令和2年5月5日

  1.  5月5日(日本時間同日),我が国も共同提案国となり,世界貿易機関(WTO)に加盟する42の有志国・地域(下記参照)により,「新型コロナウイルスと多角的貿易体制に関する閣僚声明」(英文(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く)が発出されました。この声明は,WTOにおいて,新型コロナウイルスへの現下の対応に関する共通の認識及び立場,上級委員会の永続的な解決を含むWTO改革の取組等について,40以上の加盟国が閣僚級で発出する初めての声明であり,国際協調を進める上で大きな意義を有するものです。
  2.  今回の声明で,各国・地域の閣僚は,人命保護を最優先に,医療を含む必需品やサービスの流通が確保されるべく積極的に取り組んでいるとした上で,緊急にとられる貿易制限措置は,たとえ健康を守るために必要とみなされる場合であっても,的を絞り,目的に照らし相応で,透明かつ一時的なものでなければならず,貿易に対する不必要な障壁やグローバル・サプライチェーンへの混乱を生じさせず,WTOのルールに整合的でなければならないと強調しました。また,これら必需品・サービスの流通を円滑化するための具体的行動に関するWTOの検討作業を促しました。さらに,農産品・食品について輸出規制を行わず不当な貿易障壁を設けることを差し控えることを約束しました。
  3.  閣僚は,新型コロナウイルスをめぐりWTO加盟国がとる貿易関連措置に関し,WTOがこうした措置を監視する上で不可欠な役割を担うことを支持し,加盟国が出来るだけ前広に措置をWTOに通報するよう促しました。
  4.  今回の声明では,ルールに基づく多角的貿易体制とWTOの中心的役割への各国・地域の支持が改めて強く確認されました。この観点から,閣僚は,新たなWTOの規律を作成し,現行のWTOの規律を改善し,WTO上級委員会をめぐる状況の永続的な解決を見いだすための努力を強化し,WTO改革に向けた取組を継続することを支持しました。

 [参考]今次声明への我が国以外の参加国・地域
アフガニスタン,オーストラリア,バルバドス,ベナン,カンボジア,カナダ,チリ,コロンビア,コスタリカ,エクアドル,エルサルバドル,グアテマラ,ガイアナ,香港,アイスランド,イスラエル,ジャマイカ,ケニア,韓国,クウェート,リヒテンシュタイン,マダガスカル,モーリシャス,メキシコ,モルドバ,モンテネグロ,ネパール,ニュージーランド,ナイジェリア,北マケドニア,ノルウェー,ペルー,セントルシア,サウジアラビア,シンガポール,ソロモン諸島,スイス,ウクライナ,アラブ首長国連邦,英国,ウルグアイ