(令和2年6月19日(金)  11:13~11:44)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭3件申し上げさせていただきたいと思います。まず、接触確認アプリCOCOAでありますが、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に資するよう、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策テックチーム事務局と連携して、これまで開発してまいりました新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOA、COVID-19 Contact Confirming ApplicationということでCOCOAとしておりますが、本日15 時頃リリースをすることにしております。本アプリの開発にあたっては、受託をされている事業者に加えて、民間の技術者が参加するオープンソースコミュニティーであるCOVID-19 Radar Japanの皆さん、また、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策テックチームの協力団体・企業など、民間の有志の方々から、ボランティアで多大なご協力をいただきました。この場をお借りいたしまして、ご協力いただいた方々に対して心から感謝を申し上げたいと思います。
 なお、公開日から1カ月程度は試行版、プレビュー版ということで、試行版をご利用いただく状況を参考にして、デザイン・機能など適宜修正を加えていく予定にしております。多くの場合、自動的に最新版がインストールされますので、是非アップデートしてご利用いただくようお願いをしたいと思います。せっかくの機会なので、テスト版を用いて説明をさせていただきたいと思います。
 まず、新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAですが、新型コロナウイルス感染症の感染者と接触した可能性について通知を受け取る、こういう仕組みのスマートフォンのアプリであります。そして、スマートフォン同士が1m以内、15分以上接触した状態がそれぞれのスマートフォンに中に記憶されているということで、接触された記録はご自身の端末の中だけで管理され、それ以外には一切出ない、こういう仕組みになっております。
 したがって、どこで、いつ、誰と接触の可能性があったかについては、お互いに分からない、あるいは我々国の側でも分からない、こういう仕組みです。そして、新型コロナウイルス感染症の感染者と接触した可能性があった方が、後で陽性の方について説明させていただきますが、陽性者がいて、陽性者が結果的に保健所に登録され、そして、その方が陽性になったということをこの仕組みに入れ込んでいただくと、その方と接触をされている情報を持った端末に対して、アプリで通知が入ることになります。
 そして、その通知を受け取った場合には、この陽性者と接触を確認するボタンを押していただく。左側をタップしていただきますと、陽性者との接触の可能性が確認されて、例えば、何月何日に何件という形で件数が確認いただけるわけであります。また、COCOA において、ご自身の様子をお聞きすることにしております。例えば、息苦しさ・強いだるさ・高熱等の強い症状がある等々に該当するという方については、その症状の有無などを入力いただきますと、保健所のサポートや検査の受診などの案内につながっていくことになります。また、症状がないという場合においても、過去二週間以内に身近に接した方で感染者がいるという心当たりがあるかどうかを確認して、あるという方に対しては帰国者・接触者外来等をご案内し、いらっしゃらない場合は、引き続き体調変化に気をつけていただくということであります。
 具体的なインストールの方法は普通のアプリと一緒でありまして、iOSのスマホをご利用の方はApp Storeから、Androidのスマートフォンをご利用の方はGoogle Playストアから、アプリをダウンロードしていただくとともに、Bluetoothでやってますので、Bluetooth機能をオンにしていただくことになるわけであります。
 厚生労働省としては、関係省庁とも連携を取りまして、また、都道府県、市町村、医療・福祉関係者、民間関係団体、企業、NPO など、幅広い皆様方のご協力を得ながら、例えば、催し物の開催時に主催者にアプリの活用をお願いするなどにより、利用を働きかけていきたいと考えております。
 これはあくまでも、本人の同意を前提とした、個人情報を入れない、そうした仕組みになっていることは是非ご理解いただきたいと思います。また、このアプリの利用者が増えるということが、感染拡大の防止につながることが期待されると考えており、是非、国民の皆様にはこのアプリのご活用をお願いいたします。まずは、このアプリをインストールいただきますことをよろしくお願いしたいと思います。

 二点目でありますが、新しいコロナウイルス感染症の検査についてです。抗原量の測定ができる、富士レビオ社が開発した検査試薬を薬事承認いたしました。これによって抗原検査としての検査が行われることができます。この検査は、従来の抗原簡易検査キットよりも感度は高い、いわゆるPCR検査と同様の対象者に使用することができるというわけであります。鼻咽頭検体については、有症・無症を問わず全ての対象者に、また、発症から9日目以内の有症状者に対しては、唾液検体も可能となりまさにPCRと同じ適用ということになります。
 この検査には、専用の検査機器が必要です。多少機能性の高いものと低いものがあるようでありますが、既にトータル800台くらい設置されているということであります。それから検査に要する時間は30 分程度と非常に短いということです。1時間あたり60件から120件の検査が可能と聞いております。
 この抗原検査は定量で測ることができます。これまでの簡易キットは陽性か陰性かしか分かりませんが、これはどのくらいの量があるのか、ということを測ることができます。こうしたことによって我が国の検査能力の向上に寄与するものと考えております。先般の唾液もそうでありますけれども、様々な技術が開発されております。我々としても積極的に、そういったものを取り入れて検査能力の拡大を図っていきたいと思っております。

 最後でありますけれども、新型コロナウイルス感染症に対応していくためには、病床の確保や人工呼吸器、エクモ等のハードウェアの整備とともに、やはり人材を確保していくことが非常に大事であります。まず、医療従事者の皆様方に対して、最前線で今もなお奮闘いただいておりますことに、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 また、今般、新型コロナウイルス感染症への対応のみならず、幅広く地域の医療機関・保健所などで人手不足となった場合に、必要な医療人材を迅速に確保できるよう、ウェブサイト上で人材募集情報と求職者のマッチングを行う、医師・看護師・医療人材の求人情報ネット、「医療のお仕事Key-Net」と呼んでおりますが、これを新たに開設し、本日から運用を開始しました。Key-Netでは、全国の医療機関や保健所などの人材募集情報を幅広く掲載し、閲覧した方がウェブサイト上で応募から面接まで行うことができるようになっております。
 国が無料で行う取組であって、医療機関、求職者の双方に手数料はかかりません。医療機関においては、G-MISを活用して、人材募集情報を直接、入力していただくことができます。是非、医療機関の皆様、人材の募集を行う際には、Key-Netをご利用いただきたいと思います。これは、新型コロナウイルス感染症に対する臨時的な対応だけではなくて、恒常的に医療人材の不足が指摘されており、これへの対応を考えて開設させていただいたということであります。

質疑

記者:
接触確認アプリについてと入国制限の緩和についてお聞きします。まず、接触確認アプリについてなんですけれども、開発に携わった委託事業者がどこかということと、ネット関係では雇調金のオンライン申請が相次いで中止するなど、信頼感に不安もありますが、接触確認アプリの動作確認はできているのかその点についてお聞きします。
大臣:
接触確認アプリの開発等の工程管理については、パーソルプロセス&テクノロジー株式会社に委託しております。同社に対しては私どもHER-SYSを既にお願いしているところでありますので、その追加開発に係る変更契約という形で、お願いしております。その下で、同社から日本マイクロソフト社とフィクサー社に対して、再委託がなされていると承知しております。また、先ほど申し上げましたように、今回、委託事業者の他に様々な皆様にボランティアベースでご協力いただいたということです。
 雇用調整助成金については、二回に渡って運用早々にストップするということで、大変皆さんにもご迷惑をお掛けしているとことであります。今回のアプリの開発にあたっては、アップルとグーグルが提供するプログラムの開発キットを利用しており、また、アプリはアップルとグーグルのストアからインストールしないと動作しないということになっておりますので、ストアへの掲載にあたってはアップルとグーグルそれぞれでプログラムにバグやセキュリティの問題がないかどうか、プライバシーポリシーの内容が適切なものかどうか、プログラムの内容に齟齬がないかどうか、ストアに掲載するにあたって基準を満たしているかどうか、厳格な審査がなされていると承知しております。
 この審査もクリアしてアップルとグーグルのストアからそれぞれインストールいただけるものでありますので、幾重にもそうした審査を経て今日に至っているということで、是非安心してご利用いただきたいと思います。
記者:
入国制限の緩和について、これまで日本国内では欧州由来のウイルスが流入したということが感染研の調査で分かっておりますけれども、今後、入国制限が緩和すると外国からまたウイルスが入ってくるんじゃないか不安に感じる国民がおりますが、これまでの水際対策の反省点がどういうところにあったのか、それを踏まえて今回、どのような対策を講じるかお聞かせください。
大臣:
まず、水際対策については2月1日から中国湖北省入管法に基づく入国拒否の対象としたことをスタートに、その後も逐次、当該地域の感染拡大状況を踏まえて入国拒否の対象地域を追加するとともに、検疫においては、入国拒否の対象地域に滞在歴のある方全員にはPCR検査を実施するということ、海外からの入国者全員に対しては指定場所での14日間の待機、また、公共交通機関を使用しないということの要請等を行ってきたところであります。5月27日から対象になった11カ国を含めて、111の国・地域が入国拒否の対象になっています。
 今般の措置でありますが、感染状況が落ち着いている国との間で、今申し上げた現行の水際における対応、これを引き続き維持をしていく、要するにPCR検査を実施するまえ、14日間については指定された場所等で待機いただくことを基本としながら、追加的な防疫措置、例えば入国前のPCR検査の証明、位置情報の保存、接触確認アプリの導入、あるいは本邦における活動計画書の提出等々を条件として、例外的に人の往来を可能とする仕組みということで昨日発表したところであります。私どももこうした措置が確実に実施されるよう取り組んでいきたいと思っております。
 また、今後、この対象がそれぞれの国における感染状況が落ち着いていくという流れの中で、対象国が拡大していくということも十分想定されます。そうした状況にも対応できるよう、今、唾液検査については有症者については適用できますが、無症者への適用についても鋭意調査を進めさせていただいております。このように、最先端の技術を導入することによって、PCR検査体制そのものの能力拡大等を図っていきたいと思っております。
記者:
接触アプリについて伺います。昨日首相が会見で本日19日からということで、今朝の新聞やニュース等で報じられています。ただ、今日もう半日ほど経っていますが、朝から早速ダウンロードしたいということで試みた方からダウンロードもできないし、また厚労省のホームページを見ても6月中旬にリリース予定ということが書かれたままということで、かなり混乱が生じていると聞いております。どうして今日もう半日経ってもまだホームページでダウンロードができないことはおろか、例えば何時から開始という案内もないのでしょうか。
大臣:
先ほど本日15時頃からリリースということは申し上げさせていただきました。うちのホームページでもまだ3時間、4時間ありますから何時からということはしっかりとPRしたいと思います。
記者:
例えば昨日首相の会見が終わった段階で今日の少なくとも何時からということを事前に案内することは難しかったのでしょうか。
大臣:
昨日は特段事前に皆さんにご説明していないので、そういうタイミングがなかったということだと思いますが、よくその辺は踏まえながら、必要な情報を発信していきたいと思います。     
記者:
接触アプリについて、実際に有効に機能するためにはある程度のダウンロード数が必要と思いますが、現在厚労省として目標としているダウンロード数といつ頃までに達成したいと思っているのか、それと現状で開発費用についてどの程度になっているのか教えてください。
大臣:
アプリについてどのくらい普及するとどうだということは私も報道等で読ませていただいておりますが、政府として具体的な数値目標を決めているわけではありません。従って、一人でも多くの方に使っていただけるように、まずはこのアプリが個人情報との関係でどうなっているのかということも含めてしっかりPRをさせていただいて、多くの方に利用してもらえるように努力をしていきたいと思っております。
 それから、費用の関係でありますが、先ほど申し上げました、変更契約においては、7月末までに税込みで9460万円となっております。初期の開発にかかった費用は4500万、6月まで、今までにということです。それから今後の7月に向けて追加改修、運用保守の費用として5000万程度が見込まれているということであります。なお、当然運用経費がかかります。8月以降も含めて、今年度の所要経費は現時点で2.5億円程度ということであります。
記者:
先ほどの接触アプリの数値目標の件ですが、総理は5月末の会見では6割、イギリス等々欧州の経験を踏まえて6割という数値を出していましたが、そういったことは目安にされているのでしょうか。
大臣:
先ほど申し上げたように、そうした各国あるいはアカデミアからいろいろな話があったということは、私も報道ベースでは承知をしているところでありますが、私どもとしては具体的な目標を立てるのではなく、先ほど申し上げた利用者を一人でも増やしていただくということと、まずこうしたものを入れたのは初めてだと思いますから、いたずらに目標を設定するというよりは、これが先ほど申し上げた皆さんの懸念、例えば自分がどこにいるかということを政府が把握するのではないかなど様々な懸念があると思います。
 まずそういう懸念を払拭して、同時に皆さんに登録いただくことが、先ほど申し上げたこれから経済活動を進める中において、感染拡大を抑制するのにいかにプラスになっていくのか、そういったプラス面も説明して、一人一人の方に入っていただくということがまず大事だと思います。
記者:
今日から県域をまたぐ移動であったり、一定規模のイベントの開催なども緩和されます。一方で、接待を伴う飲食店について、福岡市などでまた新たな感染者が出るなどというケースもあります。そういった休業要請撤廃の対応についてどう思われているのか、また、今一度注意点等あればお願いします。
大臣:
今日から新しい経済活動が拡大していくという局面に入ってきているわけであります。この間、全国の規模についてもここ1、2週間見ると、平均すればここ1週間50件程度ということであります。東京都においては若干40になったり20になったり、あるいは10台になったりとありますが、これも昨日の総理の発言の中にもありましたが、いわゆる夜の街クラスターの関係で検査を積極的にしている、こういうことであります。
 そういった1つ1つに対しては的確に対応していく必要があると思いますが、同時にやはり感染拡大の防止を図りながら経済活動をいかに戻していくのか、これは非常に大きなポイントでもあります。そしてその中で雇用を守り、暮らしを守っていく、もちろん私ども雇用調整助成金等でお支えしておりますが、基本は経済活動そのものが戻ってくるということが大事だと思っております。そういったところを慎重に一歩一歩フェーズを上げていきながら、またその状況を確認しながら、対応していくということが必要だと思っております。
 もちろんその中で、例えば先日の北九州市のような状況があればそれは市や県、そして私ども連携をしながら、そうした地域的な課題に対してはしっかり対応していきたいと思っております。
記者:
雇用調整助成金のオンライン申請についてお伺いします。システムトラブルで運用が停止されてからまもなく1ヶ月が経過しますが、改めてその受け止めと今後の再開時期のメドがあれば教えてください。
大臣:
当初からすれば1ヶ月経っていますし、2回目に再運用してもすぐに止まるということでありました。こうした事態を踏まえて、今いわゆる専門の事業者の方に入っていただいて、中身を徹底的にチェックしていただいています。
 今の段階でいつからという具体的なメドは立っておりませんが、やはりこうした雇用調整助成金、特に上限額の引き上げ等を行って、多くの皆さま方が活用を図っていきたい、あるいは我々から見れば活用を図っていただきたいという立場でありますから、今でももちろん郵送等では受付をさせていただいておりますが、こうしたオンラインでの申請が1日でも早くでき、そしてそれによって多くの皆さまがより簡易に申請をしていただけるように努力をしていかなくてはならないと思っております。     
記者:
広島市の放射線影響研究所について、昨日の会議で移転の議題はなく、移転問題を話し合うのは来年以降となりました。広島市が移転を求めていることについて、国は広島市と同じスタンスなのか、また被爆者の高齢化が進みますが、政府として今後放影研がどのような研究に取り組むべきとお考えでしょうか。また被爆者とどのように向き合うべきとお考えをお聞かせください。
大臣:
被爆75周年という節目の年であって、移転を期待する強い思いが広島市にあるということ、これは私が前に厚労大臣の時にもそういった声を聞かせていただいておりました。これは私ども真摯に受け止めていきたいと思っておりますし、早期に移転が実現できるようにしていく必要があるというのは我々も同じ思いであります。従って、それに当たって、これからの放影研がどういう役割を担っていくのかなど、まだ詰めていかなければならない点があるということで、今に至っているわけであります。
 こういったものについてはスケジュール感を具体的に共有しながら、一つ一つの課題に対して答えを出していく必要があるのだろうと思っております。広島市、また運営費を出している米国政府、そしてもちろん主体であります放影研、こういった皆さんと積極的な協議をさらに重ねていって、先ほど申し上げた方向で早期の移転の実現に向けて、事が動いていくように対応していきたいと思っております。
 また、放影研は被爆者、被爆二世の方々の健康データなどを基に、長きにわたって放射線と被爆者への健康調査、被爆二世の遺伝的影響について調査研究を行ってきております。現時点でも原爆放射線が人体にどういう影響を与えるかについては、未解明、分からない部分も多々あるわけであります。こうした研究が引き続きなされていくことが被爆者、あるいは被爆二世の方々にとってのみならず、世界に対して知見を示していくことにおいても非常に大事だろうと思っております。
 ただこうした調査研究は被爆者、被爆二世の皆さま方の協力があって初めて成り立つわけでありますので、よくそうした皆さまの理解を得ながら、調査研究を進めていきたいと思っております。また放影研そのものの移転をどうするかということについても、そうした皆さまの声をしっかり聞かせていただきながら、議論していく必要があると思います。
記者:
法務行政のトップだった河井克行議員と妻の杏里議員の選挙違反事件による裁判について受け止めをお願いします。
大臣:
個別の事件でありまして、捜査中、まさに捜査が行われているという事案でありますから、私が大臣の立場でコメントするのは控えたいと思います。ただ一般論として申し上げれば、様々な同様の事案がありますが政治家として、常に身を引き締めながら、また求められた説明はしっかり果たしていくという姿勢で取り組んでいくべきものと考えています。

(了)