環境省・新着情報

令和2年6月26日

総合政策

令和元年度 持続可能なローカルSDGsビジネスの先進的実例と成功のポイント

環境省では、環境・経済・社会の統合を図るSDGs実現に向けて、この度、令和元年度報告書「ローカルSDGs(地域循環共生圏)ビジネスの先進的事例とその進め方」を取りまとめましたので、公表いたします。地域の資源を活かした自立分散型の持続可能な経済社会を担う今後のビジネスのヒントを取りまとめています。

1.調査内容
 令和元年度は、「SDGs特に『地域循環共生圏』の創造による持続可能な地域づくりに向けた取り組みを推進している企業や地域等」、21の事業体にヒアリング取材を行い、「地域課題」「地域循環共生圏を構成する要素(ソリューション)」、「実現方法」の3つの視点で先進事例の分析を実施しました。さらに、実現方法については、「ビジネスモデル・パターン」、「成功要因」、「阻害要因・支援策」の3つの視点で調査・分析を行いました。
2.ローカルSDGs(地域循環共生圏)ビジネスとは
 本調査において、ローカルSDGsビジネスを以下の3つの要素を満たし、結果として地域に裨益しているビジネスと定義しました。
 ①地域資源を活用し、地域内で資金、エネルギーや食などが循環している ②地域間で補完し支え合いの関係が構築できている ③環境を含むそれぞれの地域課題を解決し、自立分散型の社会づくりにつながる
3.対象事業者選定の視点
 ローカルSDGsを構成する複合的な取組が行われている地域から、「交通・移動システム」、「災害に強いまちづくり」、「衣食住の日々の生活者としてのライフスタイル」に資するソリューションや取組を推進している点を重視し、バランスよく21の事業体を選定しました。
4.ローカルSDGsビジネスの実現方法
(1)ローカルSDGsのモデル(型)※本調査で分析した企業に基づく分類①「地域機能包括提供」モデル 地域に密着した企業が様々なサービス・機能をまとめて提供し、同じヒトやモノが複数の役割を果たす。「一物多役」ともいえる地域づくりにより、効率的な運営を実現することでコストを削減し、ビジネスとして成立させる。②「地域会社向けツール提供」モデル地域機能包括提供会社に対して、「最適配車」、「地域通貨」など様々な機能を実現するツールを提供、その運営を後方支援する。全国展開することでシステムコストを低減、地域機能包括提供会社に求める対価を最小化することで、地域会社とwin-winの関係を実現する。③「地域資源結合・転換」モデル地域資源を発掘、ストーリーを追加することで高付加価値な商品・サービスを実現、都市・他地域に提供する。農産物や空き家等の「モノ」だけでなく、地域の協力者や地場産業に眠るノウハウなど「ヒト」の資源も活用する。④「マッチング+α」モデル地域資源と都市部の企業・住民を結び付ける。単にマッチングするだけでなく、「集荷・配送の手間削減」や「販売・調達の安定性確保」など地域・都市の主体が求める機能を提供することで、地域資源の価値を最大化する。
(2)成功要因(特にローカルSDGsビジネスにおいて有効とされる要因) ローカルSDGsビジネスに取り組む際の成功要因について、①「計画立案」段階、②「個々の事業立ち上げ」段階、③「ローカルSDGsの醸成」段階の3つの段階ならびに、④「中心になって取り組む人物(キーマン)の資質・役割」に関して、以下のとおり分析しました。①「計画立案」段階:モノだけでなく、ヒトの地域資源の活用単に農産物や歴史的建造物等の地域資源を利用するのではなく、「繋がり」や「ノウハウ」など、ヒトに関する地域資源を組み合わせる②「個々の事業立ち上げ」段階:サービス立ち上げ期の川下確保事業が安定するまでパートナーと一緒に/自ら事業主体になって、資源と資金の流れを作る③「ローカルSDGsの醸成」段階:多様な事業を円滑に運営するための事業体組成地域の利益のための事業を、円滑・速やかに意思決定して実行する事業体を組成、 ”地域マネージャー”が核になって運営する。④「中心になって取り組む人物(キーマン)の資質・役割」熱い想いを持ち、中長期目線で地域課題解決に取り組むキーマンの存在が大きい。「スーパーマン」である必要なく、多種多様な主体を巻き込めるかどうかが成否を分ける。
なお、詳細については、報道発表内の報告書をご参照ください。
5.ローカルSDGsビジネスを通じて目指す社会像
 最近増大する気象災害や新型コロナの感染症拡大等に対応するためには、地域の資源を活かして地域に雇用をつくる自立分散型の経済社会づくりが求められていると考えられます。このような持続可能で強靱な経済社会に貢献しうるローカルSDGsビジネスの成功例を整理いたしました。
本調査の分析結果をふまえ、様々な主体が取り組むローカルSDGsビジネスの普及を通じ、「長期的な価値の最大化志向」「使い手の価値を最大化する商品・サービス」「共創する関係」が生み出されることにより、従来の社会における問題を克服し、持続可能な社会を実現することが期待されます。
6.研究会の設置・開催について
 調査対象企業の選定及び環境ビジネスの現状分析にあたり、専門的知見も踏まえた上で検討を進めるため、令和元年度「持続可能な成長エンジン研究会」(座長:八木裕之 横浜国立大学教授、計9名)を設置し、全2回の研究会において分析・検討を行い、報告書をまとめました。
7.その他
 環境ビジネスに関する情報は、「環境経済情報ポータルサイト」の「環境産業情報(「環境ビジネスの先進事例集」)」に掲載しています。
http://www.env.go.jp/policy/keizai_portal/B_industry/frontrunner/

添付資料

報告書 [PDF 17.9 MB]
報告書(要旨) [PDF 5.3 MB]

連絡先
環境省大臣官房環境計画課環境経済政策調査室
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-9265
室長 中島 恵理 (内線 6227)
課長補佐 森島 健人 (内線 6250)
担当 真田 裕示 (内線 6256)

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