(令和2年5月8日(金)  8:25 ~ 8:42)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず私から2点あります。
 既に労政審に諮問・答申していただいた時に申し上げましたが、新型コロナウイルスへの感染が拡大する中、妊娠中の女性労働者は職場における作業内容等によって、新型コロナウイルスへの感染の恐れに大きな不安を抱える場合があります。このため、妊娠中の女性労働者の母性管理を適切に図ることができるよう、昨日、男女雇用機会均等法に基づく妊娠中の女性労働者の母性健康管理上の措置の指針を改正し、新型コロナウイルス感染症に関する措置を新たに追加いたしました。この措置は、昨日5月7日から来年の1月31日まで適用となっております。具体的な措置の内容は、妊娠中の女性労働者が妊婦健診等で主治医等から新型コロナウイルスへの感染の恐れに関する心理的なストレスが母体や胎児の健康保持に影響があるとして指導を受け、その旨を事業主に申し出た場合に、事業主はこの指導に基づき感染の恐れの低い作業への転換、在宅勤務・休業などの必要な措置を講じなければならないとするものであ ります。配布をしているリーフレットでもお示しをしておりますが、指導事項を的確 に事業主に伝えるためのツールとして、母性健康管理指導事項連絡カードというもの があります。これらは厚労省のホームページ、母子手帳にも記載されておりますの で、こうした手段を活用していただきたいと思います。
 また、事業主がこの措置を講 じない場合には、助言・指導・勧告、勧告違反の場合には企業名公表という対象にな るものであります。厚生労働省としては、既に医師会等関係団体には内容について連 絡しております。更に、この仕組みの周知等について、経済団体に働きかけを行って いきたいと考えております。今回の指針について、適切に履行確保を図ることによっ て、働く妊婦の方々が安心していただけるように、また、健やかに子どもを産み育て ていただける、そうした環境整備に我々も、また企業も含めて社会全体で取り組んで いただきたいと思います。
 2点目でありますが、共同募金への協力についてのお願いであります。新型コロナウイルス感染症対策として、全国で臨時休校の措置が採られ、一人親のご家庭や、その他の困り事を抱えるご家庭の子どもさんたちの孤立化などの問題が指摘されております。このたび、中央共同募金会と都道府県共同募金会で新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーンとして、3つの助成事業を実施することとしております。1つが子どもや家族の緊急支援活動への応援、2つ目はフードバンク活動への応援、3つ目は居場所を失った人への緊急活動への応援であります。共同募金会では本日から寄付の受付を開始いたしております。1人でも多くの子どもさんたちを応援し、また困り事を抱えている家庭、居場所を失った人などに対する支援活動を応援するために、皆さん方の温かいご支援を私の方からもお願いをしたいと思います。
 また、経済界に対しても協力の要請を行っていく予定であります。厚労省としては、こうした居場所作りを行う方々を支援していくため、感染拡大防止に留意しつつ、テレビ電話等のオンラインでの学習支援など、工夫して新しいつながりを作り出す事業に取り組む支援者の事例などを積極的に情報発信していくことも進めているところであります。私の方からは以上であります。

質疑

記者:
2月に策定しました相談・受診の目安について、見直しを進められていることかと思います。週内にも早ければ策定されるのではないかという話もありますが、現在の策定の検討状況等、見通しがあれば教えてください。
大臣:
相談・受診の目安は、新型コロナウイルス感染症はこれまでなかった感染症でありますから、そうしたことに感染した疑いがある方がしっかりと受診をしたり相談をしていただきたいということで作成をさせていただいているというものでありますから、その基本的な性格付けが変わるものでありませんが、ただこの間、当時2月の段階は一般の風邪、あるいはインフルエンザ等の蔓延時期でもありましたが、そうした症状を有する疾患がこの時期減少していることであります。
 そういった意味で、他の疾患による症状との違いを念頭に置く必要性がなくなってきていること、また、これが「目安」ということが、相談とかあるいは受診の1つの基準のようになっているとのご指摘がありました。我々から見れば誤解であり、これについては幾度となく通知を出させていただきながら、そうではないんだと、相談や受診は弾力的に対応していただきたいと言うことを申し上げてきたわけであります。そうしたことを踏まえて、専門家会議、5月4日に開催されまして、見直し案についてのご議論をいただきました。そこでの議論を踏まえて、現在、医療関係者等の関係者とも調整を進めさせていただいておりますので、早ければ今日中にでも公表させていただきたいと思っております。
記者:
今の受診・相談の目安に絡んで2点お伺いします。内容についてですが、比較的軽い風邪の症状が4日以上続く場合と日数があったと思いますが、そのあたりはどうなるのか、削除するのかどうなのかというのが1点と、あと見直し時期が遅いのではないかという指摘がありますが、これにはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
いずれにしても中身は今調整していますから、それを見ていただくということだと思います。遅い、早いあるいは元々これを撤廃すべきだ、様々なご議論もいただいてきたところであります。それらを踏まえて専門家会議でご議論いただいて、今見直しを図っている、こういう状況であります。
記者:
雇調金のことでお伺いしたいのですが、1つは昨夜テレビで岸田さんが水準について1万4000円から5000円ということに言及されましたが、これについてどう考えるかということが1点、もう1点は大臣がかねてから仰られている失業保険の給付等との兼ね合いです。これは雇調金を上げたときに失業保険も同時に同じ水準にそろえるということにするのか、それともそうでないのか、ここは失業者の方がより弱い立場にあるのでどう給付のバランスを取るのかということになると思いますが、その辺について考え方を教えて下さい。
大臣:
まず本件については5月4日の記者会見で、雇用保険制度や雇用調整助成金の更なる拡充に加えてという話をされて、与党における検討を踏まえて速やかに追加的な対策を講じていきますという総理の発言がありました。それを踏まえて、現在雇用調整助成金の日額引き上げについて、多方面からもご要望いただいておりますので、与党における検討を踏まえて、また経済雇用情勢の推移を見極めながら、追加的な対策を講じるべく、我々の方も議論をさせていただいているということであります。
 そういった一環の中でのご発言だと先ほどの政調会長のご発言は考えているところであります。また、失業手当等についても当然その雇用調整助成金の引き上げの議論の中で、その辺も踏まえた議論がなされていくんだろうと思いますので、そうした議論をしっかり我々も受け止めながら、検討させていただきたいと思います。
記者:
PCR検査について伺います。陽性率が正確に把握できていないのではないかとの指摘があります。厚労省として集計方法等どのように見直していくのかの方針をお聞かせください。
大臣:
これはこれまでも都道府県に対して、陽性の場合には医療機関から数字の届出をいただく訳であります。他方で、検査件数については私どもの方から都道府県に管内における検査件数をまとめて、日々ご報告をいただきたいということは、当初から申し上げておりました。しかし、正直言って、都道府県も色々と忙しい事情もあるんだろうと思いますが、実態としてはなかなかあがってきていない。そういう中で、我々としても地衛研等のすぐに把握出来るデータはそれで把握させていただく。ただ、民間、大学病院、医療機関、これはなかなか把握できませんので、これを今、我々がそれぞれの機関にも聞かせていただきながら、聞く努力をさせていただいているということでありまして、そうした形でつくっている資料でありますので、どうしても即時性、あるいは後から修正されていく、こういった課題を抱えているというのは認識しているところであります。
 引き続き、これは大事な資料なんですね、陽性率の議論もありますから。更には、尾身副座長から更に退院時のPCR、これをやはり抜かないと正確な数字はつかめないんじゃないかとご指摘もいただいております。しかし、そこまでいくと更なる作業が必要になってくる訳でありますが、その辺を含めて、更に都道府県とも、実際にどこまでできるのか含めて、よく調整をしていかなければいけないと思っております。     
記者:
2点お聞かせください。昨晩、レムデシビルの使用について許可された報告がありましたが、静脈注射により使用するレムデシビルと経口で使用するアビガンとでは、アビガンの方が使用の負担が少ないと思われるんですが、国内メーカーのアビガンの使用がまだしばらく先、今月中ぐらいになるということで、レムデシビルがいち早く承認されたというのは、どういう動きによるものでしょうか。
 後、もう一点。受診後のPCR検査、それからコロナウィルス感染症の受診をするにあたっての37.5℃以上の発熱、それから4日ほどの待機ということに関しまして、それを指針として出した厚労省の責任が問われていると思いますけれども、そこをどうお考えでしょうか。お聞かせください。
大臣:
まず、それぞれものによっては、観察研究をしたり、臨床研究をされたり、あるいは治験をされて、そして、その安全性や有効性が認められた中で、それぞれの企業が薬事承認を申請され、私どもの方でそれを踏まえて議論をしていく、というプロセスであります。それぞれのスケジュールによって、当然早い遅いはでてくる訳であります。それから、制度として、レムデシビルの場合には、特例承認という仕組みがありますので、これは海外がそうした承認をしているかどうかということが1つの要因になってきております。アビガンの場合には、海外での承認事例がないのに対して、レムデシビルについては、先日FDAがいわゆる緊急承認をされた、そうした違いもその中にはあるということだと思います。いずれにしても、それぞれの流れの中で、申請がなされて、我々としては、1日も早く必要な治療薬がより使いやすい状況を作っていく必要があると思いますので、申請がなされれば、できるだけ手続を短縮できるものは短縮して、判断を早期に出すべく、引き続き努力をしていきたいと思います。また、治療薬の開発とか、あるいは治療薬の利用、こういった形での研究等もしっかり支援をさせていただきたいとに思います。
 それから2点目ですが、これは再三再四申し上げているんですが、相談というのは、疑いのある方のことを申し上げているんです。ですから、当初、新型コロナウィルス感染症がどういう状況になるかよくわからない中で、当時、風邪等もありましたから、4日以上熱が続くような場合には、これは必ず行っていただきたい。こういう意味で目安を出させていただいたということであります。これは再三再四申し上げてきました。それがある部分、相談する、受ける側、あるいは診療を受ける側の1つの基準として使われていたというご指摘もありますので、それは違いますと。むしろ、その場合には、しっかりと弾力的にその方々の症状をお聞きしたり、実際の症状を踏まえて対応していただきたいということ。これも何度も通知を出ささせていただいてきている。こういう状況ではあります。
記者:
新型コロナウィルスの影響で休業していても失業したものとみなして雇用保険の失業給付での基本手当を受給できるようにしているという報道がありましたが、事実関係と実現の見通しを教えてください。
大臣:
これについては、総理も国会で答弁されていますが、労働者の立場に立って何が必要なのかを検討していきたい、ということを答弁されております。我々もそうしたスタンスに立って、引き続き、雇調金制度、先ほど引き上げの話もありましたが、こうした雇用を守る、あるいは働く方を守る、そういったことをしっかりと引き続き、これまでも色々な措置をとってまいりましたが、更に必要な措置があるんではないか、こういった視点に立って議論を進めていきたいというふうに思っております。

(了)