(令和2年6月26日(金)  11:28~11:53)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭3件申し上げます。まず、社会保険料の改定の特例でありますが、社会保険料については、今般の新型コロナウイルス感染症に伴い、多くの事業者の収入が減少しているという状況などを踏まえ、4月30日から社会 保険料の支払いを無担保、延滞金無しで猶予する仕組みを設けております。
 日本年金機構の受付分、つまり厚生年金保険料と協会けんぽの健康保険料ということになりますが、これについては、6月12日時点で37,540件、約1,000億円の猶予を行っております。これ以外に健康保険組合受付分として、これは数字の取り方は違いますが、令和2年2月から4月分までに、78組合において猶予が発生をし、約42億円が猶予されているということです。
 また、国民年金保険料についても収入が減少するなどし、当年中の見込み所得が免除基準に該当する方に対しては、免除の特例も設けており、5月末時点で4,022件の承認を行っております。また、国民健康保険料などの保険料の減免を行った市町村等に対しても、別途財政支援を行うことにしており、各市町村における状況については、8月頃に全体を把握したいと考えております。こうした措置に加えて、今般、新型コロナウイルス感染症の影響により休業した方で、休業により報酬が著しく下がった方の社会保険料について、毎年9月の定時改定までの間の保険料分の改定の特例を設けることにしました。
 具体的にはお手元にチラシをお配りしていますが、随時改定というのは通常、報酬の低下後4ヶ月目から保険料が減額改定されるということでありますが、今回は特例的に低下した翌月から減額改定を行う手続きとしております。休業によりこうした影響を受けている被保険者の方がおられる事業者の皆さまにご活用いただきたく、日本年金機構分に関しては本日から、また、各健康保険についてはそれぞれ各健康保険組合において随時対応がなされていくと承知しております。

 2点目ですが、医療機関に対する医療用物資の緊急配布に関してであります。医療用マスク、サージカルマスク、N95マスク、医療用ガウン、フェースシールド、手袋等の医療用物資については、新型コロナウイルスの感染再燃にも対応出来る分量が医療機関等に切れ目無く配布することができるよう、5月における予備費と第二次補正予算併せて約6,000億の予算を確保しております。
 国において確保した医療物資は、これまで感染した患者などを受け入れる医療機関、クラスターが発生した医療機関、介護施設などに優先的に配布をしてまいりました。例えば、サージカルマスクについては、この間1億8,216万枚、N95については約488万枚、アイソレーションガウンについては約2,592万枚、フェースシールドについては739万枚を、国から直送するか、あるいは都道府県を介する形で配布をさせていただいております。このような取組の中で、備蓄量が少なくなっているなど、特に緊急性の高い医療機関に対しては、G-MISのWEB調査を活用して配布を行っております。
 今回この仕組みについて、これまで毎週1回水曜日の対応としていたものを、毎日の対応ということにしていくこと、また、備蓄の見通しが1週間以内としていたものを、2週間から3週間以内とし、対象期間を拡大していくということにしております。これらの取組は7月1日から開始する予定であります。具体的にはお手元に資料が配付されています。

 最後でありますが、昨年6月に成立し、本年4月1日に施行されました、死因究明等推進基本法において、厚生労働大臣を本部長とする死因究明等推進本部において、死因究明等に関する施策の推進計画の案を作成することとされております。死因究明等推進本部はお手元にありますように関係閣僚、有識者からなっておりますが、第1回会議を持ち回りで開催し、昨日終了いたしました。
 具体的な段取りを決定したところであります。ここでは本部の下で死因究明等推進計画検討会を開催して、具体的な計画案の検討を進め、来年春頃までに成案を得るとしたところであります。第1回の検討会については、7月末頃に開催する予定で今調整を図っているところです。私の方からは以上です。

質疑

記者:
緊急事態宣言の解除から昨日で1ヶ月が経ちました。この間の感染状況はここ数日50名前後出ていますが、この1か月の評価、またそれを踏まえて今後の対応をどうお考えなのかお願いします。
大臣:
緊急事態宣言が5月25日に解除されてちょうど1ヶ月が経つところであります。この間、日によって増減があり、ここ数日は80人前後の数字となっていますが、概ね50人をベースに日々日々数字が変化していると捉えております。東京都などを中心に宣言解除後も一定の新規感染者が継続して確認されている状況がありますが、これについても症状の有無にかかわらず濃厚接触者など、積極的に検査を受けていただいた結果も含まれていると承知しております。
 他方で、例えば北九州市では、23日に新規陽性者が発生して、積極的疫学的調査を進めてきた結果、現在まで168名の感染者が確認をされておりますが、新規感染者数は減少し、落ち着いた動きを示しています。この間、医療提供体制については、例えば、入院している人に対して、病院が確保している病床数の割合、あるいは重症者に対して重症者用として確保している病床数の割合は3%程度という状況になっています。
 先日も申し上げましたが、私どもとしては、次なる波に備えて検査体制、医療提供体制、保健所の体制等について、これまでの知見等を踏まえた考え方を各都道府県にお示しをし、それぞれ体制を整備していただくことを今お願いさせていただいておりますし、先般成立しました第二次補正予算を使って、そうした対応をしっかりと進めさせていただきたいと考えております。
 また、国民の皆さま方にもすでに徹底していただいているところでありますが、引き続き3つの密を避けていただく、新しい生活様式も定着していただきたいと思います。併せて、今毎日気温が高くなってきておりますので、熱中症対策等も併せて講じていただくことをお願いしたいと思います。
記者:
昨日の全世代型社会保障検討会議が中間報告で、医療の議論は年末へ先送りとなりました。2022年が迫る中で、高齢者の2割負担などの社会保障費の議論が遅れることへの影響をどのように見ているか、コロナの影響を踏まえてこの間の議論の方向性は変わる可能性はあるのかお願いします。
大臣:
これはすでに前の検討会議の中で、医療について、例えば当初この時期に最終報告としていたのを中間報告とし年末に向けて最終報告、という流れが示されておりました。この二次報告においては、医療について昨年12月の中間報告で示された方向性や進め方に沿ってさらに検討を進め、本年末の最終報告において取りまとめることとされているわけでありますから、その方針に沿って対応していきたいと思っております。私どもとしては、引き続き高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて、丁寧に検討を行っていきたいと考えております。
記者:
入国制限の緩和についてお伺いいたします。今、政府の方で入国制限の緩和が検討されているところだと思いますが、実際に緩和されますと入国者が増加して、水際対策の強化が必要になります。検疫所の人員に対してであるとか、入国者待機のための施設確保などについて、現状と今後の取組を教えていただきたいです。
大臣:
入国制限の緩和と仰っているのは、先日、6月18日に国際的な人の往来再開に向けた段階的措置を決めさせていただいて、鋭意それに向けて、まずは当面ベトナム、タイ、豪州、ニュージーランドを想定して、二国間でそれぞれ交渉しながら進めていく、更には感染状況が落ち着いてきている国も出てくれば、交渉しながら特に、ビジネス上、必要な人材を対象として対応していく、こういう流れのことを仰っているのだろうと思います。
 先日の会見で申し上げさせていただいたように、基本的には入管法に基づく入国拒否対象地域に過去14日間以内の滞在歴がある方は全員PCR検査を実施するということ、海外から入国者全員に対する指定場所での14日間の待機、公共交通機関を使用しないことの要請等については、原則、継続した姿勢で取り組んでいるところであります。その上で、追加的な防疫措置を講じることを条件に、例外的に人の往来を可能とする仕組みを試行するということで、先ほど申し上げた政府決定を行いました。具体的には入国前のPCR検査証明、入国後14日間の位置情報の保存、接触確認アプリ、いわゆるCOCOAの導入、本邦の活動計画書の提出等々を対応として考えているところです。
 私ども水際を対応する、検疫を行う者としては成田空港検疫所等において、これ今、全ての空港が動いているわけではありませんので、他の空港検疫所からの応援も含めて必要な人員を配置するとともに検査結果待ちの宿泊施設等を確保をして、最近では1日1,000名を超える方にPCR検査を実施させていただいているところであります。
 また、今後、段階的な再開が進んでも適切に検疫をしていくということは求められており、対応していくべきだと考えております。今、短時間で検査ができる機器等の開発もされておりますので、そうしたものも積極的に現場に導入する。更には無症状の方に対する唾液検査についても検証を進めさせていただいております。そうした結果を積極的に導入することで、検査能力あるいは体制の拡充をしっかり図って、そうした対応をすることで、一方で、感染拡大を抑止しながら我が国の経済を元に戻していくといった流れに沿って対応ができるようにしたいと思っております。
記者:
先日、専門家会議が廃止され別な組織に移るということがありまして、専門家の方々が記者会見されてましたけれども、その中で専門家が前のめりになった理由として、危機感が国民に十分に伝わっていなかったとかということを挙げて、政府と専門家の役割の明確化をするように求めておりましたが、こういった点は政府が責任を持ってやるべきことだと思うんですけれども、その点の反省というのは政府側にあったのか無かったのか、お考えをお聞かせください。
大臣:
こういった点というのが何を指しておられるのか分かりません。
記者:
危機感を十分に伝えるとか、専門家と政府の役割を明確にするとかということです。
大臣:
危機感については、これまで私もこのような場で、あるいは総理も何回も記者会見する中で、そうした今の状況等についての発信と、それに対する国民の皆さんのご協力のお願い等をさせてきていただいたと思っております。その上で、私も専門家会議の皆さんと頻繁に意見交換させていただきました。
 その時々の状況を見る中で、専門家として現状に対する強い危機感等を持っておられた、それを先日、専門家会議の構成員としてのお考えを示されたと承知しております。専門家の皆さんがそういう想いを持って取り組んでおられたのは、まさにその通りだろうと思いますし、我々もその想いを共有しながら進めさせていただきました。そこが、どこまでどう伝わっていたかというお話がありましたが、これは専門家の皆さんからの見方だと思いますが、しかし他方で、そうした流れの中で、国民の皆さんのご協力もあって、緊急事態宣言も解除されたという事実もあるわけです。
 大きな流れにおいては国民の皆さんも共有していただきながら対応していただけたと考えておりますけれども、一つ一つの局面においてはどう具体的にそうした状況を伝えていくのか、リスクコミュニケーションという言葉を使っておられましたけれども、その必要性を指摘されております。我々も、私も様々な機会に記者会見等させていただきましたし、厚労省においては、ほぼ毎日のように事務局から状況等を記者の皆さんから質問に答えさせていただいてきたところです。
 しかし、そうした中で、今、専門家の方からそうしたご指摘もありますので、その点も踏まえて改善すべきことはしっかり改善していきたいと考えております。今回、専門家会議が廃止されて新たな有識者会議の下、分科会を設けられるということでありますが、元々スタートにおいては厚労省のアドバイザリー・ボードとしてスタートしていただき、それは今でも継続しています。
 今回のご指摘も踏まえて、私どもの厚労省のアドバイザリー・ボード、これは厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部に設置しているわけですが、現状分析や評価を基に専門的・技術的見地から必要なご助言をいただく役割を担っていただいていることを明確にしてまいります。
 また、リスクコミュニケーションの専門家やあるいは病院に対する影響等もありますので、そういった方も参加いただいて、充実強化を図っていきたいと思っております。これも専門家会議の構成員の皆さん方がお話になられた、そうしたご意見、それらも踏まえた対応だと思っております。
記者:
本日示された社会保険料の標準報酬月額の見直しについてです。コロナで休業が広がって賃金が減る方が多くいるということはもう既に分かっていたはずなんですけれども、このタイミングでこの施策を打ち出すことになった理由というのは何でしょうか。
大臣:
これまで納税猶予に対しては、先ほど冒頭申し上げたように対応させていただいていますけれども、実態として大きく減少されています。9月になれば定時改定ということで、4月から6月までの水準を見て9月の段階で新たに数字を決めるということになりますが、その間の保険料に対しても、現状、そうした賃金水準が下がっているということであれば、それを的確に反映していく必要があると考え、既存の制度の中で、どういう対応でやれるかということ、実際現場においてそうした対応がどこまで取れるのか、例えば日本年金機構であり、健康保険組合の現場に対応していただかなければなりません。
 そうした皆さんとのご議論を重ねてきて、合意を得ることができたので、今日、こういう形で発表させていただいたということであります。保険料というのも、元々が本来賃金水準に合わせて設定されていると、その賃金水準は普段そう変わるわけではありませんけれども、こうした緊急事態においては元々の所得水準に応じた保険料にしていく、そうした形が大事だ、必要だということで今回そうした対応が必要だということをベースに検討してきた結果として、そこでこういった形で発表させていただいたということです。
記者:
最低賃金について伺います。今日午後に中央最低賃金審議会が開かれ、今年度の最低賃金の議論がスタートします。大臣の最低賃金に対する基本的な考え方を伺いたいのですけれども、現状、全国平均時給ベースで980円ですけれども、そもそも日本の賃金水準が低すぎるという指摘もあります。
 中長期で見たときも最低賃金の水準をどう上げていくかというお考えかというのが一点と、もう一つがいわゆる地域間格差ですけれども、一番高い東京が1,013円と一番低い790円と格差があるわけですけれども、地域間格差に対する大臣の問題意識あるいはどう解消していくか、その二点についてお願いします。
大臣:
まず最低賃金でありますけれども、先日も総理からお話がありましたように最賃、この安倍政権の中で、7年間で152円の引き上げ、昨年度は27円ということで、今の方式ができ上がってから最高の上げ幅になって、早期に全国加重平均で割りますと1,000円を目指すということの方針を閣議決定し、それに向かって進めてきているわけでありました。こうした賃上げというものがまさに成長と分配という好循環を作っていく中で、我々、経済を運営してきたわけでありますけれども、賃金は大きな鍵であり、その一つが最低賃金だという認識です。
 したがって、そのような方針、つまり経済を好循環していくには賃上げは重要であるという、また、最賃に対するそうした考え方は堅持していくということは総理からも明確に申し上げてきたところであります。ただ、足元については、今、いかに事業を継続し雇用を守っていくのか、そうしてそれを通じて暮らしを守るのか、ということで、事業をされている皆さんもあるいは組合のみなさんも必死になってご努力をいただいています。
 こうした状況はしっかり踏まえていく必要があるということで、私に対しても中小企業・小規模事業者の置かれている厳しい状況を考慮して検討を進めていくようにという指示をいただいています。今日はそれを踏まえて最賃審議会をスタートし、そうした状況等を分析していただいて、議論を重ね結論を出していただきたいと思っております。
 二点目の地域間バランスの話でありますけれども、これはやはり、国によっては地域一本ということでやっているところもあります。また、その地域ごとに経済情勢が違うから、それによって賃金も違ってくるだろうという発想がある一方で、逆に地方の賃金が低いがゆえに私たちが東京一極集中を促しているという指摘もあります。
 そうした全体を踏まえてしっかり議論をしていく必要があると思っております。そうした議論も今回はどこまでやるか分かりませんが、前回の最賃の議論の中には入っていたと認識しておりますので、引き続き、その議論もしっかりやっていく必要があると思っております。     
記者:
専門家会議について関連してお伺いします。専門家会議はこれまでその都度記者会見を開くなど、情報発信にかなり力を入れてきました。この部分について大臣は振り返ってどのように見ていらっしゃったのか所見をお願いします。
 それと、廃止をされましたが、今後、これまでの専門家会議の活動についてどのような形で検証されるのかについてもご所見をお願いします。
大臣:
これは専門家会議として見解をまとめていただいて、それに対して会議の座長を初め、何人かの皆さんが記者会見をして説明をされた。時には1時間に及んで説明をされていたということで、大変なご努力をいただいていたと認識しております。見解を作るまででも、かなり大変な議論を重ねていただいているわけでありますが、加えてそうしたことも含めて国民の皆さまに発信をしていただきました。
 更には、専門家会議ではありませんが、個々の方は個々の方で色々発信されていたと承知しています。そうしたことも踏まえながら、専門家会議の構成員としての考え方の整理というのは、今回お示しになられました。
 ただ、全体の政策を進めていく中で私どもも専門家会議からご意見をいただきながら、それを踏まえて、政策決定を重ねてきた、それが今回の対策のそれぞれでありますから、全体に対する検証は総理から仰っているように収束をした段階でしっかりやっていく、当然その対象の中には、専門家会議の位置づけであり、議論であり、またそれをどう政府が活用してきたのかということも含めて検証がなされるものと思います。

(了)