2020年5月26日

特許庁は、大学の「知」を源泉とするイノベーション創出を支援する知財戦略デザイナー派遣事業において得られた知見(ナレッジ)を取りまとめた「知財戦略デザイナー派遣事業2019ナレッジ集」を発表します。

各大学が知的財産に関して抱える課題は様々です。例えば、大学の産学連携部門は、ある程度の研究成果が出た段階で、研究者が自発的に発明相談することを契機として、研究者に対する知財支援を開始することが一般的です。あらかじめ学内研究を網羅的に把握し発掘しておき、研究の進展に併せて知財支援を行っていくことは簡単ではありません。

本ナレッジ集の事例1では、大学に所属する研究者の論文情報を網羅的に分析する取組を紹介しています。この取組の結果、大学の強みとなる技術領域を特定でき、将来的に社会実装が期待できる研究成果の把握や、研究者の共同研究先の検討にあたっても有益な分析結果を得ることができました。

本ナレッジ集の事例2では、産学連携部門を中心として、各部署に散在する競争的資金、国家プロジェクト、共同研究等の情報を一元化した取組を紹介しています。この取組の結果、独創的で社会的インパクトの高い研究を特定でき、出願戦略の構築に加え、学内の若手研究者との連携の可能性も得ることができました。

本ナレッジ集を大学の研究支援や産学連携に携わる方々に参考にしていただき、大学における研究成果の発掘、知財戦略に基づく更なる研究の発展や社会実装推進の一助としていただければ幸いです。

1.知財戦略デザイナー派遣事業

特許庁は、2019年度から、「知財戦略デザイナー」を大学に派遣しています。知財戦略デザイナーは、大学内で埋もれている知的財産を発掘し、社会的価値・経済的価値の創出に向け、未来を見据えた知財戦略(例えば、共同研究への発展や事業化などのプラン)を、研究段階からデザインします。本事業は、学内の研究支援担当・産学連携担当の方々と協働し、大学の「知」を源泉とするイノベーション創出を支援するものです。

2.「知財戦略デザイナー派遣事業2019ナレッジ集」の掲載内容

本ナレッジ集は、知財の専門家である知財戦略デザイナーの支援によって各大学の課題をどのように解決したのかについて、①知財戦略デザイナー派遣前の各大学が抱える問題や課題、②知財戦略デザイナーの活動、③活動により得られた成果、の3つのパートに分けて紹介しています。

(ポイント1) 分かりやすい

1事例1頁としました。構成は、知財戦略デザイナーの取組を一目で理解できる「タイトル」、知財戦略デザイナーの取組のポイントや気づきを整理した「ナレッジ」、そして、知財戦略デザイナーの取組をストーリー仕立てで読める「事例の概要」、となっています。

(ポイント2)探しやすい

本ナレッジ集では、興味のある事例からお読みいただけるよう、「大学が抱える問題・課題」と「キーワード」の2つの観点から、事例を牽引できます。

3.公表資料

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