総務省・新着情報

報道資料
令和2年6月18日
光回線の事業者変更の案内との誤認を招くISPサービスの不適切な勧誘等に係る株式会社クライアンフ並びに同社の販売代理店株式会社HSC及び株式会社ベンチャープランニングに対する指導等

 総務省は、本日、株式会社クライアンフ(代表取締役 本多 翔弥)並びに同社の販売代理店である株式会社HSC(代表取締役 芦田 辰基)及び株式会社ベンチャープランニング(代表取締役 鎌田 達也)において、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第27条の2第2号に規定する自己の名称等又は勧誘である旨を告げずに勧誘する行為の禁止その他の同法の規定への違反が認められたことを受け、株式会社クライアンフ並びに株式会社HSC及び株式会社ベンチャープランニングに対し、同法の遵守を徹底することなどについて指導しました。

1.事案の概要及び指導の内容

(1)株式会社クライアンフ(以下「クライアンフ」という。)が消費者向けに提供するISPサービスである「スタートネット」(※)(以下「本件サービス」という。)に関して、総務省及び全国の消費生活センターに多数の苦情相談が寄せられています。その中には、自らを大手の電気通信事業者又はその販売代理店であるかのように名乗る等の行為により、利用者をこれらの者からの勧誘を受けていると誤認させた状態で勧誘を行っていたと考えられる事案等、不適切な勧誘と疑われる事案が多く含まれていました。

※クライアンフが、株式会社アイコムから卸売を受け、消費者向けに提供するISPサービス。

(2)上記の苦情相談を踏まえ、本件サービスに対して寄せられた苦情のうち、本件サービスを取り扱う販売代理店である株式会社HSC(以下「HSC」という。)及び株式会社ベンチャープランニング(以下「ベンチャープランニング」という。)が行った電話勧誘について、別紙のとおり、電気通信事業法(以下「法」という。)第27条の2第2号(自己の名称等又は勧誘である旨を告げずに勧誘する行為の禁止)の規定への違反が認められました。

(3)また、クライアンフ販売代理店の社員が訪問販売を行った際に、利用者に対して本件サービスの説明の補助として使用した手書きのメモに「X社1次取次店HSC」という記載がされていたが、X社はクライアンフ及びクライアンフ販売代理店と代理店契約を締結する関係にはなく、クライアンフ販売代理店の社員が利用者に対して事実と異なる虚偽の説明を行っていたことが判明しました。このことから法第27条の2第1号(不実告知の禁止)の規定への違反が認められました。

(4)さらに、法第26条(提供条件の説明義務)で規定する説明書面について、基本説明事項を記載していない書面を用いていることが判明しました。このことから同条の規定への違反が認められました。

(5)加えて、
・クライアンフ作成の販売代理店に対する業務の手順等に関する文書において、勧誘に先立って勧誘の対象となる電気通信サービスを提供する電気通信事業者名を名乗らず、サービス内容の紹介へ移行する記述がなされていた事実
・訪問販売を行った販売代理店に対する苦情等の処理を販売代理店に一任していた結果、クライアンフ販売代理店に対して利用者から本件サービスに係る解約の申込みがされたにもかかわらず、解約の処理に支障を生じさせ、解約の申込みから1か月以上にわたり解約の手続を完了させなかった事実
が判明しました。これらの事実はクライアンフが利用者からの苦情及び問合せを適切かつ迅速に処理していなかった事実及びクライアンフ販売代理店に対して委託した業務が適切かつ確実に遂行されるための措置を講じていなかった事実をうかがわせるものであり、法第27条(苦情等の処理義務)及び第27条の4(媒介等業務受託者に対する指導等の措置)の規定への違反が認められました。

(6)これらの状況から、総務省はクライアンフ並びにHSC及びベンチャープランニングに対して法の遵守を徹底することなどについて指導しました。

(クライアンフに対する指導の主な内容)

1 法第26条、第27条、第27条の2第1号及び第2号並びに第27条の4の規定の遵守徹底
法第26条(提供条件の説明義務)、第27条(苦情等の処理義務)、第27条の2第1号(不実告知等の禁止)及び第2号(自己の名称等又は勧誘である旨を告げずに勧誘する行為の禁止)並びに第27条の4(媒介等業務受託者に対する指導等の措置)の規定の遵守を徹底すること。

2 再発防止措置の実施及び実施状況の報告
クライアンフが提供する電気通信サービスにおいて、今後このような不適切な事案が生じることがないよう、上記の指導を踏まえ、再発防止措置を速やかに講じ、当該再発防止措置の内容については、令和2年7月15日までに、総務省へ文書で報告すること。

2.利用者の皆様への御注意のお知らせ

令和元年7月1日から、東日本電信電話株式会社/西日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本/西日本」という。)から卸売を受けた光回線サービスについて、電話番号及び光回線の継続利用を可能とする形式で、NTT東日本/西日本から光回線サービスの卸売を受けた卸先事業者(以下「光コラボ事業者」という。)から他の光コラボ事業者又はNTT東日本/西日本への事業者の変更を可能とする「事業者変更」の手続が開始されています。
今般、クライアンフ並びにその販売代理店であるHSC及びベンチャープランニングにおいて、本件サービスについて以下のような勧誘手法が確認されました。
(1)光コラボ事業者と契約している利用者を対象に電話勧誘を行い、ISPサービスの案内であると告げた後すぐに、「光回線サービスをNTT東日本/西日本が提供するサービスに変更する「事業者変更」の手続をとれば料金が安くなる」と光回線の案内を装い、光回線の料金等を案内する。
(2)利用者が光回線サービスの乗換を承諾した後、NTT東日本/西日本の光回線に乗り換えた場合にはISPサービスの契約が別途必要になる、として本件サービスの説明を行った上で、事業者変更の詳細な手続やサービスに係る設定等は訪問時に行うと告げ、訪問の約束を取り付ける。
(3)訪問において、事業者変更の手続(現在契約中の光コラボ事業者及びNTT東日本/西日本への連絡に係る手続等)を案内の上、本件サービスの設定を行う。
このような勧誘手法により、NTT東日本/西日本等の大手電気通信事業者から勧誘を受けているとの誤認をした結果、ISPサービスについて知らない事業者との契約を結んでしまったという苦情相談が多く寄せられております。
総務省及び消費生活センターには、クライアンフ以外にも同様の勧誘手法をとる電気通信事業者等に対する苦情相談が寄せられています。電気通信サービスの利用者におかれては、電気通信サービスの勧誘を受けた際には、対象となる電気通信サービスを提供する電気通信事業者の名称等を確認することを心がけ、希望しない契約を結んでしまうことがないよう、十分に注意してください。
(参考:同様の勧誘手法をとる電気通信事業者等に対するこれまでの指導例)
令和2年6月12日報道発表資料「光回線の事業者変更の案内との誤認を招くISPサービスの不適切な勧誘等に係る株式会社イースプラント及び同社の販売代理店株式会社NLINKに対する指導等」

連絡先
総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第一課
担当:東消費者行政調整官、石塚官
電話:03-5253-5488 FAX:03-5253-5948
 

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