(令和2年5月29日(金曜日)11時05分 於:本省会見室)

冒頭発言

航空機等が停止された地域における邦人の出国・帰国

【茂木外務大臣】毎回ご報告しております邦人の出国・帰国に関してでありますが,これまでに出国・帰国された方,約1万名という形になります。引き続き出国・帰国を希望されている方,27か国で約280名となっております。これらの方々のうち,来週までに出国・帰国の見通しとなっている方が200名以上いらっしゃいます。
 これまで私の指揮の下,領事局,各地域局,在外公館が一体となって,国際線の運航停止等によりまして,出国・帰国が困難になった邦人の出国・帰国に向けて,きめ細かい支援を行ってきたところでありますが,その結果,出国・帰国を果たした邦人の数は,今月末までに1万名を超えることになると思います。
 こうした取組について,これまで記者会見の冒頭でご紹介してまいりましたが,相当数の方が帰国を果たしたこともあり,残っている人数も落ち着いてきているということで,今後,大きな動きがあったときに会見でご紹介する,こういう形をとらせていただきたい。毎回報告するのではなくて,大きな動きがあったときに,適時報告させていただきたい,こんなふうに思っております。
 今後とも邦人の安全,そして帰国手段の確保に向けて,外務省一丸となってしっかり取り組んでいきたいと思っております。

日露外相電話会談

【北海道新聞 則定記者】昨日行われました日露外相の電話会談に関連してお伺いしたいんですけれども,会談では日露間の取組を進めるために,実務レベルの協議を早期に実施することで合意したということですけれども,共同経済活動に関してはですね,去年,試験事業が実現した実績も踏まえて,今年プロジェクトの事業化に向けて,どのような進展を図っていきたいお考えかお聞かせください。

【茂木外務大臣】まず昨日ですね,ラヴロフ外務大臣と2月のミュンヘン会議以来となりますが,3か月ぶりに電話で会談を行わせていただきまして,45分間ちょっとということでありますけど,これまで40か国近い国の外相と電話会談をやってまいりましたが,かなり長い時間の方なのではないかなと,いいやりとりができた,こんなふうに思っております。
 大きな点は二つで,一つが新型コロナに関する問題でありまして,両国の現状であったりとか,取組,意見交換をして,また簡易検査キットの問題をはじめ,両国間で協力が進んでいることを歓迎したところであります。
 ラヴロフ外相からは,日本の新型コロナ対策について,高い評価が示されました。また新型コロナ対応案について,具体的な協力をこれからも進めていくことは極めて重要でありまして,引き続き緊密に協力していくことで一致をしたところであります。
 もう一点,コロナ以外の二国間関係といいますか,平和条約交渉,北方四島における共同経済活動,更には四島交流事業,地域交流年,開会式も延期になっているわけでありますが,これまでいろいろな形でしっかり準備を進めてきたのですが,コロナの影響ということで,残念ながらここ数か月,少し遅れが出ているところでありまして,それぞれの事業は重要なのでしっかり進めていこうと,そのためには,準備を早速始めようということで,事務レベルの協議を早急にやろうということで一致をいたしましたので,そこの中で共同経済活動等々についても,来週以降になると思いますけれど,次官級,また,包括的作業部会等々で議論が行われていく,こういうふうになると考えております。
 できる限り事務レベルで時間を取って,しっかり話をして,その先が進められるようにしようということでも,ラヴロフ外相との間で一致をいたしております。

日露関係(戦勝75周年記念式典)

【朝日新聞 佐藤記者】またロシアについてお伺いしますけれども,6月24日に予定されている,ロシアでの対ドイツ戦勝記念式典について,ロシア側の報道では,以前参加を予定していた国々にですね,もう一度,招待状を送るというような報道もありますけれども,今の時点で日本としては,もし招待をされたら出席をするということに前向きなのかどうかというお考えを,お聞かせいただければと思います。

【茂木外務大臣】昨日の日露外相会談の大きなテーマは,先ほど申し上げたようにコロナ対策,そして平和条約交渉,更には共同経済活動であったりとか,様々なニ国間の関係,これを前に進めていこうということで,大半の時間をそれに費やしたということであります。それ以上の仮定のことについては,お答えを差し控えたいと思います。

香港情勢(全人代の決議)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 渡会記者】日中関係について大臣にお聞きしたいと思います。先頃,中国の全人代では「国家安全法」が可決されたということで,特に香港問題では,香港を併呑するような勢いを見せておりまして,国際社会も非常にそのことを懸念していると思います。それで,日本は自由と民主主義を標榜しているわけなので,このような中国のですね,態度というか在り方について,日本として,今後,日中関係をどのようにされていこうとお考えなのか,その辺をお伺いできればと思います。

【茂木外務大臣】昨日も,夕刻,「ぶら下がり(記者会見)」でもお話をしたわけでありますが,全人代におきまして,香港に関する決議が国際社会,そして香港市民が強く懸念する中でなされたこと,及びそれに関連する香港の情勢を,日本として深く憂慮しております。香港は我が国にとりまして,緊密な経済関係,及び人的交流,これを有する極めて重要なパートナーでありまして,一国ニ制度の下に自由で開かれた体制が維持をされ,民主的・安定的に発展していくことが重要であると,これが我が国の一貫した立場であります。
 中国側にはこのような我が国の立場・考え方,これまでも累次にわたり伝えてきておりますし,昨日も,私(大臣)の指示の下で,秋葉次官が孔鉉佑(こう・げんゆう)駐日中国大使を召致をして,その旨伝達をしたところであります。引き続き,状況を注視するとともに,関係国と連携しつつ,適切に対応していきたいと考えております。

スーパーシティ法案

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 渡会記者】重ねてもう一点なんですけれども,先ほど国会を通過しましたスーパーシティ法,これがですね,やはり監視社会を招くのではないか。監視社会といえば,やはり中国が非常にITを応用した監視都市,そういうものを先進しているわけですけれども,国内にはやはり日本がですね,そういう中国のむしろ,悪しき方向に向いている,中国のそういうものをむしろ手本としているのではないかという懸念をおっしゃる声が多々聞こえてきます。この件についての大臣のお考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】担当は内閣府の北村大臣ですので,北村大臣にお聞きください。