(令和2年4月21日(火曜日)15時04分 於:本省会見室)

冒頭発言

新型コロナウイルスの現状

【茂木外務大臣】新型コロナウイルス感染症の現状でありますが,本日午前11時時点の世界全体の感染者数は,241万1,000名以上と見られます。引き続き感染の拡大が続いておりますが,昨日から今日にかけての1日の新規感染者数,これは約7万2,500人と4日連続で前日比減少となっております。死亡者につきましても,1日で約4,900人と,5,000人を下回ったのは4月4日以来のこととなります。
 もう一点,移動が困難な国からの,日本への帰国のオペレーションについてでありますが,これまでにそういった移動が困難な国からの出国・帰国された方の総数は7,524名となりました。引き続き出国・帰国を希望されている方が約1,100名いらっしゃいます。このうち,今月中に出国・帰国できる見通しの方が,450名に増えました。着実に結果が積み上がってきていると,そのように考えております。
 前回会見以降の大きな動きとしましては,先週の土曜日4月18日に,アフリカに在留する邦人の方々約300名が,エチオピア発の航空機で帰国をされました。これらの方々は,滞在・在留しておられるアフリカの15か国から,旅行代理店や第三国等が手配をします10個のルートのチャーター便によりまして,まずエチオピアのアディスアベバに集合し,その後,エチオピア航空の定期便や民間チャーター便等に乗り換えて,昨日までに帰国をいたしました。なお,これらの航空機には,アフリカ各地から韓国への帰国を希望される方約70名につきましても,韓国の仁川(インチョン)まで同乗いたしております。
 これまで韓国側が手配した航空機に邦人が同乗した,こういうケースもありました。今回は日本の方がアレンジをしたこの帰国便に,韓国の方がお乗りになったと。現場レベルでも,日韓の間で協力が進んでいることについて,我が国としても高く評価をしております。
 引き続き海外に在留される方々への情報提供,現地当局への働きかけを通じて,邦人の安全確保や支援に全力を注いできたい,こんなふうに考えております。
 先ほど1,100名のうち450名,これについては見通しが立ったという話をしましたが,残り650名いらっしゃいますけれども,例えば企業の関係でもう少し残られるとか,例えばJICAの関係であったりとか,さらにはかなりの確率で帰国の目途が立ちつつある,こういった方につきましては450名に含めておりません。そういった意味ではこの1,100名の方の中で帰国できる方というのは,さらに増えてくるのではないかな,こんなふうに思っておりますが,一方で全体の世界の状況等を考えて,これまで現地に残られるということで,新たに帰国を希望する方も少しずつ増えてきている状況にありますから,日本に帰国をする,そうすると一方で帰国を新たに希望される方も出てくるといった形で,順次そういったオペレーション,しっかりと進めていきたいと。いずれにしても,特に医療体制等々が脆弱な国々から日本に帰国を希望する,こういった方々の帰国の支援に向けて,全力を注いでいきたいと,こんなふうに考えております。

新型コロナウイルス(台湾から我が国へのマスク無償供与)

【TBS 橋口記者】新型コロナウイルスに関連して一つお伺いします。今日午前,台湾から国際貢献の一環として,マスク200万枚が成田空港に到着しましたが,改めてこの動きについて外務大臣から受け止めをお願いいたします。

【茂木外務大臣】台湾側からの温かい声援と支援に対して,改めて感謝をしたいと思っております。新型コロナという人類共通の脅威に対して,関係国・地域との連携・協力を引き続き強化をしていきたいと考えております。今回,提供・支援がありました医療物資につきましては,日華議員懇談会を通じて,日本側に寄贈されたものでありまして,その先の寄贈先,具体的にどこの病院にやるかとか,そういったことについては,日華議員懇談会が調整していると,このように承知をいたしております。

金正恩朝鮮労働党委員長の重篤報道

【読売新聞 大藪記者】北朝鮮情勢についてお伺いいたします。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が,手術を受けて重篤だという米国の報道がありますが,日本政府として今どのように事実関係を把握していらっしゃるか,お聞かせください。

【茂木外務大臣】報道については承知をいたしております。これまでも,金正恩委員長の様々な動静について,それは直近だけではなくて,様々な憶測であったりとか,いろいろな情報というものは流れていたと,このように考えております。北朝鮮の情勢については,日本としても新型コロナウイルスの感染状況を含めて,高い関心を持って注視・分析をしてきているところであります。その中で,金正恩委員長をめぐる動向についても,4月11日の党政治局会議に出席した後,12日の最高人民会議や15日の金日成(キム・イルソン)生誕記念日に際する行事に出席が確認されていないことを含めて,様々な情報に接しているところであります。引き続き,米国等とも緊密に連携をしながら,情報収集・分析に全力を挙げていきたいと思っております。

中国による南シナ海での行政区新設の発表

【共同通信 小野塚記者】南シナ海と中国の動きについてお伺いします。先日,中国政府が南沙諸島と西沙諸島に関して,行政区の設置をしました。これについて国内法に従った措置であるということで正当化しているんですけれども,南シナ海で中国が実効支配を強化しているという動きなんですが,日本政府としての立場と今後の対応についてお聞かせください。

【茂木外務大臣】最近の南シナ海における状況について,懸念を持って注視をしているところであります。南シナ海をめぐる問題は,地域の平和と安定に直結する国際社会の正当な関心事項でありまして,我が国としては,南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも,強く反対をしております。我が国は,これまで一貫して,海洋における法の支配の貫徹,これを支持してきておりまして,南シナ海をめぐる問題の全ての当事者が,国際法に基づく紛争の平和的な解決に向けて努力することの重要性を強調したいと思います。
 とりわけ,今,新型コロナウイルスの感染拡大を受けて,ASEAN+3の首脳間でも,地域の連帯強化,これを確認したばかりでありまして,その精神に則った行動が重要であると,このように考えております。