(令和2年5月8日(金曜日)14時23分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)岡本行夫氏の逝去

【茂木外務大臣】まず,岡本行夫さんのご逝去についてでありますが,岡本行夫さんの突然の訃報に接して,痛惜の念に堪えません。
 岡本さんは外務省において,また総理補佐官として,湾岸戦争,沖縄問題,日米安全保障など,数々の重要課題に取り組まれました。
 20年くらい前になりますが,私(大臣)が外務副大臣であった時は,イラクの復興支援に共に取り組んだ仲間であります。イラクで,奥・井ノ上両氏が銃弾に倒れた時,岡本さんが男泣きしていたのを今でも鮮明に覚えています。
 岡本さんは,東日本大震災後の復興や若い世代の育成にも,情熱を傾けておられました。日本のために,世界のため,これを思う彼の熱い心を,我々もしっかりと受け継いでいきたいと思います。
 現場に何度も足を運び,現場の声に常に耳を傾ける,そのような岡本さんの姿に,多くの人たちが深い感銘を受けました。米国をはじめ,世界中に多くの友人がおられたことが,そのことを証明していると思います。
 岡本さんのご功績を偲び,改めて心よりご冥福をお祈り申し上げます。

(2)航空機等が停止された地域における邦人の出国・帰国

【茂木外務大臣】定例になっております,邦人の出国・帰国に関してでありますが,これまでに出国・帰国された方は更に数が増えまして,約8,900名に上っております。引き続き出国・帰国を希望されている方,国数も減ってきまして,約30か国で,約250名となっておりまして,この250名のうち,近々出国・帰国予定の方が50名程度おられる。着実に結果が積み上がってきていると思っております。
 また,新たに出国・帰国を希望される方も出てきておりまして,これらの数字は刻々と変化をしていますが,引き続き帰国を希望される邦人の方への情報提供等,できる限りの支援を行っていきたいと思っております。
 また,各国との自国民の帰国のための協力も進んでおります。例えば,現地時間の5月4日,ペルーからメキシコへの民間チャーター機で,邦人67名がペルーを出国し帰国をされましたが,同便の復路には在日ペルー人を含みます約100人の在外ペルー人がメキシコから飛行機に搭乗して,ペルーに帰国をされました。
 また,韓国との関係でも,5月4日にデリーを出発し,5日早朝に羽田空港に到着した日本航空臨時便に,白血病を患っていらっしゃる韓国人の少女とその家族が搭乗し,当該韓国人家族は5日中に韓国に帰国しました。本件は,人道的観点からJALの協力を得て実現したものであります。日韓の関係者の努力に感謝したいと思います。
 昨日,康京和(カン・ギョンファ)長官から私(大臣)宛に,お礼状をいただいたところでありまして,まさにこういった厳しい状況の中で,日韓協力を本当に象徴するような良い案件であるという話でありました。日韓協力の観点からも非常にいい協力になったと,私もそのように今考えているところであります。
 このように各国との協力も進んでいることについて,我が国として高く評価をしておりますし,今後も海外におられる邦人,そして渡航者の皆さんの安全の確保,そして,希望される邦人の帰国の実現に向けて全力で取り組んでいきたい,このように考えております。

新型コロナウイルス感染症(「アビガン」の無償供与,最新の調整状況)

【産経新聞 原川記者】先週も伺いましたが「アビガン」ですけれども,昨日から,実際,輸送が行われたやに聞いておりますが,供与を希望する国と,その調整済みの国の数の状況を,そして実際の輸送の状況について,今日の時点の状況を教えていただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】「アビガン」については,何度も申し上げておりますが,各国からも,高い関心が寄せられておりまして,これまで80か国近くから,外交ルートで「アビガン」の提供要請を受けております。
 本日,エストニア,ここは1か国目になるわけですが,エストニアに対しまして,供与を行ったほか,すでに43か国について具体的供与を調整済みであります。エストニアに対します供与案件につきまして,昨日,エストニアの外務大臣と電話会談を行いまして,私(大臣)からエストニアの要請を受けた「アビガン」錠の提供を伝達いたしまして,レインサル外務大臣,先方から,それに対する謝意が述べられたところであります。
 この後,順次,UNOPS経由で,この調整が済んでいる国が先になると思いますが,そこに順次供与を行っていくということでありまして,ルクセンブルグ,アルバニア,ジョージア,ハンガリー,これについては,近日中に輸送することで調整中だと,このように報告を受けております。

北朝鮮情勢(金正恩委員長の動静,新しいミサイル関連施設)

【読売新聞 大藪記者】北朝鮮情勢についてお伺いいたします。金正恩(キム・ジョンウン)委員長の動静が20日ぶりに先日,報じられました。また,最近は平壌国際空港の近くに,ミサイル関連施設の建設が進んでいるという報道もありますが,こうした北朝鮮情勢について,どのようにご覧になってますでしょうか。
【茂木外務大臣】北朝鮮をめぐる情勢については,軍事面も含めまして,平素から高い関心を持って,注視・分析をしてきているところであります。金正恩委員長,本人をめぐります動向については,5月2日,北朝鮮メディアがその前日,1日に金委員長が平壌郊外の肥料工場の完成式に出席した旨報じたと,そのように承知をいたしております。
 今ありました,新たな弾道ミサイルの施設の建設,そういった報道もあるわけでありまして,ご指摘のような各種の公開情報からインテリジェンス,これを含むものまで,様々な報道・情報に接してきているところでありまして,引き続き,北朝鮮情勢について米国等とも緊密に連携しながら,情報収集・分析を行っていきたいと思っております。