(令和2年5月29日(金)  9:40~9:52)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
冒頭3件申し上げます。まず昨年5月末にハラスメント対策の強化等を図る労働政策総合推進法等が改正され、本年6月1日から施行されます。来月の1日からです。お手元の配付資料にありますが、ハラスメント対策については大企業に対して、パワーハラスメントの予防から、再発防止に至るまでの一連の措置が義務付け られ、セクシュアルハラスメント等についても全ての企業について、労働者が相談などを行ったことを理由とする不利益取扱いの禁止など対策の強化が図られることとしております。また、改正法に基づく指針では、措置義務の内容に加えて、今、 医療・介護・小売等の現場で特に問題となっております、顧客などからのいわゆる カスタマー・ハラスメントや、就職活動中の学生やフリーランスの方に対する言動 についても、相談対応等の望ましい取組を示しているところです。改正法の施行後は措置義務に関して、都道府県労働局による助言、指導等や調停制度の活用などを 通じて、適切な履行確保や円滑な紛争解決を図って参ります。また、いわゆるカス タマー・ハラスメント等に関する望ましい取組についても引き続き周知啓発を徹底 することにより、積極的な対応を促したいと思います。
 医療・介護・小売などをは じめとする、現場でこうした状況の中においても、感染のリスクと戦いながらも働 いていただいている方々が安心して働き続けていただける環境づくりに努力をしてまいります。また、精神障害の労災認定の基準についても見直しを行い、パワーハラスメントを基準に明記しました。パワーハラスメントについては、これまで、嫌がらせ、いじめに類するものとして評価をしてまいりましたが、認定基準に明記 し、評価の仕方などの明確化、具体化を図ったところです。これにより、パワーハラスメントによる精神障害の労災請求が行いやすくなるとともに、パワーハラスメントの防止に実行ある取組がなされることを期待しています。
 
 2点目ですが、毎年5月31日はWHOが定めた世界禁煙デーです。禁煙デーは1988年に設けられました。また、厚生労働省ではこれを1992年からでありますが、今月31日からはじまる1週間を禁煙週間と定め、今年度は「2020年受動喫煙のない社会を目指して~タバコの煙から子どもたちを守ろう~」をテーマに、全国各地で普及啓発活動を行ってまいります。今回は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するという観点から、集客を行うようなイベントは開催しませんが、ウェブ上に特設コンテンツを作成し、喫煙や受動喫煙による健康影響から人々を守ることに役立たていただくよう、広く取組を呼びかけていくこととしています。本年4月からは、望まない受動喫煙をなくすための改正健康増進法が全面施行され、飲食店、オフィス、事業所など様々な施設において原則屋内禁煙となりました。望まない受動喫煙のない社会を目指して取組を進めてまいりますので、国民の皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと思います。
 
 最後でありますが、令和2年4月の有効求人倍率は1.32倍と前月より0.07ポイント低下しました。正社員の有効求人倍率は0.98倍と前月から0.05ポイントの低下となり、平成29年6月の0.99倍以来、2年10ヶ月ぶりに1倍を下回ることとなりました。こうした現在の雇用情勢は、求人が求職を上回って推移しているものの、求人が大幅に減少しており、弱さが見られます。新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に、一層注意する必要があると考えております。私の方からは以上です。

質疑

記者:
北九州など一部の自治体で新規の感染者数が増えはじめていますが、第二波が懸念される中、今の状況をどのように見ておりますでしょうか。
大臣:
国内の感染者数は4月11日に約700人まで増加したあと、25日緊急事態宣言解除までの間、一週間以上1日50名以下で推移し全面解除がなされました。昨日は1日50人以上となる61人の新規感染者が発生したところであります。また、福岡県においても昨日は21名の陽性者が出てきているという状況であります。専門家会議からも社会経済の活動レベルが上がることに伴って、人の接触が増加をし、感染拡大の可能性がある、またこの感染症への対応は非常に長期を要するものだと指摘があるところです。また、実際、宣言解除したからといってウイルスがなくなっているわけではありません。
 引き続き、感染リスクをしっかり防止し、コントロールする中で、段階的に経済あるいは社会の活動レベルを上げていくということ、そのためにも、これまで申し上げております3密の回避あるいは身体的な距離を保っていただく、さらには新しい生活様式等の中で、皆さんマスクの着用をしていただいたり手指衛生に努めていただく、さらには業種別のガイドラインもあります。こうしたことを一つ一つ踏まえていただきながら、ぜひ対応していただきたいと思いますし、私どもとしてはクラスター対策の更なる充実あるいは医療提供体制、検査体制などを、更にこの期間に充実を図っていきたいと思います。
記者:
北九州市についてお伺いします。クラスター対策班を派遣されていますが、今の孤発例の急増した状況は何が原因と捉えていらっしゃるのか、また緊急事態宣言後の第二波という捉え方をされているのでしょうか。
大臣:
北九州市では5月22日までの23日間は陽性者が出ていなかった、23日に3人が確認されて、昨日28日まで6日間で43名、うちリンクを追えない方は21名ということです。昨日は21名の陽性者でありますが、リンクを追えない方は4名でありますが、一方で医療機関でのクラスターが発生したと承知しています。こうした中で、厚生労働省は今お話がありましたようにクラスター対策の専門家を現地に送らせていただき、積極的疫学調査によりまず感染源の特定に向け、感染経路の探索を行っているという段階ですので、まだ具体的にその辺の全貌を承知しているわけではありません。また、北九州市においてもこうした状況を踏まえて、先日対策会議を開催して公共施設の閉館について決定を下すなどの対応を取られていると承知しております。
 今の段階で、今仰った第二波と断定するかどうかはともかくとして、こうした状況を踏まえて必要な対応を採っていく必要があります。我々としても引き続きクラスター対策班が現地の状況を調べております。そうした情報をしっかり踏まえながら、できる限りの支援、必要な支援を行っていきたいと思います。
記者:
有効求人倍率について伺います。先ほどの数字ですが、この緊急事態宣言下でハローワークでの求人活動を控えたり断念した方も多いと思います。そういった状況の中で先ほど発表された数字というのは、正確に実態を反映しているのか、もしくはさらにもっと実態は厳しいのか、そこについてのご見解をお願いします。
大臣:
今ご指摘のように、求人も減っていますが求職も減っています。それが今お話のような感染防止のためなのか、あるいはこういう雇用情勢を見据えてそうした対応になっておられるのか、その辺をよく見ていく必要があると思いますが、別途今日発表された総務省の数字を見ると、非正規で働いている方が大きく減少している、あるいは休業されている方が400万人を確か超えている、そうした面を見れば雇用情勢が厳しい状況になってきているという面も見えているわけであります。
 そうした状況をしっかり踏まえながら、今まだ雇用調整助成金の申請そのものも決して多くありませんので、さらにこうした制度をしっかり活用していただけるよう働きかけを強めるなど、必要な対策をしっかり取っていきたいと思います。
記者:
1.32よりさらに厳しいのではないかという感触はありますでしょうか。
大臣:
1.32より厳しいか厳しくないかというのは一概には申し上げられませんが、ただ先ほど申し上げたように、求人が大きく減る中で、求職も減ってきているという実態をしっかり見ていく必要があると思いますし、この数字は一連の流れの中のある時点を見ている数字ですから、その中にあるトレンド、先ほど申し上げた減少が続いてきている、この流れをしっかり認識をして対策を講じていかなければならないと思っています。
記者:
コロナの退院基準について、今日専門家会議に厚労省から案を示すと思いますが、それについて少しご説明いただけるとありがたいです。
大臣:
最終的には専門家会議に諮ったうえで、またそこはご説明をさせていただきたいと思いますが、退院基準について、今は、ご承知のように、症状が軽快している場合など24時間後にPCR検査を行って陰性であった場合にはまた24時間後にPCR検査を行って陰性であれば退院という基準ですが、国内外の研究から発症日から7日から10日程度経過した場合にはウイルスが検出されないこと、またウイルスが検出されたとしても、感染性がほとんどないということ、こうした知見が示されているわけです。
 そうした知見を踏まえて、発症日や病状回復、軽快からの一定期間を経過したことを退院等の基準の原則にするということで、今検討し、今日の専門家会議にお諮りをしたいと思っております。まだ諮る前ですから、了解を得られましたら速やかに改訂を行いたいと思いますし、またご説明をしたいと思います。

(了)