(令和2年5月12日(火曜日)15時35分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)感染症危険情報の引き上げ

【茂木外務大臣】感染症の危険情報の引き上げについてでありますが,新型コロナウイルス感染症,新興国や途上国を中心に依然として感染拡大が継続しておりまして,警戒が必要な状況は続いております。5月12日現在,187か国・地域で410万人以上の感染が確認をされ,全世界の死亡者数,これも28万人となってきております。
 若干感染が拡大している地域もシフトしてきているところがありまして,このような状況を受けまして,1万人当たりの感染者数等を含みます様々な状況,そして指数,これを総合的に勘案して,新たに13か国の感染症危険情報レベルを「レベル3(渡航は止めてください。)」に引き上げます。
 具体的には,アジアで言いますとモルディブ,中南米ではウルグアイ,コロンビア,バハマ,ホンジュラス,メキシコ,欧州ではアゼルバイジャン,カザフスタン,アフリカではカーボベルデ,ガボン,ギニアビサウ,サントメ・プリンシペ,赤道ギニア,この13か国でありまして,この結果,合計100か国・地域が「レベル3」となります。
 この感染症危険情報レベルの引き上げを受けまして,今後,関係省庁間で調整の上,国家安全保障会議,及び新型コロナウイルス感染症対策本部での議論を経て,近々,入国拒否対象地域の追加,検疫強化等を含む水際措置が講じられることになると考えております。

(2)航空機等が停止された地域における邦人の出国・帰国

【茂木外務大臣】海外からの帰国の状況でありますが,これまでに出国・帰国をされた方,9,000名近くになりました。引き続き,出国・帰国を希望されている方が,30か国で約300名となっておりまして,これらの方々のうち約半数,150名程度については,一両日中に出国・帰国予定となっております。引き続き,邦人の安全確保,また,帰国支援等に万全を期していきたいと考えております。

新型コロナウイルス感染症(米国主催関心国外相会合)

【産経新聞 力武記者】昨日行われましたですね,米国主催の7か国のテレビ電話での会合についてお聞きしたいと思います。その中でですね,報道発表によりますと,大臣の方から,終息後の国際秩序の在り方も念頭に,様々な課題に取り組むことが重要である旨述べられたということなんですけれども,差し支えない範囲で,具体的にどのようなご発言だったのかということとですね,併せまして,終息後の国際秩序の在り方ということについて,大臣ご自身はどのようにお考えになっているかということについて,お聞かせいただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】まず,昨日の電話7か国の外相会談の概要につきましては,終了後,速やかに貼り出しをさせていただいて,そのとおりでありますが,そこの中で終息後の国際秩序の在り方も含めてということでありますが,感染症の拡大,1か国だけでは効果的に対応することができない課題であると,こういう認識の下で,今回の事態は国際社会における協調と連携の重要性を,改めて認識させる機会になったと考えております。
 また,今般の事態を受けて,感染症への効果的な対応のためには,各国が持つ情報・教訓・知見を,自由,透明,迅速な形で共有しつつ,国際的な公衆衛生対策を進めることが重要であること,これを確認いたしました。
そのような認識に基づいて,今回の事態に対する国際社会の対応についての検証であったりとか,保健体制が脆弱な途上国に対する支援も含めて,現下の優先課題であります感染拡大の封じ込めを超えた中長期的な視点を持った取組が必要である,こういった立場から議論を行ったところであります。
 要するに,初期段階から含めて,どういったことで情報を共有していくか,またその情報共有の迅速性であったりとか,透明性,こういったことも問われることになってくると思いますし,そういった中で,WHO,これが十分機能していたかと。今後同じような事態が起こったときに,機能についてどういう機能を強化していくか,こういった議論も必要になってまいります。
 更に今,人の移動制限等々が続いておりますけれども,終息に向かう中では,どういった形でこの緩和を進めるかという,こういった議論も行っていかなければならない。そして,医療体制が脆弱な国々に対する支援の在り方というのが,国際社会全体としてどうあるべきなのかと,こういった議論をさせていただいたということであります。

新型コロナウイルス感染症(WHO総会への台湾のオブザーバー参加)

【読売新聞 大藪記者】今も大臣からWHOに関するご発言もありましたが,それと関連しまして,18日からWHOの総会が開かれます。これに関して,今,機能強化についてご発言はございましたが,従来指摘されている台湾が参加しておらず,地理的空白がある,こういった問題などに関して改めて大臣の問題意識,お考えをお願いいたします。

【茂木外務大臣】何度も申し上げておりますが,こういった事態においては,国際社会が一致して対応することが必要だと,このように考えております。そして,地理的な空白が生まれるということは,国際保健分野での課題に対応するに当たってはいいことではない,この立場を一貫して主張してきているところでありまして,こういった観点から我が国は,台湾のWHO総会へのオブザーバー参加,一貫して支持をしてきているところであります。

石井駐インドネシア大使によるルトノ外務大臣への連絡

【エコノミック・マンスリー誌 スシロ記者】日本の外交官のやり方はちょっと分かりませんので,ある日,在インドネシア日本大使からメッセージが送られてきたんですけども,インドネシア外務大臣に。その内容は両国協定の現行の内容とか,ディスカッションしましょうかという誘いの話なんですけども。私の質問ですけども,そのメッセージを送った時間が23時40分,ちょうど夜中の近くで,こういうやり方は正しいでしょうか。

【茂木外務大臣】まず,2人の大使と大臣の関係はどうだったかということもありますけれども,まずはLINEであったりショートメール,これは私(大臣)もそうですけれど,いろいろな時間にいろいろな国からもらいます。夜中であっても。それは朝起きてから見たりするのが一般的でありまして,恐らくいろいろな関係のコミュニケーションを取っている方については,直接電話を鳴らすと,鳴らし続けると,これは失礼かもしれませんけれど,LINEであったりとかショートメールをもらう,これは24時間ありうることなんじゃないかなと,基本的には私は思っております。少なくともそれが私の常識です。
 同時に,そういった時間にも,言ってみますとショートメールとかLINEが送れると,それは先方の政府関係者と我が方の大使が,良好な関係を築いてる一つの証でもあるのではないかなと思っています。

新型コロナウイルス感染症(感染症危険情報の引き上げ)

【NHK 山本記者】冒頭ご紹介ありました感染症危険情報なんですけども,2点ありまして,まず現時点で「レベル3」に13か国引き上げたということでよかったですか。

【茂木外務大臣】はい,それで結構です。

【NHK 山本記者】もう一点,大臣,冒頭で,感染の拡大地域が若干シフトしてきているというお話がありましたけれども,中には感染が落ちついて,減少に転じているような国や地域もあると思うんですけれども,いわゆる「出口戦略」ということで,レベルの引き下げについては,今後,どういった観点から行っていくお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】今,冒頭申し上げたように,元々,中国で発生した今回の新型コロナでありますけれど,韓国であったりとか,そして欧州と広がり,そして米国の方に拡大する。こういった中で,現在の状況を見ておりますと,例えば東南アジア,そして南西アジアでも,東南アジアはベトナム含め,かなりの落ち着きを見せている国がある一方で,南西アジア,インド,パキスタン,バングラデシュ等々については,まだ予断を許さないと言いますか,増加傾向が見られるところがあります。
 そして,これまで比較的感染者が少なかった中東地域におきましても,国によってはサウジ,UAEと,外国人労働者が多いということもあるのですけれども,感染の拡大,イランが一つの小康状態を保つ中で,どちらかと言いますと,そういった湾岸諸国に広がりつつある部分もございます。
 それからアメリカ大陸で言いますと,北米から中南米の方にこういった動きがシフトをして,ブラジルだったりとか,かなり多くの感染者が出ている国がある。そしてもう一つ,アフリカの状況について申し上げると,なかなか検査体制がどこまであるかと,いろいろな課題もあるし,またばらつきもあるところもありますけれど,全体としては緩やかなカーブで伸びているというところでありまして,アフリカの人口がだいたい12億ぐらいですから全体で,インドを人口で言いますと,思い浮かべていただけるといいと思うんですけれども,だいたいそれに近いようなカーブで今,推移をしているのではないかと,こんなふうに見ているところであります。
 一方で,ヨーロッパに目を転じますと,イタリア,スペイン,ドイツ,フランス,こういった国が,ある程度落ち着きを取り戻している一方で,英国については残念ながらまだ若干高い数字が続いていると。一方,ロシアで急速な患者数の,感染者数の伸びが見られ,更にはベラルーシであったりとか,ロシアの近隣国でも同じような傾向が見られると,こういった形でシフトが起こってきているということであります。
 そこの中で「出口戦略」と,一つはまず我が国での終息を止めるということからやっていかなければならない。人の往来を再開するということになるためには,日本に海外の方が来られるような状況と,これができなければいけないのだと思っております。
 同時に,相手国に行っても安全な状態であるかどうかと,これは様々な,例えば感染者数の推移であったりとか,更には医療体制がどうであるとか,再生産数がどうであるとか,そういうものをある程度の期間で見ながら判断をしていくということになってくると思います。
 少なくとも,今この時点で,「出口戦略」の具体的な検討を行っているわけではありませんが,しかるべきタイミングで,当然「出口戦略」については検討,そういった海外の危険情報の話,更には水際措置の話も含めて,やっていく必要があると思っております。

中国公船による尖閣諸島周辺での日本漁船追尾

【テレビ朝日 大石記者】尖閣諸島周辺の領海に,中国の公船が3日連続で侵入しましたが,中国による度重なるこうした行為の受け止めと,あと,中国外務省の副報道局長が「日本側による違法な干渉だ」などと主張したようですが,これも含めて受け止めをお願いします。

【茂木外務大臣】ご指摘の事案については,東京と北京の双方におきまして,局長,公使レベルで中国側に対して累次にわたり厳重に抗議をし,日本漁船の接近,追尾を直ちに止め,速やかに我が国の領海から退去するよう強く求めたところであります。
 新型コロナ,この問題で様々な国の協調,連携が必要と,こういう状況でありまして,中国側にはこの問題についても前向きな対応を強く求めたいと,こんなふうに思っています。