令和2年5月25日

1 5月25日(現地時間同日),ネパールにおいて,我が方西郷正道駐ネパール日本国特命全権大使と先方シシル・クマル・ドゥンガナ財務省次官(Mr. Sishir Kumar Dhungana,Secretary, Ministry of Finance)との間で,無償資金協力「数値標高モデル及びオルソ画像整備計画」(供与限度額:11億7,000万円)に関する交換公文の署名及び書簡の交換が行われました。

2 ネパールは,防災インフラが未整備であるため,自然災害に対して極めて脆弱な国です。自然災害の被災者数では洪水が最も多く,特に雨季の慢性的な洪水被害が深刻です。ネパール南部タライ地域はインドとの交通及び物流の窓口となっており,工場が集中する産業地帯でもあるものの,豪雨の度に経済・社会インフラが甚大な損害が発生します。同地域では,正確な洪水ハザードマップが整備されておらず,詳細な浸水域を特定するための精度の高い数値標高モデル(メッシュ交点の標高データ)及びオルソ画像(空中写真に写っている地物を真上から修正した写真)の整備が喫緊の課題となっています。

3 この協力は,ネパール南部タライ地域の洪水脆弱地域において,ハザードマップの将来的な整備等に資する高精度の数値標高モデル及びオルソ画像を整備することにより,洪水被害等の軽減を図り,もってネパールのハード及びソフト両面にわたる震災復興及び災害に強い国づくりに寄与するものです。この協力により,事業完成4年後を予定している2025年には数値標高モデルあるいはオルソ画像が延15回以上配布され,数値標高モデル及びオルソ画像から大縮尺地図の作成面積が300km2以上,ハザードマップの作成面積が500km2以上作成される他,数値標高モデルのメッシュ間隔が50mから1mに改善し,より精緻な計画図を策定することが可能となります。また,ネパール政府関係機関の防災意識の向上,洪水想定区域の特定精度の向上,堤防強化地点や洪水調整池等の洪水対策候補地の絞り込みが可能となり,防災能力が強化されることが期待されます。

[参考]ネパール連邦民主共和国基礎データ
 ネパール連邦民主共和国は,面積14.7万平方キロメートル(北海道の約1.8倍),人口約2.800万人(2018年,世界銀行),1人当たり国民総所得(GNI)は970ドル(2018年,世界銀行)。