令和2年6月25日

 6月25日(現地時間同日),パプアニューギニア独立国の首都ポートモレスビーにおいて,我が方,中原邦之駐パプアニューギニア日本国特命全権大使と先方パトリック・プルアイチ外務国際貿易大臣(Hon. Patrick Pruaitch, Minister for Foreign Affairs and International Trade of the Independent State of Papua New Guinea)との間で,無償資金協力2件(保健・医療関連機材供与,海上保安関連機材供与,合計19億円)に関する書簡の交換が行われました。

1 対象案件の概要

(1)保健・医療関連機材の供与を通じた新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた支援(無償資金協力「経済社会開発計画」)
  【供与額9億円】

 パプアニューギニアにおいては,早期に入国制限措置がとられたことにより,6月現在,新型コロナウイルスの感染者数はごく少数に抑えられているものの,入国制限により人的・物的往来が制限されたことで,経済的に大きな打撃を受けています。今後,入国制限の緩和に向かっていく中で,感染予防・拡大防止措置を講じる必要がありますが,同国は基礎的な保健・医療体制が不十分で,関連機材も不足しています。本計画は,パプアニューギニアに対し,CTスキャナー,X線撮影装置等の保健・医療関連機材を供与することを通じて,同国の感染症対策及び保健・医療体制の強化に寄与することが期待されます。
 新型コロナウイルス感染症の世界規模での感染拡大は,人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日,日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり,国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ,保健・医療体制が脆弱な途上国における感染拡大防止は,在留邦人の健康・安全に直結するのみならず我が国への感染症流入を予防する観点からも極めて重要であり,我が国の経済・社会にも大きく影響し得る喫緊の課題です。我が国としては,新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化に向けて,引き続き,国際社会の取組を主導すべく保健・医療体制が脆弱な国々を支援していきます。

(2)海上保安関連機材の供与を通じた海上保安能力強化のための支援(無償資金協力「経済社会開発計画」)
  【供与額10億円】

 パプアニューギニアでは人口の約65%(約500万人)が沿岸部に居住しており,貨客輸送や生計を立てるため(漁業等)の重要な手段として小型船舶を利用していますが,過積載や船舶の浮力不足等に起因する事故が絶えず,死亡・行方不明事故も多数報告されています。一方,船舶・航行の安全及び捜索救助を所管する国家海上安全局(NMSA)は,9.5メートル級の救助艇を1隻保有するのみで,首都ポートモレスビーの近海100キロメートルの距離範囲しか活動できていません。本計画は,パプアニューギニアの国家海上安全局に救助艇や無線通信システム等の海上保安関連機材を供与することを通じて,同国の船舶航行の安全,捜索救助活動能力等の向上を図り,同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。

2 我が国は,2018年5月に開催した第8回太平洋・島サミットにおいて,「自由で開かれた持続可能な海洋」及び「強靱かつ持続可能な発展の基盤強化」を支援の柱として表明(PDF)別ウィンドウで開くしており,この協力は同表明を具現化するものです。

[参考1]パプアニューギニア独立国基礎データ
 パプアニューギニアは,面積46.2万平方キロメートル(日本の約1.25倍),人口約861万人(2018年,世界銀行),1人当たり国民総所得(GNI)は2,530米ドル(2018年,世界銀行)。

[参考2]第8回太平洋・島サミット
(1)第8回太平洋・島サミット(PALM8)は2018年5月18日及び19日に福島県いわき市において開催。16の太平洋島嶼国・地域,オーストラリア及びニュージーランドの首脳級等が出席。パプアニューギニアからはオニール首相(当時)が参加した

(2)我が国は,PALM8において,(ア)自由で開かれた持続可能な海洋,(イ)強靱かつ持続可能な発展の基盤強化,(ウ)人的交流・往来の活性化の3つを柱として,今後3年間でこれまでの実績も踏まえた,従来同様の,しっかりとした開発協力の実施及び成長と繁栄の基盤である人材の育成・交流の一層の強化を表明した。