令和2年5月22日(金)

 今朝はまだ持ち回り閣議が終了しておりませんので,閣議内容について御報告することができないのですが,持ち回り閣議が終了次第,皆様に御報告をしたいと思いますので,御了解ください。

東京高等検察庁検事長の辞任に関する質疑について

【記者】
 東京高等検察庁の黒川検事長が一連の報道を受けて,昨日,辞任届を出され,今日の閣議で正式に辞任が決定される見通しです。改めて大臣の受け止めをお願いします。また,定年延長の責任についても,改めてお願いします。
 
【大臣】
 昨日,法務省の調査結果を取りまとめまして,総理の方に報告をいたしました。私としては,黒川検事長の人事について,閣議請議を提出したという立場でございますので,責任を痛感しておりまして,安倍総理に対して,私自身の進退について,進退伺いを提出したところでございます。
 黒川検事長は,令和2年5月,自ら検察官でありながら,そして,自ら東京高検検事長として,東京高検管内の検察官を含め検察庁職員を指揮監督する立場にありながら,東京都内において,記者らとともに,金銭を賭けた麻雀を行ったものでございます。そして,その行為が行われた時期が,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために,政府による緊急事態宣言が行われ,広く国民の皆様に外出自粛が呼び掛けられた時期であり,かつ,私の下で,法務省新型コロナウイルス感染症対策基本的対処方針を定め,ゴールデンウィークに入る直前に,私から,法務・検察職員において,これらを踏まえた活動をとるように強く指示をしていた時期でございます。
 そのような中での黒川検事長の今回の行動は,甚だ不適切であり,強い遺憾の意を覚えるものでございます。一報を聞いた時は,耳を疑いました。国民の皆様に憤りや御不安を与えたこと,検察や行政に対する信頼を損ねたことに対して,法務大臣として,お詫びを申し上げるものでございます。
 御質問の定年延長については,先ほど申し上げたとおり,定年延長の決定権者である内閣に対して閣議請議を行ったのは私でございます。そういった意味で,今般の行動について責任を感じております。
 
【記者】
 冒頭に,安倍総理大臣に進退伺いを提出されたとおっしゃっていましたが,御自身としては辞職するお考えなのか,それとも,総理に一任した上で大臣としての職責を果たす御意向なのか,お願いします。
 
【大臣】
 総理にお伺いを立てました。その上で,総理からは,今般の検察の損なわれた信頼を回復するために,引き続き職務に当たってもらいたいと強く慰留されたところでございます。
 私としては,非常に辛い道ではございますが,新型コロナウイルス感染症拡大下において,法務行政を停滞させることなく進め,また,検察の立て直しをしなければならないと思い至ったところでございます。
 
【記者】
 黒川検事長に対する処分は,訓告ということです。黒川検事長は,法務省の聞き取りに対して,賭け麻雀をしたと認めています。一方で,法務省として,賭け麻雀をしたと言われたのに,これは賭博罪に当たるものではないということで,この訓告処分をされたのでしょうか。
 
【大臣】
 これについては,法務省内,任命権者であります内閣と様々協議を行いました。その過程でいろいろな意見も出ましたが,最終的には任命権者である内閣において,決定がなされたということでございます。
 その際,賭け麻雀における過去の処分の例ですとか,刑法の賭博罪と人事院の規則の賭博についての定義の考え方ですとか,刑法の方は刑事処分が関連してまいりますので,人事院規則の方とは全く同じではないという説明も受けました。その中で刑法の賭博罪についても,立件される程度があるという説明もございました。様々なことを総合考慮した上で,内閣で決定したものを,私が検事総長にこういった処分が相当であるのではないかということを申し上げ,監督者である検事総長から訓告処分にするという知らせを受けたところでございます。
 
【記者】
 関連で,訓告処分について軽すぎるという声があります。法務省にも様々な電話が掛かってきていると思うのですが,その点について大臣のお考えを教えてください。
 
【大臣】
 今,申し上げましたとおり,事案の内容を踏まえて様々な検討を行った上で,任命権者である内閣,そして監督者である検事総長の方で決定されたものでございます。
 
【記者】
 黒川検事長の件で,法務省による調査はこれで終わりなのかということと,調査内容の詳細については公表されるのでしょうか。
 
【大臣】
 調査については処分を出すのに必要な調査は終わったと思っております。
 公表についてはできるだけ公表するようにしたいと思います。
 
【記者】
 黒川検事長の退職金の扱いはどうなるのか教えてください。
 
【大臣】
 法律に従って適切になされるものと承知しております。
 
【記者】
 払われるということですか。
 
【大臣】
 法律に従ってなされるというように思います。
 
【記者】
 退職金は具体的にいくらになるのでしょうか。
 
【大臣】
 承知しておりません。

カルロス・ゴーン被告人の逃亡事案に関する質疑について

【記者】
 5月20日にアメリカでゴーン被告人の出国を幇助した二人が逮捕されたのですが,この件に関する受け止めと,今後日本への送還についていつ頃になるのかということを伺います。
 
【大臣】
 東京地方検察庁が,マイケル・L・テイラー及びピーター・マクスウェル・テイラーについて,米国に対し,日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約に基いて,仮拘禁の要請を行っていたところです。このような中で5月20日に,米国内において,米国当局により両名の身柄が拘束されたものと承知しております。
 今後の捜査活動については,外国における手続でございますし,また捜査の内容でございますので,お答えすることは困難ですが,検察当局において,米国側と連絡を取りつつ適切に対処されるものと思います。
 
【記者】
 関連です。逮捕された二人が米国で日本の司法に対する批判を始めたらどうなるかということと,彼らは軍人なのですが,米国では軍人は国に仕えた人ということで,送還に反対する意見も出てきそうですが,そうなったらどのように。
 
【大臣】
 捜査活動に関することですので,私から申し上げることはできかねますが,米国の捜査当局,そして日本の捜査当局において,適切に対処されるものと思っております。
(以上)