(令和2年6月23日(火曜日)13時40分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)沖縄戦戦没者慰霊の日

【茂木外務大臣】冒頭,私(大臣)から3点あります。まず,沖縄戦の戦没者慰霊の日に関してでありますが,75回目を迎える沖縄戦戦没者慰霊の日に際しまして,恒久平和を希求する思いを込めて,戦没者の方々に心から哀悼の意を捧げます。
 戦後75年の今日もなお,沖縄の皆様には大きな負担を負っていただいています。このような現状は,決して是認できるものではなく,重く受け止めています。今後とも,沖縄の方々の気持ちに寄り添い,外務大臣として,全力を尽くして参ります。
 今日の「慰霊の日」に際し,沖縄県立首里高校3年の高良朱香音(たから・あかね)さんが「平和の詩」を読まれました。大変胸を打たれました。「あなたがあの時 あの人を助けてくれたおかげで 私は今 ここにいる」。先人たちが,あの時,勇気をもって行動してくれなかったら,今の私たちがないのは確かです。二度と戦禍を繰り返さない,平和で希望に溢れる国を作っていきたいという思いを新たにしました。

(2)日米安保条約発効60周年

【茂木外務大臣】2点目です。本日,現行の日米安全保障条約の発効から60周年を迎えました。
 日米安保条約60周年に当たっての,日米同盟に関する私(大臣)の基本的な考え方は,本年1月に日米の外務・防衛4閣僚が発出しました共同声明に示したとおりですが,この機会に改めて,同条約発効60周年に当たっての私の考え方を簡単に申し上げたいと思います。
 今日,民主主義,人権の尊重,そしてルールに基づく国際秩序といった価値に対する揺るぎないコミットメントに根差した日米同盟は,地域における安全保障協力等を通じて,いまや我が国のみならず,インド太平洋地域,さらには国際社会の平和と安定の礎の役割を果たしています。また,日米同盟は,いまや,かつてないほど強固で,幅広く,そして不可欠なものとなっています。
 日米安保条約は,このような日米同盟の中核であり,我が国としては今後も米国と緊密に連携し,地域や国際社会の平和と繁栄の確保に取り組んでいきたいと考えております。

(3)日本人ビジネスマンのベトナム渡航

【茂木外務大臣】最後の3点目ですが,前回の記者会見で日本とベトナムとの間の往来に関する制限を,部分的・段階的に緩和していくことで合意した旨発表いたしました。
 その後,ベトナム当局との間では,具体的な措置,手続について調整を進めているところであります。
 そのような中,明後日から,6月25日・26日・27日の3日間に,在ベトナムの日本商工会議所のアレンジによりまして,日本からベトナム行きの臨時便が運航されることになりました。これによりまして,日本人駐在員及び出張者約440名がベトナムに渡航する予定です。これは,両国間で往来に関する制限を,部分的・段階的に緩和していくことで合意した後,初めての日本からの渡航ということになります。
 今回の渡航に際しましては,ベトナム入国時にはベトナム側が指定をする新型コロナ防止対策手続に従って,入国をすることになります。また,今回の渡航者のうち,比較的短期間で日本に帰国をします出張者が,日本に帰国する際には,先週18日のNSC・コロナ本部での決定を踏まえた入国時の試行措置,具体的には,追加的な防疫措置を条件に,14日間の自宅等待機期間中も限定的なビジネス活動が可能になる措置,これが適用される見込みであります。

中国海警局船による尖閣沖侵入

【産経新聞 力武記者】中国公船についてお聞きします。尖閣諸島周辺の接続水域に中国公船が入っているのがですね,71日連続で確認されています。昨日もですね,領海への侵入が確認されたということで,こうした立て続く中国側の動きをどのように見ておられるかということと,日本政府の対応についてお聞かせいただけますか。

【茂木外務大臣】新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によりまして,国際的な協調・連携が必要な中,尖閣諸島周辺海域において,中国公船によります接続水域航行及び領海侵入が継続していることは,極めて遺憾であると考えております。中国のこうした活動については,外交ルートを通じて,繰り返し厳重に抗議をしてきているところであります。
 東シナ海の安定なくして日中関係の真の改善はない。この旨は安倍総理から習近平(しゅう・きんぺい)国家主席,そして私(大臣)から王毅(おう・き)国務委員に対して,繰り返し提起をし,中国側の行動を強く求めてきているところであります。
 今後も我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くとの決意の下,冷静かつ毅然と対応していきたい,そのように思っております。

日米安保条約発効60周年

【日本経済新聞 加藤記者】日米安保条約の改定の60年に関連してお伺いします。先般の記者会見で,安倍総理が,この夏に安全保障戦略について集中的にNSCで議論したいというふうにおっしゃいましたけれども,敵基地攻撃能力についても党側の提言を受けて議論したいというお考えを示されました。これまで,日米で「盾」と「矛」の役割分担ということをしてきたと思いますけれども,今回のこの議論で,そういったその「盾」と「矛」の役割分担の在り方の見直しについても含めて議論されるお考えなのか,大臣のお考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】まず,この日米安保60周年と,この夏,NSCで議論されることは,これは別に60周年だから議論を始めるということではないわけでありますが,我が国をとり巻きます安全保障環境は厳しさを増す中で,どういった形で日米の連携をとっていくか,また日本として,そういった防衛力・対処力を強化していくか,こういった議論は極めて重要なタイミングに来ていると考えております。
 単純に「盾」と「矛」と,こういったことで,性格づけられるような安全保障環境ではない。また,必要な抑止力・防衛力ではないと考えておりまして,お互いにどう連携していくか,また役割分担していくか,そこの中で,日本としてどういった形で防衛力を強化していくか,しっかりこの夏,議論したいと思っております。

ベトナムとの人の往来再開(段階的緩和)

【共同通信 高尾記者】大臣が冒頭にご紹介があった,ベトナムとの出入国制限の段階的緩和について伺います。大臣,ご紹介の中で,ベトナム側が指定する防止対策手続とおっしゃったと思うんですけども,これは,いわゆる日本人ビジネス関係者には,出入国時のPCR検査の陰性証明とか,現地滞在中の活動計画の提出など,こういったものが適用されるという理解でよろしいんでしょうか。

【茂木外務大臣】今,相互の往来を再開する試行措置の在り方については,最終的な調整を行っているわけでありまして,当然,ベトナムに入国するとなりましたら,ベトナム側が指定する措置というものが必要になる,この詰めを,今,行っているところであります。