(令和2年5月22日(金)  8:20~8:35)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず冒頭1件申し上げます。 抗体検査については、今後一般住民の方を対象とした大規模な疫学調査を行う予定とお伝え申し上げていましたが、今般、詳細が決まりましたのでお知らせをした いと思います。今回の調査は、抗体保有率の高い地域から低い地域まで、日本全体 の状況を知る目的で感染者数の多い地域と少ない地域を選び、一般住民を対象として抗体保有率を調べます。対象とする地域は、東京都、大阪府、宮城県の3都府県。統計学の専門家の助言をいただき、一定以上の都市を有する一定以上の人口の都道府県の中で、10万人あたりの累積患者数が最も多い2自治体、東京都と大阪府、そして最も少ない自治体、宮城県を選定したところであります。
 対象者数は専門家の助言に基づき、各自治体約3000名強ずつ、合計で1万人程度とし、年齢区分別に無作為抽出を行い、血液検査を受けていただくことを選定する予定であります。検査方法としては、抗体価の定量的な測定が可能なものを用います。6月初旬から調査を開始し、結果についてまとまり次第公表させていただきたいと思います。詳細については、後ほど事務方からブリーフィングをさせていただきます。私の方からは以上であります。

質疑

記者:
今冒頭ご説明のありました抗体検査について、今回の検査の狙いを教えて下さい。
大臣:
今回の調査はまさに我が国の社会全体としての免疫の獲得状況を確認するということが直接の目的であり、それを確認することによって、今後の感染拡大防止策の検討に活用していきたいと思っております。
記者:
緊急事態宣言について、昨日関西3府県を解除する一方、首都圏と北海道では解除を見送り、改めて25日に判断するということです。大臣のご所感をお願いいたします。
大臣:
昨日、感染状況、医療提供体制などを踏まえて、専門家の皆さんの評価をいただいた結果、大阪、京都、兵庫については緊急事態宣言が解除され、また、北海道と関東、東京、埼玉、千葉、神奈川については、引き続き緊急事態宣言が続くということになったところであります。まず、緊急事態宣言が続く地域においても、新規の感染者数は減少し、また医療の逼迫状況も改善をしているところであります。引き続き、それぞれ住民の皆さん方、なお大変ではありますが、外出の自粛等にご協力をいただいて、新規の感染者数の減少等につなげていただきたいと思いますし、また解除された地域においても、既に基本的対処方針等にも示されている方向、また各それぞれの府県において、自粛の解除についての方向性も出しておられます。それに則った対応をしていただく中で、いわゆる3密の状況等を引き続き回避する等、ご協力をお願いしたいと思います。
 そうした中で、さらに新しい生活様式等もお示しをさせていただきました。また、業界団体においては感染防止のための業界別のガイドラインを作っていただいております。ぜひそうしたものも踏まえながら、あるいは活用していただいて、段階的にということになろうかと思いますが、経済活動を引き上げていただきたいと思います。他方で医療提供体制等については、都道府県知事からも病床等の確保が進む中で、現時点では医療提供体制は逼迫した状況ではないが、引き続き医療機関の役割分担や病床の確保に努めていくという姿勢も示されているところであります。
 次なる流行がないことを我々も目指していきたいと思いますが、そうした事態に対しても対応できるように、厚生労働省としても徹底したクラスター対策など感染防止対策、抗原検査やPCR検査体制等のいわゆる検査の強化・充実、そして中等症、軽症等それぞれの状況に対する宿泊療養をはじめとした役割分担を踏まえた医療提供体制の確保、これらを更に都道府県等とあるいは医療関係者と更に連携をして、そうした取組に万全を期していきたいと考えております。
記者:
雇用調整助成金についてです。オンライン申請が始まりましたが、初日に不具合が発覚して停止しました。大臣の受け止めと、原因分析や個人情報が閲覧できた規模、今後の復旧の見通しについて教えて下さい。
大臣:
これまでもオンライン申請等、申請あるいは審査を迅速化を図るべきというご指摘をいただいて、今回オンライン受付システムを開始した早々に、こうした事態を招いたことに心からお詫びを申し上げたいと思います。具体的には、初回の登録時に、複数の者が同時刻に登録を行うと、同一のIDが付与されるということであり、その結果として、他人の個人名やメールアドレスなどが閲覧可能になるという不具合が生じたということで、ただちに運用停止としたわけであります。
 まず、今回の事案の全体像を解明して、必要な対応を図っていく必要があると思っておりますので、一日でも早い再開に向けて、開発した企業等とも連携を取りながら、全力を尽くしていきます。また、登録した方の個人名、メールアドレス等の個人情報が一定閲覧できた可能性がありますので、この点ついてもしっかり調査をしていきたいと思っております。
記者:
3点あります。まずアビガンについて、総理は有効性が確認できれば月内に承認を目指すと発言してきましたが、現時点で有効性は確認できているのでしょうか。また、月内というと残り1週間ですが、いろいろ手続きを踏まえれば6月にずれ込むという可能性もあり得るのでしょうか。
大臣:
まずアビガンについては、ご承知のように現在、観察研究、特例臨床研究、そして企業による治験が行われているところであって、それに関して様々な報道もなされているところであります。私どもとしても有効性と安全性、これが大事であります。様々な情報を収集しておりますし、企業に対しても審査に活用できる情報は可能な限り収集するよう求めているところでもあります。
 いずれにしても、薬事承認とは、企業からの承認申請が前提となりますので、現時点で承認申請がなされていないという状況にはありますが、私どもとしては承認申請がなされれば、速やかに審査を行います。審査を行うに当たっての考え方はすでに出させていただきました。限定的な情報でもということについても、有効性と安全性が確認できれば審査していくという方向性を示させていただいておりますが、それに則って対応し、いずれにしても一定の効果が確認されれば、今月中の承認を目指したいという姿勢は未だ堅持をさせていただいているところであります。
記者:
2点目ですが、雇用の関係ですが、コロナ関連の解雇や雇い止めがおよそ1万人に登っているということです。これに対して、どのように対応していくか厚生労働省の考えをお願いします。
大臣:
都道府県労働局を通じた情報の収集という範囲でありますが、5月21日時点で解雇等の見込み労働者数の累計が1万835名、3月が835名、4月が2654名、5月が先ほどの時点で7064名と日にちを追う毎に増加をしています。こうした中で、厚生労働省としても事業主の皆さんの雇用維持の努力を強力に支援していくことが必要だと考えており、雇用調整助成金の特例措置を講じ、さらに申請に当たっての簡素化、あるいは、より申請していただきやすいようにハローワークの人員体制の大幅な拡充等を図ってきたところであります。さらに、先日総理からも雇用調整助成金の上限額の引き上げ、あるいは個人による申請を認める新たな制度についても検討しているところであります。これについては、与党等々のご意見もいただきながら、早急に具体化していきたいと考えております。
 加えて、現時点で大規模な解雇や雇い止め等の情報を把握した場合には、ハローワークの職員が事務所に直接出向いていって、その中で事業主に雇用調整助成金等の活用について説明をし働きかけをするなど、雇用維持の要請にも努めさせていただいているところであります。さらには、公的統計としては総務省の労働力調査になりますが、これは少し集計に時間差がありますので、先ほど申し上げた労働局のタイムリーな情報においても、これまで非正規・正規はそこまで細かく見ておりませんでしたが、非正規と正規それぞれの動向が分かるよう既に事務方に指示をさせていただきました。引き続き、雇用の情勢について、しっかりと、できるだけリアルタイムで状況を把握する努力をするとともに、そうした情報があればそれぞれ企業毎に積極的に雇用維持の働きかけを図っていきたいと思っております。
記者:
3点目であります。昨日戦没者遺骨収集に関しての再発防止策が公表されましたが、改めてこの問題についての考え方と今後の対応についてお願いします。
大臣:
これについては、戦没者遺骨のDNA鑑定会議においても指摘をされておりますが、日本人ではない遺骨が収容された可能性が指摘をされながら、適切な対応がなされてこなかった、それによって遺骨収集への信頼性も大きく損なうことになった、こうしたことは真摯に反省をしていかなければならないと思っております。そうした中で、昨年10月以降有識者会議の下で、専門技術チームにおいて指摘を受けた後の担当部署の対応についての調査、あるいは指摘を受けた事例の遺骨鑑定及び今後の遺骨収集事業の在り方について検討がなされ、そして先週の5月14日の有識者会議において、事業実施体制について科学的所見の対応やガバナンスの強化等に対するご意見、また収容・鑑定の在り方について、プロセスの見直しや体制強化すべきとのご意見をいただいたところであります。
 それを踏まえて先日の有識者会議に今後の事業及び実施体制の見直しについての方針を報告し、ガバナンスの強化、収集・鑑定の在り方の見直し、鑑定体制の整備を行うこととしているところであります。こうした体制をしっかり作りながら、同時に一日でもはやくご遺骨を日本そしてご遺族のもとに届けるという遺骨収集の目的がしっかりと果たせるように、またそうしたご遺族の思いにしっかり答えていけるように、遺骨収集にしっかり取り組んでいきたいと思っております。     
記者:
先日の諮問委員会で緊急事態宣言が継続となった北海道について、委員会が終わった後委員の方から、北海道の重症患者への対応、体制が弱いのではないかという指摘がありました。北海道は重症患者は今17人出てまして、人口規模に比べても多く、ECMOなどの設備や専門的なスタッフが足りないという指摘もありますが、地方に対して重症患者への対応、支援をするお考えはありますでしょうか。
大臣:
まず現時点で北海道、まさに引き続き緊急事態宣言の下にあるわけでありますし、新規感染者数も生じてきている。我々も大変北海道とよく連携を取らせていただいておりまして、私どもの方からDMATで2名、感染研の方が1名の計3名に入っていただいて、特に最近増加をしている施設等に対する支援をさせていただいています。今お話があった人工呼吸器やECMO等の整備等、あるいは医療従事者の確保については、緊急包括支援交付金という制度がありますので、それを都道府県において活用していただきたいと思っております。
 こうした制度を使って、現在、新規感染者数が減少して全国的に見れば逼迫状況が改善しているわけですが、まさにこういう時期に医療提供体制の整備をさらに図っていきたいと思います。もちろん、緊急的にある地域がこうして増加をするということになれば、広域調整等の議論も当然出てくるわけでありますので、そういったこともしっかり対応させていただきたいと思っております。北海道のECMOや人工呼吸器の配置状況は全国平均で見ると決して低いわけではありませんが、北海道では全国に比べれば重症感染数が相対的に多いという状況でありますので、引き続きそうした状況を我々も良く北海道庁あるいは地方自治体と連携をしながら、医療提供に支障が無いように対応していきたいと思っております。
記者:
冒頭ご説明のあった抗体検査について伺います。6月初旬に調査を開始するということですが、結果はいつごろ取りまとまるかということと、大臣から感染拡大防止策に活用したいというお話でしたが、具体的にどんな活用が期待されるのかお願いします。
大臣:
まず具体的なスケジュールは後で事務的にご説明させていただきたいと思いますが、それぞれの地域で取りまとめがなされたところでまとめて公表させていただきたいと思っております。それから、どう活用していくのかということですが、先ほど申し上げた幅広く言えば今後の感染防止対策につなげていくということでありますが、あと具体的な結果によっても対応は当然変わってくると思いますので、我々としてもどういう結果が出てくるのか、それをしっかり受け止めて、それを踏まえた今後の議論につなげていきたいと思っております。
記者:
2点お聞かせください。布マスク配布の検品の費用が8億円と伝えられておりますけれども、厚生労働委員会などのやりとりで、更に8億円かかるというお話があるようなんですけれども、そのことについて実際にそうなのか、どういうふうになっているのか、お聞かせください。
 後もう1点、WHOに対してアメリカが大変批判的で、新型コロナ対策に対する批判があるから拠出金を止めたりしていますけれども、日本はアメリカと諸処の活動において同調をしたり、賛意を示すことがありますが、新型コロナ対策におけるWHOに対しては、日本は特に批判や疑問はないということでよろしいんでしょうか。
大臣:
まず1点目の布マスク、既に対応している中では8億円を全体として必要だ ということでありました。これは第一陣です。あと第二陣について、どういう対応をしているかについては、事務方から説明をさせていただきたいと思います。
 それから、WHOに対するアメリカの対応については、私どもコメントする立場にはありませんが、日本としては、先日のWHO総会、テレビ会議で私からも述べさせていただいたようにWHOのSPRPというプログラムに対して日本としても拠出をする等、我々として、今回の新型コロナウィルス感染症の感染防止・抑止を図っていく上においては、WHOが世界的には中心となってその機能を発揮すべきだということを従前から申し上げると同時に、今回の一連の事象について、しかるべきタイミングでは、しっかり検証をすべきだということを、独立、包括的に検証すべきだ、評価すべきだということを併せて申し上げさせていただいたところであります。

(了)