(令和2年6月9日(火曜日)16時28分 於:本省会見室)

香港問題(米英等による声明への参加,G7での声明)

【朝日新聞 土佐記者】中国の香港に対する国家安全法制の導入に関して,質問あります。一部報道にありましたけれども,米国とか英国など4か国がですね,中国に対する声明を出すというときにですね,日本に対して,一緒にやりませんかという打診があったかどうか,あったというところの事実確認をまずさせていただきたいのと,そこに結果的には日本は加わらなかったんですけども,その理由をお聞かせいただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】ご指摘の件でありますけれども,まず,大きく事実に反していると,このように考えております。
 まず,香港情勢に対する我が国の立場,そしてこれまでの事実関係について申し上げますと,5月28日に全人代におきまして,香港に関する議決がなされた際,我が国は他の関係国に先駆けて,直ちに私(大臣),そして官房長官から深い憂慮を表明するとともに,香港は,我が国にとって緊密な経済関係及び人的交流を有する極めて重要なパートナーであり,「一国二制度」の下,自由で開かれた体制が維持をされ,民主的,安定的に発展していくことが重要である,これが我が国の一貫した立場であります。その旨を表明しております。
 さらに,私(大臣)の指示の下で,秋葉次官が孔鉉佑(こう・げんゆう)大使を召致いたしまして,こうした我が国の立場を,直接中国側に申し入れているわけであります。このように我が国,強い立場を直接ハイレベルで中国側に直ちに伝達をし,国際社会にも明確に発信をしておりまして,これに対しては,米国,英国を始めとする関係国が我が国のこのような対応を高く評価しており,失望が表明された,こういう報道もあるようでありますが,これはまったく事実に反しております。
 我が国としては,本件につきまして,基本的価値及び考え方を共有しますG7等の関係国と緊密に連携していくことが,重要と考えておりまして,先日来,英国のラーブ外相,さらにはオーストラリアのペイン外相等々とも電話会談を行っておりますが,その際,香港情勢について,深い懸念,共有をしまして,連携していこうということを確認したところであります。
 国際社会,そしてまた関係国によります共同声明の発出,これは香港に限らず,様々な国際問題について行うものでありますが,どういう枠組みでやるか,いろんな枠組みでやってきているわけでありまして,まさにそれが外交です。一つひとつのやりとりについて詳細を申し上げるつもりはありませんが,香港情勢につきましては,引き続きG7等を含め,適切なメッセージの発信等を行っていくべく,関係国と連携していきたいと思っております。

【朝日新聞 土佐記者】G7の枠組みですが,それはやはり外相の枠組みで声明という形で出すという方向で調整されている形なんでしょうか,それとも,まだ時期はあれですけど,外相会議というのが開かれた場合,そこで出すというタイミングなのか。あと,その場合は「深い憂慮」という言葉を出すべく日本としては動いていくということでよろしいでしょうか。

【茂木外務大臣】先ほどの私(大臣)のコメントを聞いていただきましたか。もう1回言いましょうか,よろしいですか。

【朝日新聞 土佐記者】じゃあ,分かりました。

【日本経済新聞 加藤記者】香港情勢のことで,ご確認させていただきたいんですけれども,米国や英国が出しているその声明ですと,国家安全法に関する決定が1984年の中英共同声明に基づく国際的義務に反するというふうに,声明を出しているんですけれども,日本としてもこの中英の共同声明に反しているというご認識なのかという点と,中国が内政問題だというふうに言っていますけれども,これは日本が主張している「法の支配」という観点から見たときに,どのように受け止めておられますか。

【茂木外務大臣】まず,香港は我が国にとって,緊密な経済関係及び人的交流を有する極めて重要なパートナーでありまして,「一国二制度」の下に,自由で開かれた体制が維持をされ,民主的,安定的に発展していくことが重要であると,これが我が国の一貫した立場であります。
 その上で,英中間の文書につきましては,旧宗主国であります英国は,仮に中国が全人代の決定を進めれば,英中共同声明上の義務に抵触することになる,このように述べていると承知をいたしております。
 いずれにしましても,「一国二制度」の原則,これは我が国も重視をしておりまして,香港に関する決議が国際社会や香港市民が強く懸念をする中でなされたこと,そして,それに関連する香港の情勢を深く憂慮いたしております。本件を巡る対応につきましては,先ほど答弁させていただいたとおりです。