(令和2年6月12日(金曜日)17時09分 於:本省会見室)

冒頭発言

外務省関連法案等の成立

【茂木外務大臣】私(大臣)の方からありません。ありませんというか,今日で,この国会に提出している外務省関係の法案,そしてまた条約協定等すべて成立することができました。与野党の関係の皆さんにも感謝申し上げたいと思っています。

新型コロナウイルス(出入国規制の緩和)

【Economic Monthly誌 スシロ記者】外国人入国禁止措置を一部解除することですけれども,4か国,オーストラリア,ニュージーランド,タイとベトナムの話なんですけれども,その4か国とのビジネス往来に限定した,入国規制緩和の方針について決まったと思います。私の質問ですけれども,例えば4か国の中に,オーストラリア人だったら,例えばビジネスではなく観光の目的だったら,解除できないでしょうか。
 2番目の質問ですけれども,解除を決める条件ですが,一つの柱は多分新型コロナウイルス感染症の感染人数だと思いますので,その他の条件は何か教えていただけないでしょうか。特にうちの国,インドネシアからはいつ頃できるか,よろしくお願いいたします。

【茂木外務大臣】今ご質問の件について,これまでの記者会見でも,何度も繰り返して説明をしておりますけれども,まず現時点において,特定の国について,いつから,人の往来の再開をスタートするということを決めたという事実はありません。
 その上で,何度も申し上げていますように,一つには日本での感染拡大の収束,これが重要だと考えておりまして,国民の皆さん,更には医療関係者の献身的な取組もあって,日本において状況はかなり落ち着いてきていると思いますが,同時に,海外での感染の状況であったりとか,主要国の対応,こういったものも見ていきたいと思っております。
 例えば一時,感染の広がりましたヨーロッパにおいても,シェンゲン内の往来というのは,ほぼ再開する形になっておりますし,欧州委員会の方も,7月1日からは,このEUの域外との人の往来等々についても,それぞれの国の判断になりますけれど,再開を順次していくことはどうだろうかと,こういったことも欧州委員会としては提案をしていると,こういった動きもあるわけであります。
 そういった中で,人の往来を再開するにあたっては,一遍にということにはならない。段階的になっていく。まず人でいいますと,おそらく経営人材であったりとか,さらには専門家であったりとか,また,日本でも必要とされる研修生といいますか,技術実習生であったりとか,そういった人たちから始めて,次には,例えば留学生のような人たち,最終的には一般の観光客も含む一般,こういうふうに広げていくと。
 国についても,感染がほぼ収束している国,そういう国から始めて,順次その国を広げていくというか,そういった感染が収束した国に広げていくということでありまして,こういった往来の再開の可能性について,先日ベトナム,それからオーストラリア,さらにはニュージーランドの各外務大臣と,お互いに可能性について議論をしようといった電話会談を行っておりますが,今の段階で,どの部分についてはこうしましたということを決めたということでありません。

【東洋経済新報社 印南記者】私も先ほどの質問に関連して,出入国の緩和についてなんですが,1点目は,今,複数国と交渉をされている中で,相手国側は現在の日本の感染状況について,どのように評価されているのかということをお伺いしたいと思います。2点目も続けてお伺いしてもよろしいでしょうか。

【茂木外務大臣】まず先に答えていいですか。これですね,交渉と言いますよりも,人の往来の可能性について,議論を始めたということであります。そこの中で,議論を始めた国だけではなくて,日本における,これまでの新型コロナに対する対応等々については,非常に高い評価がされている。日本の国内対応もそうであります。私(大臣)も40か国以上の外相と,この数か月で外相電話会談,テレビ会談等々を行っておりますが,そういった中でも日本の取組に対する高い評価が表明されています。
 同時に,今,こういった形で感染というものが世界的に広がっているわけでありますから,一国だけでこの世界的な感染の状況というものを食い止めることができないわけでありまして,国際的な協調と連携,これが極めて重要になってくる。そういった日本の国際的連携の呼びかけ,さらには医療提供体制等々が脆弱な新興国,途上国に対する支援,日本も積極的に行っていますし,また国際社会にもそういった呼びかけを行っている,この点についても,高い評価がなされていると,このように考えております。

【東洋経済新報社 印南記者】2点目なんですが,出入国をする上で,相手国なり自国の感染状況というのは,非常に時々刻々と変わっていく可能性があるわけですが、そういった状況をですね,どのように今後、外務省としてモニタリングをして、どのように出入国のラインをですね,変えていくのかということは,どういう体制を構築していくおつもりなのでしょうか。

【茂木外務大臣】時々刻々と変わっていくというか,毎日の数字は変わります。ただそれを,時々刻々という表現がいいのかどうかは分かりませんけれど,いずれにしても,いろいろな,例えば新規の感染者数であったりとか,それが1週間でどう動いているかとか,また例えば感染症の危険情報を出すに当たっては,その感染の拡大状況ではなくて,現地での移動制限の状況であったりとか,医療提供体制がどこまでしっかりしているかとか,様々な要素を勘案して,そういったものを決めているところであります。
 そして,これも何度も申し上げているのですけれども,人の往来の再開等々を始めるに当たっては,基本的には相手国との間でも,できる限り相互にそういったことが行える方が望ましいと。全く同じ日でないにしても,あまりずれずにできることが望ましいと,こういうふうに考えております。

補正予算による医療支援

【読売新聞 阿部記者】新興国への感染症対策の支援についてお伺いします。東南アジアやアフリカなどへ,医療関連機材の無償資金協力が進んでいますけれども,日本に対してどのようなニーズが多く寄せられているのかということと,中国がマスク外交を展開する中で,日本の支援の特徴や強みについて大臣はどのようにお考えでいらっしゃるか,お願いします。

【茂木外務大臣】今もちょっと申し上げたように,この新型コロナへの対処のためには国際的な連携,これが極めて重要だと考えております。とりわけ,保健システム,医療提供体制が脆弱な途上国を支援して感染拡大を抑えること,これは我が国を含む国際社会全体にとっても重要な課題だと考えておりまして,我が国としても,そういった支援を提唱し,また率先して,そういった支援を行っているところであります。
 一次補正で,途上国への医療関連機材等の供与を目的とします無償資金協力,これを補正予算の中に盛り込みまして,だいたい100か国に提供するべく,私(大臣)自身も相当議論に加わる中で,かつてないスピードで今進めているところでありまして,今日時点でだいたい半分の国に対する閣議決定を終えまして,ミャンマー,カンボジア,モルディブ,マーシャル諸島等,9か国とは交換公文を締結しているところであります。
 途上国の方からは,様々なニーズ,それぞれの国によって違うところがあるわけでありますが,我が国の高い技術力を生かした医療機材であったりとか,救急車,またはベッドとかストレッチャーをはじめとする,病院で数多く必要となる医療器具のニーズが寄せられておりまして,速やかに調達を行って,一日も早い供与に向けた準備を進めているというところでありまして,もちろん,それぞれの国,強み等々がありますから,そういった中で,補完関係であったりとか,全体的にそういう途上国に対する支援というのが進むのが望ましい,そんなふうに思っているところでありますが,あえて日本の支援の特徴ということで言いますと,そういった無償資金協力,かなり,本来だったら時間がかかると,今まで,それを今言ったようなスピードでやっているという,かつてないスピード感,これが一つの特徴だと思っておりますし,もう一つは,マスク等の個別物資というよりも,途上国の保健であったり,医療体制の強化,これにつながる支援,これに心がけていると思っております。

香港の金融分野の人材受入れの可能性

【日本経済新聞 加藤記者】香港情勢に関してお伺いします。昨日,総理が参院予算委員会の答弁で,アジアの金融センターである香港から,専門人材の受入れを進める考えを示されましたけれども,中国の国家安全法の制定の動きを受けて,香港から移住をする動きが,一部見られるようですけれども,こういった動きに対して日本政府としてどのように対応していかれるのかという点と,あと,香港からのその受入体制を今後どのように整えていくのか,2点お伺いします。

【茂木外務大臣】まず,ご指摘の件については,今回のコロナの水際措置の緩和とか,人の往来の再開とは別の話だと,このように思っております。香港に関する決議,また最近の香港情勢については,深い憂慮を持っておりますが,基本的に昨日の議論がありましたのは,金融センターとしての在り方ということで,総理が述べられたとおり,東京が金融面においても,魅力あるビジネスの場であり続け,世界中から人材・情報・資金,これが集まる国際都市として,さらなる発展を続けていくことは重要だということでありまして,我が国は経済社会の活性化であったり,一層の国際化を図る,こういった観点から,香港にもたくさんの人材がいるわけでありまして,そういった香港の人を含めて,専門的に,また技術的なノウハウであったり,知見を持った外国人材の受入れを積極的に推進,これまでもしてきているところでありまして,当面,新型コロナの収束状況,これを踏まえる必要がありますが,中長期的な視点で関係省庁と連携をしながら,こういった人材の受入れについては,引き続き積極的に推進していくと,こういう考えです。