(令和2年6月19日(金曜日)10時56分 於:本省会見室)

冒頭発言

新型コロナウイルス(国際的な人の往来再開に向けた段階的措置)

【茂木外務大臣】昨日のNSC,そしてコロナ本部で決定しました,国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について,当面は,ベトナム,タイ,豪州,ニュージーランドと協議・調整を行い,準備が整い次第,部分的・段階的な往来を試行的に行っていきたいと思います。
 これら4か国との間では,それぞれ外相電話会談を行いまして,これまでも協議や議論を進めてきておりまして,タイとの間では,昨日発表したとおり,日タイ外相電話会談において,両国間のビジネス上不可欠な人材等の往来を可能とする仕組みを構築するために,調整していくことを確認いたしました。
 ベトナムとの間では,先ほど発表を行ったとおり,お手元に紙が行っていると思いますが,両国間の往来に対する制限を,部分的・段階的に緩和していくことで合意をいたしました。開始のタイミング,また,どのような形で往来を再開するか,詳細については,外交ルートを通じて調整していく考えであります。そんなに時間はかからない,そう思っております。
 また,豪州,ニュージーランドについては,両国から,まずは豪州・ニュージーランド間の協議を優先したいという意向が示されておりますが,今後どのような形で両国との往来の再開が開始できるか,引き続き調整してまいります。
 経済を回復軌道に乗せていく観点からも,新型コロナウイルス感染症再拡大の防止と両立をする形で,国際的な人の往来を,部分的・段階的に再開していくことは重要でありまして,引き続き関係省庁や諸外国と緊密に連携しながら対応していきたい,こんなふうに考えております。

新型コロナウイルス(国際的な人の往来再開,ベトナムとの調整)

【NHK 山本記者】今,発表がありましたベトナムとの関係ですが,そんなに時間はかからないということなのですけれども,今月中ぐらいには,実際に人の往来が可能となりそうなのかということと,これは日本から行くだけではなくて,ベトナムから日本に来ることも含めて,相互に往来することで一致したという理解でよろしいでしょうか。

【茂木外務大臣】時期については,まさに最終調整をしているという段階でありますが,往来につきましては相互という形になります。

【ベトナム通信社 ダオ記者】
(以下は英語にて発言)

 入国制限の緩和の第一段階では、どの国が優先されるでしょうか。日本はいつベトナム人に対する入国制限を緩和しますでしょうか。また、どういう人たちが日本に入国可能となるのでしょうか。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)

 先ほども申し上げたとおり,まずはこの4か国を優先するという形でありますが,おそらく今の形でいくと,ベトナム,タイの方が,豪州,ニュージーランドよりは先になるのではないかなと思っておりますが,いつになるか,もしくはベトナムとタイがどちらが先になるか,これはまさにこれから調整ということになります。

【読売新聞 阿部記者】4か国以外についてですけれども,安倍総理も昨日,順次対象となる国・地域を拡大していく考えを示されていますが,往来の一部再開を進めながら,感染拡大防止のバランスを図るのは難しい課題だと思いますけれども,順次拡大していく上で,対象国・地域,どういった点を重視しながら考えていくのか,よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】まずはこの4か国について,優先的に調整を進めるということでありますが,その上で我が国の内外の感染状況等を総合的に勘案して,この例外的な人の往来の対象となる国・地域を順次拡大していくということでありますけれども,一つは,やはり感染が収束しているかどうか,ある程度,これが極めて重要になってきますし,同時にそういったビジネス等の往来のニーズがあるか,こういったことも重要になってまいります。その他いくつかありますが,そういったことを中心にしながら,総合的に勘案して判断をしていきたい,拡大をしていきたいと思っております。

日韓輸出管理(韓国側によるWTOパネル設置要請)

【産経新聞 原川記者】昨日,韓国政府が,昨年来の半導体材料の輸出管理の厳格化が不当であるということで,WTOの紛争処理小委員会にパネルの設置を要請しましたけれども,これに対して日本政府は抗議したのかどうかなども含めてですね,日本政府の立場について教えてください。

【茂木外務大臣】日韓両国は,これまで輸出管理当局間で懸案を解決するために,対話を重ねて来たにもかかわらず,今般,韓国側がWTO紛争解決機関にパネル設置を要請してきたことは極めて遺憾でありまして,その旨は韓国側に伝えております。我が国としては,WTOの協定手続きに従って,適切に対応していきたいと思います。

新たな安保戦略(議論の方向性)

【NHK 山本記者】昨日,総理が会見で言及されていました安保政策のことでちょっと伺いたいのですけれども,安倍総理が,NSCで日本の安保政策の在り方を議論して,新たな方向性を打ち出すと表明されました。自民党内では,敵基地攻撃能力についても議論が出ていまして,総理はそういった提案も受け止めていかなければいけないと昨日おっしゃっていましたが,今後,議論の方向性については,大臣,どのような見通しを持っていらっしゃいますでしょうか。

【茂木外務大臣】まさにこれからの議論ということでありますが,我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で,国民の生命・財産を守ることは,政府の重大な責務でありまして,これまで同盟国であります米国との様々な協力によりまして,切れ目のない体制を構築してきたところであります。
 昨晩の会見におきまして,総理は,「抑止力」そして「対処力」という言葉を使ったと思いますが,それを強化するために何をすべきか,日本を守り抜いていくために我々は何を為すべきか,安全保障戦略のありようについて,この夏,国家安全保障会議で徹底的に議論して,その方向性をしっかりと打ち出し,速やかに実行に移していきたい,このように発言をされていたと思います。外務省としても,関係省庁とともにしっかり議論を進めていきたいと思っております。
 自民党の中におきまして,適基地攻撃能力を含め様々な議論が行われておりまして,昨晩の会見で総理が言われたとおり,そういった議論も受け止めて,関係省庁とともに行っていくことになると思います。

新型コロナウイルス(国際的な人の往来再開,ベトナムとの調整)

【ベトナム通信社 ダオ記者】
(以下は英語にて発言)

 日本政府はなぜ入国制限を緩和する最初の4か国のうちの一つにベトナムを選んだのでしょうか。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)

 ご案内のとおり,今,ベトナムにおきましては,新型コロナの新規感染者は長い間出ておりません。かなり収束しつつある,このように考えております。同時に日本とベトナムの間では,様々な人の往来,そういったニーズもあるわけでありまして,ベトナムとの間の戦略的パートナーシップ,これを強化していく観点からも,部分的・段階的な人の往来を再開したい,こんなふうに思っております。

新型コロナウイルス(国際的な人の往来再開,PCR検査)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 渡会記者】その4か国のですね,人の往来についてですけれども,それぞれの国とそれから日本とでは,PCR検査の状況に相当な格差があるというふうに考えられるわけですけれども,そのような交渉の段階でですね,日本のPCR検査の体制について,批判とかご意見とか出たかと思うんですけれども。

【茂木外務大臣】出ていません。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 渡会記者】出てないということですか。

【茂木外務大臣】はい。

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 渡会記者】分かりました。