたいと思っております。

最後に、財政のところで御指摘いただきました。今回、財政のところは例えば第4の6、15ページのところでございますが「目指すべき姿を実現するための社会的資源の活用」というような見出しにしておりまして、いつもの報告書ですと、予算とか財源とか交付金とか、そういう言葉が並んでいるような報告書になっているかと思うのですけれども、今回、少し20年後ということもございまして、新しい姿で打ち出したいと思って、座長と御相談して、こういう書きぶりにしております。

ここで言っておりますのは、第4で具体的にこういった対応策をやっていくべきではないか、そして、第3の理想の姿に結び付けていくべきではないかといったときに、国の予算とか、地方への交付金とか、そういう狭い範囲で考えていいのかというようなことを、座長の下で御相談させていただきました。また、ほかの委員の方々からも、もっと広い目で見るべきではないかという御指摘もたくさんいただいたところでございます。我が国には、そういうお金、国の予算、地方の予算、それから、民間の予算、民間の資金、財源もあるわけでございます。また、人の面では人的資源、地域にはいろいろなネットワークといった組織の資源があるわけでございます。20年後の未来を見たときに、制約がいろいろなところでかかってくるということであれば、なおさら今までの既存の考え方にとらわれず、我が国全体にある財源を総動員して、地方消費者行政の実現に向けて適切に配分していく。そういう視点が必要ではないかということで、社会的資源の配分とか、活用とか、そういうような言い方にしております。

もちろん、国がお金を出すのは当然であります。地方自治体がお金を出すのも当然であります。それに加えて、例えば課税自主権というような、これは自治体の財源の考え方でありますが、そういう考え方で独自に自治体が工夫するといった視点でありますとか、国のお金、地方のお金というような、そこにとらわれず様々な認証制度を活用した仕組みでありますとかということを、今、この骨子案に記載しているわけでございます。

もちろん、国もお金を出す、自治体もお金を出すのは当然でありますが、もうちょっとそこの枠を超えたところでの議論も必要ではないか、そうすると、もっといろいろなアイデアが湧いてきて、消費者行政の問題を解決するときに広い視点で解決に向かうことができるのではないかということを提言したいというようなことがございまして、委員の先生方のアイデアをたくさんここに盛り込ませていただいたのが、今の姿でございます。

ここはぱっと見た感じだと分かりにくいところもあるかもしれないので、補足させていただきました。

事務局からは、以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

池本委員、どうぞ。

○池本委員 私が発言したのは、何も交付金をこうしろ、交付税をこうしろという各論をここへ盛り込むべきだという趣旨で申し上げたのではありません。ここの15ページのところが、こういう方法も考えられる、これが必要であるという言葉はあるのですが、誰がこれを推進するのかが見えないのです。もちろん自治体が独自に創意工夫してやっていくことも必要だけれども、国、都道府県、市町村の一体として完結した消費者行政推進のためには、こういった様々な方策は国としても強力に推進する必要があるという観点が不可欠であるということを申し上げたいわけです。御検討いただければと思います。

○新川座長 ありがとうございました。

貴重な御意見をいただいております。

事務局、お願いします。

○友行企画官 池本委員のそのような御主張、御指摘を十分理解しておらず申し訳ございません、それらの御主張、御指摘を踏まえまして、これから報告書を整えていきたいと思います。大変失礼いたしました。

○池本委員 いえいえ。ありがとうございます。

○新川座長 ほかにも御意見をいただいてございますので、尾嶋委員、清水委員、お二方から御意見、御発言をお願いしたいと思います。

順番に、尾嶋委員からお願いできますでしょうか。

○尾嶋委員 私が特に申し上げたいことは、最後の財源のところで池本先生の御主張どおり、これですと分かりにくいです。今も今後も、地方消費者行政は本当に財源が不足している状況にあるわけですから、その辺は誰が見ても分かるような形で、財源確保の必要性について書いていただきたいと思いました。

もう一つ、消費者行政コーディネーターの件ですけれども、今日、山本先生が御説明になった19ページのところですが、マル2の「都道府県による補完・支援の役割」というところで、「こうした状況を踏まえ、都道府県は」というアの最後のところの4行目です。「消費者行政コーディネートセンター」の機能については、「都道府県はこれまで以上に、個々の市町村の状況に応じて、きめ細やかに補完・支援を行う役割を果たしていく必要がある」という記述のところを踏まえ、検討していく必要があると思いました。

PIO-NETのことですが今年も、新型コロナウイルス感染で様々な多くの消費者相談が全国から寄せられているのですけれども、PIO-NETが作られたきっかけというのは、四十数年前のオイルショックの時にトイレットペーパーがなくなったことでした。ちょうど今、また同じような状況にあるわけです。国民がどう考えて行動しているのか、何が起こっているのかということを国が収集するために、ファクスで全国の消費生活センターから情報をもらったということがPIO-NETのきっかけになっているわけです。ですから、国民からの情報を収集するという重要なものであり、それから、法律の改正にも繋がる、また国民にとって安全安心につながる重要な情報を収集しているのがPIO-NETであるというところを、再度どこかに書いていただけたらと思います。

以上です。

○新川座長 ありがとうございました。

それでは、続けてで恐縮ですが、清水委員、お願いいたします。

○清水委員 ありがとうございます。

まず、骨子案の10ページの(2)の「新たな見守り体制の構築・整備」というところの2つ目のポツです。これは決して二重行政ではなく重層化で、とても大切なことだと思っています。今、消費者行政は発展途上の段階にありますが、ややもすると目的を達することができずに滅亡してしまう危機感もあります。だからこそ国が強化、国民生活センターもPIO-NETをもっと有効活用して、分かりやすい身近な情報発信をしていくという役割がある中で、こういった消費者行政を総合的に、消費者行政の核となる機関というのは、私は必要と感じます。その核となるのが行政職員と消費生活相談員だと思っています。

ここに必要不可欠なのはサポーターでして、民生委員の方だとか、NPOの方、事業者の方というのは当然に多く関わっていく核となるものだと理解していますので、ここは地方行政を守るために必要な政策だと思っています。

次に、11ページの上のほうで「そのうえで、更に担い手として活躍する知識のある」という文言があります。今年度、皆さんも御存じですが、消費者庁も危機感があって、担い手事業というものを実施しました。私たちも何十年と相談員の育成を全相協という団体でやってきましたが、ついに国が消費生活相談員の担い手を作る、もしくは消費者行政の人に消費者相談の資格を取ってもらって強化するということに、まさしく今年動いております。

その受託を私ども全相協が受けていまして、今、中部支部としては何をやっているかというと、この知識ある消費者、まだまだ消費者行政を知らない人に知ってもらって、一緒に担い手になろうという運動をしているところでございます。そんな中で、最近、市の職員もまずは試験を取りましょうということで、数人、手を挙げていただく状況にあることを、今、報告したいと思いました。

最後に、15ページの部分に「業務委託についても検討する」と書いてありますが、この2行につきましては、表現の仕方など、慎重にしていただきたいと思います。地域ごとに非常に格差がある問題ですし、決して業務委託を進めるような考え方でないことは今までの報告の中で分かっておりますが、こういうことも考えろということだと思いますが、慎重に、まずやるべきことをやってというような書きぶりにしていただけたらと思います。よろしくお願いします。

○新川座長 ありがとうございました。

事務局から、何かお二方からの御意見に関連してございますでしょうか。

○友行企画官 いただきました御意見につきましては、お答えするというより、これから整えていくに当たって、それを踏まえてという性質のものかなと思っております。

○新川座長 ありがとうございました。

今後、御意見を生かした形で報告をまとめていきたいと思います。

伊集先生からも御発言の御希望がございました。伊集先生、よろしくお願いします。

○伊集委員 よろしくお願いします。

1点目は、今回の報告書骨子案には直接書いていないのですが、先ほど議論に出てきた公共私の連携が大事になってくると地制調の報告の中でも出てきているというところを考えると、今回の骨子案では公共私というのは一部に出てきただけで、余り直接的にそういう表現は出てこなかったと思うのですけれども、先ほど、池本委員からの報告の中でもこの公共私の連携をしっかりとしていくべきだという意見もあったので、今後重要な論点になってくるのかなと考えています。

そのときに、財源の問題とも関わってくると思うのですけれども、民間人材などを活用して、財源であったり、あるいは事務自体をどう作っていくかというときに、どこが責任を持っていくかというようなところが一つ大事なポイントになると思います。これは今回の我々の報告書に直接内容がどうこうということではないのですけれども、論点提起として話をしたいと思います。特に、先ほど地制調の答申案に関し、質問に対する山本先生の御回答として、「必ずしも民間に投げていくような形を取るわけではなくて、民間のノウハウなども活用しながら公と共と私で連携してやっていく」という方向は非常に重要だと思うのです。一方で、これまでの特に2000年代に入ってぐらいからの自治体のいわゆるよく言われた「新しい公共」とか、日本型の官民連携というところは、基本的に自治体の歳出削減をどう達成するかというところが非常に強く行われてきたところがある。だから、今回改めて公共私の連携が大切だというときには、自治体としては、今、財源が足りない中で、何とか民間に委託して経費を節減したいということだけにならないように、しっかり民間のノウハウも使って、消費者行政であれば消費者行政そのものの中身を充実させていくというような議論をしていくことが大事なのではないかと思います。これが一つ感想です。

それと関連しまして、そうすると、その政策を行うためには財源も必要になってくるし、そういう意味での責任も取っていく必要があるということになると思います。そこで、先ほど池本委員や尾嶋委員からも財源に関するところ、今回の第4の6辺りが少し分かりにくいという御指摘があって、これを少し各論のような形で書くか、今回のような形を基本にするかは、私はどちらがいいか、今、意見として出し切れないところはあります。ただし、例えば国のほうの責任としてこういうことをやるべきだ、地方としてはこれぐらい自分たちで担うべきだというふうに、ある種、主体として分けて書くとしても、私は以前に報告させていただいたところと関連させると、国が責任を持つ場合では、その財源をどうするのかというのは、当然国税として国民が負担してくる部分になるところであるし、自治体が独自の取組として地方税を活用していく、あるいはそのほかのものを使っていくというときには、地域住民として国民が負担していくところになる。いずれにしても、それは私たちがしっかり財源的に担うべきところであるというところをしっかり書く必要があるのではないかと思います。

というのも、これまでの議論、この中だけの議論ではないですが、国がしっかり責任を持つべきだという話をするときに、どうしても財源論の議論の責任を国に投げてしまうような印象を持ってしまうので、仮に国が責任を持つとしても、そこを負担するのは私たちなのだというところをしっかり意識するようなことは、書き方としても必要なのではないかと感じているところです。

最後に、細かな形式的なことなのですけれども、報告書の16ページ中の15ページに、6の上から3つ目のポツに「ふるさと納税」を書いている部分があるのですけれども、単に表現のことなのですが、3行目ぐらいに「認証制度を受けた商品やサービスを返礼品とする納税制度を設けることも考えられる」となっているのですが、これは表現の問題として、このやり方は決して税ではなくてあくまでも寄附金制度の問題なので、「納税制度」と書くと誤りになってしまうので、そこを直していただけるといいかと思います。

長くなってしまってすみません。以上です。

○新川座長 ありがとうございました。貴重な御意見をいろいろいただきました。

事務局、何かございますか。ここまでのところで事務局からもし何かございましたら、お願いします。

○友行企画官 伊集先生からいただきました公共私の連携のところでございますけれども、公共私という言葉は使っておりませんが、例えば公ですと国とか市町村とか都道府県というようなことを想定しておりまして、私というのは民間企業でありますとか、共というのは例えば適格消費者団体、地域のいろいろなコミュニティーということを想定しておりまして、そことつながっていくとか、そういうことは書いておりますので、若干表現ぶりは違うかもしれませんが、非常に我々のこの報告書の中では重要な考え方だというスタンスは取っているところでございます。

財政のところで、第4の6のところ、少し分かりにくいという御指摘がありまして、伊集先生のおっしゃるように各論にするのか、それとも今の形をもう少し見やすくするのかというのは、これから座長などとも御相談していきたいと思いますが、そういったことをどういう形で整えるにしても、伊集先生が御主張されていますような財源論と誰が負担するかとか、責任とかということをきちんと切り離さないでしっかり書き込んでいくという点については、そのようにしていきたいと思っております。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

大分時間も迫ってまいりましたけれども、各委員、もし御質問、御意見がございましたら、そろそろ最後にしたいと思いますが、いただければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

尾嶋委員、どうぞお願いいたします。

○尾嶋委員 細かいところですけれども、「認知症」という言葉があるのですが、「判断力が低下した」という表現に換えたほうがいいかと思います。

「地産地消」「エシカル消費」と2つが続いていますけれども、エシカル消費の中に地産地消も入ると思いますので、「エシカル消費」だけでよいのではないかと思います。

11ページの真ん中、3の少し上に、「若者に対しては、中学校、高校での消費者教育・・・」という文言がありますけれども、ここは小学校、中学校、高等学校と、学習指導要領もつながっていますので、それと、大学・専門学校ということになるかと思いますので、大学・専門学校の次の「小学校における」というのは削除していただいて、中学の前に「小学校」を入れていただくほうがよいと思いました。

それから、先ほど清水委員が言っていました、事業者の委託についての15ページのところですけれども、私もここにあります「市町村の相談窓口業務を業者などへの業務委託も検討する」というのは削除していただきたい。先ほどの「地方消費者行政コーディネートセンター」を作り機能を強化していくためには、先ほどの山本先生のお話にもありましたけれども、まずは行政でしっかりとやるというところが基本になるかと思います。

以上です。

○新川座長 どうもありがとうございました。

そのほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

それでは、いろいろと報告書の案につきまして御意見をいただきました。また、議事録等を改めて精査させていただいて、御意見を反映させていただくような形で骨子案を調整して、次回の審議に臨みたいと思っております。

今日、いただきましたところでは、新たに打ち出しました「消費者行政コーディネートセンター」、ここの在り方については、各委員の中でも様々なアイデア、様々な見方というものがまだまだございます。これにつきまして、少し事務局とも整理をさせていただいて、よりよい結論を引き出していければと思っております。

公共私ということについて、その分担や連携協力ということについて、これをどう考えていくのかということについても御意見をいただきました。この辺りも20年後にどういう地方消費者行政を実現していくのかという観点から、今日の御意見も踏まえまして、改めて方向づけを考えていければと思っております。

大きな3点目として、やはり専門性やそれを担っていく担い手、そして、その学びの機会をどう作っていくのかということについては、これはまさに実践的な教育の在り方や、あるいは新たなコーディネートセンターの役割、こうしたものも含めまして、今後の人材育成の在り方、この辺りもしっかり考えていきたいと思っております。

財源面についていえば、単に財源というだけではなくて、様々な公共部門の担い手、国、都道府県、市町村、それぞれがどういう責務を負って、そして、どういう責任に応じた財源確保や、あるいは消費者行政の展開をしていくのか。現にある機関もございますし、その後の関係で将来どういう姿、どの公と公の連携や協力を作り出していくのか。この辺りも御議論をいただきました。そして、それを支えていくような資源の在り方、特にそれぞれの国や地方自治体が責任を持って担うべき財源責任、財政責任あるいは行政責任、こういうものも組み入れながら検討していく必要があるということで、少し曖昧なところがここまでの議論の中で残されていたところを、きちんと整理をせよということで御意見をいただいたかと思っております。

そうした観点から、事務局とまた整理をさせていただきまして、次回の御議論に臨みたいと思っております。


≪3.閉会≫

○新川座長 およそ予定をしておりました時間が参りました。本日のところは以上にさせていただきたいと思いますが、各委員、よろしゅうございますでしょうか。(各委員から了解の意思表示)

ありがとうございました。 それでは、以上をもちまして、本日は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)