日時 令和2年5月22日(金曜日)10時23分~10時37分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)京都府、大阪府、兵庫県における緊急事態宣言の解除について
  • 種苗法改正法案について
  • 新型コロナウイルス感染症の影響による、農業の人手不足に対するマッチングの取組について

 

大臣

  私から一点御報告がございます。
  昨日、京都府、大阪府、兵庫県で、緊急事態宣言が解除されました。大阪府等の大量消費地の緊急事態宣言が解除されたことは、我が国の経済活動の再開にとって明るいきざしだというふうに考えております。緊急事態宣言が解除されれば、感染拡大防止策をしっかりと講じながら、社会経済活動を段階的に引き上げていく必要があると考えておりますが、経済活動の本格化や、国産農林水産物の需要の回復には、まだある程度時間がかかるというふうに考えております。当省といたしましては、引き続き食料の安定供給、そして農林水産業の生産基盤を守るために、第1次補正予算をしっかりと執行し、第2次補正予算の更なる確保など、必要な対策を全力で講じてまいる考えでございます。
  以上です。

記者

  種苗法の改正案についてお尋ねをします。今国会での成立の見送りの可能性が報じられています。それに関するような国対幹部の発言も伝わっています。大臣は火曜日(19日)の記者会見で、改正案に関して、権利を守ることについては一刻の猶予もならないというふうにおっしゃっていましたけれども、改正案を巡る足下の動きについて現時点での御所見をお願いします。

大臣

  火曜日の記者会見で申し上げましたが、国会の審議日程等につきましては、国対並びに委員会の筆頭理事間で決められるものでありますので、私の方から予断を持って申し上げることは避けさせていただきたい、というふうに申し上げました。しかしその一方で、まだ審議前でありますから、少し長くしゃべり過ぎましたけれども、あまり法案の内容についてですね、踏み込み過ぎるのもいかがなものかと思いましたけれども、御質問があったから答えたわけです。先だって申し上げましたようにですね、権利というものはですね、いつ侵害されるのか分からない。そして、日本には過去苦い経験がある。今国会、通常国会内できちっと時間を取ってですよ、しっかり審議時間を取って、そしてそれを是非、テレビ中継はありませんけれども、ネット中継等でいろんな方が見ていただければですね、私は、その審議を通じて、しっかり現場の農家の方々にも、それから国民の皆様方にも、この法案の必要性、そして疑念に思っている点についてもですね、十分に説明ができるというふうに思っています。今国会の成立が可能であれば、12月には、もう申し上げましたが、76か国、UPOV条約に関しましても、一定の制限をきっちりと掛けることができる訳でありますから、これが次の臨時国会なりに延びるということになればですね、年を越してしまうということは当然で、しかもですね、この秋以降というものはですね、一番この種苗、苗木なんかが動く季節です。収穫が終わってですね。それまでにしっかりと法案を成立させたいという気持ちは、今でも変わりがありませんし、しかし、なかなかですね、いろんなことがあって、国会の審議日程もタイトになってまいりましたけれども、決して自分としてはですね、もうこれで見送りが決定したというふうには受け止めておりません。もちろん、コロナ対策が一義的に大切だと私も思っています。このことにつきましてはですね、2次補正の予算の確保につきましても、当初は、予算課、それから官房長も夜を徹して財務省との交渉をしてですね、農家の方々の、現場の方々の御期待に応えられるように必死の努力を、もちろん私もですけれども、いたしております。それをしっかりやりながらですね、しかし、これがあるから、じゃあ種苗法の議論ができないのかというとですね、必ずしもそうではないというふうに思っています。この間も申し上げましたように、不要でもありませんし、急ぐ理由はないということでもないと思っておりますので、私としてはですね、まだこの審議に入れる可能性はあるというふうに思っておりますので。しかし最初に申し上げましたように、審議の日程等につきましては、大臣である私がですね、こうすべきだ、ああすべきだということではなくて、公党同士の話し合い、国会の運営上の問題でありますから、まずは御指示があったように、森林組合法の改正、もうこれ参議院の方は参議院先議で通っておりますので、これをしっかり衆議院で通させていただいてですね、その次にでもやれたらいいと、そうあってほしいという希望的気持ちは持っております、今でもですね。

記者

  大臣の冒頭の回答とも重なる部分があるかもしれませんが、種苗法改正案について伺います。内容についてですね、あまり理解が進んでいない面があると思われます。芸能人がツイッターで懸念を表明するケースもありましたが、改めて農家であったり、消費者を含む国民全体の理解を得るために農水省としてはどう対応されますか。

大臣

  まず申し上げたいことはですね、芸能人であるとかですね、一般の方であるとか、そういう区別もなくですね、この民主主義の世の中ですから、意見を持つことはですね、そしてそれを発信することは、決して、それを否定されるものではありませんし、そしていろんなインフルエンサーの方がですね、例えば農家の経営状態であるとか、ある方はこの種苗法によって農家が非常に厳しい立場に追い込まれるんじゃないかと発言された方もおられると聞いておりますけれども、そういうことについては、誤解があると私は思いますよ、思いますけれども、その農家の経営なんかに関してですね、関心を持っていただけるということは、私としてはありがたい面もあります。最初にこの職に就かせていただいたときに、今後の農政の推進のためには国民の幅広い理解が必要だ、総理も農は国の基だと何度もおっしゃっておられますけれども、しかし、その思いがですね、国民の間で広く共有されているとはなかなか思えない。あって当たり前、輸入も普通にできるし、農家の方々は真面目に現場に出て生産活動をされるし、食に困ることはもうないのだ、という感覚になっていますが、しかし、今回のコロナとかですね、こういういろんな法案のこと一つ一つについても、国民の皆様方、それは芸能に関わる方であろうがですね、一般のサラリーマンの方であろうがですね、是非、関心を持っていただきたいと思います。
  そして、今回の種苗法について若干不幸だったと思うのはですね、当然、法案が成立する前に、あまり農林水産省が地方に行ってですね、これは正しいんです、正しいんです、正しいんですと言って回ることはですね、国会軽視にも下手をすると繋がりますので、それはもう、控えなきゃいけない部分はありますが、しかし、本来であればですね、もうちょっとこのコロナという事情がなければ、重ねて理解を得られるような場面というのが作れたんだと思います。本省から担当課の人間も地方に出張させられませんし、私も当然、地方にも全く出られていない。私は今年に入ってまだ一度も宮崎県に帰っていないというような状況なんです。ですから、この委員会をやるに当たってですね、参考人の皆さん方にも是非、日本列島は縦に長いですから、広く御参加いただきたいと思っていました。あの、与党の筆頭の方々とは話をさせていただいたんですけども、なかなか難しければですね、国会法とか憲法上の制約はあるかもしれませんが、参考人の方にはネットを通じて御参加いただくなりですね、幅広く御意見をいただきながら、しっかりとした審議時間を持ってですね、この、時間を掛けてというふうに考えておりますけれども、なかなかそれもできなかったことは残念だと思っています。しかし、先ほど申し上げましたようにですね、このことに関心を持っていただくことでですね、色々な誤解が生じることは仕方がないと思います。専門家ではない訳ですから。情報もですね、どこのニュースソースにアクセスするかによって、それはもう判断が変わることは、ままあることですから、誰も責めることはできないと思います。しかし、このことをきっかけにしてですね、もう一度、やはり農林水産業に従事する人たちがですね、日本としての強みを守ることが必要なのだ、それはやはり、種苗というものをですね、海外に流出するということは、日本が得られるべき利益、この間はイチゴの話をしましたけれども、5年間で200億円を超える遺失利益が計算されています。それが農家の所得となっていたら、どれほどのことがあったのだろうということにも思いを馳せていただいてですね、あの、法律についてはですね、必ず賛成、反対意見があるのは当然だと思います。当然だと思いますが、しかし、賛成と反対の意見の向こう側にですね、お互いに理解するところがあって、この法案がですね、是非この通常国会内で成立をされてですね、そして日本としての強み、国益を守る、そして農家の所得向上、農家の得られるべき利益を守る、という効果をですね、現場で発揮することを強く希望しています。ちょっと変な話になりましたけれども、何が言いたいかというとですね、いろんな方々が農政やこういうことに関心を持つことについてはですね、否定されるべきではありませんし、その内容についてですね、私は、一応大臣でありますので、その立場でですね、良いとか悪いとか言うことは控えたいというふうに思っております。

記者

  新型コロナ感染症対策の農林水産業への労働力の確保の件でお尋ねしたいんですけれども、現在行っているマッチングの進捗状況、成果、あと行っている中で見えてきた課題というのはどのようなものがありますでしょうか。

大臣

  これはですね、予算は1次補正46億円、準備をいたしました。農林水産省といたしましても、この人材不足によって作付けができないだったり、収穫ができないだったり、そういったことによって営農活動に制限が出るということは何としても避けたいということで、JAのような組織もですね、全面的に御協力をいただいていて、感謝いたしております。それでも、残念ながらですね、率直に申し上げて100パーセントではありません。なかなかですね、まとまった人数を確保できないような場面があったりですね、やはり地域には地域の御事情があります。普段のお付き合いの程度であるとかですね、意思の疎通のやり方であるとか。ですから、間のコーディネートを誰がするかということは大変大切であると思っておりますけども、しかし、この補正予算もかなり最近ではですね、活用もされるようになってまいりまして、色々、今回のコロナの影響で旅館業であったり運送業であったり、いろんなところで今、職がない。それから、法務省の管轄の部分もあります。そこの部分についてはですね、なかなか、例えば中小企業の工場で働くつもりで来て、すぐに農家に行ってくれと言われてもですね、御本人が、いや、そう急に言われても、という場合もあります。とかく日本人は、東南アジアとかから来られるとですね、農業はすぐできるんじゃないかと思いますけど、そうじゃなくて、都会育ちの人もたくさんいますから。農業の経験のない人もいるわけで。ですから、苦戦してる部分もありますけれども、北海道とかですね、それとか群馬県とかですね、色々なところで優良な事例が出てきております。ですから、日を追うにつれてですね、当然この外国から研修生として来ていただく予定だった人の人数は積み上がっていきますので、そのスピードに負けないようにですね、産地のローテーションも始まっておりますから、農林水産省としては、このことには力を入れてまいりたいと思っています。

報道官

  他に御質問ございますでしょうか。よろしいですか。では、以上で終了します。ありがとうございました。

以上