令和2年6月15日

1 6月15日(現地時間同日),パラオ共和国のコロールにおいて,我が方柄澤彰駐パラオ日本国特命全権大使と先方ファウスティナ・K・ルウール・マルグ・パラオ共和国国務大臣(Hon. Faustina K. Rehuher-MARUGG, Minister of State of the Republic of Palau)との間で,無償資金協力2件(保健・医療関連機材供与,防災・減災関連機材供与,合計4億円)に関する交換公文の署名が行われました。

2 対象案件の概要

(1)保健・医療関連機材の供与を通じた新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた支援(無償資金協力「経済社会開発計画」)
  【供与額3億円】

 パラオにおいては,自国民を含めて厳格に入国を制限しており,現時点では新型コロナウイルス感染症の感染者は確認されていません。しかし,この厳格な入国制限の結果,主要産業である観光産業をはじめ,パラオは経済的に大きな打撃を受けています。今後,他国からの渡航の段階的な再開が見込まれる中,同国は基礎的な保健・医療体制が十分でなく,医療関連機材も不足しています。
 本計画は,パラオに対し,CTスキャナー,ICU用のベッド等の保健・医療関連機材を供与することを通じて,同国の感染症対策及び保健・医療体制の強化に寄与することが期待されます。
 新型コロナウイルス感染症の世界規模での感染拡大は,人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日,日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり,国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ,保健・医療体制が脆弱な途上国における感染拡大防止は,在留邦人の健康・安全に直結するのみならず我が国への感染症流入を予防する観点からも極めて重要であり,我が国の経済・社会にも大きく影響し得る喫緊の課題です。我が国としては,新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化に向けて,引き続き,国際社会の取組を主導すべく保健・医療体制が脆弱な国々を支援していきます。

(2)防災・減災関連機材の供与を通じた自然災害等への脆弱性の克服に向けた支援(無償資金協力「経済社会開発計画」)
  【供与額1億円】

 パラオでは,2013年に発生した台風30号により一部の州のほぼすべての建造物が倒壊し,甚大な被害を受けるなど,その地理的条件から自然災害に対して極めて脆弱です。また,気候変動に伴い,今後更なる自然災害の頻発・甚大化が懸念されています。
 しかし,緊急時における住民の安全確保等の観点から必要な警備車両や住民への情報伝達機器に不備があるなど,自然災害発生時の住民避難等にかかる対策が不十分です。
 本計画では,警備車両及び通信機等の防災・減災関連機材を供与することにより,同国の自然災害等に対する脆弱性の克服を図り,もって社会の安定化を通じた経済社会開発に寄与することが期待されます。

3 我が国は,2018年5月に開催した第8回太平洋・島サミットにおいて,「強靱かつ持続可能な発展の基盤強化」を支援の柱として表明(PDF)別ウィンドウで開くしており,これらの協力は同表明を具現化するものです。

[参考1]パラオ共和国基礎データ
 パラオ共和国は,面積488平方キロメートル(屋久島とほぼ同じ),人口17,907人(2018年,世界銀行),1人当たり国民総所得(GNI)は17,280米ドル(2018年,世界銀行)。

[参考2]第8回太平洋・島サミット
(1) 第8回太平洋・島サミット(PALM8)は2018年5月18日及び19日に福島県いわき市において開催。16の太平洋島嶼国・地域,オーストラリア及びニュージーランドの首脳級等が出席。パラオからはレメンゲサウ大統領が参加した。

(2)我が国は,PALM8において,(ア)自由で開かれた持続可能な海洋,(イ)強靱かつ持続可能な発展の基盤強化,(ウ)人的交流・往来の活性化の3つを柱として,今後3年間でこれまでの実績も踏まえた,従来同様の,しっかりとした開発協力の実施及び成長と繁栄の基盤である人材の育成・交流の一層の強化を表明した。