(令和2年7月7日(火曜日)14時46分 於:本省会見室)

ビーガン米国務副長官の訪日

【NHK 山本記者】米国のビーガン国務副長官の訪日について伺いますが、明後日から来られるということですけれども、どういったテーマでどんな議論を期待されているかということと、大臣ご自身は会談されるご予定は調整されていますでしょうか。

【茂木外務大臣】米国のビーガン副長官兼北朝鮮担当特別代表、今週7日から9日まで韓国を訪問した後、9日から10日の日程で訪日をする予定であります。
 会談のテーマ、多岐にわたっておりまして、副長官は訪日中に日本側の政府関係者と会談する方向で調整をしておりまして、北朝鮮をめぐる、北朝鮮を含みます地域情勢であったり、国際社会における共通の課題、コロナ対策等々に関して、日米のハイレベルで、対面で率直かつ詳細なやり取りを行うことは、非常に有意義であると考えております。私(大臣)の関係で日程は調整中でありますが、時間が許せば表敬を受けたいと、このように考えております。

【NHK 山本記者】関連してですけれども、今回、外交上の必要性に応じて入国を許可されると伺っていますけれども、人の往来が厳しく制限されてきた中で、今回の入国許可というものを、今後の外交を活発化させる上で、一つのきっかけにしたいというようなお考えはおありでしょうか。

【茂木外務大臣】今、ヨーロッパ等々を見ていただきますと、かなり外交レベルでも、頻繁な会談、これ実際に始まってるところだと、このように認識いたしておりますが、要人往来に関する今後の対応については、新型コロナの感染リスク、これを最小化するための措置をとることを前提として、外交上の必要性も踏まえ、今回の米国に対する水際措置と同程度の水準であれば、基本的には入国を認めていく方向で検討はしていきますが、実際には、個別具体的に判断していくと、こういうことになると考えております。
 当然その出国前のPCR検査であったりとか、さらには専用機等を利用した少人数での移動であったりとか、短期間の滞在、さらには訪日中の訪問先等を限定をすると、また、一般の国民との接触を行わない。こういう下で、感染リスクというのも十分に配慮しながら対応していきたいと思っています。

日中関係(習近平中国国家主席の訪日)

【共同通信 高尾記者】日中関係についてお伺いします。自民党の外交部会などが中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の国賓来日を中止するよう政府に求める非難決議を決定しました。この決議に関し、自民党の二階幹事長が「日中問題に関わった先人の苦労を思えば、慎重の上にも慎重に対応すべきだ」と述べ、公明党の山口代表も「来日自体については、歴史的な大局的観点で推進していくべきだ」と話しています。こうしたその自民党内の動きや与党幹部の発言を受けて、今後の習主席の来日について、どのような影響を与えるとお考えでしょうか。大臣の見解を教えてください。

【茂木外務大臣】習主席の国賓訪日については、何度か申し上げてきていると思いますが、今、具体的な日程調整をする段階にはない、これが日本政府の立場でありまして、申し上げてきたとおりであります。
 その上で申し上げますと、中国との間には、様々な懸案、これは存在しているわけでありますが、政府としては、引き続き首脳会談等ハイレベルの機会を活用して、主張すべきはしっかりと主張して、懸案を一つひとつ解決し、また、中国側の前向きな対応を強く求めていくと、これが基本的な方針でありまして、この方針にも変わりありません。

米国政府による非移民ビザの一部発給停止

【読売新聞 阿部記者】米国の就労ビザの関係でお伺いします。米国が6月24日から、就労ビザの一部を年末まで発行しない方針を打ち出しています。これについて日本企業から、人事異動や駐在員の派遣が遅れるですとか、生産や開発に支障が出るとの懸念の声が出ていますけれども、日本政府として、既に米国政府に改善を求めているのか、あるいは今後対処を求めていくのか、お考えをお願いします。

【茂木外務大臣】既に懸念というのは伝えております。日本政府としては、これまで米国政府に対して、非移民ビザの一部発給停止措置が、日本企業の米国でのビジネス、ひいては米国経済にも悪影響を与えかねない、こういった懸念を伝えてきているところであります。
 根底にありますのは、日本は他の国と違って、単に日本から物を輸出して、米国で利益を上げるという形ではなくて、実際に米国に投資をし、工場を作り、部品も調達をし、更には販売ルートも作るということで、非常に大きな雇用における貢献、経済における貢献、これもしてきたわけでありまして、そういったことにも影響が出かねないという懸念を伝えているところでありまして、本件措置の今後の運用等、高い関心を持って、注視をしつつ、引き続き米国政府に対しても、必要な働きかけを行っていきたいと考えております。
 その上で、米国だけに限らないのですが、これからは、やはり新型コロナウイルスの感染拡大の防止と両立する形で、人の往来の再開というものを順次進めていかなければいけない。これは欧州の国々であったり、様々な国々との間も、今後検討課題になってくるのではないかと思っております。
 ご案内のとおり、EU、そしてシェンゲン加盟国、かなりのところが日本からの入国についてこれを許可すると、こういう方向に舵を切っているところでありまして、世界的な動向も見ながら、今後、どういう措置が日本としても逆にとりうるかと、こういったこともしっかり検討していくと、これが必要な時期に来ていると思っています。