2020年7月9日

特許庁とASEAN各国の知財庁による第10回日ASEAN特許庁長官会合が、7月8日にテレビ電話会議形式で開催されました。本会合では、先端技術分野における特許審査基準の整備や特許の翻訳の問題について、専門的な議論を行うための、日ASEAN特許専門家会合を立ち上げることに合意しました。

1.背景

東南アジア諸国連合(ASEAN)は、ASEAN知的財産協力作業部会(AWGIPC)において策定された「ASEAN知財アクションプラン2016-2025」に基づき、ASEAN地域における知財環境の向上に向けた取組を進めています。

そしてこのたび、日ASEAN知財協力をさらに推し進めるべく、第10回日ASEAN特許庁長官会合をテレビ電話会議形式で開催しました。

2.結果概要

2012年に開始した日ASEAN特許庁長官会合は、今回で10回目を迎えます。アクションプランに掲載された様々な取組を通じて、マドリッド・プロトコルやハーグ協定ジュネーブアクトなどの国際条約への加盟国がASEAN内で急速に増加し、日本企業の海外展開に寄与するなどの成果が生まれてきましたが、今回は、今後の更なる協力関係の強化を見据え、先端技術分野における特許審査基準の整備や特許の翻訳の問題に関する知見の共有等を行う場として、日ASEAN特許専門家会合の立ち上げを含む日ASEAN知財アクションプランに合意しました。

2020年度における日ASEAN知財アクションプランの概要

  • 先端技術分野における特許審査基準の整備や特許の翻訳の問題に関する知見の共有等を行う場として、日ASEAN特許専門家会合の立ち上げ

  • 東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)による、先端技術分野における各国特許審査制度の調査研究

  • 国際出願制度(マドリッド・プロトコル/ハーグ協定)の加盟/運用協力

  • 人材育成、審査業務管理に関する協力

  • 知財の商業化、知財の普及啓発に関する協力

また、特許庁松永長官より、イノベーションがCOVID-19を解決しうる手段となっていることから、日本とASEAN各国が手を取り合い、イノベーションの促進に向けた知財分野における協力をさらに推し進めることが重要である点を指摘し、各国と認識を共有しました。

3.今後の取組

特許庁は、今後もトップレベルや専門家同士の会合の開催を通じて、ASEAN各国の知財庁との相互協力をさらに深化させ、ASEANにおける知財制度の整備及びその発展に向けた取組を積極的に進めてまいります。そして、日本企業が、ASEANにおいて適切な知的財産権の保護を受けられるように貢献してまいります。

担当

特許庁総務部国際政策課長 川俣
担当者:新田
電話:03-3581-1101(内線2571)
03-3503-4698(直通)
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